短期入所で取れる加算の一覧。単独型加算・短期利用加算・重度対応加算の条件。

短期入所で取れる加算の一覧。単独型加算・短期利用加算・重度対応加算の条件。 短期入所

障害福祉サービスの短期入所(福祉型・単独型)には、基本報酬に上乗せされる加算がいくつかあります。中でも最も金額が大きいのが「単独型加算」で、1日320単位が加わります。これは、障害者支援施設などに併設する事業所や、施設の空き居室を使う空床利用型では算定できない加算です。単独型として開業するかどうかを決めるうえで、この加算が収支に与える影響は小さくありません。

この記事では、短期入所(福祉型・単独型事業所)で算定できる加算の一覧を、告示の原文をもとに整理します。単位数・算定条件・注意すべき点を順に説明します。処遇改善加算については、短期入所には「(Ⅱ)」が存在しないという点に注意が必要です。

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短期入所の加算は、基本報酬に「1日ごと」で上乗せされる

短期入所の報酬は、利用者が泊まった(または日中活動に来た)日数をもとに計算します。加算も基本的に「1日あたり」の単位数で加算されるものが多く、日数が増えるほど加算の合計額も増える仕組みです。

ただし、送迎加算だけは「1回ごと(片道ごと)」の算定です。また、処遇改善加算は「月の所定単位数の合計×加算率」で計算するため、1日ごとではなく月単位で加わります。

以下では、福祉型の単独型事業所が算定できる主な加算を一覧にします。医療型・福祉型強化・共生型・基準該当・空床利用型・障害者支援施設の短期入所は、算定できる加算の種類や単位数が異なります。

単独型加算(1日320単位)が最も大きい

単独型加算は、障害者支援施設等に併設しない事業所(単独型事業所)が算定できる加算で、1日あたり320単位です。単独型事業所は、障害者支援施設などが運営する短期入所と比べて基本報酬の単位数が低い設定になっているため、この320単位は事実上の補完的な加算といえます。

たとえば、障害支援区分4の人が福祉型短期入所サービス費(Ⅰ)(宿泊型)を利用した日の基本報酬は648単位です。単独型加算(320単位)を加えると、1日あたり968単位になります。

単独型加算が算定できない事業所(空床利用型・障害者支援施設の短期入所など)は、基本報酬の単位数だけで収支を組み立てることになります。開業の形を検討するときは、単独型加算が算定できるかどうかが収支の大きな分岐点になります。

出典:厚生労働省告示第523号(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準)別表第7の1

短期利用加算(1日30単位)は、年通算30日が上限

短期利用加算は、通所サービス(生活介護・自立訓練・就労継続支援など)の事業所が、本体の利用者を短期入所として受け入れる場合に算定できる加算です。1日あたり30単位で、同一の利用者について、年間(4月1日から翌年3月31日まで)の通算利用日数が30日以内の日に算定できます。

注意すべき点は、30日の上限は利用者ごとに設けられているということです。複数の利用者に短期利用加算を算定する場合、それぞれの利用者の利用日数を個別に管理する必要があります。また、利用日数のカウントは「入所日と退所日の両方を数える」ルールです(留意事項通知で確認)。30日の上限は年度末(3月31日)でリセットされ、翌年度の4月1日から再び算定できます。

たとえば、1人の利用者が月6日利用すると、年間72日になります。年30日を超えるため、短期利用加算を算定できる日数は30日です。1か月あたりに換算すると約2.5日(30÷12)になり、利用日全体の約42%に相当します。

食事提供体制加算(1日48単位)は令和9年3月31日まで

食事提供体制加算は、利用者に食事を提供している事業所が算定できる加算で、1日あたり48単位です。ただし、この加算は令和9年3月31日までの経過措置です。令和9年4月以降の扱いは、現時点では告示・通知に明示されていません。

