「ITパスポートに、生成AIの問題が増えるらしい」
この話を聞いて、「生成AIパスポート」という、似た名前の資格を思い浮かべた方もいるかもしれません。実際、検索のしかたを見てみると、この2つを一緒に調べている方がいるようです。
結論から言うと、この2つは別の資格です。ただ、2027年からITパスポートの出題範囲に生成AI関連の内容が加わることで、これまで以上に「何が違うの?」と感じやすくなっているのも事実です。この記事では、それぞれの公式サイトを直接確認したうえで、違いを整理します。
目次
- 結論:別の資格です
- なぜ紛らわしくなったのか
- そもそも何が違うのか
- 数字で比較します
- 受け方も違います(CBTとIBT)
- 出題範囲は、どこまで重なっているのか
- 結局、どちらを受ければいいのか
- 両方受ける、という選択肢もあります
- よくある疑問に答えます
- まとめ
結論:別の資格です
先に結論をお伝えします。ITパスポートと生成AIパスポートは、主催している団体も、資格の性格も異なる、別々の試験です。
ITパスポートは、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が実施する国家資格で、IT全般の基礎知識を幅広く問う試験です。一方の生成AIパスポートは、一般社団法人生成AI活用普及協会(GUGA)が実施する民間資格で、生成AIの基礎知識やリスク、活用方法に範囲を絞った試験です。
名前に「パスポート」という言葉が共通しているだけで、運営元も、試験の狙いも、そもそも別物だと考えていただいて大丈夫です。
なぜ紛らわしくなったのか
この2つは、以前からたまたま名前が似ているだけの資格でした。ただ、2026年8月31日にIPAが公表したITパスポートの新シラバス案(Ver.0.1)を見ると、これまで以上に紛らわしく感じられる理由がはっきりします。
新しいシラバス案では、「データ・AIの利活用」という大分類が新設され、AI利活用・AI技術・情報倫理やAI倫理といった項目に、プロンプトエンジニアリングやハルシネーション、AI倫理といった生成AI関連の用語が数多く盛り込まれています(用語の詳細は、以前の記事「ITパスポート2027新試験、シラバス案が公表されました」で一覧にしています)。
つまり、これまでは「ITパスポート=IT全般」「生成AIパスポート=生成AIに特化」と、話題がほとんど重ならなかったのに対して、2027年からはITパスポートの出題範囲の一部が、生成AIパスポートの守備範囲と部分的に重なってくる、という状況になります。これが、紛らわしさの正体です。
なお、生成AIパスポートを運営するGUGAの公式サイトを確認したところ、ITパスポートとの違いについて特に説明はありませんでした。この2つを並べて比較する情報は、まだそれほど多くないようです。すでに両者を比較する記事を出しているサイトもありますが、確認できた範囲では、今回のITパスポート側の改訂(2026年8月31日公表)に触れているものは見当たりませんでした。改訂後の視点であらためて整理する意味は、まだ十分にあると考えています。
そもそも何が違うのか
用語が重なる部分があるとはいえ、資格としての性格はまったく異なります。大きな違いは、次の3点です。
① 国家資格か、民間資格か
ITパスポートは、経済産業省とデジタル庁が所管するIPAが実施する国家資格です。生成AIパスポートは、GUGAという民間団体が認定する民間資格です。就職・転職の場面で「国家資格」という肩書きが意味を持つ場面があるなら、この違いは無視できません。
② 範囲の広さ
ITパスポートは、経営戦略からネットワーク、セキュリティまで、IT全般を幅広くカバーする試験です。生成AIパスポートは、生成AIというテーマ1つに絞り込んだ試験です。「浅く広く」か「1テーマを深く」かという違いがあります。
③ 想定している対象者
ITパスポートは、社会人・学生を問わず、ITの基礎教養を証明したい方が対象です。生成AIパスポートは、業務で生成AIを使う機会がある方が、リスクや注意点まで含めて正しく理解しているかを確かめる試験、という性格が強いです。
数字で比較します
それぞれの公式サイトで確認できた数字を、表に整理しました。
| 項目 | ITパスポート | 生成AIパスポート |
|---|---|---|
| 実施団体 | IPA(独立行政法人情報処理推進機構) | GUGA(一般社団法人生成AI活用普及協会) |
| 資格の区分 | 国家資格 | 民間資格 |
| 受験料 | 7,500円(税込) | 11,000円(税込・学生は5,500円) |
| 試験方式 | CBT方式(テストセンターで受験) | IBT方式(オンラインで受験) |
| 試験時間・問題数 | 120分・100問(四肢択一) | 60分・60問(1つまたは複数選択の形式を含む) |
