液化石油ガス設備士の試験について調べると、日程はこのページ、合格率は別のページ、勉強法はまた別のページ、と情報が散らばっていて、全体像がつかみにくいと感じた方が多いはずです。このページは、その「全体像」を1枚にまとめた案内図です。試験の日程、申し込みの流れ、筆記と技能の中身、免除の条件、講習という別ルート、そして勉強の進め方まで、順番に並べました。
日程や手数料などの数字は、すべて高圧ガス保安協会(KHK)が公表している令和8年度の受験案内書と公式ページから引いています。年度が変わると数字も変わりますので、申し込みの前には必ず公式サイトで最新の案内を確認してください。
まず結論:令和8年度(2026年度)の日程
いちばん知りたいのはここだと思いますので、先に載せます。
| 項目 | 令和8年度 |
|---|---|
| 受験申し込み(電子申請) | 令和8年8月17日(月)午前10時〜9月2日(水)午後5時 |
| 受験申し込み(書面申請) | 令和8年8月17日(月)〜8月31日(月) |
| 筆記試験 | 令和8年11月8日(日) |
| 筆記試験の合否通知 | 令和8年11月20日(金)発送 |
| 技能試験 | 令和8年11月29日(日) |
| 技能試験の合否通知・合格者番号の公表 | 令和9年1月5日(火) |
出典:高圧ガス保安協会「令和8年度 液化石油ガス設備士試験 受験案内書(電子申請用)」、同「国家試験のお申込み」ページ
試験は年に1回だけです。令和8年度の受験申し込みは、この記事を書いている時点(2026年9月)ですでに締め切られています。いま読んでいる方は、次のどちらかだと思います。
- すでに申し込んだ方:筆記試験まで2か月ほどです。この記事の後半「本番までの逆算プラン」から読んでください。
- これから受けようと考えている方:次の申し込みは来年の夏です。試験の中身と勉強の順番を先に知っておくと、来年の準備がとても楽になります。急ぐ場合は、後半で紹介する「講習ルート」も選択肢に入ります。
そもそも、どんな資格か
液化石油ガス設備士は、一般家庭などのLPガス供給設備・消費設備の設置工事や変更工事を行うための国家資格です。KHKの案内では、硬質管相互の接続の作業や気密試験の作業などのLPガス設備工事の作業を行う人が必ず取得しなければならない資格で、この資格がなければ液化石油ガスの設備工事に携わることができない、と説明されています(出典:高圧ガス保安協会「国家資格の概要及び職務範囲」)。免状は都道府県知事から交付されます。試験の実施者も都道府県知事(知事試験)で、申し込みの受付や試験事務は高圧ガス保安協会(KHK)が行っています。
免状を取るルートは2つあります。
- 国家試験ルート:筆記試験と技能試験の両方に合格する。年齢・学歴・経験に関係なく、誰でも受験できます。
- 講習ルート:KHKなどが実施する「液化石油ガス設備士講習」を受け、講習の検定試験(筆記・技能)に合格する。
ここで一つ、間違えやすい点があります。受験案内書に、はっきりこう書かれています。「液化石油ガス設備士講習」は国家試験の科目免除のための講習ではありません。講習検定試験の筆記試験に合格しても、国家試験の筆記試験の免除は受けられません。つまり、講習ルートと国家試験ルートは別の道で、講習で国家試験の一部が免除されるわけではない、ということです。「講習を受ければ試験が楽になる」と思っていた方は、ここを整理しておいてください。
令和8年度の試験概要(科目・時間・手数料・合格基準)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 受験資格 | 年齢、学歴、性別、経験等に関係なく、誰でも受験できます |
| 受験手数料 | 22,700円(電子申請・非課税)。書面申請は23,200円 |
| 筆記試験:法令 | 択一式15問・9時30分〜10時30分(60分)。令和8年4月1日現在施行されている法令に基づき出題 |
| 筆記試験:配管理論等 | 択一式20問・11時10分〜12時40分(90分)。基礎知識、機械器具・材料、配管理論・配管設計・燃焼理論、施工方法、検査の方法 |
| 技能試験 | 配管用材料・工具の使用、硬質管の加工・接続、器具等の取り付け、気密試験、漏えい試験。電動ねじ切り機は60分、手動ねじ切り機は75分 |
| 合格基準 | 筆記(各科目)・技能試験とも、それぞれ満点の60パーセント程度 |
| 試験地 | 全都道府県(各都道府県のLPガス協会などが試験事務所) |
出典:高圧ガス保安協会「令和8年度 液化石油ガス設備士試験 受験案内書(電子申請用)」、同「国家試験について」ページ
筆記試験は法令15問と配管理論等20問、合計35問のマークシートです。合格基準は「各科目それぞれ60パーセント程度」なので、法令で9問、配管理論等で12問あたりが目安になります。片方だけ高得点でも、もう片方が届かなければ合格になりません。両方をバランスよく取る必要がある、というのが筆記の大事なポイントです。