収支の試算をするときは、「令和9年4月以降はなくなる可能性がある」前提で、食事提供体制加算がない場合の収支も確認しておくことをお勧めします。

なお、この加算を算定するには、指定の運営基準で求められる食事の提供体制を整える必要があります。自炊・委託のいずれでも算定できますが、実費として利用者から受け取る食費(1日あたりの実費として設定)とは別の加算です。利用者から受け取る食費と、加算として介護給付費に上乗せされる48単位は、混同しないよう注意してください。

重度障害児・障害者対応支援加算(1日30単位)は、区分5・6が50%以上のときに算定できる

重度障害児・障害者対応支援加算は、その日に受け入れている利用者のうち、次の条件のいずれかに該当する人が50%以上いる場合に算定できます。

  • 障害支援区分5または区分6の障害者
  • 障害児支援区分3の障害児

加算の単位数は1日あたり30単位です。この加算は、福祉型(共生型を含む)の短期入所でのみ算定できます。医療型では別の加算の体系が適用されます。

たとえば、ある日の受け入れ人数が6人で、そのうち区分5・6の人が3人(50%)であれば算定できます。3人を下回る(49%以下)日は算定できません。事業所全体の契約者の構成だけでなく、日ごとに泊まっている人の区分の割合を確認する必要があります。

重い区分の利用者が多い事業所では、基本報酬の単位数も高くなり(区分6の宿泊型は923単位)、この加算も算定できる可能性があります。ただし、重い区分の利用者が多い日は職員の対応の負担も増えるため、人員配置も含めて検討が必要です。

常勤看護職員等配置加算は、定員規模に応じて4〜10単位

常勤看護職員等配置加算は、常勤換算で1以上の看護師等(看護師・准看護師など)を配置している事業所が算定できる加算です。単位数は定員の規模によって異なります。

定員の規模 1日あたりの単位数
6人以下 10単位
7〜12人 8単位
13〜17人 6単位
18人以上 4単位

出典:告示523 別表第7の1

看護職員を配置すると、日常的な医療的ケアへの対応力が高まり、医療的ニーズのある利用者を受け入れやすくなります。ただし、常勤換算1以上の看護職員の人件費は、加算収入(1日あたり4〜10単位)を大幅に上回る場合がほとんどです。この加算だけで看護職員の配置コストを回収することは難しく、対応できる利用者層の拡大による稼働率の向上を含めて検討するのが現実的です。

送迎加算は1回186単位。同一敷地内は100分の70

送迎加算は、利用者を自宅などから送迎した場合(片道ごと)に算定できる加算です。1回あたり186単位が基本で、同一の敷地内(または隣接する敷地内)にある場所から送迎した場合は、100分の70(186×0.7=131単位)になります。

「片道ごと」の算定であるため、送りと迎えの両方を行えば2回分(186単位×2=372単位)になります。送迎の有無は事業所ごとに異なりますが、送迎を行っている事業所では1日の報酬に加算が大きく影響します。

送迎は外部委託も可能とされていますが、要件の詳細(車両の種類・運転者の資格など)は指定権者(都道府県・政令市・中核市)によって取扱いが異なる場合があります。実際に送迎を行う場合は、指定を受ける自治体に確認することをお勧めします。

出典:告示523 別表第7の1、留意事項通知(同一敷地内の送迎は所定単位数の100分の70)

処遇改善加算は月の所定単位数の合計に加算率を掛けて計算する

処遇改善加算(福祉・介護職員等処遇改善加算)は、職員の処遇改善の取り組みを行っている事業所に加算されるもので、月の所定単位数(基本報酬と各種加算の合計)に加算率を掛けて算定します。

短期入所で算定できる処遇改善加算の区分と加算率は次のとおりです。

区分 加算率 備考
処遇改善加算(Ⅰ)イ 18.6% 月額賃金改善の要件あり
処遇改善加算(Ⅰ)ロ 19.3% 最上位区分。月額賃金改善+キャリアパスの要件あり
処遇改善加算(Ⅱ) (なし) 短期入所には(Ⅱ)の区分が存在しない
処遇改善加算(Ⅲ) 16.5%
処遇改善加算(Ⅳ) 14.2%

