認知症グループホームに入居中の方も、介護保険の要介護認定の有効期間が終了すれば更新申請が必要です。更新を怠ると認定が切れ、その間の介護報酬を請求できなくなります。本記事では、認定更新の手続き・更新時の注意点・要介護度が変わった場合の対応・居住継続との関係を解説します。
要介護認定の有効期間と更新義務
介護保険法第28条は、要介護認定の有効期間を定めています。有効期間は認定区分や更新回数によって異なり、最短6か月から最長3年(令和6年4月以降は最長4年に延長)です。
有効期間満了後も介護サービスを利用し続けるためには、満了前に更新申請を行う必要があります。更新申請は有効期間満了の60日前から受け付けられます。
認定が切れた状態でサービスを提供し報酬を請求した場合、保険者(市区町村)への返還が必要になります。
グループホーム入居者の更新申請の手順
グループホームに入居している方の更新申請は、以下の流れで進めます。
- 有効期間満了日の60日前を目安に、保険者(市区町村)の介護保険担当窓口に更新申請書を提出する
- 認定調査員が施設を訪問し、入居者の状態を確認する(認定調査)
- 主治医意見書が保険者から主治医に依頼される
- 介護認定審査会での審査・判定
- 認定結果の通知(有効期間・要介護度)
住所地特例が適用されている場合は、申請先が転入前の保険者(市区町村)になります。詳しくは住所地特例を参照してください。
事業所が代理申請できる場合
更新申請は入居者本人・家族のほか、事業所が代理申請することも認められています。代理申請を行う際は、委任状を取得したうえで保険者の窓口に申請します。
家族が遠方の場合や、申請を失念するリスクを避けるために、事業所が代理申請を担うケースは多くあります。開業時から代理申請のフローを整備しておくことが重要です。
認定更新後に要介護度が変わった場合
認定更新の結果、要介護度が上がった(重度化)または下がった(改善)場合は、介護報酬の単位数が変わります。
| 要介護度の変化 | 報酬への影響 |
|---|---|
| 要介護1→要介護2に上昇 | 765単位/日→801単位/日(1ユニットの場合) |
| 要介護3→要介護2に低下 | 824単位/日→801単位/日(1ユニットの場合) |
| 要介護1のまま | 変化なし |
単位数は令和6年告示第128号の1ユニット区分に基づきます。地域区分単価との掛け合わせで報酬額が変わるため、変更後の報酬を確認したうえで請求します。
区分変更申請:状態が大きく変化した場合
有効期間の途中でも、要介護度の見直しが必要な状態変化(病状の悪化・事故による機能低下など)があった場合は「区分変更申請」を行えます。区分変更申請も更新申請と同じく、保険者(市区町村)への申請が必要です。
区分変更申請が認められると、認定調査日から新たな要介護度・有効期間が設定されます。申請中の間も以前の要介護度でサービスを継続できますが、認定結果によっては請求の修正が必要になります。
認定が切れた場合の対応
有効期間満了後に認定が失効した場合でも、更新申請が受理された後に認定結果が出れば、満了日の翌日に遡って有効とみなされます(暫定措置)。ただし、認定が降りる前にサービスを提供し続けた期間の報酬請求については、認定結果が出るまで一時的に保留する対応が必要な場合があります。保険者への確認が推奨されます。
居住継続と要介護度の関係
認知症グループホームの入居継続可否は、要介護度だけで決まるものではありません。入居要件は「要介護1以上の認知症のある方」であり、たとえ要介護5になっても認知症の診断が続く限り入居継続は可能です。
ただし、要介護度が重度化して医療的ケアの必要度が増した場合(胃ろう・気管切開など)は、グループホームの体制では対応が難しくなる場合があります。その際は特別養護老人ホームや介護医療院への転居を検討します。
特養との違いについては特養との違いを参照してください。
まとめ
認知症グループホーム入居者の要介護認定は、有効期間満了前に更新申請を行う義務があります。住所地特例適用者の場合は申請先が転入前の市区町村になるため、家族への説明が重要です。事業所が代理申請を担うフローを整備しておくことで、認定切れのリスクを防ぐことができます。
開業後の運営全般については開業ガイドや収支シミュレーターも参照してください。
要介護認定の有効期間の延長(令和6年4月改定)
令和6年4月の介護保険法改正により、要介護認定の有効期間の上限が従来の3年から最長4年に延長されました。更新回数を重ねた方で、状態が安定していると認定審査会が判断した場合に適用されます。
認定有効期間が4年に延長された場合、更新申請の頻度が減り、事業所・家族双方の事務負担が軽減されます。ただし、状態が変化した場合は区分変更申請を行うことが依然として重要です。
認定更新の失念を防ぐ管理方法
認定有効期間の満了日は利用者によって異なります。事業所で複数の入居者の認定更新を管理するためには、以下の方法が有効です。
- 入居者全員の認定有効期間を一覧表(Excelやケアソフト)で管理する
- 有効期間満了日の90日前・60日前・30日前にアラートを設定する
- 月1回の定例ミーティングで更新申請が必要な入居者を確認する
- 計画作成担当者が更新申請の進捗を管理する
認定が切れると介護報酬を請求できなくなるため、万全の管理体制を整えておくことが重要です。
認定更新と居宅サービス計画の見直しの関係
認定更新の結果、要介護度が変わった場合は、居宅サービス計画の見直しも行います。要介護度が重度化した場合は目標・サービス内容を更新し、改善した場合は自立支援の観点から計画を立て直します。
居宅サービス計画の策定義務については居宅サービス計画の策定を参照してください。
要介護度が下がった場合の収入への影響と対策
認定更新で要介護度が下がると、介護報酬の基本単位数も下がります。例えば要介護3(824単位/日)から要介護2(801単位/日)に低下した場合、月約700円×9人分(その他地域換算)の収益減少となります。
要介護度が下がることはケアの質の証明でもありますが、収支には影響します。加算の取得状況や稼働率の維持によって収益を安定させることが重要です。収支の試算は認知症GH収支シミュレーターで行えます。
認定有効期間の管理ツールの活用
9人規模のグループホームでも、複数の入居者の認定有効期間を個別に把握しなければならないため、一覧表での管理が不可欠です。市販の介護ソフトの多くは認定有効期間の一括管理・アラート機能を搭載しています。
ソフト導入が難しい場合でもExcelで「入居者氏名・認定有効期間満了日・申請予定日・申請済フラグ」を管理する表を作成するだけで、認定切れを防ぐことができます。
要介護認定の申請代行と家族への説明
認知症グループホームが更新申請を代行する場合は、委任状を事前に家族から取得します。委任状には「要介護認定申請及び区分変更申請に関する手続き一切」と記載することで、その後の申請も委任を受けたとして対応できます。
家族への説明時は、認定有効期間満了の時期・申請の手順・認定結果によって報酬額が変わる可能性があることを伝えることが重要です。特に住所地特例適用者では保険者が遠方になるため、より丁寧な説明が求められます。

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