介護サービス包括型と日中サービス支援型、どちらで開業すべきか。

介護サービス包括型と日中サービス支援型、どちらで開業すべきか。 介護

障害者グループホーム(共同生活援助)には、「介護サービス包括型」と「日中サービス支援型」という2つの類型があります。どちらを選ぶかで、基本報酬・人員基準・使える加算・さらには物件の要件まで変わります。結論を先に言うと、標準的な体制で始めるなら介護サービス包括型、重度・高齢の方の受け入れを想定するなら日中サービス支援型が向いています。ただし日中サービス支援型は、短期入所の併設が必須という、見落としやすい条件があります。この記事では、両者の違いを整理し、どちらを選ぶべきかの判断材料を示します。

項目 介護サービス包括型 日中サービス支援型
世話人の配置基準 利用者6人に1人以上 利用者5人に1人以上
基本報酬(区分6の例) 600単位/日 997単位/日
対象となる障害支援区分 区分1〜6(全区分) 区分1〜6(区分2以下は、日中を共同生活住居以外の場所で過ごす利用者の単位数で算定)
夜間支援従事者 任意(配置すると加算対象) 必須(共同生活住居ごとに夜勤配置。宿直不可)
短期入所の併設 不要 必須
夜間支援等体制加算 算定できる 算定できない(代わりに夜勤職員加配加算)
大規模住居(入居定員8人以上)の減算 対象(基本報酬が95%または90%に減算) 対象外(減算なし)

出典:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」、埼玉県「共同生活援助(グループホーム)の基準 概要」(R6.3版)、東京都福祉局資料「重度障害者への支援を可能とするグループホームの新たな類型の創設(日中サービス支援型)」。数字は令和6年度改定後の現行制度にもとづきます。

日中サービス支援型は、なぜ創設されたのですか

日中サービス支援型は、平成30年度障害福祉サービス等報酬改定で創設された、比較的新しい類型です。東京都福祉局の資料によると、「障害者の重度化・高齢化に対応できる共同生活援助の新たな類型」として作られ、「地域移行の促進及び地域生活の継続等、地域生活支援の中核的な役割を担うことが期待される」とされています。従来の介護サービス包括型よりも手厚い世話人配置を基本とし、重度の障害者等に対して常時の支援体制を確保することを目的としています。つまり、単に「単価が高い類型」ではなく、施設や病院からの地域移行の受け皿、在宅の障害者の緊急時の受け入れ先という役割を想定して設計された制度です。運営面でも、相談支援事業所による3か月ごとのモニタリングや、地方公共団体が設置する協議会への活動状況の報告(年1回以上)が想定されており、介護サービス包括型と比べて、地域との連携体制がより重視される類型といえます。

短期入所の併設は、必須なんですか

はい、必須です。これは見落とされやすい点ですが、日中サービス支援型の指定を受けるには、共同生活援助事業所と併設または同一敷地内で、指定短期入所(空床型を除く)を行う必要があります(出典:埼玉県資料)。東京都福祉局の資料でも、「地域における重度障害者の緊急一時的な宿泊の場を提供するため、短期入所の併設を必置とする」と明記されています。つまり日中サービス支援型は、グループホーム単体ではなく、短期入所事業とセットで運営する制度だということです。これは物件の規模・人員体制・初期費用にも影響するため、日中サービス支援型を検討する場合は、この要件を織り込んだ事業計画が必要になります。このツールの収支シミュレーターは、短期入所事業にかかる報酬・費用は試算に含んでいません。短期入所部分の収支は、別途ご自身で試算に加えてください。東京都福祉局の資料では、短期入所の定員は1〜5人程度の規模が想定されており、「空床型」(グループホームの居室の空きを短期入所に充てる方式)は、この必置の対象から除かれています。つまり、短期入所専用の居室・体制を別途用意する必要があるということです。物件探しの段階から、この要件を踏まえて検討する必要があります。

日中サービス支援型は、どんな人を想定していますか

東京都福祉局の資料には、対象となる障害者像として、障害者支援施設や精神科病院からの地域移行の対象者、在宅で生活する重度・高齢の障害者が挙げられています。短期入所の併設は、こうした方々が緊急時に一時的に宿泊できる場を確保するための仕組みです。地域生活支援の中核的な役割を担うことが期待される類型であるため、相談支援事業所によるモニタリングや、地方公共団体が設置する協議会との連携も、他の類型より重視されます。標準的な体制で、幅広い障害支援区分の方を受け入れる事業所を想定している場合は、こうした地域連携の体制まで求められる日中サービス支援型よりも、介護サービス包括型のほうが始めやすいケースが多いといえます。

基本報酬は、どのくらい違いますか

告示本文で確認した基本報酬(区分別の1日あたり単位数)は、次のとおりです。

  • 介護サービス包括型:区分6=600単位、区分5=456単位、区分4=372単位、区分3=297単位、区分2=188単位、区分1以下=171単位
  • 日中サービス支援型:区分6=997単位、区分5=860単位、区分4=771単位、区分3=524単位(区分2以下は、サービス費(I)の行がなく、日中を共同生活住居以外の場所で過ごす利用者の単位数〔区分2=270単位・区分1以下=253単位〕で算定します)

