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短期入所(福祉型・単独型)の基本報酬は、利用者の障害支援区分によって大きく変わります。区分6の利用者を受け入れる場合と、区分1・2の利用者を受け入れる場合とでは、1日あたりの収入に400単位以上の差が生じます。
この記事では、区分5・6の利用者を受け入れることが事業所の収益にどう影響するか、加算の条件との関係を含めて整理します。
区分6と区分1・2の基本報酬の差
短期入所(福祉型・単独型)の基本報酬は、障害者(Ⅰ)宿泊型を例にとると、以下のとおりです(告示523号 別表第7の1)。
| 障害支援区分 | (Ⅰ)宿泊型(単位/日) | 区分6との差 |
|---|---|---|
| 区分6 | 923 | — |
| 区分5 | 784 | −139 |
| 区分4 | 648 | −275 |
| 区分3 | 583 | −340 |
| 区分1・2 | 509 | −414 |
区分6(923単位)と区分1・2(509単位)の差は1日あたり414単位です。1単位10円の地域区分であれば、利用者1人につき1日4,140円の差が生じます。
定員6人の事業所で、全員が区分6の日と全員が区分1・2の日を比べると、基本報酬だけで1日あたり414×6=2,484単位、金額にして約24,840円の差になります。
月30日で計算すると、月75万円近い差になる計算です。区分の構成が収支計画に与える影響は無視できません。
単独型加算は区分に関係なく算定できる
単独型加算(1日320単位)は、単独型の短期入所であれば区分に関係なく算定できます。区分6でも区分1でも、1日あたり320単位が上乗せされます。
区分6の利用者に単独型加算を加えると:923+320=1,243単位/日。区分1・2に加えると:509+320=829単位/日。この差(414単位)は変わりません。単独型加算があっても、区分の構成による報酬の差は残ります。
重度障害児・障害者対応支援加算は区分5・6が50%以上で算定できる
重度障害児・障害者対応支援加算(30単位/日)は、その日の利用者のうち障害支援区分5・6(または障害児支援区分3)が50%以上の場合に算定できます(告示523号)。
定員6人の事業所で、3人以上が区分5・6であればこの加算を算定できます。1日あたり30単位の追加は小さく見えますが、年間通して算定できれば相応の額になります。
| 区分5・6の人数(定員6人) | 加算算定 | 1日の加算額(1単位10円) |
|---|---|---|
| 3人以上(50%以上) | 算定可 | 30単位×6人分=180単位=1,800円 |
| 2人以下(50%未満) | 算定不可 | 0円 |
月30日・全日算定できる場合、月あたり180単位×30日=5,400単位。金額にして54,000円(1単位10円)の追加収入になります。
区分5・6が多いほど収益が上がる三つの理由
区分5・6の利用者を受け入れることが収益に良い影響を与える理由は、大きく三つです。
1. 基本報酬が上がる
前述のとおり、基本報酬は区分に比例します。区分6は区分1・2の約1.8倍の単位数です。
2. 重度障害者対応支援加算の条件を達成しやすい
区分5・6の利用者が半数以上いれば、1日30単位の加算を積み上げられます。区分の低い利用者が多い事業所では、この加算を算定できない日が増えます。
3. 損益分岐の稼働率が下がる方向に働く
1日の収入が増えれば、同じ固定費を賄うのに必要な稼働率(損益分岐点)が下がります。区分が高い利用者を安定して受け入れられる体制は、採算の観点からも有利です。
区分5・6を受け入れる際に考えるコスト
収益面では有利な区分5・6ですが、対応コストも増える点を収支計画に織り込む必要があります。
夜間の対応
障害支援区分の高い利用者は、夜間に支援が必要になるケースが多い傾向があります。単独型の短期入所では夜間も職員が対応できる体制を確保することになり、人件費(夜勤手当など)に影響します。
医療的ケアが必要な場合
吸引や経管栄養など医療的ケアが必要な利用者を受け入れる場合は、看護職員の配置が必要です。常勤の看護職員を配置した場合は、常勤看護職員等配置加算を算定できます。
| 定員 | 常勤看護職員等配置加算(単位/日) |
|---|---|
| 6人以下 | 10 |
| 7〜12人 | 8 |
| 13〜17人 | 6 |
| 18人以上 | 4 |
定員6人の事業所で常勤の看護職員を配置した場合、1日10単位の加算を算定できます。看護職員の人件費と加算収入のバランスを試算した上で判断することが必要です。
研修・体制整備のコスト
重度の利用者に対応するには、職員の技術・知識の水準が求められます。採用時の要件や研修のコストも収支計画に含めておくと、開業後のギャップを小さくできます。
収支計画での区分構成の設定の仕方
事業計画を作るとき、区分ごとの利用者の割合をどう設定するかは重要な判断です。
地域の需要(どの区分の利用者が多いか)と、自分の事業所が受け入れられる体制(医療的ケアに対応できるか、夜間の配置は確保できるか)を照らし合わせて設定します。
楽観的な前提(区分6ばかり)にすると試算の収益が実態より高くなります。開業当初は低区分の利用者から始まることが多いため、最初は区分4〜5が中心という前提で試算しておく方が安全です。
当サイトの収支シミュレーターでは、障害者と障害児の割合、および区分別の構成比を入力すると、1日の平均単価と月収入が変わります。区分構成を変えながら試算することで、どの構成なら損益分岐の稼働率が現実的な範囲に収まるかを確認できます。
→ 短期入所の損益分岐点。稼働率と定員の関係、単独型で黒字になる条件。
区分構成と報酬の関係をシミュレーターで確認する
以下のパターンを試算してみると、区分構成が収益に与える影響を体感できます。
| 区分構成の例 | 1日平均単価(単独型加算込み・宿泊型) |
|---|---|
| 全員が区分6 | 923+320=1,243単位 |
| 区分5が50%・区分4が50% | (784×0.5+648×0.5)+320=1,036単位 |
| 全員が区分1・2 | 509+320=829単位 |
1日あたり414単位の差は、月30日・定員6人・稼働率80%で計算すると、月あたり414×6×0.8×30日=59,616単位。金額にして約60万円の差になります。
この差は「区分構成を高め維持できるか」という運営判断が、収支に直結することを示しています。
関連する加算の一覧
区分5・6の利用者の受け入れに関連する加算をまとめます。
| 加算名 | 単位数 | 算定条件 |
|---|---|---|
| 重度障害児・障害者対応支援加算 | 30単位/日 | 区分5・6が利用者の50%以上 |
| 常勤看護職員等配置加算 | 4〜10単位/日 | 常勤看護職員を1以上配置 |
| 単独型加算 | 320単位/日 | 単独型事業所(全区分) |
加算の詳細は 短期入所で取れる加算の一覧。単独型加算・短期利用加算・重度対応加算の条件。 で整理しています。
まとめ:区分5・6の受け入れは収益に有利だが、対応コストも見込む
区分5・6の利用者を受け入れることは、基本報酬の増加と重度障害者対応支援加算の算定という二つの収益面のメリットがあります。区分の低い利用者が多い事業所と比べると、同じ稼働率でも月収入が大きく変わります。
一方で、夜間の対応強化や医療的ケアへの体制整備が必要になるケースもあります。加算で追加収入を得るための配置コストとのバランスを試算した上で、事業計画に反映することが重要です。
収支シミュレーターでは、区分の割合を変えながら月収入・損益分岐の稼働率・必要資金を確認できます。開業前の事業計画づくりにご活用ください。
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