出典:厚生労働省告示第524号(令和6年改定)。加算率は告示の原文と改定資料の両方で確認済みです。

他の障害福祉サービス(放課後等デイサービス・生活介護・就労継続支援など)には処遇改善加算(Ⅱ)が設けられていますが、短期入所には(Ⅰ)イ・(Ⅰ)ロ・(Ⅲ)・(Ⅳ)の4区分しかありません。他のサービスを参考にするときは、この点に注意してください。

処遇改善加算の計算例を示します。ある月の所定単位数の合計が300単位(1日平均)×30日=9,000単位で、処遇改善加算(Ⅲ)(16.5%)を算定する場合、処遇改善加算は9,000×16.5%=1,485単位になります。1単位あたりの単価(地域区分によって異なる)を10.00円とすると、14,850円です。

定員20人以上の単独型は、加算前の報酬に0.9を掛ける

単独型事業所で定員が20人以上の場合、加算前の所定単位数(基本報酬)に0.9を掛ける大規模型の減算が適用されます。この0.9の掛け算は「加算前」に行うことが告示に定められており、各種加算(単独型加算・食事提供体制加算など)は、0.9を掛けた後の単位数に加算します。

たとえば、区分4(宿泊型)の基本報酬は648単位ですが、定員20人以上では648×0.9=583単位になります。その後に単独型加算(320単位)を加えると、1日903単位になります。0.9を掛ける前の648単位に320単位を加えた968単位より、65単位低い計算です。

定員を20人以上にする場合は、この減算の影響も含めて収支を確認してください。

加算ごとの単位数を1日あたりで比較する

各加算の単位数を1日あたりで並べると、規模の感覚がつかみやすくなります。なお、送迎加算は片道ごとの算定です。

加算名 単位数 主な算定要件
単独型加算 320単位/日 単独型事業所
送迎加算 186単位/回(片道) 送迎を実施した場合(往復で372単位)
食事提供体制加算 48単位/日 食事を提供している(令和9年3月末まで)
重度障害児・障害者対応支援加算 30単位/日 区分5・6または障害児支援区分3が50%以上
短期利用加算 30単位/日 年通算30日まで
常勤看護職員等配置加算 4〜10単位/日 常勤換算1以上の看護職員等を配置

処遇改善加算は月の所定単位数に率を掛けるため、上の表とは別に計算します。

単独型加算(320単位)が最も大きく、次いで送迎加算(往復372単位)になります。ただし送迎は実施した日のみの算定です。食事提供体制加算は令和9年3月末までの経過措置です。常勤看護職員等配置加算は単位数が小さいため、看護職員の人件費(月20万円台後半〜30万円台)をこの加算だけで補うことはできません。

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加算の算定要件と収支への影響については、次の記事も参考にしてください。
短期入所(ショートステイ)の報酬の仕組み。入所日と退所日を両方数え、単独型事業所は1日320単位が加わる。
短期入所の開業は、職員の配置の形で採算が決まる。24時間を短期入所の職員だけで回すと、定員6人・9割の受け入れでも赤字の試算。

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この記事の出典

この記事は当方が上記の資料を直接読み取り、整理・計算したものです。指定権者や告示の改正状況によって内容が変わる場合があります。算定要件の詳細は、最新の告示・通知および指定を受ける自治体にご確認ください。当方は行政書士等の資格者ではなく、書類の作成代行はいたしません。

作成日:2026年10月24日

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あわせて読みたい:短期入所の障害児への報酬。(Ⅲ)と(Ⅳ)の区分と、障害児支援区分の計算。

あわせて読みたい:短期入所で区分5・6の利用者を受け入れる場合。単価と加算の仕組み。

あわせて読みたい:短期入所の送迎加算。186単位の算定条件と、同一敷地内で変わる計算。

あわせて読みたい:短期入所の短期利用加算。年30日の上限と、算定できる利用者の割合の計算。

あわせて読みたい:短期入所の地域区分。都道府県によって変わる単価と、報酬の計算への影響。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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