認知症対応型グループホームの収支差率|全国平均3.9%の内訳と改善策

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の収支差率は全国平均で3.9%(令和3年度・厚生労働省介護事業経営実態調査)です。入居型サービスのため24時間の人員配置が必要であり、他の介護事業と比べて人件費比率が高くなる構造です。収支を改善するには2ユニット以上への規模化と加算の取得、そして入居率の安定維持が重要です。

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収支差率の全国平均データ(令和3年度)

厚生労働省が実施する「介護事業経営実態調査」(令和3年度)の認知症対応型共同生活介護のデータです。

指標 全国平均(令和3年度)
収支差率 3.9%
介護報酬収入(1事業所・年額) 約3,980万円
総費用(1事業所・年額) 約3,825万円
収支差額(1事業所・年額) 約155万円
人件費比率 約66〜68%

出典:厚生労働省「令和3年度介護事業経営実態調査」

月あたりの収支差額は約13万円です。1事業所(1〜2ユニット)の利益としては決して大きくありませんが、事業を継続することで建物の減価償却・設備更新・職員の賞与・将来への積立を行う原資になります。

主な介護事業との収支差率比較

同じく令和3年度のデータで、他の介護事業と比較します。

サービス種類 収支差率(令和3年度)
訪問介護 6.4%
通所介護 5.9%
居宅介護支援(ケアマネ) 2.6%
認知症対応型共同生活介護(GH) 3.9%
特別養護老人ホーム(特養) 2.3%
介護老人保健施設(老健) 2.1%

グループホームの3.9%は、訪問介護・通所介護よりは低いものの、施設系(特養・老健)よりは高い水準です。ただしこの数値は「平均」であり、黒字事業所と赤字事業所の合計です。入居率が低い事業所では赤字が常態化するリスクがある一方、安定した入居率を維持できている事業所では10%超の収支差率になることもあります。

収支差率が低い構造的な理由

理由1:24時間・365日の人員配置

グループホームは入居型のため、夜間も含めた24時間の人員配置が必要です。夜勤・早朝・深夜帯のシフトを賄うために、通所系サービスより多くの職員が必要です。人件費比率が66〜68%と高くなる主因です。

理由2:1ユニット9人という小規模

管理者・計画作成担当者の人件費は1ユニットでも2ユニットでも変わりません。1ユニット9人では固定費を少人数で負担するため、一人あたりのコストが高くなります。

理由3:空床リスク

退去から次の入居者が決まるまでの空床期間は収入がゼロになります。訪問・通所系サービスは利用者数の増減があっても即座にゼロにはなりませんが、グループホームは入居者が1人退去すれば即座にその分の収入が消えます。

収支差率を改善する3つの対策

1. 2ユニット以上への規模化

管理者・計画作成担当者の固定費を2ユニット(18人)で分担することで、一人あたりのコストが約半減します。建物取得コストは増えますが、長期的な収益性は大幅に改善します。厚生労働省のデータでも、ユニット数が多い事業所の方が収支差率が高い傾向があります。

2. 加算取得の最大化

認知症加算(Ⅰ)(Ⅱ)・看取り介護加算・夜間支援体制加算・サービス提供体制強化加算等を積み上げることで、基本報酬に上乗せした収入が得られます。全加算を算定できれば、基本報酬に対して10〜15%程度の収入増になるケースもあります。

3. 入居率の安定維持(95〜100%)

空床を最小化するために、地域のケアマネジャー・地域包括支援センター・病院相談員(MSW)との日常的な関係構築が重要です。退去が発生した際に「すぐに次の方を紹介してもらえる」状態を作ることが、収支安定の最大の要因になります。

令和6年度改定後の収支差率への影響

令和3年度のデータは2024年度改定前のものです。2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では認知症対応型共同生活介護の基本報酬が引き上げられました。その結果、令和3年度の3.9%から若干改善していると見込まれますが、同時に物価上昇・賃金上昇によるコスト増も発生しています。最新の収支差率は令和6年度実態調査(2024〜2025年実施予定)が公表されるまで確定しません。

事業計画では令和3年度の3.9%を参考数値として、自事業所の実態に合わせた収支試算を行ってください。

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認知症対応型グループホーム以外の福祉・介護事業の収支情報は、福祉事業者向けツール一覧にまとめています。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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