技能試験は、筆記試験に合格した人(と筆記免除の人)だけが受けられます。筆記試験の当日ではなく、3週間後の別日程で行われます。
申し込みから免状までの流れ(年間スケジュール)
1年の流れを、令和8年度の日付で並べます。来年以降も、おおむね同じ時期に同じ順番で進みます。
| 時期 | やること・起きること |
|---|---|
| 8月17日〜9月2日 | 電子申請で受験申し込み。個人申込の受験手数料の振込期限は9月7日 |
| 9月9日まで | 氏名等・筆記免除・ねじ切り機(電動/手動)の変更期限 |
| 9月24日まで | 試験地の変更期限 |
| 10月19日〜11月8日 | 筆記試験の受験票を、自分で専用サイトからダウンロード・印刷する(令和8年度から郵送ではなくWEB発行に変わりました) |
| 11月8日(日) | 筆記試験。午前9時までに集合 |
| 11月9日(月) | 試験問題と正解答番号がKHKのサイトで公表(午後3時予定)。自己採点ができます |
| 11月20日(金) | 筆記の合否通知を発送。合格者には技能試験の受験票を兼ねた通知が届く |
| 11月29日(日) | 技能試験。工具・器具は自分で持参 |
| 12月1日(火) | 技能試験の判定項目を公表 |
| 令和9年1月5日(火) | 技能試験の合否通知を発送、合格者番号を公表。合格者には免状交付申請書が同封される |
出典:高圧ガス保安協会「令和8年度 液化石油ガス設備士試験 受験案内書(電子申請用)」
見落としやすいのは、受験票のWEB発行です。令和8年度から、筆記試験の受験票は郵送されず、受験者自身が「国家試験受験票WEB発行システム」にアクセスしてダウンロード・印刷する方式になりました。ダウンロード開始日の約1週間前に案内メールが届きます。メールが届かない場合はサポートデスクに電話で確認するように、と案内書に書かれています。写真(縦4.5cm×横3.5cm、6か月以内に撮影)も自分で貼って持参します。
合格率は「10人受けて3〜4人」の水準です
令和6年度の結果は、受験者1,496人、合格者528人、合格率35.3%でした(出典:高圧ガス保安協会「令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)」)。直近5年の合格率もおおむね30%台で推移していて、極端に難しくなった年も、易しくなった年もありません(年度ごとの数字と、その出典の内訳は下の合格率の記事に載せています)。
この数字を他のガス系資格と並べて、どの位置にいるのかを詳しく見た記事があります。難しさの正体は「合格率そのもの」より「情報の少なさ」と「筆記と技能の両方を通す必要があること」にある、という話も、こちらで書いています。
▶ 液化石油ガス設備士の合格率35.3%は、高いのか低いのか。同じ試験データで並べてみました。
勉強の順番は「筆記は過去問、技能は早めに手を動かす」
筆記試験は、過去問の繰り返しが中心です。似た問題が繰り返し出るため、参考書を何冊も買うより、同じ年度の過去問を3回、4回と解くほうが結果につながります。過去問と正解答番号は、KHKの公表ページ(https://shiken.khk.or.jp/shiken.html)で無料で公開されています。ただし、受験案内書に「公表には期限があります」と書かれているとおり、いつまでも載っているわけではありません。見つけたら早めに保存しておいてください。まず直近の年度を1回解いて、いまの自分の実力を知るところから始めてください。
技能試験は、読むだけでは身につきません。実際に配管を切り、ねじを切り、接続して、気密試験まで時間内に終える練習が必要です。筆記に受かってから技能の練習を始めると3週間しかありませんので、筆記の勉強と並行して、早い時期から手を動かしておくことをおすすめします。
受かる人が具体的に何をしているか、落ちる人が何をやってしまっているか、スケジュールの組み方は、こちらの記事にまとめています。
▶ 【液化石油ガス設備士】受かる人だけが知っている、たった1つの勉強のコツ
この資格は受験者が年間1,500人ほどしかいないため、市販の参考書もアプリもほとんど存在しません。その理由と、その状況でどう対策するかは、こちらで書きました。
▶ 液化石油ガス設備士に、過去問アプリがほとんど存在しない理由
技能試験で、事前に決めておくこと
技能試験には、筆記試験にはない準備が3つあります。
1. 電動ねじ切り機か、手動ねじ切り機か
受験申し込みのときに、どちらを使うかを選びます。電動なら試験時間60分、手動なら75分です。申し込み後に変更する場合は、令和8年度は9月9日午後5時までに変更手続きが必要でした。自分が練習で使っている機械と同じものを選ぶのが基本です。電動ねじ切り機を使う場合は、受験案内書の「安全衛生の手引」(服装、袖口を締める、半袖で作業しない、安全靴を履く、など)に沿って臨むことになります。
