登録日本語教員試験について調べると、日程はこのページ、出題範囲は別のページ、合格率はまた別のページと情報が散らばっていて、全体像がつかみにくいと感じた方が多いはずです。このページは、その「全体像」を1枚にまとめた案内図です。試験の日程、そもそもどんな資格か、基礎試験と応用試験の中身、合格基準、受験料、資格取得までの3つのルート、そして過去問が公表されていない中での勉強の進め方まで、順番に並べました。
日程や数字は、すべて文部科学省が公表している令和8年度の試験案内、および令和6年度・令和7年度の実施結果から引いています。制度が始まって間もない試験のため、年度が変わると内容も変わる可能性があります。出願の前には必ず公式サイトで最新の案内を確認してください。
まず結論:令和8年度の日程
いちばん知りたいのはここだと思いますので、先に載せます。
| 項目 | 令和8年度 |
|---|---|
| オンライン出願期間 | 令和8年7月13日(月)~8月21日(金) |
| 受験料の支払い期限 | 令和8年9月18日(金)(電子納付・収入印紙とも) |
| 受験票発行 | 令和8年10月中旬(予定) |
| 試験日 | 令和8年11月8日(日) |
| 試験結果通知 | 令和8年12月18日(金)(予定) |
出典:文部科学省「令和8年度 日本語教員試験 試験案内」
試験は年に1回だけです。この記事を書いている時点(2026年9月)では、令和8年度の出願はすでに締め切られています。いま読んでいる方は、次のどちらかだと思います。
- すでに出願した方:試験日まで2か月ほどです。この記事の「勉強の進め方」から読んでください。
- これから受けようと考えている方:次の出願は来年の夏です。令和7年度は7月14日、令和8年度は7月13日に始まっていますが、制度が始まった令和6年度は8月1日開始でした。年度によって時期が動くため、出願開始が近づいたら公式サイトで最新の日程を確認してください。試験の中身と自分がどのルートに当てはまるかを先に知っておくと、来年の準備がとても楽になります。
そもそも、どんな資格か
登録日本語教員は、2024年4月に施行された「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法律」にもとづく国家資格です。文部科学省の実施結果資料では、この法律により、認定日本語教育機関で日本語教育課程を担当する者は登録日本語教員でなければならないとされている、と説明されています。日本語学校が国の「認定」を受けるには、そこで教える教員が登録日本語教員である必要がある、という位置づけです。
受験資格に制限はありません。試験案内には「年齢、学歴、国籍等の条件は不問です」と明記されています。日本語教育の実務経験がない方でも受験できます。
登録日本語教員になるまでの道は、次の3つのルートに分かれます。
| ルート | 対象・必要なこと |
|---|---|
| ①養成機関ルート | 文部科学大臣の登録を受けた養成機関で課程を修了した方。基礎試験が免除され、応用試験に合格し、実践研修を修了する |
| ②試験ルート | 養成課程を経ていない方。基礎試験・応用試験の両方に合格し、実践研修を修了する(このページで扱う「登録日本語教員試験」は主にこのルートの方向けです) |
| ③経過措置ルート(C・D-1・D-2・E-1・E-2・Fルート) | 制度移行にともなう現職教員等向けの措置。要件に応じて試験や実践研修の一部または全部が免除される |
出典:文部科学省「令和8年度 日本語教員試験 試験案内」
いずれのルートでも、試験に合格するだけでは登録日本語教員にはなれません。文部科学省の資料では、日本語教員試験に合格し、登録実践研修機関が実施する実践研修を修了することが必要、とされています。試験はあくまで最初の関門で、そのあとに実務的な研修が控えている、という構造です。
経過措置の期間は、原則として法施行後5年にあたる令和11年3月31日までです。必須の教育内容50項目に対応した課程の修了者への経過措置に限り、大学等の準備状況を考慮して令和15年3月31日まで延長されています。現職の日本語教師で経過措置に該当するか気になる方は、文部科学省が公表しているルート図(参考資料に記載)で確認できます。
試験の中身:基礎試験と応用試験
