共同生活援助(グループホーム)の介護サービス包括型の令和6年度決算では、定員7人以下の事業所の収支差率は-2.2%(98事業所)と、マイナスでした。定員8人以上では、いずれの区分もプラスで、21人以上は10.1%です。法人の種類でも、営利法人が2.3%(119事業所)と、社会福祉法人の8.5%(142事業所)やNPO法人の8.7%より低くなっています。この記事では、厚生労働省の令和7年経営概況調査の数字から、規模別・法人の種類別の違いを確認します。ただし、日中サービス支援型では傾向が違い、事業所数が少ない区分も多いため、数字は慎重に読む必要があります。
グループホームの収支差率は、全体でどのくらいですか
令和6年度決算では、介護サービス包括型の表の平均が6.9%(341事業所)、事業所ごとの中央値が5.3%、赤字の事業所の割合が39.0%です。日中サービス支援型は、表の平均が5.1%(236事業所)、中央値が5.9%、赤字の割合が42.8%です。
| サービス | 事業所数 | 表の平均 | 事業所ごとの中央値 | 赤字の事業所の割合 |
|---|---|---|---|---|
| 共同生活援助(介護サービス包括型) | 341 | 6.9% | 5.3% | 39.0% |
| 共同生活援助(日中サービス支援型) | 236 | 5.1% | 5.9% | 42.8% |
令和6年度決算。資料4・資料5。
どちらのサービスも、中央値と表の平均の差は、放課後等デイサービスほど大きくありません。平均と中央値の違いについては、放課後等デイサービスの記事で詳しく取り上げています。
介護サービス包括型は、定員によって、収支差率が変わりますか
変わります。令和6年度決算では、定員が小さい区分は、収支差率が低い、またはマイナスになっています。定員4人以下は-3.0%、5人は-5.5%、6人は2.9%、7人は-7.5%と、区分によってばらつきがあり、8人以上では、すべての区分がプラスです。
| 定員 | 事業所数 | 収支差率 | 給与費の割合 | 定員1人あたりの収入(年) |
|---|---|---|---|---|
| 4人以下 | 26※ | -3.0% | 63.6% | 310.1万円 |
| 5人 | 13※ | -5.5% | 71.2% | 286.9万円 |
| 6人 | 36 | 2.9% | 68.0% | 257.2万円 |
| 7人 | 23※ | -7.5% | 68.0% | 232.1万円 |
| 8〜10人 | 43 | 6.1% | 58.8% | 250.6万円 |
| 11〜13人 | 43 | 7.5% | 58.9% | 274.4万円 |
| 14〜16人 | 39 | 5.8% | 62.9% | 262.0万円 |
| 17〜20人 | 51 | 4.6% | 64.2% | 218.7万円 |
| 21〜30人 | 36 | 9.5% | 60.5% | 218.2万円 |
| 31人以上 | 31 | 10.4% | 60.0% | 265.5万円 |
介護サービス包括型・令和6年度決算。定員は、事業所全体の定員です。資料5(第47表)。
10の区分は、事業所数が少ないところもあります。定員5人(13事業所)と7人(23事業所)の区分は、1つの事業所の数字で、平均が動きやすい区分です。そこで、区分をまとめ直して見ます。
| 定員(まとめ) | 事業所数 | 収支差率 | 給与費の割合 | 定員1人あたりの収入(年) |
|---|---|---|---|---|
| 7人以下 | 98 | -2.2% | 67.5% | 260.0万円 |
| 8〜10人 | 43 | 6.1% | 58.8% | 257.8万円 |
| 11〜16人 | 82 | 6.6% | 61.0% | 266.4万円 |
| 17〜20人 | 51 | 4.6% | 64.2% | 220.5万円 |
| 21人以上 | 67 | 10.1% | 60.2% | 246.2万円 |
上の10区分を、事業所数で重みをつけて、当方でまとめ直した数字です(収支差の合計÷収入の合計)。原典の数字そのものではありません。
7人以下をまとめると、98事業所で収支差率は-2.2%、給与費の割合は67.5%です。8人以上の区分(8〜10人、11〜16人、17〜20人、21人以上)は、給与費の割合が58.8%〜64.2%で、7人以下より低く、収支差率はプラスです。21人以上(67事業所)は、収支差率が10.1%と最も高くなっています。
ただし、定員が小さい事業所で、なぜ給与費の割合が高くなるのか(職員の配置の考え方、入居者の状態など)は、この調査の表からは分かりません。この記事では、原因を断定しません。
法人の種類によって、収支差率は違いますか
介護サービス包括型では、営利法人が最も低くなっています。社会福祉法人(社協を含む)が8.5%、NPO法人が8.7%、営利法人が2.3%です。その他の法人は13.2%と最も高いのですが、24事業所と少ない区分です。
