「液化石油ガス設備士 合格率」で調べている方は、次のどれかを知りたいのではないでしょうか。この試験、実際どれくらい難しいのか。何時間くらい勉強すればいいのか。他の資格と比べて自分の努力はどのくらい必要なのか。この記事では、高圧ガス保安協会(KHK)が公表している一次資料の数字だけを使って、合格率・難易度・勉強時間を整理します。感覚や噂ではなく、実際の数字で見ていきます。
この資格は受験者数が年間1,500人ほどしかいない小さな試験のため、体験談や口コミの数自体が多くありません。だからこそ、数少ない公式データを丁寧に読み解くことに意味があります。この記事では、複数年の推移と、他の関連資格との比較という2つの視点から、この試験の位置づけをできるだけ具体的に示します。
そもそも、何ができるようになる資格か
合格率の話に入る前に、この資格で何ができるようになるのかを確認しておきます。液化石油ガス設備士は、「液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律(液石法)」に基づく資格で、都道府県知事から免状の交付を受けます。一般家庭などのLPガス供給設備・消費設備の設置工事や変更工事(配管の接続、調整器やガスメーターの接続、気密試験の作業など)は、この資格を持つ人でなければ行うことができません。工事の一部を独占的に担う資格、という位置づけです。
免状を得る方法は2つあります。試験に合格するか、講習の課程を修了するかです。この記事では、多くの方が検索している「試験」のほうの合格率・難易度・勉強時間を中心に見ていきます。
令和6年度の結果は、1,496人受験・528人合格・合格率35.3%
まず、直近の令和6年度の結果です。高圧ガス保安協会が公表している「令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)」によると、液化石油ガス設備士の受験者数は1,496人、合格者数は528人、合格率は35.3%でした。単純に言うと、受験者のおよそ3人に1人が合格しています。
| 項目 | 数字 |
|---|---|
| 受験者数 | 1,496人 |
| 合格者数 | 528人 |
| 合格率 | 35.3% |
出典:高圧ガス保安協会「令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)受験者数・合格者数・合格率一覧表」
過去5年の推移:30%台前半〜30%台後半で上下しています
1年分の数字だけでは、35.3%が高いのか低いのか判断がつきません。そこで、直近5年分の合格率を並べてみます。2021年度と2024年度は、高圧ガス保安協会が公表している一次資料を直接確認しました。それ以外の年度は、資格情報を扱う複数のサイトが公表している集計値です(2021年度・2024年度の数字が一次資料と一致していることを確認したうえで掲載しています)。
| 年度 | 合格率 |
|---|---|
| 2021年度(令和3年度) | 33.5% |
| 2022年度(令和4年度) | 36.5% |
| 2023年度(令和5年度) | 30.8% |
| 2024年度(令和6年度) | 35.3% |
| 2025年度(令和7年度) | 38.0% |
5年間の幅は30.8%〜38.0%です。年によって数字は上下していますが、極端に易しくなったり、極端に難しくなったりした年は見当たりません。おおむね30%台前半から30%台後半の間で、毎年ある程度の受験者が入れ替わりながら合格している試験だと言えます。
感覚的な話をすると、35%という合格率は「10人受けたら3〜4人が受かる」水準です。半分以上が落ちる試験ではあるものの、10人に1人しか受からないような超難関資格でもありません。ここが、この記事で一番伝えたいところです。「難しい試験らしい」という漠然としたイメージだけで身構えている人は、実際の数字を知ることで、少し肩の力が抜けるのではないかと思います。
他の資格と並べると、位置づけが見えてきます
合格率35.3%という数字だけを見ても、それが高いのか低いのか判断しにくいところがあります。ちょうど令和6年度の同じ資料には、液化石油ガス設備士と同じ日程・同じ知事試験の枠組みで実施された、関連するガス系資格の合格率も載っています。同じ一次資料からの数字なので、条件を揃えて比較できます。
| 資格 | 合格率(令和6年度) |
|---|---|
| 第二種販売 | 54.4% |
| 第三種冷凍機械 | 44.3% |
| 丙種化学(特別) | 42.5% |
| 第二種冷凍機械 | 40.9% |
| 乙種化学 | 39.4% |
| 乙種機械 | 35.8% |
| 液化石油ガス設備士 | 35.3% |
| 丙種化学(液石) | 34.3% |
| 第一種販売 | 31.7% |
出典:高圧ガス保安協会「令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)」
並べてみると、液化石油ガス設備士は真ん中よりやや下の位置にいます。極端に難しい試験ではありませんが、第二種販売や冷凍機械系と比べると、合格のハードルはやや高めです。特殊な難関資格というより、「まじめに準備すれば十分に手が届くが、なんとなくで受かるほど甘くはない」という水準だと捉えるのが実態に近いと思います。
