短期入所の短期利用加算。年30日の上限と、算定できる利用者の割合の計算。

短期入所の短期利用加算。年30日の上限と、算定できる利用者の割合の計算。 短期入所

すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 短期入所 開業向け収支シミュレーター

短期入所の加算の中で、「短期利用加算」は1日30単位と小さく見えますが、実際にどれくらいの割合の利用日数に算定できるのか、正確に理解していないと収支計画がずれます。

この記事では、短期利用加算の算定条件である「年30日以内」の意味、利用者ごとの対象割合の計算方法、収支への影響、算定時の管理上の注意点を整理しました。

短期利用加算は1日30単位、年30日を超えた利用者には算定できない

短期利用加算の単位数と算定条件は、告示523号別表第7の1に定められています。

項目 内容
単位数 30単位/日
算定条件 その利用者の当該年度の利用日数が通算30日以内の場合
「年度」の定義 4月1日〜翌年3月31日の累計
他事業所との合算 必要(他の短期入所事業所での利用日数と合算して30日)

「年30日以内」とは、その利用者が4月から翌年3月の間に短期入所を利用した日数の合計が30日を超えていない場合、という意味です。31日目以降の利用日には短期利用加算を算定できません。

なお、この「30日」は自事業所のみでなく、他の短期入所事業所での利用日数も合算して数えます。月に複数の事業所を利用している場合、管理がより複雑になります。

月6日利用の場合、対象になるのは年間の利用日数の約42%

短期利用加算を算定できる割合は、1人あたりの月の利用日数によって変わります。月6日利用を例に計算してみます。

月の利用日数 年間の利用日数 算定できる日数 対象割合
月3日 36日 30日 約83%
月5日 60日 30日 50%
月6日 72日 30日 約42%
月8日 96日 30日 約31%
月10日 120日 30日 25%

月6日利用の場合、年間で72日利用のうち30日だけが算定対象です。4月から利用を開始した場合、

  • 4月(6日)+5月(6日)=12日目:まだ30日以内、算定できる
  • 6月(6日)=18日目:算定できる
  • 7月(6日)=24日目:算定できる
  • 8月(6日)=30日目まで算定できるが、31日目(8月中)から算定できなくなる
  • 9月以降:30日超のため算定不可

つまり月6日利用の利用者の場合、4月から数えておよそ5か月分(約30日)が算定対象で、残り7か月分は算定できません。

毎年4月にリセットされるため、翌年度の4月からは再び算定できるようになります。年度をまたいで継続利用している利用者も、4月1日を境に日数が0日にリセットされます。

月の利用日数が少ないほど対象割合が高くなる

表からわかるように、月の利用日数が少ない利用者ほど対象割合が高くなります。月3日の利用者なら年36日で、そのうち30日(約83%)に算定できます。月10日の利用者なら25%しか算定できません。

短期入所の利用者層は月数日程度の利用が多い傾向にありますが、事業所によって異なります。計画段階での収支試算には、利用者の平均的な利用頻度から対象割合を見積もる必要があります。

収支シミュレーターでの自動計算の考え方:月6日・年72日の利用者を想定する場合、30÷72=約42%が短期利用加算の算定対象割合の目安になります。

収支への影響の試算

月6日利用・定員6人・稼働率90%を例に、月の影響を試算します。

項目 計算 結果
月の延べ利用日数 定員6人×30日×90% 162日
短期利用加算の対象日数 162日×42% 約68日
月の追加収入(単位数) 30単位×68日 約2,040単位
月の追加収入(金額・10円換算) 2,040単位×10円 約20,400円
年間の追加収入 20,400円×12か月 約24.5万円

定員6人・稼働率90%の事業所で月6日利用の利用者構成の場合、短期利用加算による年間の追加収入は約24〜25万円の水準です。1単位の単価は地域区分によって異なります(10.00〜11.20円)。

1日あたりの報酬(例:区分6・単独型加算込みで1,243単位)と比較すると、30単位は約2.4%の上乗せです。大きな額ではありませんが、管理コストに見合った加算として確実に算定することが重要です。

4月のリセットタイミングが実務で重要になる

短期利用加算の管理で特に注意が必要なのは、年度末から年度初めのタイミングです。

3月末まで利用日数が30日を超えていた利用者も、4月1日の翌年度初日から日数がリセットされます。4月以降の利用については、再び30日間は算定できるようになります。