| 経営主体 | 事業所数 | 構成比 | 収入(年) | 収支差率 | 給与費の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社会福祉法人(社協を含む) | 142 | 41.6% | 5,235.9万円 | 8.5% | 63.9% |
| 営利法人 | 119 | 34.9% | 3,470.1万円 | 2.3% | 58.7% |
| NPO法人 | 56 | 16.4% | 2,484.3万円 | 8.7% | 59.2% |
| その他 | 24※ | 7.0% | 2,711.1万円 | 13.2% | 60.0% |
| 全体 | 341 | 100.0% | 3,990.1万円 | 6.9% | 61.7% |
介護サービス包括型・令和6年度決算・1事業所あたり・1年間。事業所数が30未満の区分には※。資料5(第46表・第17表)。
これは、放課後等デイサービスや児童発達支援とは、逆の傾向です(両サービスでは、営利法人のほうが、社会福祉法人より高くなっています)。「営利法人は収支差率が高い」といった一般論は、サービスによって、当てはまらないことがあります。
費用の割合を見ると、営利法人は、給与費の割合が最も低い(58.7%)のに、その他の費用の割合が最も高く(35.0%、社会福祉法人は20.9%、NPO法人は27.1%)、収支差率は最も低くなっています。給与費の割合の、法人の種類による差は、放課後等デイサービス(17.8ポイント)ほど大きくなく、5.2ポイントです。
| 経営主体 | 給与費 | 減価償却費 | 委託費 | その他の費用 | 収支差率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社会福祉法人(社協を含む) | 63.9% | 4.5% | 2.2% | 20.9% | 8.5% |
| 営利法人 | 58.7% | 2.6% | 1.3% | 35.0% | 2.3% |
| NPO法人 | 59.2% | 3.2% | 1.9% | 27.1% | 8.7% |
| その他 | 60.0% | 2.6% | 1.3% | 22.9% | 13.2% |
介護サービス包括型・令和6年度決算。収入を100%としたときの割合。その他は、事業所数が24と少ない区分です。「その他の費用」は、給与費・減価償却費・委託費以外のすべての費用の残りで、当方の計算です。
その他の費用には、事業費・事務費(家賃・光熱費・食材費など)・借入金利息・本部への繰入金などが含まれるとされますが、内訳は、この表からは分かりません。
架空の事業所で、実際に当てはめてみると、どうなりますか
事業所全体の定員が12人の、介護サービス包括型のグループホーム(営利法人)が、年間の収入3,900万円、給与費2,300万円、減価償却費140万円、委託費70万円、その他の費用1,000万円だったとします(実在の事業所ではありません)。支出は3,510万円で、収支差は390万円、収支差率は10.0%です。
| 自社(架空) | 全体 | 営利法人 | 定員11〜16人(まとめ) | |
|---|---|---|---|---|
| 収支差率 | 10.0% | 6.9% | 2.3% | 6.6% |
| 給与費の割合 | 59.0% | 61.7% | 58.7% | 61.0% |
自社は架空の例。全国の数字は令和6年度決算(資料5)。定員11〜16人は、当方でまとめ直した数字です。
この事業所の収支差率は、全体の平均(6.9%)、営利法人の平均(2.3%)、定員が近い区分(11〜16人)の数字(6.6%)のいずれと比べても、高い水準です。特に、営利法人の平均との差は、7.7ポイントと大きくなります。全体の数字だけを見るよりも、法人の種類の数字と並べたほうが、差が大きく見えるのは、営利法人の平均が、全体より低いためです。
給与費の割合(59.0%)は、全体(61.7%)や、定員が近い区分(61.0%)より低くなっています。給与費の割合が低い理由が、給与水準なのか、職員数なのか、収入の高さなのかは、別に確認する必要があります。
日中サービス支援型では、どうですか
日中サービス支援型は、傾向が違います。社会福祉法人が3.6%(84事業所)、営利法人が3.9%(124事業所)で、ほぼ同じです。NPO法人(16事業所)とその他(12事業所)は、事業所数が少なく、その他は33.8%と極端な数字です。
| 経営主体 | 事業所数 | 構成比 | 収入(年) | 収支差率 | 給与費の割合 |
|---|---|---|---|---|---|
| 社会福祉法人(社協を含む) | 84 | 35.6% | 7,093.9万円 | 3.6% | 70.2% |
| 営利法人 | 124 | 52.5% | 5,031.9万円 | 3.9% | 64.5% |
| NPO法人 | 16※ | 6.8% | 5,789.5万円 | 6.1% | 66.4% |
| その他 | 12※ | 5.1% | 4,754.3万円 | 33.8% | 41.3% |
| 全体 | 236 | 100.0% | 5,803.0万円 | 5.1% | 66.1% |
日中サービス支援型・令和6年度決算。資料5(第49表・第18表)。
