グループホームの報酬は、障害支援区分で変わる。区分ごとの単位数と収入への影響。
障害者グループホーム(共同生活援助)の基本報酬は、入居者の障害支援区分によって1日あたりの単位数が変わります。介護サービス包括型(世話人配置6:1)の場合、区分6は600単位、区分3は297単位で、同じ定員15人の事業所でも入居者の区分分布によって月収入に100万円以上の差が生じることがあります。
この記事では、障害支援区分の概要と、区分ごとの単位数・収入への影響を整理します。開業前の収支計画を立てる際に、どの区分の利用者を想定するかを検討するための参考としてご活用ください。
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基本報酬は、障害支援区分と地域区分の組み合わせで決まる。
グループホームの基本報酬は「単位数×1単位の単価」で計算します。単位数は入居者の障害支援区分と事業所のサービス形態・世話人の配置比率によって決まり、1単位の単価は事業所が所在する地域区分によって変わります(出典:厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」13ページ・平成18年厚生労働省告示第539号)。
計算の流れは次のとおりです。
- 入居者ごとに障害支援区分に対応した単位数を確認する
- 単位数の合計を算出する(全入居者分)
- 加算単位数を加える(夜間支援等体制加算・処遇改善加算など)
- 合計単位数に1単位の単価を掛ける
- 30日間分を掛けて月収入を求める
障害支援区分は区分1から区分6まであり、数字が大きいほど支援の必要度が高い状態です。区分が高い入居者ほど、事業所に支払われる基本報酬の単位数が多くなります。
介護サービス包括型の区分別単位数。区分6(600単位)と区分3(297単位)では2倍の差がある。
介護サービス包括型(世話人配置6:1)の基本報酬は、区分6と区分3でほぼ2倍の差があります。以下は厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」13ページで確認した数値です。
| 障害支援区分 | 1日あたりの単位数 | 30日・定員1人あたりの月収入(その他の地域・10円) |
|---|---|---|
| 区分6 | 600単位 | 180,000円 |
| 区分5 | 456単位 | 136,800円 |
| 区分4 | 372単位 | 111,600円 |
| 区分3 | 297単位 | 89,100円 |
| 区分2 | 188単位 | 56,400円 |
| 区分1以下 | 171単位 | 51,300円 |
「その他の地域」の単価は10円(1単位=10円)を使った場合の試算です。実際の金額は地域区分によって変わります(後述)。
定員15人の事業所で、全員が区分6の場合と全員が区分3の場合を比べると、基本報酬だけで月に次のような差が生じます。
- 全員が区分6の場合:600単位×15人×10円×30日 = 2,700,000円
- 全員が区分3の場合:297単位×15人×10円×30日 = 1,336,500円
- 差額:約1,363,500円/月
実際には入居者の区分が混在しますが、区分6の割合が高い事業所ほど基本報酬が大きくなる仕組みです。
日中サービス支援型の区分別単位数。区分6は997単位で介護サービス包括型の約1.7倍。
日中サービス支援型(世話人配置5:1・夜間支援従事者の配置が必須)は、介護サービス包括型より単位数が高く設定されています。以下は同資料で確認した数値です。
| 障害支援区分 | 1日あたりの単位数(日中を共同生活住居で過ごす場合) |
|---|---|
| 区分6 | 997単位 |
| 区分5 | 860単位 |
| 区分4 | 771単位 |
| 区分3 | 524単位 |
| 区分2(注2) | 270単位 |
| 区分1以下(注2) | 253単位 |
日中サービス支援型では、区分3以上の利用者が対象です。区分2以下の利用者に対する「注2」の単位数(270・253単位)は、算定はできますが主な対象外の扱いになります。また、日中サービス支援型は夜間支援等体制加算の対象外で、代わりに夜勤職員加配加算(149単位/日)が設定されています。
単位数が高い分、夜間支援従事者の人件費など費用も大きくなります。収支計画を立てるときは、収入と人件費を必ず両方で試算してください。
地域区分で1単位の単価が変わる。その他の地域は10円・1級地は11.60円。
1単位の単価は、事業所が所在する地域区分によって異なります。都市部ほど人件費が高いため、単価も高く設定されています(出典:平成18年厚生労働省告示第539号・人件費割合80%の場合)。
| 地域区分 | 1単位の単価 |
|---|---|
| 1級地 | 11.60円 |
| 2級地 | 11.52円 |
| 3級地 | 11.35円 |
| 4級地 | 11.24円 |
| 5級地 | 11.12円 |
| 6級地 | 11.05円 |
| 7級地 | 10.24円 |
| その他 | 10.00円 |
(各市区町村の地域区分の割り当ては、都道府県や市区町村の福祉担当窓口または事業者向けの資料で確認してください。)
全国の事業所の多くは「その他の地域(10円)」に該当します。上の試算は10円を使ったものです。東京都特別区(11.60円)の場合は、同じ単位数でも10円と比べると16%多く収入が生じます。
自事業所の地域区分は、都道府県・市区町村の窓口や障害福祉サービス事業者向けの資料で確認できます。
