児童発達支援と放課後等デイサービスは、法律上の対象と、基本報酬の単位数が違います。ただし、人員基準、地域区分の単価、主な加算は、同じです。令和6年度決算の全国データでは、事業所ごとの収支差率の中央値は、児童発達支援が9.7%、放課後等デイサービスが2.7%でした。ただし、標本調査で、差の理由は表から分かりません。この記事では、公的な資料の数字を並べて、どちらで開業するかを考えるための見分け方を、整理します。
児童発達支援と放課後等デイサービスは、何が違いますか
いちばん大きな違いは、法律で決まっている対象です。放課後等デイサービスは、学校に就学している障害児が、授業の終了後や休業日に使うサービスで、児童発達支援には、就学の条件がありません。
| 項目 | 児童発達支援 | 放課後等デイサービス |
|---|---|---|
| 法律上の対象 | 障害児につき、児童発達支援センターその他の施設に通わせ、日常生活における基本的な動作と知識技能の習得、集団生活への適応のための支援などを行う | 学校(幼稚園と大学を除く)などに就学している障害児につき、授業の終了後または休業日に、生活能力の向上のために必要な支援、社会との交流の促進などを行う |
| 基本報酬の決まり方 | 支援の提供時間で決まる「時間区分」1〜3 | 同じく「時間区分」1〜3。ただし、区分3は学校休業日だけ算定できる |
| 基本報酬(定員10人以下) | 901/928/980単位 | 574/609/666単位 |
| 利用者負担の無償化(3〜5歳) | 満3歳になって初めての4月1日から3年間は、利用者負担が無料 | 令和元年の資料に載っている無償化の対象サービスに、含まれていない |
| 令和8年6月以降の新規指定 | 基本報酬が所定単位数の1000分の988 | 基本報酬が所定単位数の1000分の982 |
| 処遇改善加算の率(Ⅰイ) | 15.2% | 15.5% |
児童福祉法第6条の2の2、報酬算定構造(令和6年度)、就学前障害児の発達支援の無償化に関する資料(令和元年8月29日発出版)、令和8年度報酬改定の資料で確認。基本報酬は、児童発達支援センター以外・主に未就学児・定員10人以下・医療的ケア児区分に当たらない一般の区分、放課後等デイサービスは、主として重症心身障害児以外・定員10人以下・一般の区分。
報酬の表では、児童発達支援のセンター以外の事業所に、「主に未就学児」の区分と、「上記以外」の区分があります。この記事の数字は、「主に未就学児」の一般の区分です。
人員基準や加算は、同じですか
人員基準、地域区分の単価、主な加算の単位数は、同じです。違うのは、基本報酬の単位数、無償化、新規指定の引き下げ率、処遇改善加算の率です。
- 人員基準:児童指導員または保育士は、障害児の数が10人までは2人以上、10人を超えるときは、2人に、10人を超えて5人(端数を含む)ごとに1人を加えた数以上です。児童発達支援管理責任者は1人以上です(出典:指定通所支援の基準省令〔平成24年厚生労働省令第15号〕の第5条と第66条)。
- 地域区分の単価:どちらも人件費割合60%の区分で、1単位の単価は、1級地11.20円から、その他の地域10.00円までです。
- 主な加算(定員10人以下):児童指導員等加配加算は1日90〜187単位、専門的支援体制加算は1日123単位、福祉専門職員配置等加算は1日6〜15単位、医療連携体制加算(Ⅰ)〜(Ⅲ)は1日32・63・125単位、送迎加算は片道54単位です。
同じ人数が利用したら、月の基本報酬は、どれくらい違いますか
定員10人で、1日に平均6.5人が利用し(稼働率65%)、月に22日開く事業所を考えると、基本報酬だけの月の収入は、児童発達支援(時間区分2)が約132.7万円、放課後等デイサービス(平日・時間区分2)が約87.1万円です。1人1日あたりの単価は、児童発達支援が9,280円、放課後等デイサービスが6,090円で、約1.5倍の差があります。
| サービスと時間区分 | 単位数 | 1人1日 | 月の基本報酬(円) |
|---|---|---|---|
| 児童発達支援 時間区分1(30分以上1時間30分以下) | 901 | 9,010円 | 1,288,430 |
| 児童発達支援 時間区分2(1時間30分超3時間以下) | 928 | 9,280円 | 1,327,040 |
| 児童発達支援 時間区分3(3時間超5時間以下) | 980 | 9,800円 | 1,401,400 |
| 放課後等デイサービス 平日・時間区分1 | 574 | 5,740円 | 820,820 |
| 放課後等デイサービス 平日・時間区分2 | 609 | 6,090円 | 870,870 |
| 放課後等デイサービス 学校休業日・時間区分3 | 666 | 6,660円 | 952,380 |
