第一種衛生管理者 試験ガイド2026。受験資格・科目・合格率・勉強法を1枚で確認する。

第一種衛生管理者は、労働安全衛生法に基づく国家資格です。製造業・建設業・医療業など有害業務を行う事業場(労働者50人以上)では、第一種衛生管理者でなければ選任できません。毎月全国7か所で試験が行われ、合格率は近年40〜47%台で推移しています。このページでは受験資格・試験科目・合格基準・申し込み方法・勉強法を、安全衛生技術試験協会の受験案内書をもとに整理しました。

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第一種衛生管理者とは。全業種に対応できる衛生管理の国家資格

衛生管理者は、労働安全衛生法第12条に定められた職場の健康管理の担当者です。労働者が50人以上いる事業場は、事業者(会社)が衛生管理者を必ず選任しなければなりません。衛生管理者は毎週1回以上、作業場を巡視して設備・作業方法・衛生状態を確認し、健康障害を防止する措置を講じる役割を担います。

衛生管理者の免許には第一種と第二種があります。第一種は、すべての業種の事業場に対応できます。第二種は、有害業務と関わりの少ない業種(金融・保険・小売業・情報通信業・教育など)に限定されます。製造業・建設業・鉱業・農林水産業・電気・ガス・運送業・医療業・清掃業など、有害物質や機械設備を扱う事業場では、第一種衛生管理者でなければ選任できません。

試験は公益財団法人 安全衛生技術試験協会が実施しています。全国7か所の安全衛生技術センター(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州)で毎月1〜複数回実施されるため、都合のよい日時・場所を選んで受験できます。一度取得した免許は更新が不要で、一生有効です。

受験資格。学歴と実務経験の組み合わせで決まる

第一種衛生管理者の受験には、学歴と「労働衛生の実務経験」の両方が必要です(労働安全衛生規則第10条第2項)。実務経験とは、事業場において実際に衛生管理の業務(職場の衛生状態の点検、健康診断の計画・管理、衛生委員会の運営補助など)に従事した期間を指します。

学歴 必要な実務経験
大学・短期大学・高等専門学校の卒業者 1年以上
高等学校・中等教育学校(後期課程)の卒業者 3年以上
学歴を問わない 10年以上

出典:労働安全衛生規則 第10条第2項(抄)

実務経験の証明は、受験申請書に事業者(会社の代表者または権限を委任された者)の署名・押印が必要です。「労働衛生の実務に従事した経験」の判断が曖昧な場合は、受験を予定しているセンターに事前確認するのが確実です。医師免許・歯科医師免許・薬剤師免許の保有者は、実務経験なしで受験できる特例があります(受験案内書を参照)。

なお、第二種衛生管理者の免許を持つ者は、第一種試験の3科目(関係法令(一般)・労働衛生(一般)・労働生理)が免除されます。有害業務に係る2科目のみを受験すればよいため、合格に向けた負担が大きく下がります。

試験の科目・問題数・試験時間。5科目・44問・3時間

試験は5科目・44問の五肢択一式です。試験時間は3時間です。

科目 問題数 主な出題内容
有害業務に係る関係法令 10問 有機溶剤中毒予防規則・特定化学物質障害予防規則・鉛中毒予防規則・粉じん障害防止規則・石綿障害予防規則の選任義務・設備基準・特殊健診・管理区分など
有害業務に係る関係労働衛生 10問 職業性疾病・作業環境測定・局所排気装置・呼吸用保護具・騒音・熱中症対策・リスクアセスメントなど
関係法令(有害業務以外) 7問 衛生管理者・産業医・衛生委員会・健康診断・面接指導・ストレスチェックの選任要件・実施義務・回数・罰則など
労働衛生(有害業務以外) 7問 VDT作業・照明・換気・作業環境改善・メンタルヘルス対策・腰痛予防など
労働生理 10問 呼吸・循環・血液・腎臓・筋肉・神経・代謝・体温調節・疲労・感覚器など
合計 44問

