登録日本語教員の制度に設けられていた「経過措置」は、2026年3月31日で終了しました(文部科学省公表の制度説明より)。
この経過措置は、制度開始前から日本語教師として活動していた既存の教師が、基礎試験なしで応用試験のみを受けて登録できる特例でした。第1回・第2回の試験には、この経過措置を使った受験者が多数いました。
経過措置が終わったことで、試験の受験者層と合格率の見方が変わります。この記事では、経過措置の内容と終了後の変化を整理します。
経過措置とは何だったか
登録日本語教員の制度は2024年4月に施行されました(日本語教育機関認定法)。それ以前から日本語学校や教育機関で日本語教師として働いていた人が多数いましたが、彼らに新制度の試験を一律に課すことには移行期間が必要とされました。
そこで設けられたのが経過措置です。主な対象と内容は次のとおりです(文部科学省公表の制度説明より)。
| 対象 | 経過措置の内容 |
|---|---|
| 認定日本語教育機関で一定の実務経験がある教師 | 基礎試験が免除。応用試験のみで登録申請できる |
| 法務省の告示校に登録された日本語学校での実務経験者 | 同上 |
| 学校教育機関での日本語指導実績がある教員 | 特例の申請により一部免除 |
つまり、日本語教師としての実務経験がある人は、基礎試験を飛ばして応用試験だけで登録できた、ということです。
この特例の申請・適用期間が2026年3月31日に終了しました。
経過措置が第1回・第2回の合格率を押し上げていた
文部科学省が公表している合格率(第1回62.6%・第2回67.5%)は、この経過措置ルートの受験者を含む全体の数字です。
経過措置ルートの受験者は日本語教育の実務経験者です。基礎試験が免除されており、応用試験のみを受験します。当然、実務経験のある教師の合格率は高くなります。これが全体合格率を押し上げていた大きな要因です。
一方、経験なしで基礎試験・応用試験の両方を受ける「試験ルート」だけを取り出すと、数字は大きく変わります。
| 回 | 全体合格率 | 試験ルートのみの合格率 |
|---|---|---|
| 第1回(令和6年度) | 62.6% | 8.7% |
| 第2回(令和7年度) | 67.5% | 35.9% |
出典:文部科学省「日本語教員試験実施結果(令和6年度・令和7年度)」ルート別内訳より算出
「62.6%なら受かりやすそう」という印象は、経過措置ルートの受験者が多数含まれているために生まれています。今から資格取得を目指す人(試験ルート)が参考にすべき数字は、35.9%(第2回)です。
2026年4月以降:経過措置ルートはなくなった
2026年4月以降、新たに登録日本語教員を目指す人は、次のいずれかのルートを選ぶことになります。
- 試験ルート:基礎試験・応用試験の両方に合格し、認定機関での実務研修を修了して登録
- 養成課程ルート:文部科学大臣が登録した養成機関の課程を修了して登録
経過措置のような基礎試験免除は存在しません。日本語教育の実務経験がある人も、原則として通常のルートを経る必要があります。
第3回以降の試験は「純粋な試験ルート受験者」が増える
第1回・第2回は、制度移行期に経過措置ルートで受験した既存の教師が受験者の大多数を占めていました。受験者数が17,000人を超えていたのも、この移行期の特性によるものです。
第3回(2026年11月)以降は、経過措置の申請期間が終了しているため、受験者は主に次のような層になります。
- 今から日本語教師を目指して準備している人(試験ルート)
- 養成課程で学んでいる人の中で試験受験が必要な人
受験者全体の構成が変わることで、今後の合格率は第1回・第2回とは異なる水準になる可能性があります。どのように変動するかは今後数回の試験で確認が必要です。
経過措置終了後に注意したい3つの点
1. 既存の合格率データを正確に読む
「過去の合格率62.6%・67.5%」という情報を見るとき、これが経過措置ルートを含む数字であることを押さえてください。今から受験する人にとってリアルな難易度を示す数字は、試験ルートのみの35.9%です。
2. 第3回以降の受験者層の変化を踏まえる
経過措置が終了したことで、今後の試験は「移行期の駆け込み」ではなく「制度として整理された後の受験者」が中心になります。どのような準備をした人たちが受験するかが変わるため、合格率のデータは今後数回の試験を経て変動していく可能性があります。
3. 参考書・アプリの情報が更新されているか確認する
制度移行期に作られた説明文や参考書の中には、「経過措置の申請が可能」という前提で書かれているものがあります。2026年4月以降に情報を参照する場合は、その情報の公表時期を確認してください。
まとめ
- 登録日本語教員の経過措置は2026年3月31日に終了した
- 経過措置は既存の日本語教師が基礎試験なしで応用試験のみで登録できる特例だった
- 第1回・第2回の全体合格率(62.6%・67.5%)はこの経過措置ルートを多数含んでいる
- 試験ルートだけの合格率は第1回8.7%・第2回35.9%と、全体合格率より大幅に低い
- 2026年4月以降は全員が試験ルートまたは養成課程ルートを経る必要がある
- 今後の合格率データは、移行期の影響がなくなった後の数字として読む必要がある
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試験の概要・日程・受験料・合格基準については、こちらの記事でまとめています。
▶ 登録日本語教員試験ガイド【2026年版】日程・出題範囲・合格基準
合格率の2つの数字(全体vs試験ルート)の違いについては、こちらの記事で詳しく説明しています。
▶ 登録日本語教員の基礎試験、合格率は2種類ある。62.6%と8.7%の違いを正確に説明します。
受験資格と登録のための条件については、こちらの記事も参考にしてください。

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