ITパスポートの2027年新試験を受けようと思っている方へ。
前回の記事で、新しいシラバス案(Ver.0.1)の中身をお伝えしました。読んでみて、こう思った方もいるのではないでしょうか。「範囲は分かった。でも、過去問がないなら、何をどう勉強すればいいの?」
これは、とても自然な不安です。今までの試験勉強は、多かれ少なかれ「過去問を解く」ことが中心だったはずだからです。資格試験の情報を探すと、「まずは過去問を10年分」「過去問を3周すれば受かる」といったアドバイスがよく出てきます。それだけ、過去問が勉強の中心に置かれてきた、ということです。
この記事では、その不安に正面から向き合い、過去問がない状態で何を頼りに勉強を進めればいいのか、8つのチェックリストという形でお伝えします。特別なコツというより、地に足のついた、当たり前のことの積み重ねです。ですが、こういうときこそ、当たり前のことを一つずつ丁寧にやることが、いちばんの近道になります。
目次
- なぜ「過去問がない」と、こんなに不安になるのか
- 実は、これは新しい試験なら必ず通る道です
- 8つのチェックリスト
- AIが作った予想問題、信用していいの?
- よくある疑問に答えます
- 今日、最初にやること
- まとめ
なぜ「過去問がない」と、こんなに不安になるのか
資格試験の勉強といえば、過去問です。過去問には、次の3つの役割があります。
- 出題の「形式」に慣れることができる(どんな聞かれ方をするのか)
- 出題の「難易度」の感覚がつかめる(このレベルまで理解すればいいのか、という目安)
- 「解けた・解けなかった」という手応えで、自分の実力を測れる
この3つが一気に手に入らなくなるので、不安になるのは当たり前のことです。ただ、落ち着いて分解してみると、対処できる部分と、そうでない部分があります。「形式」と「難易度の感覚」は、後で紹介する方法で補えます。「解けた・解けなかったという手応え」だけは、本番までどうしても不確かな部分が残ります。ここは正直に、そういうものだと受け止めておくのが、いちばん気持ちが楽になります。
実は、これは新しい試験なら必ず通る道です
ここで一つ、お伝えしておきたいことがあります。今あなたが「過去問がない」と感じているITパスポートも、最初に実施されたときは、当然ながら過去問が一問もありませんでした。どんな試験も、生まれた瞬間は必ず「過去問ゼロ」の状態からスタートしています。
つまり、今回のあなたの状況は、特別に不利なのではなく、その試験を最初に受けるすべての人が経験することです。違うのは、今は生成AIという道具があり、過去問の代わりになる練習材料を、自分で作り出せるようになった、という点だけです。この記事のチェックリストは、その道具の使い方も含めた内容になっています。
もう一つ、気持ちを軽くする材料があります。新しい試験は、受ける人全員が同じ「過去問なし」の条件でスタートします。長年の過去問を解き込んだベテラン受験者が有利、という状況が生まれにくいということです。むしろ、シラバス案を早めに読み込み、公式サンプル問題やAIの予想問題で早めに手を動かした人ほど、相対的に前に出やすい時期だとも言えます。不安の裏側には、そういうチャンスの側面もあります。
8つのチェックリスト
① 公式シラバス案を、最初から最後まで一度読む
まず何よりも先に、これをやってください。丸暗記する必要はありません。目的は「どんな言葉が、どんな括りで出てくるのか」の地図を頭の中に作ることです。前回の記事でお伝えしたとおり、大きく6つの塊(ビジネス変革・データAI利活用・組織活動・デジタル技術・セキュリティ・倫理コンプライアンス)に分かれています。この地図があるだけで、後の勉強の効率がまったく変わります。
シラバス案には、中分類ごとに「用語例」というリストが並んでいます。ここを最初から覚えようとすると、量の多さに心が折れます。最初の一読では「覚える」のではなく「眺める」くらいの気持ちで十分です。二度目、三度目と読み返すたびに、見覚えのある言葉が増えていく感覚を楽しんでください。
② 公式サンプル問題を、必ず解く