出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会「衛生管理者試験受験案内書」

計算問題は出題されません。すべて選択式のため、電卓・定規は不要です。

合格基準。2つの条件を同時に満たす必要がある

合格するには、次の2つの条件を同時に満たさなければなりません。

  1. 科目別の合格基準:各科目の得点が、その科目の満点の40%以上であること
  2. 全体の合格基準:5科目の合計得点が、全44問の60%以上であること(27問以上正解)

1科目でも40%を下回ると、合計が27問以上正解でも不合格です。科目別の最低ラインは次のとおりです。

科目 問題数 40%ライン(最低正解数)
有害業務に係る関係法令 10問 4問以上
有害業務に係る関係労働衛生 10問 4問以上
関係法令(有害業務以外) 7問 3問以上
労働衛生(有害業務以外) 7問 3問以上
労働生理 10問 4問以上

「1科目に集中して勉強したら他の科目がゼロに近くなった」という事態を防ぐため、苦手科目でも最低ラインをクリアできる水準を保つことが重要です。

合格率の実績。近年は40〜47%台で推移

安全衛生技術試験協会が公表している年度別データから、令和元〜4年度の実績を示します。

年度 受験者数 合格者数 合格率
令和4年度(2022年度) 約68,000人 約32,000人 約47%
令和3年度(2021年度) 68,210人 29,113人 42.7%
令和2年度(2020年度) 68,537人 30,196人 44.1%
令和元年度(2019年度) 68,498人 29,975人 43.8%

出典:公益財団法人 安全衛生技術試験協会「試験統計データ」(最新値は協会公式サイトで確認:www.exam.or.jp)

受験者数は年間6〜7万人台と国家資格の中でも多い部類です。合格率は40〜50%台の範囲で推移しており、「勉強すれば合格できるが、準備なしに通るほど易しくはない」という水準です。

試験日程と申し込み手順。試験日の2か月前から受付が始まる

試験は全国7センターで毎月実施されます。申し込みの流れは次のとおりです。

  1. 安全衛生技術試験協会のウェブサイト(www.exam.or.jp)または最寄りのセンターで、受験を希望する試験日と会場を確認する
  2. 受験申請書を取り寄せる(センターで受取またはウェブサイトからダウンロード)
  3. 必要書類を準備する(学歴証明書または事業者証明書・写真など。詳細は受験案内書を参照)
  4. 受験申請書を提出する(センターへの持参・郵送・オンライン申請のいずれか)
  5. 受験手数料を支払う(8,800円・非課税。令和5年1月1日以降)
  6. 受験票が届いたら、試験日・会場・持ち物を確認する

受験申請の受付は、試験日のおおむね2か月前から始まります。センターと試験日によって締め切りが異なるため、受験案内書で確認してください。

試験当日の流れと持ち物

試験当日に持参するものは次のとおりです。

試験は午前の部(有害業務関係2科目)と午後の部(一般関係3科目)に分かれて行われることがあります(センターのスケジュールによります)。時計は机の上に置けますが、アラーム設定は禁止です。電卓・参考書・ノートの持ち込みは認められていません。

合格後の手続き。居住地の都道府県労働局へ免許申請する

試験に合格したら、居住地を管轄する都道府県労働局(または労働基準監督署経由)に免許申請を行います。申請書類は試験センターで受け取るか、厚生労働省ウェブサイトからダウンロードできます。手数料は1,500円(収入印紙)です(令和6年3月時点)。免許証の交付には申請から通常3〜4週間かかります。

免許証は紛失した場合、再交付の申請ができます。転職・転勤があっても免許は有効で、更新・失効はありません。

勉強法の基本。過去問を中心に5科目をまんべんなく仕上げる

第一種衛生管理者の試験は、過去問と同じパターン・同じ数値が繰り返し出題される傾向があります。テキストでの暗記だけでなく、実際の出題形式に慣れることが合格への近道です。