| 出題範囲 | IT全般(経営戦略・マネジメント・テクノロジ、2027年からはAI利活用等も含む再編後の6分野) | 生成AIの基礎・動向・注意点・活用方法 |
| 直近の合格率 | 48.6%(令和7年度・応募307,266人/受験271,352人/合格132,012人) | 79.9%(2026年6月試験) |
合格率だけを見ると差が大きいですが、これは単純にどちらが簡単かという話ではなく、出題範囲の広さと、対象としている受験者層の違いが影響していると考えられます。数字はあくまで参考として捉えてください。
※上記の数値は、IPA公式サイト(試験情報・統計情報ページ)およびGUGA公式サイト(生成AIパスポート試験概要ページ)を、2026年9月に直接確認したものです。
受け方も違います(CBTとIBT)
意外と見落とされがちですが、実際に試験を受ける方法にも違いがあります。
ITパスポートは「CBT方式」で、全国にあるテストセンター(会場)に足を運んで、備え付けのパソコンで受験する形式です。会場と日時を予約して、当日は本人確認書類を持って会場に向かう必要がありますが、そのぶんほぼ毎日どこかの会場で試験が実施されており、都合の良い日を選びやすいという面があります。
生成AIパスポートは「IBT方式」で、自宅や職場など、インターネット環境さえあればどこでも受験できる形式です。会場に移動する手間はありません。ただし実施は2月・4月・6月・8月・10月の年5回に固定されているため、申込のタイミングを逃すと次の回まで2ヶ月ほど待つことになります。
つまり「場所を選ばない代わりに、受けられるタイミングは限られる」のが生成AIパスポート、「会場に行く必要はあるが、日程は選びやすい」のがITパスポート、という違いになります。どちらが受けやすいかは、一概にどちらとは言えず、ご自身の都合に合わせて確認しておくのが安心です。
出題範囲は、どこまで重なっているのか
「AIのことが出るなら、もうどちらも同じでは」と思われるかもしれませんが、実際に出題範囲を見比べると、重なっているのは一部だけだとわかります。
ITパスポートの新シラバス案でAI関連として挙げられているのは、プロンプトエンジニアリング・RAG・ハルシネーション・AI倫理・AIガバナンス・プロンプトインジェクションといった、生成AIを取り巻く用語や概念の理解です。これは、IT全般の知識の一部として、生成AIについても一定レベルの用語を知っておいてほしい、という位置づけです。
一方、生成AIパスポートは、AI・生成AIの基礎知識にとどまらず、実際に生成AIを業務で使う際の情報漏洩や著作権侵害といったリスク、社内でのガイドライン作りといった、より実践的な活用場面まで踏み込んで問われます。用語を知っているかどうかよりも、正しく使いこなせるかどうかに近い試験です。
たとえるなら、ITパスポートの新分野は「AIという言葉の意味と注意点を、社会人の教養として知っているか」を確認するもので、生成AIパスポートは「AIを実務で使うときに、事故を起こさないための実践知識を持っているか」を確認するもの、という違いに近いです。用語としては重なる部分があっても、問われている深さと角度は別物です。
問われ方のイメージも変わってきます。ITパスポートの新分野では、たとえば「ハルシネーションとはどのような現象か」「プロンプトインジェクションはどのような攻撃か」といった、用語の意味そのものを問う出題が中心になると考えられます。IPAが公開したサンプル問題(情報倫理・AI倫理分野)も、生成AIを利用する際に注意すべき点を選ばせる、知識確認型の問題でした。
一方、生成AIパスポートは、GUGAの公式サイトによると「4つの選択肢から、適切あるいは不適切な解答を1つ又は複数選ぶ」という形式で、単純な四肢択一よりも一歩踏み込んだ判断力が問われます。用語の意味を知っているだけでなく、具体的な業務シーンで「これは適切か、不適切か」を見極める力が求められる、実務寄りの試験だと考えられます。
結局、どちらを受ければいいのか
目的によって、選び方は変わってきます。
ITパスポートが向いている方
これからIT業界を目指す方、新卒・第二新卒でIT分野の基礎教養を証明したい方、経営戦略やセキュリティ、AIまで含めてIT全般を体系的に学びたい方には、ITパスポートが向いています。国家資格という肩書きが評価されやすい場面も多くあります。
生成AIパスポートが向いている方
すでにIT全般の基礎はある程度身についていて、業務で生成AIを実際に使う機会がある方、社内で生成AIの活用ルールを作る立場にある方には、生成AIパスポートのほうが実務に直結しやすいです。
「AIについて何か勉強したい」という漠然とした動機であれば、まずはITパスポートで基礎教養として一通り触れておき、必要に応じて生成AIパスポートで深める、という順番が無理がないと感じます。
立場別にもう少し具体的に整理すると、次のようになります。
- 就活生・新社会人:面接や書類で「IT全般の基礎がある」ことを幅広く伝えたいなら、認知度の高いITパスポートのほうが伝わりやすいです。