区分6で比較すると、日中サービス支援型は介護サービス包括型の1.6倍以上の単価です。ただし、これは夜間支援従事者を常時配置する人件費や、短期入所の運営体制を織り込んだ単価であり、「単価が高い=利益が出やすい」とは限りません。想定する人員体制と照らし合わせて試算する必要があります。なお、告示上、日中サービス支援型には「日中を共同生活住居以外の場所で過ごす利用者」向けの別の単価(区分6で765単位など、通常より低い単価)も定められています。日中に生活介護等の事業所へ通う方が多い場合は、この単価が適用される場合があることも押さえておく必要があります。このツールでは、区分3以上は日中サービス支援型共同生活援助サービス費(I)の単価で計算し、区分2以下だけ、この「日中を住居以外で過ごす場合」の単位数(区分2=270・区分1以下=253)で計算しています。区分3以上でも日中を住居以外で過ごす利用者が多い場合は、実際の収支は、その分だけ下振れする可能性があります。

開業のハードルは、どちらが高いですか

制度の複雑さという点では、日中サービス支援型のほうがハードルは高くなります。理由は、①世話人配置が5:1と手厚い分、採用の負担が増えること、②夜間支援従事者を常に確保する必要があり、シフトを組める人員体制が前提になること、③短期入所事業をセットで運営するための物件・人員・報酬体系を、グループホームとは別に用意する必要があること、の3つです。介護サービス包括型であれば、夜間支援従事者は任意配置のため、まずは世話人・生活支援員・サービス管理責任者・管理者という基本の体制で開業し、必要に応じて夜間支援等体制加算などを後から検討する、という段階的な進め方がしやすくなります。

人員基準は、どう違いますか

生活支援員の配置式(障害支援区分に応じた常勤換算計算)は、両方の類型で共通です。違うのは、世話人の配置基準と、夜間支援従事者の扱いです。

  • 世話人:介護サービス包括型は利用者6人に1人以上、日中サービス支援型は利用者5人に1人以上
  • 夜間支援従事者:介護サービス包括型は配置が任意(配置しなければ夜間の人員体制は世話人・生活支援員の勤務時間内で対応)。日中サービス支援型は、共同生活住居ごとに、夜勤を行う夜間支援従事者の配置が必須です。宿直での対応は認められません

日中サービス支援型は、この夜間支援従事者の人件費が、常勤換算方法での配置基準(管理者・サービス管理責任者・世話人・生活支援員)とは別枠で、毎月確実に発生します。収支の試算では、この人件費を経費に必ず計上する必要があります。

使える加算は、どう違いますか

共通で使える加算(福祉専門職員配置等加算、医療連携体制加算、処遇改善加算)がある一方、類型ごとに専用の加算もあります。

  • 夜間支援等体制加算:介護サービス包括型・外部サービス利用型のみが対象。日中サービス支援型は算定できません
  • 夜勤職員加配加算:日中サービス支援型のみが対象(149単位/日)。必須の夜間支援従事者に加えて、もう1人配置する場合の加算です

夜間支援等体制加算が日中サービス支援型で使えない理由は、そもそも日中サービス支援型の基本報酬そのものに、夜間の常時支援体制のコストが織り込まれているためと考えられます。介護サービス包括型は、夜間の体制を「任意」としたうえで、体制を整えた事業所だけに加算で応える設計であるのに対し、日中サービス支援型は、夜間体制の確保を基本報酬と人員基準(夜間支援従事者必須)の両方で最初から前提にしている、という違いです。

  • 人員配置体制加算:世話人・生活支援員を基準より手厚く配置している場合の加算。国の基準で置くべき世話人・生活支援員に加えて、特定従業者数換算(週の勤務延べ時間数の合計÷40時間)で、介護サービス包括型は利用者数÷12以上、日中サービス支援型は利用者数÷7.5以上を追加で配置している場合に、それぞれ高いほうの区分が算定できます(詳しくは「人員配置体制加算とは」)

なお、令和8年6月1日以降に新規指定を受ける事業所は、基本報酬が所定単位数の97.2%になる臨時措置(令和9年度改定までの時限的なもの)があります。これは介護サービス包括型・日中サービス支援型の両方に共通する減算です。開業予定の時期によっては、この点も試算に入れておく必要があります。もう一つ、規模に関する違いとして、入居定員8人以上の共同生活住居は基本報酬が95%または90%に減算される「大規模住居等減算」がありますが、これは日中サービス支援型には適用されません(埼玉県資料による)。定員をやや大きめに設計する場合は、この違いも試算に影響します。

どちらを選べばいいですか

次のような場合は、日中サービス支援型が候補になります。

  • 重度の障害者、または高齢の障害者の受け入れを中心に考えている
  • 施設・病院からの地域移行の受け皿としての役割を担いたい
  • 短期入所(緊急一時的な宿泊の場)も併せて運営する計画がある