入居者の区分分布が、月収入に直接影響する。
開業する事業所の収支を計画するにあたって、「どの区分の入居者を何人受け入れるか」が月収入の大きな変数になります。
定員15人の介護サービス包括型で、区分構成が異なる3つのケースを比べると次のようになります(その他の地域・10円・30日・基本報酬のみ)。
| ケース | 区分構成(15人) | 基本報酬の月収入(概算) |
|---|---|---|
| 重度中心 | 区分6が10人・区分5が5人 | 1,800,000円(区分6)+ 684,000円(区分5)= 約2,484,000円 |
| 中程度中心 | 区分4が8人・区分5が4人・区分3が3人 | 892,800円(区分4)+ 547,200円(区分5)+ 267,300円(区分3)= 約1,707,300円 |
| 軽度中心 | 区分3が8人・区分2が7人 | 712,800円(区分3)+ 394,800円(区分2)= 約1,107,600円 |
重度中心と軽度中心では、基本報酬だけで月100万円以上の差が生じます。ただし、重度の利用者ほど支援にかかる人件費も増えるため、収支差率の観点では一概に「重度の方が有利」とはいえません。入居者の区分と人員配置は、セットで試算することが重要です。
厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査」(第17表・介護サービス包括型)によると、全国平均の月収入は約347.4万円・定員15人・収支差率9.1%です(令和4年度決算)。開業時の計画値を立てる際の参考としてご活用ください。
令和8年6月以降の新規指定は、基本報酬が2.8%下がる。
令和8年6月1日以降に新規指定を受けた事業所は、基本報酬の単位数に972/1000を掛けた金額が適用されます(出典:平成18年厚生労働省告示第523号・令和8年度改定。令和9年度改定まで続く臨時措置)。
この引き下げは、グループホームの急増と収支差率の高さを背景とした調整措置です。2.8%の引き下げが収入に与える影響を定員15人・全員区分6で試算すると、次のようになります。
- 令和8年6月以降の新規指定前:600単位×15人×10円×30日 = 2,700,000円/月
- 令和8年6月以降の新規指定後:600×(972/1000)=583.2単位→583単位×15人×10円×30日 = 約2,623,500円/月
- 差額:約76,500円/月(年間約918,000円)
令和9年度の報酬改定で見直しが予定されていますが、改定の内容は現時点では未確定です。令和8年6月以降に開業を計画している場合は、この減算を織り込んで収支を試算してください。
障害支援区分の認定は、市区町村が行う。有効期間に注意が必要。
障害支援区分は、障害者総合支援法に基づく制度です。利用者が区分の認定を受けるための流れは次のとおりです。
- 利用者(または家族・支援者)が市区町村に申請する
- 市区町村の職員が「障害支援区分認定調査」を実施する(80項目の調査)
- 審査会(医師の意見書を参照)が区分を判定する
- 市区町村が認定結果を通知する
認定に要する期間は申請から概ね2〜3か月かかる場合があります。また、区分には有効期間があり、期間終了後は更新申請が必要です。有効期間は原則3年ですが、1〜3年の範囲で審査会が判断します。
事業所の収支計画を立てる際には、「入居前に区分認定が完了しているか」「更新の時期に区分が下がるリスクはあるか」も考慮しておく必要があります。区分が変わると、翌月からの基本報酬単位数も変わります。
まとめ
グループホームの基本報酬は、入居者の障害支援区分によって単位数が変わります。介護サービス包括型では区分6(600単位/日)と区分3(297単位/日)で約2倍の差があり、定員15人の事業所では区分分布によって月収入に100万円以上の差が生じることがあります。
開業前の収支計画では、次の点を確認しておくことが重要です。
- 想定する入居者の区分構成(重度中心か中程度中心か)
- 事業所所在地の地域区分(1単位の単価)
- 令和8年6月以降の新規指定に該当するか(2.8%の基本報酬引き下げ)
- 区分に対応した人件費の試算(収入だけでなく費用も変わる)
開業向け収支シミュレーターでは、障害支援区分の人数構成・サービス形態・地域区分・令和8年6月以降の新規指定の有無を入力して、月次・年次の収支と資金計画を試算できます。
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出典一覧
- 厚生労働省「障害福祉サービス費等の報酬算定構造」13ページ(共同生活援助サービス費)
https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001658031.pdf - 平成18年厚生労働省告示第539号(厚生労働大臣が定める一単位の単価)
- 平成18年厚生労働省告示第523号(令和8年6月改正・新規指定の基本報酬972/1000)
- 厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査結果」第17表(共同生活援助・介護サービス包括型・令和4年度決算)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001167616.pdf
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