応用情報技術者試験を受けようと思っている方へ。
ITパスポートが2027年度から新しくなる、という話は、このブログでも何度かお伝えしてきました。実は同じタイミングで、応用情報技術者試験も「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」という新しい試験に生まれ変わる予定です。
この試験区分のシラバス案は、ITパスポートより一足早く、2026年6月30日にIPAから公表されていました(7月31日に一部更新)。この記事は、そのシラバス案の原文を直接読んで、今の時点でわかっていることと、まだわかっていないことを、できるだけ正直に整理したものです。
目次
- なぜ応用情報が生まれ変わるのか
- プロデジには3つの区分があります
- シラバスの「公表状況」は少し複雑です
- マネジメント区分の中身
- システム区分の中身
- データ・AI区分の中身
- いちばん大きな変化は「技能」を問う科目Bです
- スケジュールの見通し
- 今からできる準備
- よくある疑問に答えます
- まとめ
なぜ応用情報が生まれ変わるのか
今回の改定は、応用情報技術者試験だけの話ではありません。ITパスポート・基本情報技術者試験・情報処理安全確保支援士試験なども含めた、情報処理技術者試験全体の枠組みの再編の一部です。IPAの公式発表によると、プロデジは「現在の応用情報技術者試験と高度試験を大括り化したうえで内容を再編」したものとされています。つまり厳密には、応用情報技術者試験だけでなく、ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験といった高度試験区分も、まとめてプロデジに再編される見通しです。この記事では、応用情報を主な対象として受験を考えている方向けに、わかりやすさを優先して説明しています。
IPAが公表した資料を確認すると、応用情報の後継区分は、いずれも「科目A」「科目B」という構成で、出題数が「◯問」という形で示されています(たとえばシステム区分は、科目A-1が60問、科目A-2が23問、科目Bが12問)。現行の基本情報技術者試験も、同じ「科目A・科目B」構成で多肢選択式のCBT試験になっていることから、応用情報の後継区分も同様に多肢選択式へ移行するという見方が資格対策系のメディアやブログで広がっています。ただし、IPAの公表資料の中に「記述式を廃止する」と明記した一文は見当たりませんでした。長年、応用情報技術者試験といえば記述式の午後問題が知られてきたので、もしこの見方どおりなら、受験者にとってインパクトの大きい変更になりそうです。
試験の名前も、応用情報技術者試験から「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」に変わります。「仮称」という言葉のとおり、正式名称ではなく、今後変わる可能性がある点は、ITパスポートのシラバス案と同じです。
プロデジには3つの区分があります
シラバス案を実際に読んでみて、まず押さえておきたいのは、プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)が、1つの試験ではなく、3つの区分に分かれているという点です。
- プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称):経営戦略・プロジェクトマネジメント・サービスマネジメントなど、マネジメント寄りの内容
- プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称):データ活用・AI利活用に関する内容
- プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称):クラウド・ネットワーク・データベースなど、システム寄りの内容
これまでの応用情報技術者試験は1つの試験でしたが、プロデジになると、自分の専門やキャリアの方向性に応じて、区分を選んで受ける形になるようです。ITストラテジスト試験やプロジェクトマネージャ試験など、応用情報の先にある高度試験区分に近いイメージを持っておくと、感覚がつかみやすいかもしれません。
シラバスの「公表状況」は少し複雑です
ここは、調べていて少しわかりにくいと感じた部分なので、整理してお伝えします。2026年9月時点でIPAの公式ページを確認したところ、区分ごとの詳しいシラバス案(Ver.0.2など、バージョン番号が付いた個別の文書)が公表されているのは、「マネジメント」区分と「システム」区分の2つだけでした。「データ・AI」区分と、3区分に共通する「科目A-1(共通知識)」については、この個別シラバス案が「準備中」と明記されています。
ただし、「何もわかっていない」わけではありません。IPAは2026年3月に「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案」という、もう少し上位の文書を公表しており、この中には「データ・AI」区分を含む全区分の大まかな出題範囲(大分類・中分類)と、科目B(技能)の出題項目がすでに示されていました。マネジメント・システム区分の個別シラバス案(6〜7月公表)は、この3月の文書をさらに詳しく展開したもの、という位置づけのようです。
つまり正確には、「データ・AI区分は、詳細版のシラバスはまだ準備中だが、大まかな範囲は3月の時点で既に公表されている」というのが実態です。次の章で、その内容を紹介します。
マネジメント区分の中身
マネジメント区分のシラバス案(専門知識・科目A-2部分)を実際に読むと、次のようなテーマで構成されています。
