ITパスポートの勉強をしている方へ。
IPA(情報処理推進機構)が公開している「令和8年度 ITパスポート試験 公開問題」を、問1から問100まで全部読みました。読んだだけではなく、1問ずつ解説を付けて、私たちのアプリで無料で解けるようにしました。
この記事は、その作業の中で見えてきた「令和8年度はこういう試験だった」という傾向を、数字と具体例で整理したものです。感想ではなく、100問を数えた結果に基づいて書いています。
目次
- 公開問題とは何か、どこで手に入るか
- 公式の区切り:ストラテジ34問・マネジメント20問・テクノロジ46問
- AIに関する問題は5問ありました
- セキュリティは約2割、今年も最大のかたまりです
- 計算・表を読む問題は、落ち着けば解けます
- 2027年の6分野に当てはめると、どう見えるか
- 令和7年度と並べて見えてきたこと
- 過去問の使い方で、差がつきます
- 令和7年度と合わせて200問、無料で解けます
- よくある疑問に答えます
- まとめ
公開問題とは何か、どこで手に入るか
ITパスポート試験はCBT方式(会場のパソコンで受験)で年間を通じて実施されており、受験者ごとに出題される問題が異なります。そのため「試験問題そのもの」は原則として公開されていませんが、IPAは毎年度、実際に出題した問題の中から100問を「公開問題」としてPDFで公表しています。
令和8年度分も、IPAの公式サイト(過去問題のページ)に、問題冊子と解答例の2つのPDFが掲載されています。問題冊子は表紙を含めて56ページで、試験時間120分・問1から問100まで全問必須、という本番と同じ体裁です。
今回は、この2つのPDFを直接ダウンロードして読みました。解答例のPDFは文字データとして取り出せましたが、問題冊子のほうは画像として保存されているPDFだったため、1ページずつ画面で読みながら書き起こし、最後に「問題番号が1から100まで欠けなく揃っているか」「選択肢が4つずつあるか」「解答例の記号と食い違いがないか」を機械的に照合しました。
公式の区切り:ストラテジ34問・マネジメント20問・テクノロジ46問
問題冊子には、分野の切り替わる場所に囲み文が入っています。令和8年度の公開問題では、次のように区切られていました。
| 分野(冊子の表記) | 問題番号 | 問数 |
|---|---|---|
| ストラテジ系 | 問1〜問34 | 34問 |
| マネジメント系 | 問35〜問54 | 20問 |
| テクノロジ系 | 問55〜問100 | 46問 |
テクノロジ系が半分近くを占める、というのは例年どおりの構成です。「ITの資格だから技術の問題ばかりだろう」と身構える方もいますが、ストラテジ系(経営・法律・会計など)とマネジメント系(開発の進め方・運用など)を合わせると54問、つまり半分以上は、ふだんの仕事の言葉で考えられる問題だということも、この数字から分かります。
AIに関する問題は5問ありました
100問のうち、問題文や選択肢に「AI」「生成AI」「ニューラルネットワーク」といった言葉が登場する問題は5問でした。テーマだけを挙げると、次のとおりです。
- 問1:生成AIで作った楽曲について、既存の著作権者の許諾が必要になり得るケースはどれか(著作権との関係)
- 問17:AIを利活用する上で留意すべき事項として適切なものはどれか
- 問27:「強いAI」と「弱いAI」に分けたとき、弱いAIの説明として適切なものはどれか
- 問82:ニューラルネットワークの学習に用いられるバックプロパゲーションで行われていることは何か
- 問98:プロンプトエンジニアリングの説明として適切なものはどれか
注目したいのは、5問の中身の幅です。著作権(法律)、利活用の留意点(倫理・ガバナンス)、AIの分類(概念)、学習の仕組み(技術)、プロンプト(使い方)と、切り口がすべて違います。「AIの問題=技術用語の暗記」ではなく、法律・倫理・技術・活用の4方向から少しずつ出ている、というのが令和8年度の実態でした。
そして問1が、100問の最初の問題として「生成AIと著作権」だったことは、象徴的だと感じました。2027年度の新シラバス案では「AI利活用」「AI技術」「情報倫理・AI倫理」といった項目が正式に立てられますが、その方向性は、現行試験の中にもすでに表れています。
セキュリティは約2割、今年も最大のかたまりです
問題文や選択肢に「セキュリティ」「認証」「暗号」「マルウェア」「攻撃」といった言葉が含まれる問題を数えると、21問ありました。単純に数えただけでも、100問の約2割です。
内容は、IoT機器(ネットワークカメラ)の初期パスワード、バイオメトリクス認証の精度の考え方(他人受入率と本人拒否率)、認証の三要素(知識・所有物・生体)、DoS攻撃、情報セキュリティの三要素(機密性・完全性・可用性)など、いわば定番の論点が中心です。目新しさより「基本を正確に理解しているか」を確かめる出題が多い印象でした。