定員10人・1日の利用のべ人数6.5人・月22日・その他の地域(1単位10円)・加算なし・令和8年6月以降の新規指定の引き下げ前で計算した例です(当方の計算)。実在の事業所の数字ではありません。
ただし、この差は、利用の日数と人数が同じだと仮定した場合の、単価だけの比較です。実際の収入は、利用日数、稼働率、時間区分、加算で変わります。次の項目で、全国の実績を確認します。
全国の実績では、収入と収支は、どちらが高いのですか
令和6年度決算の全国の平均では、1事業所あたりの年間収入は、放課後等デイサービスが約3,102.5万円、児童発達支援が約2,213.1万円で、放課後等デイサービスのほうが高くなっています。定員1人あたりの年間収入も、放課後等デイサービスは約290.6万円、児童発達支援は約168.9万円です。単価が高い児童発達支援のほうが、定員あたりの収入は低い、という結果です。定員10人以下の区分どうしで比べても、児童発達支援は約190.5万円、放課後等デイサービスは約324.1万円で、同じ向きです。
| 項目(令和6年度決算) | 児童発達支援 | 放課後等デイサービス |
|---|---|---|
| 調査に有効回答した事業所数 | 320 | 304 |
| 収入 | 2,213.1万円 | 3,102.5万円 |
| 支出 | 2,041.0万円 | 2,819.4万円 |
| 収支差率(表の平均) | 7.8% | 9.1% |
| 収支差率(事業所ごとの中央値) | 9.7% | 2.7% |
| 赤字の事業所の割合 | 33.8% | 45.4% |
| 定員10人以下の収支差率(事業所数) | 14.4%(242) | 7.9%(268) |
| 平均の定員 | 13人 | 11人 |
| 定員1人あたりの年間収入 | 168.9万円 | 290.6万円 |
| 定員10人以下の、定員1人あたり年間収入 | 190.5万円 | 324.1万円 |
| 給与費の割合 | 68.0% | 64.4% |
| サービス換算職員数 | 5.85人 | 5.13人 |
1事業所あたり・1年間の数字です。厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。児童発達支援は第24表、放課後等デイサービスは第25表。給与費の割合は、給与費を収入で割った当方の計算です。平均の定員は、表の数字(整数)です。サービス換算職員数は、原典では整数(児童発達支援6人、放課後等デイサービス5人)で表示されており、小数は、給与費を職員1人あたりの給与費で割った当方の換算です。
収支差率は、表の平均では、放課後等デイサービスのほうが高く(9.1%と7.8%)、事業所ごとの中央値では、児童発達支援のほうが高く(9.7%と2.7%)なっています。表の平均は、収入の大きい事業所の影響を受けます。放課後等デイサービスは、平均と中央値の差が大きく、収支差率が大きく違う事業所が混ざっています。詳しくは、放課後等デイサービスの収支差率は、平均9.1%なのに中央値が2.7%なのはなぜかで整理しています。
ただし、次の点に注意してください。
- 標本調査です。すべての事業所の数字ではありません。調査対象は、児童発達支援が750事業所(有効に回答したのは320事業所・42.7%)、放課後等デイサービスが760事業所(同304事業所・40.0%)です。
- 児童発達支援の表には、児童発達支援センターが含まれている可能性があります。この調査の表では、センターとそれ以外の事業所は、分けられていません。
- 開業したばかりの事業所の数字ではありません。すでに運営している事業所の平均です。開業直後は、利用児童が少なく、この水準に届くまで時間がかかります。
- 差の理由は、この表からは分かりません。稼働率、利用日数、加算の取得、法人の種類、地域などが、混ざっています。
事業所の数は、どちらが多く、どれくらい増えていますか
令和7年1〜3月時点の全国の事業所数は、放課後等デイサービスが22,748か所、児童発達支援が13,831か所です。直近1年の伸びは、児童発達支援が約10.2%、放課後等デイサービスが約6.8%で、児童発達支援のほうが、速く増えています。
| 項目 | 児童発達支援 | 放課後等デイサービス |
|---|---|---|
| 事業所数(令和7年1〜3月) | 13,831か所 | 22,748か所 |
| 1年前(令和6年1〜3月) | 12,556か所 | 21,305か所 |
| 1年間の伸び | 約10.2% | 約6.8% |
| 1事業所あたりの月平均費用額 | 約178万円 | 約219万円 |
厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉サービス等の最近の動向について」(社会保障審議会障害者部会)の資料。国保連のデータで、各期の3月分の平均値です。費用額は、国保連の総費用額を事業所数で割った額で、利用者負担を含みます。児童発達支援には、児童発達支援センターが含まれている可能性があります(資料では分けられていません)。