| 大分類 | 中分類 |
|---|---|
| 1:ビジネス変革 | ビジネス変革の方法論 |
| 経営戦略・デジタル戦略 | |
| ビジネスモデル・ビジネスプロセス | |
| サービスマネジメント | |
| プロジェクトマネジメント | |
| 3:組織活動 | ガバナンス・監査 |
| 6:セキュリティ | 情報セキュリティマネジメント |
| 7:倫理・コンプライアンス | ビジネス関連法規 |
用語例を見ると、コーポレートトランスフォーメーション(CX)、DX戦略、MVV、SWOT分析、チェンジマネジメントといった、経営・戦略系の言葉が数多く並んでいます。応用情報の午前問題で見かけた経営戦略の分野が、より専門的に深掘りされた印象です。
システム区分の中身
システム区分は、次のようなテーマで構成されています。
| 大分類 | 中分類 |
|---|---|
| 1:ビジネス変革 | 経営戦略・デジタル戦略 |
| 4:デジタル技術 | デジタルサービス・デジタルツール |
| システムの種類・構成 | |
| クラウド | |
| ネットワーク | |
| データベース | |
| 5:システムの開発・運用 | システムライフサイクルプロセス |
| 開発・運用の方法論 | |
| 6:セキュリティ | セキュリティ実装技術・評価 |
「経営戦略・デジタル戦略」がマネジメント区分・システム区分の両方に含まれている点は、少し意外でした。区分をまたいで共通するテーマがある、ということのようです。それ以外は、クラウド・ネットワーク・データベース・開発運用など、これまでの応用情報のテクノロジ系分野に近い内容が中心になっています。
データ・AI区分の中身
マネジメント・システムの2区分は、区分専用の詳しいシラバス案(科目A-2の大分類・中分類)が公表されています。一方のデータ・AI区分は、先ほどお伝えしたとおり、2026年3月公表の「出題範囲等の改定案」という文書に、概要と技能の範囲が示されています。
この文書によると、データ・AI区分の概要は「組織やビジネスのデータドリブンな活動を支える基盤を構築してデータを整備する専門的な知識及び技能が,目標とする水準に達していることを評価する」とされています。専門知識(科目A-2)としては、「データマネジメント」「データ分析・データ利活用」「AI利活用」(大分類2:データ・AIの利活用)に加えて、「AI技術」(大分類4:デジタル技術の一部)が対象になる見通しです。
AI関連の用語としては、「AI利活用」の分野で生成AIの活用例やマルチモーダル、AIエージェントといった言葉が、「AI技術」の分野では機械学習、ディープラーニング、生成AIの技術(LLM、RAGほか)、AIエージェントの技術(MCPほか)といった、より技術寄りの言葉が挙げられています。ITパスポートの新シラバスがAIを「知っておくべき教養」として扱っているのに対して、データ・AI区分は「AIを使いこなし、仕組みまで理解する専門知識」を問う内容になっている印象です。
技能(科目B)の範囲としては、次の4つのテーマが示されています。
- データマネジメントに関すること:データ戦略の策定、データ品質の評価・改善、データのトラスト管理など
- データ・AIの活用に関すること:データ分析の目的設定、統計学・機械学習・時系列解析を用いた分析、生成AI技術(データ生成・マルチモーダル・RAG・AIエージェントなど)の適用、AI導入・活用におけるAI倫理の考慮
- データエンジニアリングに関すること:データモデルの作成、データ統合・変換、データ基盤・データパイプラインの設計・構築・運用
- データ処理とアルゴリズムに関すること:データのCRUD操作、データ構造・アルゴリズムとプログラミング(SQL・擬似言語を扱うと明記されています)
「AIの導入・活用におけるAI倫理の考慮」という一文があるとおり、AI倫理はデータ・AI区分の中でも扱われる見通しです。ITパスポートの新シラバスにも「情報倫理・AI倫理」という分野がありましたが、こちらは全ビジネスパーソン向けの基礎知識、データ・AI区分はそれを実務で活用する専門職向けの知識、という住み分けになっているようです。
いちばん大きな変化は「技能」を問う科目Bです
用語の一覧そのものより、個人的にはこちらのほうが大きな変化だと感じました。プロデジのシラバス案は「目標とする知識(科目A-2)」と「目標とする技能(科目B)」の2部構成になっています。
科目Aが、用語や概念を知っているかを問う知識確認型なのに対して、科目Bは「大項目・小項目・目標とする技能」という形で、実務でどう振る舞えるかという、スキルそのものを記述しています。たとえばマネジメント区分の科目Bには、「事業戦略を実現する上で、事業構造(アーキテクチャ)と機能モデルを作成するために、ビジネス、業務、情報システムを俯瞰及び抽象化して捉えるスキル」といった記述があります。
これは、単なる用語の暗記では太刀打ちしにくい領域です。ただし、この「技能」が実際の試験でどのような出題形式になるのか(記述式なのか、多肢選択式で技能を問う形になるのか)は、シラバス案の中には明記されていませんでした。この部分は、今後の続報を待つ必要があります。
スケジュールの見通し
ITパスポートの記事でもお伝えしたスケジュール感と同じく、次のような見通しが示されています。
- 2027年度春頃:ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者試験が、新しい形で始まる見通しです