| 定員 | 事業所数 | 収支差率 | 給与費の割合 |
|---|---|---|---|
| 4人以下 | 3※ | -15.5% | 85.7% |
| 5人 | 7※ | -4.9% | 67.4% |
| 6人 | 11※ | -3.3% | 75.6% |
| 7人 | 18※ | 6.3% | 68.7% |
| 8〜10人 | 67 | 3.5% | 67.9% |
| 11〜13人 | 9※ | -0.1% | 71.9% |
| 14〜16人 | 21※ | 7.4% | 68.4% |
| 17〜20人 | 79 | 7.9% | 62.7% |
| 21〜30人 | 13※ | 4.5% | 64.2% |
| 31人以上 | 8※ | -0.5% | 72.4% |
日中サービス支援型・令和6年度決算。資料5(第50表)。事業所数が30未満の区分には※。
定員別の数字も、事業所数が少ない区分が多くあります(定員4人以下は3事業所、5人は7事業所など)。事業所数が30以上ある区分は、定員8〜10人(67事業所・3.5%)と、17〜20人(79事業所・7.9%)です。日中サービス支援型の定員別の数字は、参考程度にとどめてください。
グループホームの「定員」は、何を表していますか
この調査の「定員」は、事業所全体の定員です。グループホームの事業所は、複数の住居(ユニット)を運営していることがあり、その場合は、すべての住居の定員を合わせた数字になると考えられます。1つの住居の定員とは、別の数字です。自分の事業所の数字を、この表の区分に当てはめるときは、事業所全体の定員で、区分を選んでください。
自社のグループホームを、表のどこに当てはめればいいですか
- まず、サービスの種類です。介護サービス包括型と、日中サービス支援型は、別のサービスとして集計されています。
- 次に、規模です。事業所全体の定員(すべての住居の合計)で、区分を選びます。
- 法人の種類の欄を見ます。ただし、事業所数が30未満の区分は、参考値です。
- 差が大きい項目(給与費の割合、定員1人あたりの収入など)は、自社の帳簿で、中身を確認します。
グループホームの数字は、介護サービス包括型・日中サービス支援型のどちらも、無料のツールで比べられます。
決算の数字(収入・人件費・減価償却費・委託費・その他の費用)を入れると、回答事業所の中での位置を、分布のグラフで見られます。経営主体・定員別の平均との比較は、Pro版で見られます。入力した内容は、お使いの端末の中にだけ保存され、外部には送信されません。Pro版(9,800円・買い切り)もあります。経営の良し悪しの判定や、融資・指定の保証はしません。
最後に、この記事の数字を使うときの注意点を整理します
- 標本調査です。介護サービス包括型は750事業所を調査し、341事業所が回答(有効回答率45.5%)、日中サービス支援型は590事業所を調査し、236事業所が回答しました(有効回答率40.0%)(資料4)。
- 事業所数が少ない区分があります。特に日中サービス支援型の定員別・法人の種類別は、参考程度にしてください。
- 区分別の中央値は、原典に載っていません。区分ごとの数字は、「収支差の平均÷収入の平均」です。
- 小規模な区分で、収支差率が低い、または給与費の割合が高い理由は、この表から分かりません。定員・法人の種類・地域・開設からの期間・入居者の状態などが、混ざっています。
- 同じ事業所が定員を増やしたときの変化を追った調査ではないため、「定員を増やせば収支差率が上がる」とは、いえません。
- 収支差率は、経営の良し悪しを決める数字ではありません。
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- 放課後等デイサービスの開業資金はいくら必要か。(開業前の方向け)
出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算・令和5年度決算。第48回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料5)および同「結果の概要」(資料4)(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_66260.html)(2026年9月24日閲覧)。この記事の数字のうち、収支差率の分布(階級ごとの事業所数)は、資料のグラフの棒の高さから事業所数を復元して整理したものです。復元した事業所数の合計は、各サービス・各年度で調査の事業所数と一致し、赤字の事業所の割合も、資料4の公表値と一致することを確認しています。また、表の数字から求めた割合や差(費目の率、1人あたりの額など)は、当方の計算です。これらは、厚生労働省が公表した数値そのものではなく、厚生労働省が作成したものでもありません。制度や調査結果は更新されるため、最新の公表資料をご確認ください。作成:ふふ(fufumumu_design)/基準日:2026年9月24日


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