IPAは、シラバス案とあわせてサンプル問題を4問公開しています。数は少ないですが、これは唯一の「本物」です。予想問題をいくら解いても、本物の出題形式を知らなければ的が外れます。まずこの4問で、実際の聞かれ方・選択肢の作り方の感覚をつかんでください。
4問のうち1問は、知識ではなく「マインド・スタンス」という行動の姿勢を問う問題でした。これまでのITパスポートに慣れている方ほど、こういう出題形式に最初は戸惑うかもしれません。だからこそ、後回しにせず早めに一度触れておくことをおすすめします。
③ 「土台の知識」と「新しい知識」を分けて考える
シラバス案を読むと分かりますが、SWOT分析やPDCA、TCP/IPやデータベースの正規化といった、これまでのITパスポートにもあった知識は、そのまま残っています。ここは、今までの参考書や学習サイトが、そのまま役に立ちます。範囲が変わったからといって、すべてを新しく勉強し直す必要はありません。「今までの知識で足りる部分」と「新しく足す部分(AI利活用・マインド・スタンスなど)」を分けて考えると、勉強の負担がぐっと減ります。
具体的には、シラバス案の中分類を一つずつ見ていき、「これは前から知っている」「これは初めて見た」に仕分けしてみてください。仕分けが終わると、実は新しく勉強すべき範囲は、全体のうちの一部分だということが分かるはずです。不安の多くは「全部が新しくなった」という思い込みから生まれます。仕分けをするだけで、その思い込みが晴れます。
④ 新しい用語には、まず「意味が分かる」状態を目指す
プロンプトエンジニアリング、ハルシネーション、AIガバナンスといった新しい言葉は、最初から完璧に説明できる必要はありません。「聞いたことがある」「だいたいこういう意味だと分かる」という状態を、まず目指してください。試験は「意味を理解しているか」を問う形式が中心なので、丸暗記より意味の理解が効きます。
⑤ 予想問題で、場数を踏む
過去問の代わりに必要なのが、これです。出題範囲にそった予想問題を、数多く解いてください。数をこなすほど、四肢択一という形式そのものに慣れていきます。
予想問題の手に入れ方には、いくつか選択肢があります。一つは、市販の参考書や講座が新しい範囲に対応してくるのを待つ方法です。もう一つは、生成AIに頼んで自分で作る方法です。シラバス案の用語例をそのまま貼り付けて「この範囲から4択問題を作って」と頼めば、簡単な予想問題は誰でも作れます。ただし、この方法は自分でプロンプトを工夫したり、正解が本当に合っているか自分で見極めたりする手間がかかります。三つ目が、そうした手間をあらかじめ仕組み化したアプリを使う方法です。どれが正解ということはなく、かけられる時間と手間のバランスで選んでください。
⑥ 模試の形式で、通しの感覚をつかむ
1問ずつ解く練習に慣れてきたら、まとまった問題数を、時間を意識しながら通しで解く練習も取り入れてください。本番は、1問ずつではなく、まとまった時間の中で集中力を保ち続ける試験です。通しで解く経験は、本番の緊張感に慣れるという意味でも役に立ちます。分野ごとの得意・不得意も、通しで解いてみて初めて見えてくることが多いです。
⑦ 間違えた問題は、「なぜ違うのか」まで確認する
正解・不正解だけを見て次に進むと、同じ間違いを繰り返します。選んでしまった間違った選択肢について、「なぜ違うのか」まで確認する習慣をつけてください。これは過去問がある試験でも同じですが、初めての範囲だからこそ、この一手間の差が大きく出ます。特にAI関連の用語は、似た言葉が多いのが特徴です(ハルシネーションとディープフェイク、AI倫理とAIガバナンスなど)。違いを一度きちんと確認しておくと、後の混乱がぐっと減ります。
⑧ 焦らず、今日できることだけに集中する
最後に、これがいちばん大事かもしれません。シラバスはまだ「案」の段階で、今後も内容が調整される可能性があります。完璧な対策を最初から立てようとせず、今日できる分だけ進める、という気持ちで十分です。試験までまだ時間はあります。①〜⑦のすべてを一度に始める必要はありません。今日は①だけ、明日は②だけ、という進め方でまったく問題ありません。
AIが作った予想問題、信用していいの?