セキュリティは、テクノロジ系の中でも用語の意味さえ押さえれば得点しやすい領域です。100問中20問前後をここで安定させられると、合格ラインがぐっと近くなります。
計算・表を読む問題は、落ち着けば解けます
数字や表が出てくる問題も、いくつかありました。たとえば次のようなものです。
- 問26:貸借対照表(流動資産・固定資産・流動負債・固定負債・資本金の5つの数字)から、自己資本比率を求める
- 問74:表計算ソフトで、2桁の2進数どうしの足し算を行うとき、2の位のセルに入れる式を選ぶ
- 問80:バイオメトリクス認証で、他人受入率と本人拒否率をそれぞれ「高く」「低く」のどちらに設定すると、安全性重視・利便性重視になるか
どれも、高度な数学は必要ありません。問26は「純資産÷総資産」という一つの式を知っていれば解けますし、問74は「2の位の3つのセルの合計が2になったら桁上がりして0になる」という2進数の基本を、表計算の式に置き換えるだけです。
問26を実際にやってみます(出典:令和8年度 ITパスポート試験 問26)。表には、流動資産730、固定資産270、流動負債200、固定負債500、資本金300(単位は百万円)とあります。総資産は730+270=1,000。純資産(自己資本)は、表の資本金300をそのまま使ってもよいですし、総資産1,000から負債合計700(200+500)を引いても同じ300になります。自己資本比率は300÷1,000=30%で、選択肢の「30」が答えです。数字が5つ並んでいるので難しそうに見えますが、使うのは足し算と割り算だけです。
こうした問題で大切なのは、本番で焦らないことです。表を見た瞬間に飛ばしてしまう方が多いのですが、公開問題で一度手を動かして「なんだ、これだけか」と体感しておくと、本番で拾える1〜2問になります。
2027年の6分野に当てはめると、どう見えるか
私たちのアプリでは、2027年度の新試験を見据えて、問題を新シラバス案の6分野(ビジネス変革/データ・AI利活用/組織活動/デジタル技術/セキュリティ/倫理・コンプライアンス)に振り分けて表示しています。令和8年度の100問を、この6分野に当てはめてみた結果が次の表です。
| 新試験の分野(当サイトの振り分け) | 問数 |
|---|---|
| デジタル技術 | 29問 |
| ビジネス変革 | 27問 |
| セキュリティ | 20問 |
| 組織活動 | 11問 |
| データ・AI利活用 | 7問 |
| 倫理・コンプライアンス | 6問 |
先にお断りしておくと、この振り分けはIPAが行ったものではなく、当サイトが問題の内容を見て便宜的に対応付けたものです。1つの問題が2つの分野にまたがることもあるため、あくまで目安として見てください。
そのうえで気づくのは、「データ・AI利活用」が7問、「倫理・コンプライアンス」が6問と、2027年度に厚くなると見込まれる分野が、現行試験ではまだ比較的少ないという点です。裏を返せば、この2分野は、これから公開問題の蓄積が最も薄いまま新試験を迎える領域だといえます。過去問だけに頼らず、新シラバス案の用語に目を通しておく意味は、ここにあります。
令和7年度と並べて見えてきたこと
私たちのアプリには、令和7年度の公開問題100問も入っています。2年分を並べてみると、AIに関する出題は令和7年度にもありました。たとえば、AIの学習データの品質やバイアスを下げる対策を問う問題や、生成AIが事実と異なる内容をもっともらしく出力する現象(ハルシネーション)の名称を問う問題です。
令和7年度が「用語の名前」や「データの扱い」を問う出題だったのに対して、令和8年度は「著作権との関係」「プロンプトの書き方」「学習の仕組み」まで踏み込んでいます。2年分を見比べただけでも、AIの出題が少しずつ具体的になってきているのが分かります。
逆に、変わっていないものもあります。SWOT分析や貸借対照表、DBMSやネットワークの基本、情報セキュリティの三要素といった土台のテーマは、両年度に共通して出ています。「新しい話題が増える」と「土台は変わらない」は、同時に起きている、ということです。
過去問の使い方で、差がつきます
公開問題は年に100問ずつしか増えないので、大切に使いたい教材です。おすすめの使い方を3つだけ書いておきます。
① まず1年分を、時間を測って通しで解く
120分で100問という時間配分を体で覚えるのが目的です。1問あたり1分強しかないことを、最初に実感しておいてください。
② 間違えた問題は「なぜその選択肢が違うのか」まで確認する
正解を覚えるだけだと、選択肢の文言が少し変わったときに対応できません。4つの選択肢それぞれについて、正しい理由・違う理由を言えるようにしておくと、似た問題に強くなります。
③ 分野ごとの正答率を見て、弱いところだけを重点的に
100問を解けば、自分がどの分野で落としているかがはっきりします。全部をまんべんなくやり直すより、弱い分野の用語を集中的に押さえるほうが、短い時間で点が伸びます。
