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循環比(循環倍率)と水循環の仕組みは、水管ボイラーの構造を理解する上で欠かせない概念です。一級ボイラー技士試験では、循環比の計算・各方式での循環推進力・循環障害の原因と対策が出題されます。
循環比とは
循環比(循環倍率)は、水管内を循環する水量と実際に蒸気となって発生する量の比です。
循環比 = 循環水量(kg/h)÷ 発生蒸気量(kg/h)
例えば循環比が10の場合、水管内を循環している水の量は実際に発生する蒸気量の10倍です。水管内に常に十分な水が存在することで、局部的な過熱(ドライアウト)を防ぎます。
自然循環の仕組みと推進力
自然循環は水管ボイラー固有の現象で、加熱された水と加熱されていない水の密度差が循環の原動力となります。
循環の流れ
- 加熱管(昇水管・水冷壁管)内の水が燃焼ガスで加熱されて温度が上がり、密度が小さくなる
- 密度の小さい水(または気水混合物)が上昇して蒸気ドラムへ向かう
- 蒸気ドラムで気水が分離され、蒸気は送り出される
- 加熱されていない水(密度大)が降水管を通って下部ドラムへ降下する
- この密度差による圧力差(有効推進力)が循環の原動力となる
自然循環の有効推進力
循環推進力は以下の要因で決まります:
- 昇水管の高さ(H):高いほど推進力が大きい
- 密度差(ρ水 – ρ気水混合物):密度差が大きいほど推進力が大きい
- 圧力の影響:圧力が高いほど水と蒸気の密度差が小さくなり、推進力が低下する
循環推進力(Pa)= H × g × (ρ降水管 – ρ昇水管)
H:昇水管の高さ(m)、g:重力加速度(9.8 m/s²)、ρ:密度(kg/m³)
圧力と循環比の関係
| 圧力 | 水密度 | 蒸気密度 | 密度差 | 循環比(目安) |
|---|---|---|---|---|
| 1 MPa | 約887 kg/m³ | 約5.2 kg/m³ | 大きい | 20〜30程度 |
| 10 MPa | 約688 kg/m³ | 約55 kg/m³ | 中程度 | 6〜10程度 |
| 16 MPa | 約582 kg/m³ | 約110 kg/m³ | 小さい | 3〜5程度 |
臨界圧(22.1 MPa)に近づくほど水と蒸気の物性差がなくなり、自然循環は成立しなくなります。これが超高圧域で貫流式が用いられる理由です。
強制循環式の循環比
強制循環式ではポンプで任意の流量を確保するため、高圧域でも一定の循環比を維持できます。一般に循環比は3〜10程度に設計されます。ポンプの能力を超えた状態(ポンプ故障等)が循環障害の原因となるため、ポンプの状態監視が重要です。
貫流式の循環比
貫流式は給水が管内を一方向に流れるだけで循環しません。そのため循環比は常に1です。1回の通過で水→蒸気→過熱蒸気と変化するため、管内でのドライアウト(水が完全に蒸発して管壁が過熱される現象)の防止と水質管理が特に重要です。
循環障害の種類と原因
| 障害の種類 | 原因 | 対策 |
|---|---|---|
| 逆循環 | 昇水管と降水管の熱負荷バランス崩れ | 水管配置の適正化・燃焼分布の均一化 |
| 停滞循環 | スケール付着による熱伝達低下・循環力不足 | 定期的なブロー・スケール防止処理 |
| ドライアウト | 管内水量不足・局部的な高熱負荷 | 給水量の適正管理・循環比の確保 |
| サーマルショック | 急激な温度変化(起動・停止時) | ゆっくりとした昇圧・降圧操作 |
試験対策まとめ
- 循環比=循環水量÷発生蒸気量。大きいほど管の保護に有利
- 自然循環の推進力は密度差と管の高さで決まる
- 高圧になるほど密度差が小さくなり、自然循環の推進力が低下する
- 貫流式は循環比=1。水質管理と局部過熱防止が重要
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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