登録日本語教員試験は、基礎試験と応用試験の2つで構成されます。出題範囲は、令和6年4月に中央教育審議会生涯学習分科会日本語教育部会が決定した「登録日本語教員 実践研修・養成課程コアカリキュラム」の必須の教育内容から出題される、と試験案内に明記されています。
基礎試験:5区分・49項目から出題
基礎試験は、日本語教育を行うために必要な基礎的な知識・技能を、区分ごとに出題します。試験案内に載っているおおよその出題割合は次のとおりです。
| 区分 | おおよその出題割合 |
|---|---|
| (1)社会・文化・地域 | 約1~2割 |
| (2)言語と社会 | 約1割 |
| (3)言語と心理 | 約1割 |
| (4)言語と教育(教育実習を除く) | 約3~4割 |
| (5)言語 | 約3割 |
出典:文部科学省「令和8年度 日本語教員試験 試験案内」
この5区分の中に、コアカリキュラムで定められた必須の教育内容が49項目(番号でいうと1から50まで、うち28番は欠番)あり、そのどれかをテーマにして問題が作られます。「言語と教育」と「言語」だけで出題の6割以上を占めるため、この2区分を重点的に押さえることが得点につながりやすい構造です。
応用試験:区分を横断し、聴解問題もある
応用試験は、基礎的な知識・技能を活用した問題解決能力を測定するため、教育実践と関連させて出題されます。試験案内には「区分を横断する出題のため、領域ごとの出題割合は示していません」とあります。さらに、応用試験の一部は聴解問題で、日本語学習者の発話や教室での教員とのやりとりなどの音声を使い、実際の教育実践に即した問題を出す、と説明されています。基礎試験がマークシートの知識確認だとすれば、応用試験は「その知識を、教室の実際の場面でどう使うか」を問う試験です。
試験時間・問題数・配点、そして試験当日のスケジュール
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 基礎試験 | 120分・100問・選択式(1問1点・計100点) |
| 応用試験(読解) | 100分・60問・選択式 |
| 応用試験(聴解) | 約50分・50問・選択式 |
| 応用試験の配点 | 1問1点・計110点(読解60点+聴解50点) |
出典:文部科学省「令和8年度 日本語教員試験 試験案内」
令和8年度の試験当日の流れは、次のように案内されています。
| 時刻 | 内容 |
|---|---|
| 9:00~9:40 | 開場 |
| 9:40着席・10:00~12:00 | 基礎試験(120分) |
| 12:00~13:00 | 昼休憩 |
| 13:00着席・13:20~15:00 | 応用試験(読解・100分) |
| 15:00~15:40 | 休憩 |
| 15:40着席・16:10~17:00 | 応用試験(聴解・約50分) |
出典:文部科学省「令和8年度 日本語教員試験 試験案内」
1日がかりの試験で、基礎試験と応用試験(読解・聴解)を通しで受けることになります。遅刻の扱いにも注意が必要です。基礎試験と応用試験(読解)は20分までの遅刻なら受験できますが、応用試験(聴解)は音声を使う性質上、遅刻が一切認められません。当日は聴解試験の着席時刻に遅れない移動計画を立てておくと安心です。
合格基準:基礎試験は「各区分6割」かつ「総合8割」
合格基準は、試験案内に次のように定められています。
- 基礎試験:必須の教育内容で定められた5区分において、各区分で6割程度の得点があり、かつ総合得点で8割程度の得点があること
- 応用試験:総合得点で6割程度の得点があること
基礎試験は、総合得点が8割を超えていても、5区分のどれか1つが6割に届いていなければ不合格になる仕組みです。得意な区分だけを伸ばすのではなく、5区分すべてで穴を作らないことが合格の条件になります。なお、試験案内には「基礎試験、応用試験ともに、年度ごとの難易度差等により合格基準の調整を行うことがあります」という注記もあります。
基礎試験と応用試験を両方受けて、基礎試験は合格点に達したが応用試験が不合格だった場合は、基礎試験合格証明書が交付され、次回以降の試験でその写しを提出することで基礎試験が免除されます。逆に、基礎試験が合格点に達しなかった場合は、応用試験の答案は採点されず、試験全体が不合格になります。基礎試験を突破することが、まず最初のハードルだということです。
