生活介護の個人情報保護、研修で教えることを整理する。

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生活介護の事業所では、利用者の障害の状態・医療情報・家庭環境など、非常に繊細な個人情報を日常的に扱います。
職員一人ひとりが守秘義務を理解していないと、意図しない情報漏えいが起きることがあります。

この記事では、生活介護の個人情報保護・守秘義務について研修で教えることを整理します。

根拠条文は省令第93条で準用される第37条です

生活介護の守秘義務については、指定障害福祉サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)の第93条の準用規定により、第37条が適用されます。

第37条の規定内容(準用)

「指定居宅介護事業者の従業者及び管理者は、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らしてはならない。」
「指定居宅介護事業者は、従業者及び管理者であった者が、正当な理由がなく、その業務上知り得た利用者又はその家族の秘密を漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない。」

(省令第37条・生活介護へは第93条の準用規定により適用)

重要なのは、守秘義務は在職中だけでなく、退職後も続くという点です。

個人情報保護法との関係

生活介護事業所は、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)の対象にもなります。
省令の守秘義務と合わせて、個人情報保護法の理解も必要です。

個人情報保護法では、個人情報を取り扱う際には次のことが求められます。

  • 利用目的をあらかじめ特定し、その範囲内でのみ使用する
  • 本人の同意なく第三者に提供しない(一部例外あり)
  • 安全管理措置をとる(不正アクセス防止・紛失・漏えい防止)
  • 本人から開示・訂正・削除を求められた場合に対応する

厚生労働省は「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(平成29年4月、令和4年3月改正)を公表しており、生活介護でも参考にできます。

生活介護で扱う個人情報の範囲

生活介護の現場では、次のような情報が個人情報に該当します。

利用者本人の情報

  • 氏名・住所・生年月日・性別
  • 障害の種類・程度・障害支援区分
  • 医療情報(既往歴・服薬内容・主治医・診断名)
  • 日常生活の状況(ADL・コミュニケーション能力・行動特性)
  • 個別支援計画の内容
  • 支援の記録(日報・支援経過記録)

家族・保護者の情報

  • 氏名・住所・連絡先
  • 家族関係・家庭環境
  • 経済的な状況(負担軽減の申請状況など)

これらの情報は、支援に必要な範囲でのみ使用します。

情報漏えいが起きやすい場面

生活介護の現場で実際に情報漏えいが起きやすい場面として、次のものが挙げられます。

日常の会話での漏えい

  • 休憩中に利用者の話を大声でする(他の人に聞こえる)
  • 家族への電話対応を他の利用者の前でする
  • 廊下・エレベーターで支援の内容を話す

書類・記録の管理ミス

  • 個人情報が入ったファイルを鍵のかからない場所に置く
  • 印刷した書類を適切に廃棄しない(シュレッダーを使わない)
  • USBメモリ等の電子媒体を紛失する

SNS・インターネットでの漏えい

  • 利用者の様子を写真に撮ってSNSに投稿する
  • 「今日こんな利用者がいた」という書き込み(名前がなくても特定できる場合がある)
  • 業務用パソコンで個人のメールやSNSを使う

研修で伝えるべき内容

個人情報保護の研修では、次のことを伝えます。

1. 守秘義務の範囲

  • どんな情報が対象か
  • 退職後も義務が続くこと
  • 違反した場合のリスク(刑事罰・損害賠償・資格取消など)

2. 情報を外部に出してよい場合と悪い場合

  • 本人・家族の同意がある場合は原則OK
  • 他事業所・医療機関との連携:支援に必要な範囲でOK(事前に同意を取ることが基本)
  • 行政機関への報告:法令に基づく場合はOK
  • 他の職員・友人への不用意な話:NG

3. SNSの使い方

  • 利用者の写真を無断で撮影・投稿しない
  • 利用者を特定できる情報(「今日支援した人が」「Xさんが」など)を書かない
  • 事業所名・利用者に関わる内容のSNS投稿は、どんなに匿名でも漏えいになりうる

4. 書類・記録の取り扱い

  • 支援記録は鍵のかかる場所に保管する
  • 使用しない書類はシュレッダーにかける(ゴミ箱に捨てない)
  • 電子データはパスワードを設定する

5. 漏えいが起きた(起きそうな)ときの報告

  • 気づいたらすぐに管理者に報告する
  • 隠したり、自分で判断して対応しない

個人情報の利用目的の明示

利用者と契約を結ぶ際には、事業所として取得する個人情報の利用目的を文書で示します(重要事項説明書・契約書に含めることが多いです)。

「個人情報をどのような目的で使うか」を伝えておくことで、後のトラブルを防ぎます。

また、医療機関や相談支援専門員と情報を共有する際は、事前に本人・家族の同意を得ることが原則です(緊急の場合は事後でも可)。

退職する職員への対応

省令に「従業者及び管理者であった者が漏らすことがないよう、必要な措置を講じなければならない」と定められているため、退職する職員に対しても対応が必要です。

退職時には次のことを行います。

  • 退職後も守秘義務が続くことを口頭および書面で確認する
  • 誓約書への署名を求める(任意ですが、トラブル防止に有効)
  • 業務上作成・取得した書類・電子データを返却・消去してもらう

まとめ

  • 生活介護の守秘義務は省令第93条で準用される第37条が根拠
  • 守秘義務は退職後も続く
  • 個人情報保護法も合わせて理解が必要
  • 情報漏えいが起きやすい場面(日常会話・書類管理・SNS)を研修で具体的に扱う
  • 漏えいが起きたときは迷わず管理者に報告することを職員に伝える
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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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