基本の進め方(独学・3か月を想定)

  1. まず過去問を1回分通しで解き、現時点の正解率と科目別の弱点を把握する
  2. テキストで弱点科目の基礎を確認する(条文の表現・数値を中心に)
  3. 過去問を繰り返し解く。同じ問題でも解きなおすことで出題パターンが定着する
  4. 有害業務法令は条文の言い回しが出題されるため、各規則の原文に慣れておく
  5. 労働生理は暗記項目が多い。就寝前の復習・まとめメモの作成が効果的
  6. 試験前1〜2週間は、苦手科目の40%ラインを確保することに集中する

学習期間の目安は1〜3か月(1日1〜2時間)です。職場で衛生管理の実務を経験している方は、法令・労働衛生の感覚が身についているため、比較的短期間で合格に近づけます。一方、労働生理は実務と直結しにくいため、試験勉強として集中的に取り組む必要があります。

科目別の攻略ポイント

  • 有害業務法令・有害業務労働衛生:出題範囲が広い。有機溶剤規則・特化則・鉛則・粉じん則・石綿則の5規則に絞り、各規則の管理項目・特殊健診の頻度・作業環境管理の基準値を中心に覚える
  • 一般法令・一般労働衛生:衛生管理者の選任条件・衛生委員会の構成・健康診断の種類と実施頻度・ストレスチェックの実施義務が繰り返し出題される
  • 労働生理:血液の成分・呼吸のメカニズム・神経の働き・代謝・体温調節・疲労の仕組みなど。図解や語呂合わせで暗記すると効率がよい

第一種と第二種の主な違い

どちらを取得すべきか迷う方のために、主な違いをまとめます。

項目 第一種衛生管理者 第二種衛生管理者
対応できる業種 すべての業種(有害業務含む) 有害業務を行わない業種のみ
試験科目 5科目(有害業務関係2科目を含む) 3科目
問題数 44問 30問
合格率(近年) 40〜47%台 45〜55%台
選任できる業種 製造業・建設業・医療業・農林水産業・運送業など 情報通信業・金融・保険・教育・卸小売業など

製造業・建設業・医療業・清掃業など有害物質や重機を扱う職場に勤務している方、または将来そのような職場への転職を考えている方は、第一種を取得しておくと転職時に使える範囲が広がります。

よくある疑問

Q:実務経験の「労働衛生の実務」とは、具体的にどのような仕事を指すか。
職場の定期的な衛生点検、健康診断の実施補助・記録管理、衛生委員会への出席・議事録作成、作業環境測定の補助、職場環境改善の提案・実施、安全衛生に関する教育の補助などが該当します。受付・販売・営業など衛生管理と直接関係のない業務は含まれません。判断に迷う場合は、受験を予定しているセンターに確認してください。

Q:試験に落ちた場合、すぐに再受験できるか。
再受験に待機期間はありません。翌月以降の試験にいつでも申し込めます。不合格の原因となった科目の40%ラインを確認し、その科目を重点的に復習することが次回合格への近道です。

Q:試験の難易度は年によって変わるか。
問題の難易度は年度・回によって多少の差があります。合格率が42〜47%の範囲で変動していることからも、問題の難しさに幅があることがわかります。ただし、試験の基本的な出題パターンは安定しているため、過去問を十分に練習していれば対応できます。

Q:受験申請書の提出から試験当日まで何週間かかるか。
申請の締め切りから試験日までの期間はセンターと試験日によって異なります。1か月未満のケースもあれば、2か月程度かかるケースもあります。受験を希望する試験日が決まったら、早めにセンターのスケジュールを確認し、申請締め切りに間に合うよう手配してください。

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出典・参考:
・公益財団法人 安全衛生技術試験協会「衛生管理者試験受験案内書」(www.exam.or.jp)
・労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第12条・第13条
・労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号)第10条・第11条・第79条
・労働安全衛生法施行令 第4条(衛生管理者を選任すべき業種の区分)

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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