チェックリストの⑤で「予想問題で場数を踏む」とお伝えしましたが、正直に言うと、ここが一番悩ましいところです。過去問のように「正解が世の中に公開されている」わけではない予想問題を、どこまで信用していいのか、という問題です。
これは、私たち自身も向き合ってきた課題です。私たちが作ったアプリでは、AIが問題を作った後、別のAIがもう一度「この正解は本当に正しいか」を検証してから出題する、という仕組みにしています。それでも、生成AIが作るものである以上、絶対に誤りがゼロとは言い切れません。だからこそ、問題や解説におかしいと感じた点があれば報告できるボタンも用意しています。
大切なのは、AIが作った予想問題を「唯一の正解」として丸暗記しないことです。あくまで「場数を踏むための練習材料」として使い、意味が分からない部分は自分でも調べる、という姿勢が安全です。この点は、①で紹介した公式シラバス案・②の公式サンプル問題という「本物」を土台に置いた上で、その補助として使うのが、いちばんバランスの良い使い方だと考えています。
これは、私たちのアプリに限った注意点ではありません。生成AIで作った予想問題を使うすべての人に共通する話です。ChatGPTなどで自作する場合も、無料・有料を問わず他のAI学習アプリを使う場合も、「AIが作ったものは、間違っている可能性がゼロではない」という前提を忘れないことが、いちばんの安全策です。この前提さえ持っていれば、AI予想問題は過去問がない時期の練習材料として、十分に価値があります。
私たちのアプリでは、公式サンプル問題(4問)はそのまま無料で解けるようにし、それにAIが作る予想問題を組み合わせられる形にしています。過去問がない今の時期、練習量を増やす一つの選択肢として使ってみてください。
よくある疑問に答えます
Q. 参考書は、いつ頃出そろいますか?
A. 正式なシラバスが確定してから、出版社各社が動き始めるのが一般的な流れです。シラバス案がまだ「Ver.0.1」の段階なので、市販の参考書が新しい範囲に完全対応するまでには、もうしばらく時間がかかると考えられます。その空白期間は、この記事で紹介した方法で補うのが現実的です。
Q. 独学ではなく、講座やスクールに通ったほうがいいですか?
A. どちらが正解ということはありません。ITパスポートは、もともと独学でも合格を目指しやすい試験と言われています。新しい範囲に不安が大きい方や、一人で進めるモチベーションが続きにくい方は、講座を使うのも一つの手です。ここは、ご自身の性格や生活スタイルで選んでいただくのがいいと思います。
Q. 今の試験を先に受けてしまったほうが、確実ではないですか?
A. 今すぐ受けられる状態まで準備が進んでいるなら、それも一つの選択です。今の試験は過去問も参考書も整っているので、確実性という意味では高いです。一方で、これから勉強を始める段階で受験が2027年度にかかりそうなら、新しい範囲を前提に進めても、遅すぎるということはありません。
Q. 何時間くらい勉強すれば、合格ラインに届きますか?
A. これは、今持っている知識量や、IT・ビジネスの実務経験によって大きく変わるため、一概には言えません。ただ、シラバス案を見るかぎり、従来のITパスポートと重なる土台の知識も少なくないので、そこをすでにお持ちの方であれば、新しく増えた分野(AI利活用・マインド・スタンスなど)に集中して時間を使うほうが効率的です。まずはチェックリスト①のシラバス通読で、自分がどのくらい「知っている」側にいるかを確認するところから始めてみてください。
今日、最初にやること
8つも並べると、どこから手をつければいいか迷うかもしれません。もし今日、何か一つだけ行動するなら、①のシラバス案を開いて、ざっと目を通すことをおすすめします。全部を理解しようとせず、ページをめくって「こんな言葉が並んでいるんだな」と眺めるだけで構いません。それだけで、次にこの記事を読み返したとき、②以降のチェックリストがぐっと具体的に感じられるはずです。
まとめ
過去問がない状態での試験勉強は、たしかに心細いものです。ですが、今のあなたが感じている不安は、その試験を最初に受けるすべての人が通る、ごく自然なものです。
- ① 公式シラバス案を最初から最後まで一度読む
- ② 公式サンプル問題(4問)を必ず解く
- ③ 「土台の知識」と「新しい知識」を分けて考える
- ④ 新しい用語は、まず「意味が分かる」状態を目指す
- ⑤ 予想問題で場数を踏む
- ⑥ 模試の形式で通しの感覚をつかむ
- ⑦ 間違えた問題は「なぜ違うのか」まで確認する
- ⑧ 焦らず、今日できることだけに集中する
この8つを、順番に、できるところから進めてみてください。過去問がないことは、不利ではなく、みんなが同じスタートラインに立っているということでもあります。
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※この記事は、2026年8月31日にIPA(情報処理推進機構)が公表したシラバス案(Ver.0.1)・サンプル問題をもとに書いています。試験制度はまだ「案」の段階であり、今後の改訂で内容が変わる可能性があります。最新の正式情報は、必ずIPAの公式サイトでご確認ください。
※この記事とアプリは、IPAとは関係のない、非公式のものです。AIが生成した予想問題には、内容に誤りが含まれる場合があります。お気づきの点は、アプリ内の「誤り報告」からお知らせいただけると助かります。


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