居宅介護支援事業所の設備基準|事務室・相談室・鍵付き書庫の3点を解説

居宅介護支援事業所の設備基準は「事務室・相談室・鍵付き書庫」の3点が必置です。福祉系サービスの中で最もシンプルな設備要件で、初期投資を抑えて開業できます。ただし相談室は「プライバシーが確保できる構造」が必要であり、パーティションの設置や物件の間取りが要件を満たしているかの確認が指定申請前の重要な確認事項です。

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設備基準の一覧(指定居宅介護支援)

必置設備 基準の概要 実態(よく使われる対応)
事務室 事業の運営に支障がない広さ。専用室でなくても可(他のサービスと明確に区分けされていること) マンションの一室・テナントオフィスが多い。広さは10〜20m²程度
相談室 利用者・家族のプライバシーが確保できる構造(扉の内側や衝立・パーティションで区切る) パーティション(高さ1.8m以上)で事務室内に相談スペースを作るのが一般的
鍵のかかる書庫 個人情報(ケアプラン・アセスメント等)を保管するための施錠可能な収納 金属製スチールキャビネット(鍵付き)が最もよく使われる

出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準」

車両・調理設備・特殊機器等は一切要件に含まれません。介護保険サービスの中で設備要件が最もシンプルなサービスのひとつです。

事務室の要件と注意点

広さの基準

事務室に最低何平方メートルが必要という具体的な数字は法令に定められていません。「事業の運営に支障がない広さ」という基準です。実態として、ケアマネ2人分の机・PC・書庫・来客スペースを確保できる20〜30m²程度のオフィスが多いです。

自宅の一室は使える?

自宅の一室を事務所として使用することは可能ですが、次の点を都道府県(市区町村)に事前確認してください。

  • 他のサービス事業所と明確に区分されていること(他の訪問介護等を運営している場合)
  • 相談室のプライバシー確保要件を満たす間取りであること
  • 自治体によっては「専用の入口が必要」「住居と完全分離が必要」等の付加要件を設けている場合がある

他の介護事業所と共用できる?

同一法人が訪問介護・通所介護等も運営している場合、事務室の一部を共用することができます。ただし事業ごとに独立した帳票管理が必要であり、書庫(個人情報保管)はサービスごとに分ける必要があります。

相談室のプライバシー確保要件

相談室は利用者や家族がケアプラン・介護に関する相談をプライベートに行うための空間です。次の基準が目安です。

  • 完全個室でなくてもよい:パーティション(衝立)による区切りが多くの自治体で認められています
  • パーティションの高さ:1.8m以上が目安(立った状態で視線が遮られる高さ)
  • 防音性:法的な明記はないが、外部から会話が丸聞こえにならない配慮が求められます。ドア付きの個室が理想的です

具体的な基準は都道府県(政令市等)によって異なります。指定申請前に事前相談を行い、担当者に間取り図を提示して確認してもらうと安全です。

鍵のかかる書庫の要件

ケアプラン・アセスメント票・サービス担当者会議の記録・利用者の個人情報(住所・家族構成・健康状態等)を保管するための書庫が必要です。

  • スチールキャビネット(鍵付き):最も一般的。A4書類が入る縦型引き出し式が使いやすい
  • サイズ:ケアマネ1人35件の場合、A4ファイル35冊以上が入るサイズが必要
  • 費用目安:ホームセンター・オフィス家具店で2万〜8万円程度

紙書類だけでなく、電子記録(PC)についても不正アクセス防止が求められます。PCへのパスワード設定・ログイン管理も個人情報保護体制の一環として整備が必要です。

必須ではないが実務上必要な設備

法令上の設備基準には含まれませんが、開業後の業務に不可欠な設備です。

設備 用途 費用目安
PC・ノートPC ケアプラン作成・請求ソフト使用 8万〜20万円/台
プリンタ(複合機) ケアプランの印刷・コピー 3万〜10万円(リースも可)
シュレッダー 個人情報の廃棄(マスト) 1万〜5万円
FAX・電話 医療機関・他事業所との連絡 2万〜5万円
介護ソフト(請求ソフト) 介護報酬の国保連請求 月額2,000〜10,000円のサブスク型が多い

開業後の業務効率を考えると、介護ソフト(請求ソフト)は早めに選定して慣れることが重要です。国保連への伝送請求が月10日締めのため、慣れていないと業務が止まります。

設備基準の確認は事前相談で

設備基準の解釈は都道府県(政令市等)によって異なります。開業前に次のプロセスを踏むことを推奨します。

  1. 物件候補が決まったら間取り図を持参し、指定権者(都道府県・政令市等)の介護保険担当課に事前相談
  2. 相談室のパーティション設置方法・書庫の仕様について確認
  3. 内装工事前に確認することで、指定申請後の手直しを避けられる

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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