なお、表の中の「丙種化学(液石)」は、名前が似ているため液化石油ガス設備士と混同されることがありますが、まったく別の資格です。丙種化学(液石)は高圧ガス製造保安責任者という、LPガスの製造・充填設備を扱うための資格です。一方、液化石油ガス設備士は、一般家庭などの配管工事を行うための資格で、対象とする作業がそもそも異なります。求人票や講座の案内で名前を見かけたときは、どちらの資格を指しているのか確認しておくと安心です。
数字以上に「難しく感じる」理由
合格率だけを見ると、極端な難関資格ではありません。それでも、この試験を難しく感じる人が多いのには理由があります。
理由1:受験者数が少なく、情報が集まりにくい
以前の記事でも書きましたが、液化石油ガス設備士の受験者数は年間およそ1,500人です。宅建(年間20万人以上)や危険物取扱者(乙種第4類・年間25万人前後)と比べると、100分の1程度の規模です。受験者が少ないぶん、参考書もアプリも情報サイトも少なく、「何をどう対策すればいいか」という情報そのものにたどり着きにくいという事情があります。合格率の数字以上に、情報の少なさが体感の難しさを押し上げています。
理由2:筆記と技能、2つの試験を両方通す必要がある
液化石油ガス設備士の試験は、筆記試験と技能試験の両方に合格する必要があります。資格の予備校が公開している情報によると、筆記試験は法令(60分)と配管理論等(90分)の択一式、技能試験は実技で、電動ねじ切り機を使う場合は60分、手動ねじ切り機を使う場合は75分の制限時間があるとされています。合格基準は、筆記・技能とも、それぞれ満点のおよそ60%程度とされています。
知識を暗記するだけの試験ではなく、実際に手を動かして配管の作業ができるかどうかも問われます。ペーパーテストだけの資格と比べると、練習に必要な準備の種類そのものが増えるぶん、負担を大きく感じやすいところがあります。
理由3:受験資格に制限がない分、準備の差がそのまま結果に出る
液化石油ガス設備士の受験そのものに、実務経験や学歴などの受験資格は設けられていません。誰でも申し込める試験です。ただし、これは「誰でも簡単に受かる」という意味ではありません。むしろ、経験の有無を問わず同じ土俵で試験を受けることになるため、準備をしてきた人とそうでない人の差が、そのまま結果に反映されやすい試験だと言えます。実務経験がある人は技能試験の内容を体で覚えていることが多く、有利に働きます。未経験からの受験者は、その差を勉強量でどれだけ埋められるかが合否の分かれ目になります。
国家試験とは別に、講習で免状を取るルートもあります
液化石油ガス設備士には、国家試験を受けるルートのほかに、講習(液化石油ガス設備士講習)を受けて、その講習の検定試験に合格することで免状を申請できるルートも用意されています。なお、高圧ガス保安協会の受験案内書には、この講習は国家試験の科目免除のための講習ではなく、講習の検定に合格しても国家試験の筆記試験の免除は受けられない、と明記されています。講習ルートは国家試験の免除制度ではなく、別の道だと理解しておいてください。資格情報サイトの記載によると、講習は数日間の日程で実施され、講習の受講に加えて事前の予習期間を数週間ほど見ておくのが一般的なようです。講習の詳しい内容・日程・対象者の条件は、都道府県や実施団体によって異なるため、興味がある場合は各実施団体の案内を直接確認することをおすすめします。
実務でガス機器の設置や配管工事にすでに携わっている人は、この講習ルートのほうが結果的に近道になることがあります。逆に、これから知識を一から積み上げていく人にとっては、通常の国家試験ルートで筆記・技能の両方をじっくり対策するほうが、遠回りに見えて着実な場合もあります。
勉強時間の目安:情報サイトでは「1〜2ヶ月程度」という声が多いです
勉強時間について、公式な統計は公表されていません。あくまで資格情報を扱う複数のサイトでの目安ですが、「1〜2ヶ月程度」という記述が比較的多く見られます。ただし、この目安は実務経験の有無によって大きく変わります。ガス機器の配管工事などに関わった経験がある人は、技能試験の内容がもともと業務の延長線上にあるため、短い期間でも対応しやすいとされています。一方、まったくの未経験からのスタートだと、配管理論などの基礎知識と、技能試験の作業練習の両方に時間がかかるため、もう少し長めに見ておいたほうが安心です。
数字を鵜呑みにするより、次の2つを分けて考えるほうが実践的です。
| 対策 | 考え方 |
|---|---|
| 筆記試験 | 過去問の繰り返しが中心。似た問題が繰り返し出るため、新しい参考書を増やすより、同じ過去問を何度も解くほうが効率的です |
| 技能試験 | 読むだけでは身につきません。早い段階から実際に手を動かす練習を始めておく必要があります |
この2つの対策の具体的なやり方は、以前の記事「【液化石油ガス設備士】受かる人だけが知っている、たった1つの勉強のコツ」で詳しく書いていますので、あわせて読んでみてください。
受験する前に、自分のタイプを確認しておきます
ここまでの内容を踏まえて、自分がどちらに近いかを簡単にチェックしてみてください。