2. 工具・器具は自分で持っていく
技能試験の工具・器具は貸してもらえません。受験者どうしの貸し借りも禁止です。受験案内書の別紙に、パイプバイス、物差し、ねじ切り機、ワイヤブラシ、シール材、パイプレンチ2個、モンキーレンチ、ねじ切り油、気密試験用の自記圧力計と記録紙、漏えい検知液、二連球ポンプなどが一覧で載っています。無線でデータを転送・印刷する機能を持つ自記圧力計は使えない、という注意もありますので、持っている機器が該当しないか確認しておいてください。
3. 気密試験の記録紙も「製作物」の一部
技能試験では、製作物と気密試験の記録紙を提出せずに退室すると欠席扱いになります。作業が終わったら、試験監督員の指示に従って提出する、という流れを頭に入れておくと、当日に慌てません。
筆記試験の免除:前年度の筆記合格者は、今年度に限り免除できます
前年度の筆記試験に合格して、技能試験で不合格だった方は、今年度に限り、筆記試験の免除を申請できます。受験案内書にはこう書かれています。前年度(令和7年度)の液化石油ガス設備士試験の「筆記試験合格者」は、本年度に限り筆記試験の免除申請を行うことができます。
免除を受けるには、申し込みのあとに、前年度の筆記試験の合格通知書または合格証明書のコピーをKHKにFAXで送る必要があります。令和8年度の証書の受付期限は9月7日午後5時でした。証書が期限までに届かないと免除は受けられませんので、来年度に免除を使う予定の方は、合格通知書を大切に保管しておいてください。免除は「本年度に限り」なので、2年後には使えません。
筆記免除の方は、筆記試験の当日は会場に行く必要がありません。技能試験の受験票を兼ねた通知は、筆記合格者と同じく11月20日に発送されます。
講習ルート:実務経験がある人は、こちらが近道になることがあります
国家試験を受けずに免状を取る道が、講習ルートです。KHKの案内では、講習は3種類に分かれています。
| 講習 | 対象者 |
|---|---|
| 第一講習 | 未経験者または無資格者。経済産業大臣が指定する養成施設で実施 |
| 第二講習 | LPガス設備工事の経験が1年以上の方(経験証明が必要) |
| 第三講習 | 管工事施工管理技士、配管技能士(建築配管作業)など、関連資格の保有者(資格証明が必要) |
出典:高圧ガス保安協会「液化石油ガス設備士講習」ページ、同「液化石油ガス設備士免状のフローチャート」ページ
講習は3日間で、講義19時間と実習2時間(第三講習は実習なし)です。講習のあとに検定試験があり、筆記試験に合格した方だけが技能試験を受けられます。講習は年4回、全国47か所で開催予定とされていて、年1回しかない国家試験より受けられる機会が多いのが特徴です。受講受検料は、第二講習・第三講習で筆記試験16,100円、技能試験20,200円(令和7年4月1日改定)と案内されています。
実務でLPガスの配管工事にすでに携わっている方は、第二講習の対象になります。国家試験の申し込みを逃してしまった方や、1年待ちたくない方にとっては、現実的な選択肢です。ただし、講習の日程・会場・受講の条件は年度ごとに変わりますので、必ずKHKの講習ページで最新の案内を確認してください。
本番までの逆算プラン
今年(令和8年度)受験する方:筆記まで約2か月
- 9月:直近の過去問(令和7年度・令和6年度)を1回通しで解き、法令と配管理論等それぞれの正答率を出す。60%に届いていない科目を把握する。技能の練習環境(工具・材料・場所)を確保する
- 10月:過去問を繰り返す期間。間違えた問題に印をつけて、そこだけ何度も解き直す。技能は時間を計って通し練習を始める。10月19日から受験票をダウンロードして、写真を貼っておく
- 11月1日〜7日:新しいことは増やさない。これまで解いた過去問をもう一度全部通す。持ち物(受験票、鉛筆、消しゴム、四則計算のみの電卓、時計)を揃える
- 11月8日:筆記試験。午前9時集合。試験開始から30分を超える遅刻は受験できません
- 11月9日〜28日:翌日に公表される正解答で自己採点。手応えがあれば、技能の通し練習に切り替える。合否通知(11月20日発送)を待たずに練習を続けるのがコツです
- 11月29日:技能試験。工具・器具を忘れずに
来年以降に受験する方:いまから始めると、かなり余裕があります
- いま〜来年5月:過去問を入手して、まず1年分を解く。この試験がどんな問題を出すのかを知るだけで、来年の勉強の密度が変わります。実務経験がある方は、講習ルートも並行して検討する
- 来年6月〜7月:過去問の繰り返しを本格化。技能の練習環境を確保する
- 来年8月:受験申し込み(例年8月中旬〜9月上旬)。電動か手動かをこの時点で決める
- 来年9月〜11月:上の「今年受験する方」のプランと同じ
よくある質問
Q. 試験は年に何回ありますか。
国家試験は年1回です。令和8年度は筆記が11月8日、技能が11月29日です。講習ルートの検定は年4回開催予定とされています。