- 2027年度夏〜秋頃:プロデジ(マネジメント・データ・AI・システムの各区分)と、データマネジメント試験(仮称)、情報処理安全確保支援士試験が始まる見通しです
応用情報技術者試験の後継であるプロデジは、ITパスポートよりも少し遅れて、2027年度の夏から秋にかけて始まる見通しになっています。
今からできる準備
詳細な個別シラバスがまだ揃っていない以上、今の段階で完璧な準備をすることはできません。それでも、今からできることはあります。
① 現行の応用情報技術者試験を、今のうちに受けておく
今の試験は出題範囲も過去問も整っています。2027年度に受験がかかりそうか、今すぐ受けられそうかで、判断が変わってきます。
② マネジメント・システム・データAI、どの区分に近いか、方向性を考えておく
プロデジは区分を選ぶ試験になる見通しです。ご自身がマネジメント寄りのキャリアを歩みたいのか、システム寄りの技術を深めたいのか、データ分析・AI活用の専門性を伸ばしたいのか、方向性を意識しておくと、詳細版が公表され次第、準備に入りやすくなります。
③ 公表済みの用語に、一度目を通しておく
この記事で紹介した用語(DX戦略、チェンジマネジメント、クラウド、セキュリティ実装技術、生成AIの技術など)は、応用情報の学習範囲ともかなり重なっています。今の学習が無駄になることはありません。
私たちのアプリでも、公表されているマネジメント区分・システム区分の内容にそって、AIが4択の予想問題を作成する機能を用意しています。データ・AI区分の詳細版シラバスが公表され次第、対応を追加する予定です。
よくある疑問に答えます
Q. 応用情報技術者試験という名前は、完全になくなるのですか?
A. 現時点で公表されている情報では、応用情報技術者試験は「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」という新しい名称・区分に再編される見通しです。ただし「仮称」である以上、最終的な名称は変わる可能性があります。
Q. 応用情報の午後の記述式対策は、もう不要になりますか?
A. IPAの公表資料には「記述式を廃止する」という明記はありませんが、後継区分が現行の基本情報技術者試験と同じ「科目A・科目B」の多肢選択式CBT構成になっていることから、多肢選択式に一本化されるという見方が広がっています。確定情報ではないため、断定はできません。また、2027年度より前に現行の応用情報技術者試験を受験する場合は、これまでどおり記述式対策が必要です。
Q. マネジメント・システム・データAI、どの区分を受ければいいですか?
A. これは、ご自身が目指すキャリアによります。経営企画やプロジェクトマネジメント、ITコンサルティングの方向を考えている方はマネジメント区分、開発・運用・インフラなど技術を深めたい方はシステム区分、データ分析やAI活用を専門にしたい方はデータ・AI区分が近いと考えられます。データ・AI区分の詳細版シラバスが公表されれば、判断材料はさらに増える見通しです。
Q. 今から勉強しても無駄になりませんか?
A. クラウド、ネットワーク、データベース、経営戦略の基礎といった土台の知識は、区分が再編されても大きくは変わらないと考えられます。今回のシラバス案を読んでも、応用情報の主要テーマの多くがそのまま引き継がれていました。無駄になりにくいのは、用語の丸暗記より、なぜそうなるかを理解した知識です。
まとめ
応用情報技術者試験は、2027年度をめどに「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」へ再編される見通しです。
- プロデジには「マネジメント」「データ・AI」「システム」の3区分があります
- 2026年9月時点で、区分ごとの詳しいシラバス案が公表されているのは、マネジメント区分・システム区分の2つです
- データ・AI区分と共通知識(科目A-1)は、詳細版シラバスこそ「準備中」ですが、2026年3月公表の「出題範囲等の改定案」に大まかな範囲は既に示されています
- 知識を問う科目Aに加えて、実務スキルを問う「科目B」が新設される見通しです
- AI関連の専門知識は、データ・AI区分に集約される設計になっており、生成AI技術やAI倫理も出題範囲に含まれる見通しです
- 開始時期は2027年度の夏〜秋頃の見通しです
詳細版のシラバスがまだ全部揃っていない試験です。続報が出次第、この記事も更新していきます。
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※この記事は、2026年6月30日にIPA(情報処理推進機構)が公表し、7月31日に更新したマネジメント・システム区分のシラバス案(Ver.0.2)、および2026年3月公表の「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案」をもとに書いています。データ・AI区分と共通知識(科目A-1)の詳細版シラバスは、2026年9月時点でまだ公表されていません(準備中)。試験名称・区分・内容は、いずれも「仮称」「案」の段階であり、今後の公表・改訂で変わる可能性があります。最新の正式情報は、必ずIPAの公式サイトでご確認ください。
※この記事とアプリは、IPAとは関係のない、非公式のものです。AIが生成した予想問題には、内容に誤りが含まれる場合があります。お気づきの点は、アプリ内の「誤り報告」からお知らせいただけると助かります。


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