| タイプ | 向いている進め方 |
|---|---|
| LPガス関連の実務経験がすでにある | 技能試験の内容が業務の延長線上にあるため、講習ルートも含めて検討する価値があります |
| 実務経験はないが、時間はしっかり確保できる | 国家試験ルートで、筆記は過去問中心、技能は早めの練習開始を意識します |
| 実務経験がなく、独学に不安がある | 講習ルートの利用や、技能の練習環境を先に確保することを優先します |
どのタイプであっても、合格率35.3%という数字自体は変わりません。ただ、自分がどのタイプに近いかを先に自覚しておくことで、限られた勉強時間をどこに配分すべきかが見えやすくなります。
試験のスケジュール:年1回だけです
液化石油ガス設備士の試験は、年に1回しか実施されません。申し込みのタイミングを逃すと、次のチャンスは1年後になってしまいます。
| 時期 | 内容 |
|---|---|
| 8月〜9月ごろ | 申し込み受付 |
| 11月ごろ | 筆記試験 |
| 12月ごろ | 技能試験 |
正確な日程は年によって変わるため、必ず高圧ガス保安協会(KHK)の公式サイトで確認してください。
よくある質問
Q. 国家試験ルートと講習ルート、どちらがいいですか。
国家試験のほかに、講習を受けてその検定試験に合格することで免状を申請できるルートもあります(講習で国家試験の一部が免除されるわけではありません)。実務での経験がすでにあり、講習の日程を確保できる人には講習ルートが向いています。一方、独学で腰を据えて取り組みたい人や、講習の日程が合わない人は、通常の国家試験ルートを選ぶことになります。どちらが自分に合っているかは、今の実務経験の有無と、確保できる時間で判断するのがよいと思います。
Q. 不合格だったら、来年までまったく何もできませんか。
試験自体は年1回ですが、その1年を無駄にする必要はありません。不合格だった年の試験問題は、次の年度の対策にそのまま使えます。特に筆記試験は似た傾向の問題が繰り返し出るため、不合格だった年の振り返りをしっかりやっておくと、翌年の合格率をかなり上げられます。
Q. 独学だけで合格できますか。
筆記試験は独学でも十分に対応できます。過去問を繰り返し解くという、やることがシンプルな試験だからです。技能試験については、実際に手を動かす練習が必要になるため、可能であれば練習できる環境を確保しておくと安心です。まったくの未経験で、練習する場所も見つからない場合は、講習の利用も選択肢に入れて検討してみてください。
Q. 合格率が年によって上下しているのは、問題の難易度が変わっているからですか。
断定はできませんが、国家試験の合格率が年によって上下すること自体は、この試験に限らずよくあることです。問題の難易度そのものが変わっている可能性もあれば、その年の受験者層(実務経験者の割合など)が変わっている可能性もあります。どちらか一方が原因と決めつけず、「毎年多少の上下はあるもの」と捉えておくのが実用的です。
まとめ
- 令和6年度の合格率は35.3%(受験者1,496人・合格者528人)。出典は高圧ガス保安協会の公表資料です。
- 直近5年の合格率は30.8%〜38.0%で推移しており、極端に難しくなったり易しくなったりする年はありません。
- 関連するガス系資格と並べると、液化石油ガス設備士は中位よりやや下の位置にあり、極端な難関資格ではありませんが、油断できる水準でもありません。
- 体感の難しさは、合格率そのものより「受験者数が少なく情報が集まりにくいこと」「筆記と技能の両方を通す必要があること」から来ています。
- 勉強時間は、実務経験の有無で大きく変わります。筆記は過去問の繰り返し、技能は早めの練習が基本です。
数字で見ると、極端に恐れる必要のある試験ではないことが分かります。10人中6〜7人は不合格になる試験ではありますが、逆に言えば、まじめに準備した人がきちんと結果を出せる余地が残っている試験でもあります。あとは、情報の少なさをどう埋めるかです。過去問は高圧ガス保安協会の公式サイトで無料公開されていますので、まずは直近の年度を解いてみるところから始めてみてください。
今回の記事は、以前書いた勉強法の記事・アプリの記事とあわせて読むと、合格率という「事実」と、勉強のやり方という「手段」の両方がひとつながりで見えてくるはずです。数字を知って肩の力を抜いたら、あとは過去問を1問ずつ進めるだけです。
通勤中や休憩中のスキマ時間に解ける、液化石油ガス設備士の過去問アプリも用意しています。令和6年度・令和7年度の過去問は無料で使えます。
参考資料
- 高圧ガス保安協会(KHK)「令和6年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)受験者数・合格者数・合格率一覧表」
- 高圧ガス保安協会(KHK)「令和3年度 高圧ガス製造保安責任者試験等結果(知事試験)受験者数・合格者数・合格率一覧表」
この試験の日程・申込・免除・講習ルートを1枚にまとめた案内図:液化石油ガス設備士 試験ガイド2026。日程・申込・科目・免除・勉強法を、1枚にまとめました。


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