④ 「組合せ」形式の問題は、先に一つずつ○×を付ける
令和8年度の100問を数えると、「a、b、cのうち適切なものを全て挙げたものはどれか」という形式が11問、「空欄a、bに入る語句の組合せはどれか」という形式が8問ありました。合わせて19問、およそ2割がこの形式です。選択肢の「a, b」「b, c」を見比べる前に、まず記述a・b・cそれぞれに自分で○か×を付けてしまうのがコツです。そうすると、迷う選択肢が自然に消えていきます。逆に、選択肢から先に見ると、どれももっともらしく見えて時間だけが過ぎていきます。
令和7年度と合わせて200問、無料で解けます
今回の作業で、私たちのアプリには「令和7年度 公開問題100問」と「令和8年度 公開問題100問」の合計200問が入りました。どちらも無料で、回数制限なく、何度でも解けます。問題文・選択肢・正解はIPAが公表したものをそのまま使い、解説と選択肢ごとのコメントは当サイトが作成しました。
1問ごとに、4つの選択肢すべてに「なぜ正しいか・なぜ違うか」のコメントを付けています。先ほどの「間違えた問題は選択肢ごとに確認する」という使い方が、そのまま画面上でできるようにしたつもりです。
あわせて、2027年度の新試験向けにIPAが公表したサンプル問題4問と、新シラバス案にそってAIが作る予想問題も、同じアプリの中にあります。「まず過去問で土台を固めて、新しい分野は予想問題で補う」という使い分けができます。
よくある疑問に答えます
Q. 公開問題は、本番と同じ難しさですか?
A. 公開問題は「実際に出題した問題」の中から選ばれたものなので、難易度の感覚は本番に近いと考えてよいです。ただし、本番では受験者ごとに異なる問題が出るため、公開問題で満点が取れても、本番で見たことのない問題が出ることは普通にあります。
Q. 令和8年度の公開問題だけやれば十分ですか?
A. 1年分100問だけでは、出題範囲の全部をカバーしきれません。少なくとも2〜3年分は解いておくのがおすすめです。私たちのアプリでは、まず令和7年度・令和8年度の2年分200問を用意しました。
Q. 2027年度から試験が変わると聞きました。今の過去問は無駄になりませんか?
A. 出題分野の呼び方や構成は変わる見通しですが、今回の100問を見ても、経営・会計・セキュリティ・ネットワークなどの土台のテーマは新シラバス案にも引き継がれています。無駄にはなりません。一方で、AI・データ関連は現行の過去問だけでは足りない可能性が高いので、そこは新シラバス案の用語で補ってください。
Q. アプリの解説は誰が書いていますか?間違いはありませんか?
A. 解説と選択肢ごとのコメントは当サイトが作成し、公開前に「正解の記号と解説の内容が矛盾していないか」を全問チェックしています。それでも、誤りが残っている可能性はゼロではありません。お気づきの点は、アプリ内の「間違いを報告」ボタンからお知らせいただけると助かります。
まとめ
令和8年度のITパスポート公開問題100問を読んで、分かったことを整理します。
- 公式の区切りは、ストラテジ系34問・マネジメント系20問・テクノロジ系46問でした
- AIに関する問題は5問。著作権・倫理・概念・技術・使い方と、切り口が全部違いました
- セキュリティ関連は約2割で、今年も最大のかたまりでした
- 計算・表の問題は、式を1つ知っていれば解けるものがほとんどです
- 2027年度に厚くなる見込みの「データ・AI利活用」「倫理・コンプライアンス」は、現行の過去問ではまだ少なめです
- 令和7年度と合わせて200問を、無料で、解説付きで解けるようにしました
過去問は、読むだけでは力になりません。一度、時間を測って100問通しで解いてみてください。そこで見えた自分の弱点が、いちばん確かな勉強の地図になります。
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※この記事は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公式サイトで公開している「令和8年度 ITパスポート試験 公開問題」の問題冊子および解答例を、2026年9月に直接確認して書いています。問数・区切りは冊子の記載に基づき、分野別の集計は当サイトが問題内容から便宜的に振り分けたものです。IPAは公開問題について、教育目的など試験制度の意義に反しない限り利用を認め、出典の明記を求めています。アプリ内でも各問題に出典を表示しています。
※この記事とアプリは、IPAとは関係のない、非公式のものです。過去問の解説は当サイトが作成したもので、AIが生成した予想問題には内容に誤りが含まれる場合があります。お気づきの点は、アプリ内の「間違いを報告」からお知らせいただけると助かります。


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