すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 短期入所 開業向け収支シミュレーター
「障害児もショートステイに受け入れられるの?」「報酬の区分が障害者と違うと聞いたけれど、どう計算するの?」と疑問を感じている方に向けて、この記事では障害福祉サービスの短期入所における障害児向け基本報酬の仕組みを整理します。
障害者向けの基本報酬区分(Ⅰ)〜(Ⅱ)と、障害児向けの(Ⅲ)〜(Ⅳ)は、告示の別表の中で明確に区別されています。障害児支援区分は障害支援区分とは全く別の認定であり、区分の段階数も異なります。
この記事では告示523号の原文をもとに、障害児への短期入所報酬の計算方法と、同一事業所で障害者・障害児を混在させる場合の収支への影響を具体的に示します。
短期入所の基本報酬区分は(Ⅰ)〜(Ⅳ)の4種類ある
障害福祉サービスの短期入所(福祉型・単独型)には、基本報酬の区分が4種類あります。
- (Ⅰ)宿泊型:障害者(障害支援区分1〜6)
- (Ⅱ)日中活動の日:障害者(障害支援区分1〜6)
- (Ⅲ)宿泊型:障害児(障害児支援区分1〜3)
- (Ⅳ)日中活動の日:障害児(障害児支援区分1〜3)
(Ⅰ)と(Ⅱ)が障害者向け、(Ⅲ)と(Ⅳ)が障害児向けです。「宿泊型」は利用者が当該夜間に事業所に泊まる日、「日中活動の日」は昼間のみ利用する日です。同一の利用者でも、泊まる日と昼間だけの日で報酬区分が変わります。
根拠は障害者総合支援法に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(告示523号)別表第7の1です。
障害児向け基本報酬の単位数の一覧
告示523号 別表第7の1に基づく障害児向け報酬は次のとおりです。
(Ⅲ)宿泊型・障害児
| 障害児支援区分 | 1日あたり単位数 |
|---|---|
| 障害児支援区分3 | 784単位 |
| 障害児支援区分2 | 615単位 |
| 障害児支援区分1 | 509単位 |
(Ⅳ)日中活動の日・障害児
| 障害児支援区分 | 1日あたり単位数 |
|---|---|
| 障害児支援区分3 | 527単位 |
| 障害児支援区分2 | 279単位 |
| 障害児支援区分1 | 173単位 |
区分3が最も高く、区分1に向かって単位数が下がります。これは障害者向けの(Ⅰ)(Ⅱ)と同じ構造です。
障害者向けとの比較。(Ⅲ)区分3は(Ⅰ)区分5と同じ単位数になる
同じ短期入所で障害者(Ⅰ)の宿泊型と比べると、単位数の水準が分かります。
(Ⅰ)宿泊型・障害者
| 障害支援区分 | 1日あたり単位数 |
|---|---|
| 障害支援区分6 | 923単位 |
| 障害支援区分5 | 784単位 |
| 障害支援区分4 | 648単位 |
| 障害支援区分3 | 507単位 |
| 障害支援区分2 | 423単位 |
| 障害支援区分1 | 337単位 |
障害者の区分5は784単位です。障害児の区分3も784単位です。つまり障害児(Ⅲ)の障害児支援区分3は、障害者(Ⅰ)の障害支援区分5と同じ単位数になります。
障害児の区分3の方が障害者の区分4(648単位)より1日136単位多いことになります。重度の障害児を受け入れる場合、障害者の中程度よりも収入が高くなる可能性があります。
障害児支援区分と障害支援区分の違い。別の制度の別の認定
「障害児支援区分」と「障害支援区分」は名前が似ていますが、全く別の認定制度です。
障害支援区分(障害者)
- 対象:18歳以上の障害者
- 区分:1〜6の6段階
- 根拠:障害者総合支援法第4条
- 判定:市区町村の審査判定
- 主な活用:居宅介護・生活介護・グループホーム・短期入所(障害者)など
障害児支援区分(障害児)
- 対象:18歳未満の障害児
- 区分:1〜3の3段階
- 根拠:障害者総合支援法に基づく認定(障害者の障害支援区分とは別の認定体系)
- 判定:市区町村の審査判定
- 主な活用:短期入所(障害児)の報酬区分の根拠
障害支援区分は6段階、障害児支援区分は3段階です。区分の数が異なります。この違いは報酬単位数の表の構造にも反映されており、障害者は6行、障害児は3行になっています。
短期入所に利用する障害児は、放課後等デイサービスや児童発達支援などの障害児通所支援も利用している児童が多いです。放デイ・児発の利用者が、家族の急病や冠婚葬祭などのときに短期入所を使う、という組み合わせが実際にあります。
障害児は18歳で障害者に切り替わる
障害児支援区分の認定は18歳未満の期間に適用されます。18歳を迎えると、障害者総合支援法上の「障害者」として障害支援区分の認定を受け直すことが必要になります。
実務では「18歳で障害支援区分の新規申請が必要になる」ことを家族に事前に説明するケースがあります。短期入所の利用者が18歳になった場合、報酬区分も(Ⅲ)(Ⅳ)から(Ⅰ)(Ⅱ)に切り替わります。
この切り替えは収支計算にも影響します。たとえば障害児支援区分3(784単位)で受け入れていた利用者が18歳以降に障害支援区分5の認定を受けた場合、報酬は変わりません(どちらも784単位)。しかし区分4の認定になった場合は648単位に下がります。
同一事業所で障害者と障害児を混在させる場合
短期入所の事業所では、障害者((Ⅰ)(Ⅱ))と障害児((Ⅲ)(Ⅳ))を同じ事業所で受け入れることができます。この場合、利用者ごとに区分を使い分けて請求します。
事業所定員が4人の場合を例に挙げます。
- 利用者A:障害者、障害支援区分5 → 1日784単位(Ⅰ)
- 利用者B:障害者、障害支援区分4 → 1日648単位(Ⅰ)
