小規模多機能型居宅介護の記録・書類。何を、いつ、どれだけ保管するか。

小規模多機能型居宅介護の記録・書類。何を、いつ、どれだけ保管するか。 介護

小規模多機能型居宅介護の記録・書類の作成と保管は、省令(平成18年厚生労働省令第34号)の運営基準で義務付けられています。介護報酬の請求根拠となる記録から、BCP・虐待防止・苦情対応の記録まで、何を・いつ・どれくらいの期間保管するかを把握しておくことが運営の基本です。

記録・書類の作成が必要な理由

記録を残す目的は3つあります。

  • 介護報酬の請求根拠:記録がない日のサービスは報酬算定の対象にならない。実地指導で記録の不備が確認されると、報酬の返還を求められる場合がある
  • サービスの継続性:通い・宿泊・訪問を担当するスタッフが変わっても、記録が引き継ぎの基盤になる
  • 利用者・家族への説明責任:苦情・事故が起きたとき、記録が事実の確認手段になる

記録の種類と保管期間

小規模多機能型居宅介護で作成・保管が必要な主な記録は以下のとおりです。

主な記録・書類の種類と保管期間
書類の種類 作成タイミング 保管期間の目安
サービス記録(通い・宿泊・訪問の日次記録) サービス提供のたびに当日中 完結の日から5年間
小規模多機能型居宅介護計画(サービス計画) 利用開始時・変更時 完結の日から5年間
アセスメント記録 計画作成前・定期的な見直し時 完結の日から5年間
利用者・家族への説明・同意書 契約時・計画変更時 完結の日から5年間
苦情受付・対応記録 苦情があった都度 完結の日から5年間
事故報告書・ヒヤリハット記録 事故・ヒヤリハット発生時 完結の日から5年間
BCP(業務継続計画)・訓練記録 計画作成時・訓練実施時 実施年度を含め数年分(指定権者の指導に従う)
虐待防止委員会・研修記録 委員会・研修実施時 実施年度を含め数年分
感染症対策委員会・研修記録 委員会・研修実施時 実施年度を含め数年分
処遇改善加算の計画・実績報告書 毎年度の届け出時・報告時 届け出年度を含め数年分
身体拘束に関する検討記録 身体拘束が発生した場合・定期検討時 記録が完結した日から5年間

保管期間の「5年間」は、省令の改正で平成30年度から「2年間から5年間に延長」されました。サービスが終了した後も5年間の保管が義務付けられているため、電子化・ファイリングの体制を早期に整えることが重要です。

サービス記録の記載内容

通い・宿泊・訪問のそれぞれについて、以下の内容を記録することが求められます。

サービス記録の記載内容(主なもの)
サービス種別 記録すべき主な内容
通い 日付・参加者・活動内容・食事の様子・バイタル(体温・血圧等)・特記事項
宿泊 入室・退室日時・夜間の様子(睡眠・排泄等)・翌朝の状態・特記事項
訪問 日付・開始・終了時間・担当者・訪問先・提供した支援内容・状態の変化・特記事項

「特記事項」は、普段と異なる状態(体調変化・行動の変化・家族からの申し送り等)を記録する欄です。実地指導ではこの欄の記録が「利用者の状態変化に気づいて対応しているか」の確認に使われます。

記録の電子化

記録は紙でも電子媒体でも保管できます。介護ソフト(記録システム)を使った電子化は、以下の点で運営効率と記録品質の向上につながります。

  • スタッフ間のリアルタイムな情報共有(通い・宿泊・訪問の申し送りが即時共有)
  • 記録の検索・抽出が容易(実地指導時の書類準備が楽になる)
  • 転記ミスの防止(手書きから電子入力への一元化)

電子記録を採用する場合、データの不正改ざんを防ぐためのアクセス管理・バックアップ体制の整備が必要です。

書類の保管場所と個人情報管理

記録・書類には利用者の個人情報が含まれるため、以下の管理が必要です。

  • 鍵のかかるキャビネット・サーバーへの保管
  • アクセス権限の設定(閲覧できる職員の範囲を制限)
  • 廃棄方法の定め(シュレッダー等による完全廃棄)
  • 個人情報の取り扱いに関する職員教育

個人情報保護法(平成15年法律第57号)に基づき、利用者・家族の個人情報を第三者提供する場合は原則として本人の同意が必要です(緊急時を除く)。

記録がない場合のリスク

実地指導で「記録がない」と判断された場合のリスクは以下のとおりです。

  • 介護報酬の返還(記録がない期間のサービスについて報酬請求が否認される)
  • 改善勧告(記録体制の改善を求められ、一定期間内に報告義務が生じる)
  • 苦情・事故時に事業所が事実を証明できなくなる

「記録を書く時間がない」という現場の声は多いですが、記録のない運営は介護保険制度上のリスクと直結します。記録のための時間をシフトに組み込む・記録テンプレートを整備する等の工夫が必要です。

小規模多機能型居宅介護の収支計画の試算は、小規模多機能型居宅介護 収支シミュレーターで確認できます。

参考・出典

  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
  • 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)
  • 指定地域密着型サービス及び指定地域密着型介護予防サービスに関する基準について(通知)

この記事は2026年11月時点の法令・通知に基づいています。

福祉事業の開業・運営に関するツールと記事の一覧は福祉事業の開業と運営(入口ページ)にまとめています。収支シミュレーター・経営診断・法定研修キットを無料で試せます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
介護
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました