就労定着支援の法人格。どの法人が運営できるか。

就労定着支援の法人格。どの法人が運営できるか。 福祉事業の開業と運営

就労定着支援を運営できる法人の種類は、障害者総合支援法と省令によって定められています。株式会社でも社会福祉法人でも指定を受けることができますが、法人の種類によって会計基準や制約が異なります。この記事では「どの法人格で始めるか」の判断に必要な基本情報を整理します。

就労定着支援の指定を受けられる法人の種類

障害者総合支援法第29条・省令の規定により、就労定着支援の指定を受けられる法人の主な種類は以下のとおりです。

就労定着支援の指定を受けられる主な法人の種類
法人の種類 設立の容易さ 備考
株式会社・合同会社(LLC) 比較的容易 会社法に基づく。資本金1円から設立可能
NPO法人(特定非営利活動法人) 中程度(認証に3〜4か月) 特定非営利活動促進法に基づく
社会福祉法人 設立要件が厳格 社会福祉法に基づく。資産要件あり
一般社団法人・一般財団法人 比較的容易 一般法人法に基づく

個人事業主(個人)は就労定着支援の指定を受けることができません。法人格の取得が必須です。

株式会社・合同会社で始める場合

就労定着支援の開業において、株式会社や合同会社での参入が増えています。会社法に基づく設立手続きは比較的シンプルで、設立後すぐに指定申請の準備に入ることができます。

注意点として、会社法人が障害福祉サービスを行う場合、社会福祉法人や特定非営利活動法人と異なり、補助金・助成金の対象外となるものが一部あります。また、収益を株主に分配できる(利益配当可能)という点で、社会福祉法人の非配当原則とは異なります。

社会福祉法人で就労定着支援を行う場合

社会福祉法人は設立要件(一定以上の基本財産の保有等)が厳しく、新規に設立して就労定着支援のみを行うケースは少ないです。既存の就労移行支援・就労継続支援事業所が社会福祉法人として運営しており、そこに就労定着支援を追加するパターンが多く見られます。

法人設立から指定申請までの流れ

法人をゼロから設立して就労定着支援を開業する場合のおおまかな流れは以下のとおりです。

  1. 法人設立(株式会社・合同会社の場合:定款認証・登記申請 約1〜2週間)
  2. 指定権者(都道府県・指定都市・中核市)への事前相談
  3. 物件の確保・人員の採用(サービス管理責任者・就労定着支援員)
  4. 指定申請書類の準備・提出(指定の約2か月前が目安)
  5. 指定書の交付・サービス開始

就労定着支援は、指定を受ける前の準備期間(物件・人員の確保)が必要です。法人設立から実際のサービス開始まで、最短でも3〜4か月程度を見込むことが一般的です。

既存の福祉事業所が就労定着支援を追加する場合

就労定着支援は就労移行支援・就労継続支援等の修了者・退所者を対象とするため、既に就労移行支援・就労継続支援事業所を運営している法人が就労定着支援を追加するケースが多くなっています。この場合は新たな法人設立は不要で、既存法人の指定変更申請(事業種別の追加)で手続きできます。

参考・出典

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第29条・第36条
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第171号)

この記事は2026年11月時点の法令に基づいています。指定の要件は指定権者によって異なります。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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