- 利用者C:障害児、障害児支援区分3 → 1日784単位(Ⅲ)
- 利用者D:障害児、障害児支援区分1 → 1日509単位(Ⅲ)
この日の宿泊型の報酬合計は784+648+784+509=2,725単位です。単独型加算(320単位)が各利用者に加算されれば、さらに320×4=1,280単位が加わります。
収支シミュレーションを立てる際には、障害者と障害児の想定比率、それぞれの区分の想定割合を設定する必要があります。
重度障害児・障害者対応支援加算(30単位)の算定と障害児支援区分3の関係
短期入所には重度障害児・障害者対応支援加算(1日30単位)という加算があります。算定するには次の条件を満たす必要があります。
当該短期入所において、障害支援区分5以上又は障害児支援区分3に該当する者が、当該事業所の利用者の50%以上いること(告示523号より)。
障害者の場合は「障害支援区分5以上」(区分5・6)が条件です。障害児の場合は「障害児支援区分3」が条件です。障害児は区分が3段階しかないため、最高区分の3が対象になります。
利用者全体の50%以上が「障害支援区分5以上または障害児支援区分3」であれば加算を取れます。障害者の区分5・6と障害児の区分3を合算して50%を判定します。
加算ありの収支への影響
障害児(Ⅲ)区分3の利用者に単独型加算と重度対応加算が加わる場合の単位数を計算します。
| 項目 | 単位数 |
|---|---|
| 基本報酬(Ⅲ)区分3・宿泊型 | 784 |
| 単独型加算 | 320 |
| 重度障害児・障害者対応支援加算 | 30 |
| 合計 | 1,134単位 |
比較として障害者(Ⅰ)区分4の利用者に同じ加算が付いた場合:648+320+30=998単位です。
区分3の障害児と区分4の障害者では、1日136単位の差があります。
障害者(Ⅰ)区分6の場合:923+320+30=1,273単位が最大です。
障害児支援区分の認定は市区町村が行う
障害児支援区分の認定は、市区町村が行います。
手順は概ね次のとおりです。
- 保護者が市区町村の窓口に申請する
- 市区町村の職員(または委託した認定調査員)が訪問調査を実施する
- 調査結果と医師意見書をもとに審査判定が行われる
- 市区町村が認定区分(1・2・3)を通知する
事業所が認定を申請するわけではありません。利用者(障害児)の保護者が市区町村に申請し、認定を受けた区分が短期入所の報酬算定に使われます。
事業所の運営確認や指定申請の際には、利用者の障害児支援区分の認定証を確認する必要があります。
障害児向け短期入所の収支シミュレーションで使う数字の設定
実際に収支計画を立てる際に必要になる主な設定値を整理します。
1. 利用者の区分の想定割合
障害児支援区分3・2・1の比率をどう設定するかは、事業所が重度の障害児を主に受け入れるか、軽〜中程度の障害児を受け入れるかによって変わります。
開業初年度は利用者獲得の見通しが立てにくいため、区分2を主体として区分3が一部という想定から始めるケースが多いです。
2. 宿泊型と日中活動の日の比率
同一利用者でも、宿泊する日と昼間だけの日で報酬が変わります。1回の利用で何泊するかを設定する必要があります。
3. 障害者と障害児の比率
同一事業所で両方を受け入れる場合、それぞれの想定割合を設定します。障害者の区分は6段階、障害児の区分は3段階なので、それぞれ別々に設定します。
収支シミュレーターを使うことで、これらの設定値を変えながら採算の試算ができます。
加算の一覧と処遇改善加算の計算は別記事で整理している
この記事では基本報酬の障害児向け区分に絞って説明しました。短期入所全体の加算(単独型加算・送迎加算・重度対応加算・食事提供体制加算など)の一覧については別記事で整理しています。
あわせて読みたい:短期入所で取れる加算の一覧。単独型加算・短期利用加算・重度対応加算の条件。
また、障害者(Ⅰ)(Ⅱ)と障害児(Ⅲ)(Ⅳ)を含めた基本報酬全体の概要(宿泊型と日中活動の日の違い)は別記事で説明しています。
あわせて読みたい:短期入所の基本報酬の仕組み。宿泊型と日中活動の日の単位数の違いと、区分ごとの計算。
まとめ
短期入所の障害児向け基本報酬(Ⅲ)(Ⅳ)の主なポイントをまとめます。
- 障害児向けの報酬区分は(Ⅲ)宿泊型と(Ⅳ)日中活動の日の2種類
- 区分は障害児支援区分1〜3の3段階(障害者の6段階とは別の認定)
- 障害児支援区分3の宿泊型は784単位で、障害者の障害支援区分5と同じ
- 重度障害児・障害者対応支援加算(30単位)の条件:障害児の場合は障害児支援区分3が利用者の50%以上
- 障害者と障害児を同一事業所で受け入れる場合、利用者ごとに区分を使い分けて請求する
- 障害児は18歳で障害支援区分に切り替わる
収支シミュレーターでは、障害者と障害児の比率や、各区分の割合を変えながら採算を試算できます。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 短期入所 開業向け収支シミュレーター
短期入所以外の福祉・介護系の開業シミュレーターは、福祉・介護の開業収支シミュレーター一覧からご覧いただけます。
この記事の出典
- 指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号)別表第7の1
エラー - 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第4条
- 指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第115条〜第120条


コメント