事業所が増えている中で、開業することになります。開業する地域に、すでに同じサービスの事業所がどれくらいあるかは、この資料からは分かりません。開業を考える市区町村で、事業所の数と、利用したい子どもの数を、自治体や相談支援事業所に聞いてみてください。
令和8年6月以降に開業すると、基本報酬は、どうなりますか
令和8年6月1日以降に新しく指定を受けた事業所は、基本報酬が、児童発達支援で所定単位数の1000分の988(約1.2%の引き下げ)、放課後等デイサービスで1000分の982(約1.8%の引き下げ)になります。令和9年度の報酬改定までの臨時措置です。
例えば、上の例(定員10人・1日6.5人・時間区分2)で引き下げ後の基本報酬を計算すると、児童発達支援は約131.1万円(引き下げ前は約132.7万円)、放課後等デイサービスの平日・時間区分2は約85.5万円(引き下げ前は約87.1万円)です(当方の計算)。加算には、この引き下げは掛かりません。
ただし、次の場合は、従前の単価が適用される配慮措置があります。主として重症心身障害児を通わせる事業所、医療的ケア区分(1〜3)・強度行動障害児支援加算・人工内耳装用児支援加算・視覚・聴覚・言語機能障害児支援加算を算定する利用者の基本報酬、離島・中山間地域の事業所、自治体が必要として設置する事業所です。合併・分割・事業譲渡で、実質的に継続して運営されると認められる場合は、既存の事業所と同じ扱いです(出典:厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(報告)」)。
児童発達支援と放課後等デイサービスを、同じ事業所でやることはできますか
できます。児童発達支援と放課後等デイサービスなどを、一体的に運営する「多機能型」という形があり、基準省令に、従業者の員数・設備・利用定員の特例が定められています(第80条〜第82条)。
- 設備:サービスの提供に支障がないよう配慮すれば、一体的に事業を行う他の多機能型事業所の設備を、兼用できます(第81条)。
- 利用定員:この基準省令に定める事業だけを行う多機能型事業所は、利用定員を、すべての通所支援を通じて10人以上とすることができます(第82条第1項)。ただし、主として重症心身障害児を通わせる場合は、別の定めがあります。
- 従業者の員数:児童指導員または保育士などの人数を、多機能型の事業所全体で考える読み替えの特例があります(第80条)。
実際に指定を受けられるかは、自治体の運用で異なります。事前に、指定権者(都道府県・市)に相談してください。
自分の場合、どちらを選べばいいですか
数字だけで、どちらが有利かは、決められません。全国のデータは、平均と中央値、標本の限界があり、開業する地域の状況は、別に調べる必要があります。次の5つを、順に確認すると、判断しやすくなります。
- その地域で、どの子どもが、支援を必要としているか。未就学の子どもの相談が多いのか、学校に通う子どもの放課後の場所が足りないのかを、地域の相談支援事業所や自治体に、聞いてみてください。
- 紹介が来る先を、どれだけ作れそうか。利用する子どもは、相談支援事業所や自治体などを通じて、つながります。開業前から、関係を作れる先が、どちらのほうが多いかを、考えてみてください。
- 1日の運営の形を、報酬の区分で描けるか。放課後等デイサービスは、授業終了後の利用は、時間区分1か2で、区分3は学校休業日だけです。休業日にも開けるか、を、設計に入れる必要があります。児童発達支援には、こうした休業日だけの条件が、報酬の表にありません。
- 同じ人員基準で、人を確保できるか。児童指導員または保育士と、児童発達支援管理責任者は、どちらのサービスでも必要です。児童発達支援管理責任者は、1人以上の配置が必要で、そのうち1人以上は、専任かつ常勤でなければなりません(基準省令第5条第8項)。開業の前から、確保の見通しを立ててください。
- 両方の数字を、同じ条件で並べたか。同じ定員、同じ稼働率、同じ地域で、児童発達支援と放課後等デイサービスの収支を、並べて試算すると、収入の差と、費用の差が、はっきりします。
自分の数字で、両方を試算するには、どうすればいいですか
児童発達支援と放課後等デイサービスの、それぞれについて、無料で使える収支シミュレーターを用意しています。地域区分・定員・時間区分・稼働率・人員・借入条件などを、自分の数字で入力すると、開設準備期間から3年間の収支と資金繰り、必要な資金の目安が分かります。同じ定員・同じ稼働率で入力して、結果を並べると、この記事で確認した違いを、自分の数字で確かめられます。
放課後等デイサービス 収支シミュレーター(無料で試せます)→
入力した内容は、お使いの端末の中にだけ保存され、外部には送信されません。無料版では、入力・年ごとの収支・主要な指標まで使えます。Pro版(各9,800円・買い切り)では、月ごとの36か月分の収支と資金繰り、計画が外れた場合の感度分析、印刷・PDF保存が使えます。どちらも、事業計画書の作成・代行や、融資・指定の保証はしません。児童発達支援のツールで、初期値の稼働率を65%にしているのは、全国の定員10人以下の児童発達支援の年間収入の平均(約1,820万円)に、近くなるようにするためです(例であり、推奨値ではありません)。
よくある質問
Q. 児童発達支援センターと、児童発達支援事業所は、同じですか
同じではありません。児童福祉法では、児童発達支援は、児童発達支援センターその他の施設に通わせて行うものとされ、センターは、その中の一つの類型です。この記事の基本報酬の数字は、センター以外の事業所の数字です。全国の収支の表は、センターとそれ以外を分けていないため、数字にセンターが含まれている可能性があります。
Q. 3歳から5歳の利用者負担が無料だと、事業所の収入は減りますか
この記事の資料では、確認できませんでした。無償化の資料は、対象の子どもの利用者負担を無料にする制度で、事業所の請求の扱いは、資料には書かれていません。実際の請求と入金の扱いは、指定権者と国保連合会の案内で、確認してください。
Q. 主として重症心身障害児を通わせる事業所でも、この記事の数字は使えますか
使えません。この記事の基本報酬は、主として重症心身障害児以外を通わせる事業所の数字です。重症心身障害児を主な対象とする事業所と、医療的ケア児区分は、報酬の区分が別で、人員基準も違います(基準省令第5条第4項)。
Q. 収支シミュレーターの結果は、そのまま公庫や銀行に出せますか
印刷すると、事業計画書の形にまとまりますが、当方は行政書士などの資格者ではなく、指定申請書類の作成・代行は行いません。結果は、入力にもとづく試算で、収益・融資・指定を保証するものではありません。提出する前に、必ずご自身で内容を確認してください。
まとめ
- 法律上の対象が違う。放課後等デイサービスは、学校に就学している障害児が、授業の終了後や休業日に使う。児童発達支援には、就学の条件がない
- 人員基準・地域区分の単価・主な加算は、同じ。基本報酬(児発901〜980単位、放デイ574〜666単位)、無償化、新規指定の引き下げ率(988と982)、処遇改善加算の率が違う
- 全国の実績(令和6年度決算)では、収支差率の表の平均は放デイ9.1%・児発7.8%、事業所ごとの中央値は放デイ2.7%・児発9.7%。ただし、標本調査で、差の理由は分からない
- 事業所数は、児発13,831か所(+10.2%)、放デイ22,748か所(+6.8%)。開業する地域の数は、別に調べる
- 両方を同じ事業所で行う多機能型もある。実際の指定は、自治体に確認する
- 選ぶときは、地域の需要、紹介先、1日の運営の形、人員の確保、同じ条件での試算の5つを確認する
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出典:児童福祉法(昭和22年法律第164号)第6条の2の2、児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)の第5条・第66条・第80条〜第82条(e-Gov法令検索、2026年9月24日取得)、厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉サービス費等の報酬算定構造(令和6年度)」(児童発達支援給付費・放課後等デイサービス給付費)、厚生労働省・こども家庭庁「令和8年度障害福祉サービス等報酬改定における改定事項について(報告)」(新規指定の引き下げ・処遇改善加算の率)、厚生労働省「就学前障害児の発達支援の無償化について」(令和元年8月29日発出版)、厚生労働省・こども家庭庁「障害福祉サービス等の最近の動向について」(社会保障審議会障害者部会)、厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算・第48回障害福祉サービス等報酬改定検討チーム資料5)および同「結果の概要」(資料4)、カイポケ「【2024年度報酬改定】放デイ・児発など障害児支援サービスの地域区分、1単位あたりの単価とは?」、千葉県「障害児通所支援に係る地域区分及び1単位単価(令和6年度から)」。作成:fufumumu_design(ふふ)。基準日:2026年9月24日。児童発達支援の単位数と新規指定の引き下げは、告示第122号(令和8年6月適用の全文)で確認しました。報酬や基準は改定される場合があるため、最新の告示・通知と、指定権者の案内をご確認ください。この記事は、自分で判断するための情報で、資格者による代行ではなく、収益・融資・指定を保証しません。
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