Q. 筆記試験に電卓は持ち込めますか。
四則計算のみできる電卓に限り使えます。関数電卓は使えません。開平計算、百分率計算、税計算、数値メモリなどの機能が付いている電卓は使用可能と案内されています。詳しい条件はKHKのサイトに一覧があります。
Q. 筆記と技能は同じ日ですか。
別の日です。令和8年度は筆記が11月8日、技能が3週間後の11月29日です。筆記の合否通知は11月20日に発送されますが、翌日11月9日に公表される正解答で自己採点ができるので、手応えがあれば通知を待たずに技能の練習に入ることをおすすめします。
Q. 講習を受ければ、国家試験の筆記が免除されますか。
されません。受験案内書に、講習は国家試験の科目免除のための講習ではない、と明記されています。講習ルートは国家試験とは別の道で、講習の検定試験に合格することで免状の申請ができる仕組みです。
Q. 去年、筆記だけ受かって技能で落ちました。今年は筆記を受け直しですか。
今年度に限り、筆記試験の免除を申請できます。前年度の筆記合格通知書または合格証明書のコピーを期限までにKHKへ送る必要があります。免除は翌年度限りなので、2年後には使えません。
Q. 「丙種化学(液石)」と同じ資格ですか。
違います。丙種化学(液石)は高圧ガス製造保安責任者という、LPガスの製造・充填設備を扱うための資格です。液化石油ガス設備士は、家庭などの配管工事を行うための資格で、対象の作業が異なります。名前が似ているので、求人票や講座の案内では確認しておくと安心です。
Q. 合格したあと、免状はどうやってもらいますか。
技能試験の合否通知に免状交付申請書が同封されます。長崎県以外で受験した方はKHK試験・教育事業部門、長崎県で受験した方は長崎県消防保安室が申請窓口です。なお、法令改正を受けて免状は紙製からプラスチック製に変更される予定で、令和8年度に合格して年度内に申請した場合は、筆記試験の受験票に貼った写真が原則そのまま免状用に使われる、と案内書にあります。写真は免状に残る前提で、きちんとしたものを用意してください。
まとめ
- 試験は年1回。令和8年度は筆記11月8日、技能11月29日、合格発表は令和9年1月5日です。
- 筆記は法令15問(60分)と配管理論等20問(90分)の択一式、合格基準は各科目60%程度。技能は電動60分・手動75分で、工具は自分で持参します。
- 受験手数料は22,700円(電子申請)。受験資格の制限はありません。
- 前年度の筆記合格者は、今年度に限り筆記免除を申請できます。講習を受けても国家試験の免除にはなりません。
- 実務経験が1年以上ある方は、年4回ある講習ルート(第二講習)も選択肢です。
- 勉強は、筆記は過去問の繰り返し、技能は早めに手を動かすこと。過去問はKHKのサイトで無料です。
この記事は、日程や条件が変わるたびに更新していきます。過去問を通勤中や休憩中に解きたい方のために、令和6年度・令和7年度の過去問をスマホで解けるアプリも用意しています。過去問は無料で使えます。
参考資料(すべて高圧ガス保安協会・KHK)
- 「令和8年度 液化石油ガス設備士試験 受験案内書(電子申請用)」(https://www.khk.or.jp/Portals/0/khk/exam/2026/R8FY_exam_setsubishi_rev.pdf)
- 「国家試験のお申込み」(https://www.khk.or.jp/qualification/qualification_application/)
- 「国家試験について」(https://www.khk.or.jp/qualification/national_qualification/examination/examination_about.html)
- 「国家資格の概要及び職務範囲」(https://www.khk.or.jp/qualification/national_qualification/examination/examination_range.html)
- 「液化石油ガス設備士講習」(https://www.khk.or.jp/qualification/examination_course/course_b/course_lpg_instengr.html)
- 「液化石油ガス設備士免状のフローチャート」(https://www.khk.or.jp/qualification/qualification-types/lpg-technician-flowchart.html)
- 「令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)受験者数・合格者数・合格率一覧表」
- 試験問題・正解答番号の公表ページ(https://shiken.khk.or.jp/shiken.html)


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