- 営業職・企画職など、非エンジニアの社会人:日常的に生成AIツールを使うようになってきたなら、生成AIパスポートで正しい使い方とリスクを押さえておくと、実務での安心感につながります。
- 管理職・経営層:部下やチームに生成AIの利用ルールを示す立場であれば、生成AIパスポートの内容(情報漏洩や著作権侵害への注意点など)が直接役立ちます。
- これからIT・DX関連の仕事を目指す方:まずはITパスポートで土台を作り、2027年の新シラバスでAIの基礎にも触れておけば、そのまま生成AIパスポートへの橋渡しにもなります。
両方受ける、という選択肢もあります
この2つは出題範囲も試験の性格も異なるため、両方を受験しても内容が重複して無駄になる、ということはほとんどありません。むしろ、ITパスポートで得たIT全般の土台の上に、生成AIパスポートで生成AI特化の知識を積み重ねる、という組み合わせは相性が良いと考えられます。
受験料や勉強時間には限りがあるので、無理に両方を目指す必要はありませんが、「どちらか一方に絞らないといけない」というものでもない、ということは知っておいて損はありません。
よくある疑問に答えます
Q. ITパスポートに合格すれば、生成AIパスポートの内容も一通りわかるようになりますか?
A. 用語レベルでの理解は進みますが、生成AIパスポートで問われるような、実務でのリスク対応や活用ルールまでは、ITパスポートの出題範囲だけではカバーしきれません。あくまで「言葉に慣れる」段階だと考えておくのが安全です。
Q. 生成AIパスポートのほうが新しい試験ですか?
A. いいえ。生成AIパスポートは以前から実施されている民間資格です。今回話題になっているのは、国家資格であるITパスポートの出題範囲が2027年から見直され、その中に生成AI関連の内容が新たに加わる、という点です。生成AIパスポート自体が新設されるわけではありません。
Q. どちらのほうが履歴書で評価されますか?
A. 一般的には、国家資格であるITパスポートのほうが、幅広い業種・職種で認知されています。生成AIパスポートは民間資格ですが、生成AIの活用が業務に直結する職種であれば、実務能力の証明として評価されるケースもあると考えられます。応募先の業種や職種によって判断が分かれる部分です。
Q. 生成AIパスポートは、まだ新しい資格ですよね。信頼して受けて大丈夫でしょうか?
A. ITパスポート(2009年に現行の形で開始)と比べると歴史は浅いですが、生成AIパスポートも初回の試験から積み重ねがあり、GUGAの発表によると2026年6月試験の時点で累計受験者数が115,062名に達しています。決して実績のない資格ではありません。とはいえ、民間資格である以上、応募先や職場によって評価のされ方に差が出ることはあります。迷う場合は、先に採用担当者や上司に確認しておくと安心です。
まとめ
ITパスポートと生成AIパスポートは、名前は似ていますが、運営団体も出題範囲も異なる別々の資格です。
- ITパスポートはIPAが実施する国家資格、生成AIパスポートはGUGAが実施する民間資格です
- 2027年からITパスポートの出題範囲にAI・生成AI関連の内容が加わることで、以前より紛らわしく感じられやすくなっています
- ただし、出題範囲が重なっているのは一部だけで、問われている深さや角度は異なります
- 受験料はITパスポートが7,500円、生成AIパスポートが11,000円(学生5,500円)です
- 両方を受験しても内容が無駄に重複することはほとんどなく、組み合わせて受けることもできます
まずはご自身がどちらの目的に近いのかを整理したうえで、選んでいただければと思います。似た名前に惑わされて、本来受けたかったのとは違うほうの試験を申し込んでしまった、ということにならないよう、受験の申し込み前には、実施団体名(IPAかGUGAか)を一度確認しておくと安心です。
ITパスポートの新しい出題範囲については、こちらの記事でさらに詳しくまとめています。
▶ ITパスポートの公式サンプル問題+AI予想問題を解いてみる
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※この記事の受験料・合格率等の数値は、IPA公式サイトおよびGUGA公式サイトを2026年9月に確認した内容にもとづいています。ITパスポートの新シラバスはまだ「案」の段階であり、今後の改訂で内容が変わる可能性があります。最新情報は、必ず各実施団体の公式サイトでご確認ください。
※この記事とアプリは、IPA・GUGAいずれとも関係のない、非公式のものです。AIが生成した予想問題には、内容に誤りが含まれる場合があります。お気づきの点は、アプリ内の「誤り報告」からお知らせいただけると助かります。


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