小規模多機能型居宅介護の収支差率は全国平均で約1.9%(令和3年度・厚生労働省介護事業経営実態調査)です。月額制による安定収入がある一方、通い・宿泊・訪問すべてに対応するための夜勤体制が必要で人件費比率が70%超と高く、他の介護サービスと比べて収支差率が低い傾向があります。加算の積み上げと登録者数の最大化が黒字化の最優先課題です。
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収支差率の全国平均データ(令和3年度)
厚生労働省の「介護事業経営実態調査」(令和3年度)の小規模多機能型居宅介護のデータです。
| 指標 | 全国平均(令和3年度) |
|---|---|
| 収支差率 | 1.9% |
| 介護報酬収入(1事業所・年額) | 約4,560万円 |
| 総費用(1事業所・年額) | 約4,474万円 |
| 収支差額(1事業所・年額) | 約86万円 |
| 人件費比率 | 約70〜72% |
出典:厚生労働省「令和3年度介護事業経営実態調査」
月あたりの収支差額は約7万円です。介護サービス事業の中でもとくに収支差率が低い部類に入ります。開業前に収支計画を入念に立て、加算取得で収入を上積みすることが重要です。
主な介護事業との収支差率比較
| サービス種類 | 収支差率(令和3年度) |
|---|---|
| 訪問介護 | 6.4% |
| 通所介護 | 5.9% |
| 居宅介護支援(ケアマネ) | 2.6% |
| 小規模多機能型居宅介護 | 1.9% |
| 認知症対応型共同生活介護(GH) | 3.9% |
| 特別養護老人ホーム(特養) | 2.3% |
小規模多機能は主な介護事業の中で最低水準の収支差率です。
収支差率が低い構造的な理由
理由1:月額制のため利用回数が多くても収入が変わらない
小規模多機能は訪問・通い・宿泊をいくら使っても月の報酬が一定です。利用者が毎日通い・週3日宿泊・毎朝訪問を利用しても、月に1回しか通わない利用者と同じ報酬しか得られません。
利用頻度が高い利用者ほど実際のコスト(職員の対応時間・送迎費等)が増えますが、収入は変わらないため、利用頻度の高い利用者比率が上がると収益性が悪化します。
理由2:夜勤体制が必要で人件費が高い
宿泊サービスを提供するため夜勤者の確保が必要で、実質的に入居型サービスに近い人件費がかかります。通所系サービスより人員が多く必要なため、人件費比率が70%超と高くなります。
理由3:登録定員が29人と小規模
管理者・看護師・計画作成担当者等の固定的な人件費を29人以下の登録者の収入で賄う構造です。グループホームと同様に、小規模ゆえに規模の経済が効きにくい面があります。
収支差率を改善するための主な手段
1. 登録者数を定員いっぱいに維持する(29人)
固定費はほぼ変わらないため、登録者数を最大化するほど一人あたりの固定費負担が下がります。全国平均の登録充足率は69.8%(令和3年度、約20人)ですが、29人に近づけることが最重要です。
2. 収入上乗せになる加算を積み上げる
看護職員配置加算(Ⅰ)(12,000単位/月)・認知症加算(Ⅰ)(900単位/月・人)・サービス提供体制強化加算(Ⅰ)(1,000単位/月・人)等を取得することで、基本報酬に10〜15%程度の収入上乗せが可能です。加算取得で収支差率を1.9%から3〜5%に改善できるケースもあります。
3. 利用頻度の管理
月額制の中でも「利用頻度が低い利用者(通いのみ月5〜10日程度)」と「利用頻度が高い利用者(通い+宿泊+訪問フル活用)」を組み合わせることで、実質的な職員対応コストを平準化する方法があります。
令和6年度改定後の見通し
2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では小規模多機能型居宅介護の基本報酬が引き上げられました。令和3年度の1.9%という収支差率は改定前のデータであり、現在はやや改善しているとみられますが、物価・人件費の上昇によるコスト増も同時に発生しています。最新の収支差率は令和6年度実態調査(2024〜2025年実施予定)が公表されるまで確定しません。
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