実務上は、年度ごとに利用者ごとの「当年度利用日数の累計」を管理する台帳やシステムが必要です。複数の事業所を利用している場合、利用者または利用者の家族・支援者から他事業所の利用日数を確認する手続きも発生します。

算定漏れ(算定できる日数なのに請求しなかった)と過剰請求(算定できない日数に請求した)のどちらも防ぐために、月末に当年度の累計利用日数を確認する手順を運営規程や業務マニュアルに組み込んでおくことが重要です。

他事業所の利用日数との合算が算定の実務を複雑にする

「年30日以内」の判定は、自事業所のみの利用日数ではなく、その年度に他の短期入所事業所で利用した日数も合算して数えることになっています。

これは、利用者が複数の短期入所事業所を利用している場合に問題になります。例えば、A事業所で15日、B事業所で20日利用している利用者の場合、合計35日となり、31日目以降は短期利用加算を算定できません。

実際の確認方法は、

  • 利用者のサービス等利用計画を通じて、他事業所の利用状況を把握する
  • 毎月の請求時に利用者または相談支援専門員に確認する
  • サービス担当者会議で年間の利用見込みを共有しておく

などが考えられますが、確認の仕組みは各事業所の運営に委ねられています。担当窓口(都道府県・市町村)に実務上の確認方法を問い合わせておくことを推奨します。

短期利用加算と単独型加算は同時に算定できる

単独型加算(320単位/日)と短期利用加算(30単位/日)は、条件を満たせば同日に両方算定できます。

単独型加算の算定条件は「単独型の事業所であること」(省令171第115条第3項に基づく形態)であり、短期利用加算の条件(当年度利用30日以内)とは別の要件です。

加算の組み合わせ例(区分6・単独型・短期利用加算あり):

項目 単位数
基本報酬(Ⅰ)区分6 宿泊型 923単位
単独型加算 320単位
短期利用加算 30単位
小計(加算前) 1,273単位

処遇改善加算は「所定単位数」(基本報酬+短期利用加算等の加算の合計)に乗じて計算するため、短期利用加算が算定できる日は処遇改善加算の対象となる所定単位数も増えます。

算定漏れを防ぐために開業前から仕組みを決めておく

短期利用加算の管理でよく起きる失敗は、

  1. 年度の途中で30日を超えたことに気づかず、31日目以降も算定し続けてしまう(過剰請求)
  2. 管理の手間を嫌って算定を放棄してしまう(算定漏れ)
  3. 他事業所の利用日数を確認しないまま算定する(誤算定)

過剰請求は国保連への返還請求につながるリスクがあります。算定漏れは事業所の損失です。

開業前から利用日数の管理方法を決めておく具体的な手順としては、

  • 利用者台帳に「当年度の累計利用日数」欄を設ける
  • 月末に当月分を加算し、30日に近づいた利用者をリストアップする
  • 31日目が発生する月の請求前に確認チェックを入れる
  • 相談支援専門員に年間の利用見込みと他事業所利用状況の共有を依頼する

請求ソフト(国保連への請求を行う介護・障害福祉向けのソフト)の多くは利用日数の累計管理機能を持っています。開業前のソフト選定時に「短期利用加算の日数管理ができるか」を確認しておくことをお勧めします。

収支計画では「年度初め5か月の加算収入が多く、後半は少ない」と見込む

事業所全体でみると、短期利用加算の収入は年度前半に偏る傾向があります。

年度初めの4月・5月は、利用者全員の当年度累計が少ないため、ほぼ全員に算定できます。しかし、定期的に利用している利用者(月6日以上)は8月〜9月ごろには30日を超え始め、後半は加算を算定できる利用者が減っていきます。

開業直後に4月開設でない場合(例:10月開設)は、年度中途からのスタートになるため、最初の年度で30日に達する利用者は少なく、年度末まで算定できるケースが多くなります。その翌年度からは通常のパターンに戻ります。

収支計画の精度を上げるためには、「対象割合×延べ利用日数」で月ごとの算定見込みを計算するより、実際の利用者の想定月利用日数から年間の推移を計算する方が現実に近い結果が出ます。

詳しい試算は短期入所 開業向け収支シミュレーターでご確認ください。加算の構成ごとに月別の収支を確認できます。

この記事の出典

福祉事業の開業・運営のツールと記事の一覧:fufumumu-design.com/fukushi/(無料で試せます)

すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 短期入所 開業向け収支シミュレーター

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
短期入所福祉事業の開業と運営
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました