危険物取扱者甲種は、すべての種類の危険物を扱える国家資格です。試験は法令15問・物理化学10問・性質消火20問の計45問(2時間30分)で、各科目60%以上かつ全体60%以上が合格基準です。合格率は34〜38%で、乙4(約37%)と近い水準ですが、全類を対象とする性消20問が難関です。受験には乙種免状4種類以上の保有か、化学系の学歴か、実務経験2年以上が必要です。
危険物甲種とは|全類取扱い資格の概要
危険物取扱者甲種(以下「甲種」)は、消防法が定める危険物取扱者資格の最上位です。乙種(第1〜6類)が各類限定なのに対し、甲種は第1類から第6類のすべての危険物を取り扱えます。甲種免状を持つ者は危険物保安監督者にも選任でき、石油化学プラント・製油所・化学工場などで活躍します。
出典:消防法第13条、消防試験研究センター(https://www.shoubo-shiken.or.jp/)
試験構成と合格基準
| 科目 | 問題数 | 合格ライン | 内容 |
|---|---|---|---|
| 法令 | 15問 | 9問以上(60%) | 消防法・危険物政令・製造所等の規制 |
| 物理化学 | 10問 | 6問以上(60%) | 物理・化学の基礎理論・計算問題 |
| 性質消火 | 20問 | 12問以上(60%) | 第1〜6類の性質・貯蔵・消火方法 |
| 合計 | 45問 | 各科目60%以上かつ全体60%以上 | 試験時間:2時間30分 |
3科目すべてで60%以上を取る必要があります。1科目でも基準を下回ると不合格です。乙4の試験時間(2時間)より30分長く、問題数も10問多い構成です。
合格率は34〜38%|令和5年度は34.3%
消防試験研究センターが公表する甲種の合格率は例年34〜38%で推移しています。令和5年度は34.3%でした。乙4の合格率(約37%)とほぼ同水準ですが、甲種は受験資格がある程度専門知識を持つ層に限られるため、実質的な難易度は高いと言えます。
詳しくは→危険物甲種の合格率は34〜38%|乙4・乙種との比較と科目別難易度
受験資格は3ルートある
甲種の受験資格は以下の3ルートのいずれかを満たす必要があります。乙4のように受験資格不問ではありません。
- 学歴ルート:大学・短大・高専等で化学に関する授業科目を15単位以上修得して卒業
- 乙種ルート:乙種危険物取扱者免状を4種類以上保有(第1〜6類のうち4種類)
- 実務ルート:危険物取扱いの実務経験2年以上(丙種または乙種免状が必要)
最も現実的なのは乙種ルートです。乙4を持っている方は、あと3種類の乙種(第1・2・3・5・6類のうち3種類)を追加取得することで甲種受験資格を得られます。
詳しくは→危険物甲種の受験資格は3ルート|乙種4種類・化学15単位・実務2年の条件と確認方法
乙4との主な違い
| 項目 | 甲種 | 乙4 |
|---|---|---|
| 対象危険物 | 第1〜6類すべて | 第4類(引火性液体)のみ |
| 問題数 | 45問(法令15・物化10・性消20) | 35問(法令15・物化10・性消10) |
| 試験時間 | 2時間30分 | 2時間 |
| 受験資格 | 学歴・乙4種類・実務2年のいずれか | 誰でも受験可 |
| 合格率 | 34〜38% | 約37% |
| 保安監督者 | すべての類で選任可 | 第4類のみ |
甲種の最大の特徴は「性消20問で全6類を対象とする」点です。乙4は第4類だけなのに対し、甲種は第1類(酸化性固体)から第6類(酸化性液体)まで全類の性質・貯蔵・消火方法を覚える必要があります。
詳しくは→甲種と乙4の違い・ダブル取得の意味
科目別対策
法令15問の攻略
甲種の法令は乙4と出題範囲がほぼ同じです。製造所等の設置・変更許可、保安距離・保有空地、危険物保安監督者の選任・解任、定期点検の義務など、条文を整理して覚えます。乙4の知識が活かせる科目です。
物理化学10問の攻略
甲種の物化は乙4より出題範囲が広く、化学計算(モル計算・気体の状態方程式・密度)が頻出です。乙4では出題されにくい酸化還元反応・電気化学・化学平衡の問題も出ます。理系出身者は得点源にしやすい科目です。
性消20問の攻略
甲種最大の難関です。第1〜6類それぞれの主な品名・性状・貯蔵方法・消火方法をすべて覚える必要があります。乙4は第4類だけですが、甲種は他5類を追加で学ぶことになります。類ごとに整理して覚えるのが効率的です。
危険物の類別対策
甲種の性消20問を攻略するには、各類の特徴を整理することが重要です。
- 第1類 酸化性固体(過塩素酸塩類・塩素酸塩類・硝酸塩類)
- 第2類 可燃性固体(硫化りん・赤りん・硫黄・マグネシウム)
- 第3類 自然発火・禁水性物質(カリウム・ナトリウム・黄りん)
- 第4類 引火性液体(乙4で学ぶ内容と共通)
- 第5類 自己反応性物質(有機過酸化物・ニトロ化合物)
- 第6類 酸化性液体(過塩素酸・過酸化水素・硝酸)
勉強法と勉強時間の目安
乙4合格者が甲種を受験する場合、追加の勉強時間は100〜200時間が目安です。法令は乙4の知識が活かせるため優先度は低め。性消(第2・3・5・6類の追加学習)と物化(計算問題)に時間を集中させます。
詳しくは→危険物甲種の独学合格に必要な勉強時間と優先科目の組み立て方
甲種取得後のキャリア
甲種取得後は危険物保安監督者(すべての類)に選任される資格を得ます。石油化学・化学工業・ガス会社・消防設備会社などの求人で評価されます。さらに上位の資格として危険物保安統括管理者や甲種防火管理者と組み合わせると、保安管理職としての市場価値が高まります。
詳しくは→甲種取得後のキャリア・危険物保安統括管理者・保安監督者
この記事について
掲載情報は消防試験研究センター公表データ(令和5年度)および消防法・危険物の規制に関する政令に基づいています。制度改正により変更される場合があるため、受験申込前に消防試験研究センター公式サイト(https://www.shoubo-shiken.or.jp/)で最新情報を確認してください。
作成:fufumumu_design 最終更新:2026年11月
関連記事一覧
- 受験資格3ルート(乙種4種類・化学15単位・実務2年)
- 合格率34〜38%の内訳・乙4との比較
- 独学勉強法・勉強時間の目安
- 物理化学10問の攻略
- 法令15問の攻略
- 性消20問の攻略
- 第1類 酸化性固体の対策
- 第2類 可燃性固体の対策
- 第3類 自然発火・禁水性の対策
- 第5類 自己反応性物質の対策
- 第6類 酸化性液体の対策
- 甲種と乙4の違い・ダブル取得の意味
- 乙4→甲種への最短取得ルート
- 物化計算問題の解き方
- 燃焼の三要素・消火理論
- 甲種取得後のキャリア
- 甲種の過去問とAI練習問題の活用法
- 甲種の難易度(他の国家資格との比較)
- 物化の基礎理論(原子・化学結合・酸化還元)
- 甲種向けテキスト・参考書の選び方


コメント