次のような場合は、介護サービス包括型が候補になります。

  • 比較的軽度から中度までの、幅広い障害支援区分の方を受け入れたい
  • まずは標準的な体制で、小さく開業したい
  • 短期入所事業まで同時に立ち上げる体制が、現時点では整わない
  • 夜間の職員配置を、事業の状況に合わせて柔軟に調整したい

迷う場合は、無理に一つに絞らず、まず介護サービス包括型で開業し、地域のニーズや自法人の体制が整った段階で、日中サービス支援型への転換や、新たな事業所の追加を検討するという進め方も選択肢になります。

どちらの類型も、開業後に変更することは可能ですが、人員体制や物件の要件を変える必要があるため、簡単ではありません。開業前に、想定する入居者像を具体的に描いた上で選ぶことをおすすめします。

例えば、次のような設計の考え方が想定できます(※想定モデルケースであり、実績の紹介ではありません)。定員15人・入居者の多くが障害支援区分3〜4程度で、日中は生活介護等の事業所へ通う方が中心という場合は、世話人6:1・生活支援員の常勤換算配置を基準どおり整える介護サービス包括型で、無理のない人員計画が立てやすくなります。一方、区分5〜6の重度の方や、高齢化により医療的なケアが増えてきた方の受け入れを想定し、短期入所も含めて地域の受け皿としての役割を担いたい場合は、日中サービス支援型を軸に、看護職員の配置や医療連携体制加算もあわせて検討する設計になります。

両方を試算で比べるには、どうすればいいですか

「数字で比較してから決めたい」という場合は、無料の収支シミュレーターをお使いください。「サービス形態」の欄を切り替えるだけで、基本報酬・人員基準・対応する加算が自動で切り替わり、同じ条件(定員・地域・入居者の増え方など)で両方の類型を試算し比べられます。開業までのスケジュール(目安)も自動で表示されます。入力した内容は、お使いの端末の中にだけ保存され、外部には送信されません。

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開業資金全体の考え方は、別の記事「障害者グループホームの開業資金はいくら必要か。」でも解説しています。開業までの準備期間・スケジュールの詳細は「障害者グループホームの開業準備、何をいつから始めればいいか。」で整理しています。

よくある質問

Q. 日中サービス支援型のほうが、必ず収益は高くなりますか

一概には言えません。基本報酬は高くなりますが、夜間支援従事者の人件費が必須で発生し、短期入所事業の運営体制も必要になります。ご自身の入居者像・人員計画で、両方の類型を試算して比較することをおすすめします。

Q. 短期入所を別法人・別事業所で運営することはできますか

制度上の細かい要件は、指定権者(都道府県・市)によって運用が異なる場合があります。このツールは行政書士等の資格者ではなく、指定申請書類の作成・代行は行いません。詳細は指定権者に直接ご確認ください。

Q. 外部サービス利用型については、試算できますか

このツールは、介護サービス包括型と日中サービス支援型のみに対応しています。外部サービス利用型(世話人配置を事業所が行い、介護サービスは受託居宅介護サービス事業者が提供する類型)は、現在対応していません。

Q. すでに介護サービス包括型で開業した後、日中サービス支援型に変更できますか

制度上、変更自体は可能とされていますが、世話人配置基準の変更、夜間支援従事者の新規採用、短期入所事業の併設など、実務上のハードルは開業時と同程度かそれ以上になります。変更を検討する場合も、指定権者への事前相談が必要です。

まとめ

  • 介護サービス包括型は世話人配置6:1が基準、日中サービス支援型は5:1で夜間支援従事者の配置が必須
  • 日中サービス支援型は、重度・高齢の障害者の地域生活を支えるために平成30年度に創設された類型
  • 日中サービス支援型は、短期入所の併設が必須という、見落としやすい条件がある
  • 基本報酬は日中サービス支援型のほうが高いが、その分の人件費・体制も必要になる
  • 夜間支援等体制加算は日中サービス支援型では使えず、代わりに夜勤職員加配加算がある
  • 両方の類型を同じ条件で試算し比べるには、無料の収支シミュレーターが使える

出典:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」、告示(指定障害福祉サービス等に要する費用の額の算定に関する基準)、埼玉県「共同生活援助(グループホーム)の基準 概要」(R6.3版)、東京都福祉局資料「重度障害者への支援を可能とするグループホームの新たな類型の創設(日中サービス支援型)」。基準日:2026年9月23日。制度は改定される場合があるため、最新の告示・通知と指定権者の案内をご確認ください。

この記事を書いた人

「見た目がきれいなだけのページ」ではなく、問い合わせや応募につながることを目指したページを作っています。

運営者は、上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスの最前線から、約70名の営業チームのマネジメントまで経験してきました。「どんな言葉で人の心が動くのか」「どうすれば“お願いします”と言ってもらえるのか」を、机上ではなく現場で、20年かけて体に叩き込んできた人間です。

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