受験料と支払い方法
| 受験科目 | 受験料 |
|---|---|
| 基礎試験及び応用試験(試験ルート) | 18,900円 |
| 応用試験のみ(基礎試験免除者) | 17,300円 |
| 受験科目なし(両方免除・経過措置) | 5,900円 |
出典:文部科学省「令和8年度 日本語教員試験 試験案内」(受験料には合格証書発行手数料を含む)
支払いは、出願後にルートの審査が完了してから、電子納付(ペイジー)または収入印紙のどちらかで行います。令和8年度は、電子納付・収入印紙とも令和8年9月18日(金)が期限でした。期限までに納付されないと受験資格がなくなり、すでに納めた受験料も返還されないと案内されています。出願が済んだら、支払い連絡のメールを見逃さないようにしてください。
合格率の実態:「62.6%」だけを見て安心しないでください
この試験には、少し複雑な事情があります。文部科学省が発表する「合格率」は、経過措置による免除者を含めた全体の数字です。令和6年度(第1回)は受験者17,655人・合格者11,051人・合格率62.6%、令和7年度(第2回)は受験者17,597人・合格者11,876人・合格率67.5%でした。この数字だけを見ると、2人に1人以上が受かる試験に見えます。
ところが、基礎試験・応用試験のどちらも免除を受けず、まっさらな状態で両方受験する「試験ルート」(このアプリで対策する層と重なります)に絞ると、数字はまったく違って見えます。文部科学省の実施結果から、試験ルートだけの数字を抜き出すと、次のとおりです。
| 年度 | 試験ルートの受験者数 | 試験ルートの最終合格者数 | 試験ルートの合格率 |
|---|---|---|---|
| 令和6年度(第1回) | 3,681人 | 322人 | 8.7% |
| 令和7年度(第2回) | 3,538人 | 1,269人 | 35.9% |
出典:文部科学省「令和6年度日本語教員試験実施結果をお知らせします」「令和7年度日本語教員試験実施結果をお知らせします」
全体の合格率62.6%〜67.5%を押し上げているのは、養成機関ルートや経過措置ルート(基礎試験がもともと免除、または応用試験も免除)の合格者数の多さです。それらのルートの合格率はおおむね60〜74%台で推移していて、確かに高い水準です。一方で、免除なしの試験ルートは、第1回の8.7%から第2回は35.9%まで上がったものの、依然として全体平均より低い水準にあります。第1回は開始直後で情報も過去問もない中での受験だったことが、低い数字の一因とも考えられますが、いずれにしても「この試験の合格率は6割超」という理解のまま基礎試験・応用試験の両方に臨むのは、実態とずれています。
出願から結果までの流れ・試験会場
出願は、日本語教員試験システム(オンライン)で行います。試験会場は全国8地域(北海道・東北・関東・中部・近畿・中四国・九州・沖縄)で、令和8年度は関東地域だけで6会場が用意されるなど、地域によって会場数に差があります。出願時に選べるのは地域までで、地域内に複数会場がある場合、会場そのものは選べません。会場は自分の受験票で確認する必要があります。
受験票は令和8年度は10月中旬に発行予定で、試験システムから自分でダウンロードする方式です(郵送ではありません)。試験結果は12月中旬に、試験システムを通じて通知されます。
勉強の進め方:過去問がない試験、頼りになるのは「出題範囲」と「サンプル問題」
登録日本語教員試験は、2024年に始まったばかりの試験です。本番の過去問題は公開されておらず、文部科学省が公表しているのはサンプル問題です(2026年9月時点)。液化石油ガス設備士やITパスポートのように「過去問を繰り返し解く」という王道の勉強法が、この試験にはまだ使えません。
その代わりに使えるのが、この記事でもたびたび引用してきた出題範囲(5区分・49項目とその到達目標)と、文部科学省が公表しているサンプル問題です。出題範囲の各項目には、それぞれ「何を理解している状態を目指すか」という到達目標の文章が定められていて、実際の出題もこの到達目標に沿って作られます。つまり、49項目の到達目標を一つずつ潰していくことが、過去問がない中での最も筋の良い対策になります。
