訪問看護で准看護師を雇うと、収入はどれだけ変わるか。介護保険と医療保険それぞれの差額を整理する。

訪問看護ステーションで准看護師が訪問を担当すると、介護保険の収入は看護師の90%になります(令和6年告示第86号注1)。医療保険の基本療養費も看護師より1回あたり500円低く設定されています。月30回担当する准看護師1人では、介護保険だけで毎月2万円台の収入差が生じます。採用を検討するときは、この収入の差と人件費の差を両方見ておくことが大切です。

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介護保険では准看護師の単位数が90%になる

介護保険の訪問看護では、准看護師が担当した場合、所定単位数の90/100が算定されます(令和6年告示第86号注1)。これは准看護師の資格が看護師より下位の資格区分とされているためです。

具体的な単位数の変化は次のとおりです(その他地域・単価10.00円/単位)。

訪問時間 看護師(単位) 准看護師(単位) 差(円/その他地域)
20分未満 314 282 -320円
30分未満 471 423 -480円
30分以上1時間未満 823 740 -830円
1時間〜1.5時間 1,128 1,015 -1,130円

最も多い「30分以上1時間未満」の訪問では1回あたり830円(その他地域)の差になります。1級地(単価11.40円)では30分以上1時間未満で1回あたり約948円の差です。

月30回担当の場合の収入差の試算

准看護師1人が「30分以上1時間未満」の介護保険訪問を月30回担当する場合の収入差を試算します。

  • 看護師: 823単位 × 10.00円 × 30回 = 246,900円
  • 准看護師: 740単位 × 10.00円 × 30回 = 222,000円
  • 差額: 24,900円/月

月50回担当の場合(フルタイムに近い想定)は、同条件で差額が41,500円になります。

地域区分が高い地域(1級地・2級地など)では単価が高いため、単位数の差がそのまま円の差に拡大します。1級地(11.40円)では月30回で差が28,380円になります。

医療保険では1回あたり500円の差

医療保険(訪問看護療養費・令和8年告示第74号・令和8年6月1日施行)の基本療養費(I)は、訪問者の職種によって金額が変わります。

訪問者 週3日目まで(円/回) 週4日目以降(円/回)
看護師(保健師・助産師を含む) 5,550 6,550
准看護師 5,050 6,050

週3日以内の訪問では1回あたり500円の差です。医療保険の訪問が月10回(週2〜3回の利用者)の場合、1か月の差額は5,000円になります。

医療保険は地域区分に関係なく全国一律の金額なので、この差は全国共通です。

准看護師の採用で変わる「収入と費用の両側」

収入が下がる一方で、准看護師は一般的に看護師より給与水準が低い場合が多いです。ただし、実際の給与水準は経験年数・地域・ステーションの方針によって異なります。

采用判断では「収入の減少額」と「給与費の変化」をセットで見る必要があります。収入が月3万円下がる一方で給与が月5万円低く抑えられれば、実質的な利益は増えます。逆に給与の差が小さい場合は、収入の減少の方が利益を圧迫します。

この計算はステーションの人員構成・訪問件数・地域によって変わります。シミュレーターに実際の数値を入力して確認するのが確実です。

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准看護師でも算定額が変わらない項目

介護保険の加算の多くは、担当者の職種に関係なく算定できます。

  • 緊急時訪問看護加算(利用者単位・月額)
  • 特別管理加算(利用者単位・月額)
  • ターミナルケア加算(死亡月・1回)
  • 24時間対応体制加算(医療保険・月額)

これらは利用者ごとに算定するもので、訪問する職種(看護師か准看護師か)では変わりません。訪問回数が多い利用者で加算を取れている場合は、准看護師が担当しても加算収入は維持できます。

人員基準上の位置づけ

訪問看護ステーションの人員基準では、常勤換算2.5人以上の看護職員が必要です(厚生労働省)。看護職員には准看護師も含まれるため、准看護師を採用することで人員基準を満たすことができます。

開業直後や規模拡大期に看護師の採用が難しい場合、准看護師を採用することで事業を継続しながら体制を整えるという選択肢があります。収入の減少と照らして判断することが大切です。

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参照した資料
厚生労働省告示第86号(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準・令和6年改定)注1。厚生労働省告示第74号(訪問看護療養費に係る指定訪問看護の費用の額の算定方法・令和8年6月1日施行)。数値は令和8年10月時点。准看護師の単位数は所定単位数に90/100を乗じた値(端数切り捨て)。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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