この考え方にもとづいて作ったのが、基礎試験対策のAI問題集アプリです。文部科学省が公表している出題範囲・到達目標・出題割合をもとに、AIがその場で4択問題と解説を作ります。文部科学省公表の公式サンプル問題(全9問)はそのまま無料で解け、AIが生成する問題にも「どの項目の到達目標にもとづく問題か」を毎回表示するので、どの区分の対策が進んでいるかが分かります。5区分の出題割合に合わせた模試モードもあり、合格基準(各区分6割程度・総合8割程度)への到達判定も表示されます。
無料の範囲でも公式サンプル問題とAI生成問題を1日3問まで解けます。買い切り980円で、AI生成問題が無制限になり、模試モードもフルに使えます。
よくある質問
Q. 試験は年に何回ありますか。
年1回です。令和8年度は11月8日(日)の1日で、基礎試験と応用試験(読解・聴解)をすべて受けます。
Q. 基礎試験だけ、応用試験だけを受けることはできますか。
試験ルートの方は基礎試験と応用試験を両方出願します。基礎試験に合格し応用試験が不合格だった場合は、次回以降「基礎試験免除」で応用試験のみを受けられます。逆に応用試験だけを先に受けることはできません(基礎試験に合格していることが前提のため)。
Q. 実務経験がなくても受験できますか。
できます。試験案内には「年齢、学歴、国籍等の条件は不問」と明記されています。日本語教育の実務経験は受験資格に含まれていません。
Q. 試験に合格すれば、すぐ登録日本語教員になれますか。
なれません。試験合格に加えて、登録実践研修機関が実施する実践研修を修了する必要があります。試験は資格取得の最初の関門という位置づけです。
Q. 応用試験の聴解問題は難しいですか。
教室での教員と学習者のやりとりなど、実際の教育実践に即した音声を使う出題です。知識だけでなく、その場面でどう対応するのが適切かを判断する力が問われます。基礎試験の知識が土台になるため、まず基礎試験の到達目標を押さえることが、応用試験の準備にもつながります。
Q. 現職の日本語教師です。経過措置の対象か、どこで確認できますか。
経過措置はC・D-1・D-2・E-1・E-2・Fの6ルートに分かれ、対象者の要件がそれぞれ異なります。文部科学省が公表しているルート図(参考資料に記載)で、自分がどのルートに当てはまりそうか確認できます。詳しい要件は必ず最新の試験案内でご確認ください。
まとめ
- 試験は年1回。令和8年度は出願7月13日〜8月21日、試験日11月8日、結果通知12月18日(予定)です。
- 基礎試験は120分100問(5区分・各6割程度+総合8割程度)、応用試験は読解100分60問+聴解約50分50問(総合6割程度)。基礎試験に受からないと応用試験は採点されません。
- 受験料は基礎+応用で18,900円。資格取得には試験合格に加えて実践研修の修了が必要です。
- 全体の合格率は62.6%〜67.5%ですが、免除なしで両方受ける「試験ルート」の合格率は8.7%(第1回)→35.9%(第2回)と、実際はもっと厳しい試験です。
- 過去問は非公表のため、出題範囲・到達目標とサンプル問題が頼りになります。
この記事は、日程や制度が変わるたびに更新していきます。到達目標を一つずつ確認しながら問題演習をしたい方のために、基礎試験対策のAI問題集アプリも用意しています。公式サンプル問題は無料で解けます。
関連記事:登録日本語教員試験、過去問アプリを比較してみました
参考資料(すべて文部科学省)
- 「令和6年度/令和7年度/令和8年度 日本語教員試験 試験案内」
- 「令和6年度日本語教員試験実施結果をお知らせします」(令和6年12月20日)
- 「令和7年度日本語教員試験実施結果をお知らせします」(令和7年12月12日)
- 「日本語教員試験に関すること」(https://www.mext.go.jp/a_menu/nihongo_kyoiku/mext_00004.html)
- 「登録日本語教員の資格取得ルート(経過措置期間)」(https://www.mext.go.jp/a_menu/nihongo_kyoiku/mext_00219.html)
- 「令和7年度日本語教員試験の出題内容及びサンプル問題」


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