計画相談支援の採算ライン。担当何件から黒字になるか、損益分岐点の計算。

福祉事業の開業と運営

計画相談支援の採算ラインは「固定費÷1件あたりの月平均収入」で概算できます。相談支援専門員1名・事務所家賃あり・その他地域(1単位10.00円)の場合、月の固定費を約160〜230万円として試算すると、担当件数が20〜30件前後から黒字に近づく計算になります。この記事では、固定費の目安と担当件数別の月次収支を用いた損益分岐点の考え方をまとめました。

すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 計画相談支援 開業向け収支シミュレーター

固定費の目安。相談支援専門員1名・単独事務所の場合

計画相談支援の固定費は、主に「人件費」と「事務所費」で構成されます。

費用項目 月額の目安 備考
相談支援専門員(常勤1名) 230,000〜280,000円 給与(社保込み約1.15倍で約265,000〜322,000円)
管理者(兼務の場合) 専任でなければ別途加算なし 専任管理者を別途置く場合は追加の人件費が発生
事務所家賃 30,000〜80,000円 地域・規模による差が大きい
光熱費・通信費 15,000〜30,000円 電話・インターネット・コピー機等
消耗品・交通費等 10,000〜20,000円 利用者宅や関係機関への訪問交通費等
合計目安 320,000〜452,000円 社保込み人件費を下限・上限で計算

上記は1法人1事業所・常勤相談支援専門員1名・管理者兼務の場合の参考値。地域・規模・開設形態によって大きく異なります。

担当件数別の月収と損益分岐点の試算

その他地域(1単位10.00円)・モニタリング3か月に1回・新規受付は月2件固定として計算します。固定費月35万円で設定しました。

担当件数 月のモニタリング件数 月収概算 月次収支(固定費35万円)
10件 3〜4件 約104,400円 ▲245,600円
20件 6〜7件 約195,600円 ▲154,400円
30件 10件 約283,920円 ▲66,080円
35件 11〜12件 約330,600円 ▲19,400円
38件 12〜13件 約359,640円 +9,640円
40件 13〜14件 約374,640円 +24,640円

月収は(サービス利用支援費(Ⅰ) 1,572 + 初回加算300)× 2件 + 継続サービス利用支援費(Ⅰ) 1,308 × モニタリング件数 × 10.00円で計算。モニタリング件数は担当件数÷3(月の概算)。処遇改善加算は含まない。固定費は35万円固定。

固定費35万円の場合、この試算では担当件数が約37〜38件で損益分岐点を超える計算になります。ただし、実際の採算ラインは固定費の水準・モニタリング頻度・新規受付件数・処遇改善加算の有無によって変わります。

採算ラインを左右する3つの要素

① 固定費の水準:最も影響が大きいのは人件費と家賃です。相談支援専門員を正規雇用するかパートにするかで月の固定費は大きく変わります。管理者を専任で置く場合はさらに人件費が増えます。固定費が高いほど損益分岐点(採算ライン)の件数が上がります。

② モニタリング頻度:毎月モニタリングを実施すれば継続サービス利用支援費が毎月算定でき、月収が高くなります。6か月に1回のモニタリングでは同じ担当件数でも月収が5分の1以下になるケースがあります。モニタリング頻度は利用者の状況に応じて設定しますが、収支への影響が大きいことを理解しておく必要があります。

③ 処遇改善加算の有無:令和8年6月から1区分5.1%の処遇改善加算が適用されます。月収35万円の場合は約17,850円の加算収入が見込めます。これにより採算ラインが数件分下がる効果があります。

開業から損益分岐点に達するまでの期間の目安

計画相談支援は開業直後から担当件数が増えるわけではなく、地域の関係機関(基幹相談支援センター・市区町村・サービス事業所等)との連携を通じてじっくり件数を積み上げていくことになります。開業後の担当件数の伸びは事業所によって大きく異なりますが、月に2〜5件の新規を受け入れた場合、損益分岐点(35〜40件程度)に達するまでには6か月〜1年半かかることが多いです。

この期間の赤字を補う自己資金または融資の確保が開業計画の重要な要素になります。月の赤字幅と持続できる期間から逆算して、必要な初期資金を計算してください(開業に必要な資金の詳細はこちら)。

当方の計画相談支援 開業向け収支シミュレーターでは、固定費・担当件数の増加ペース・モニタリング頻度を設定して損益分岐点と月次収支の推移を自動計算できます。開業前の資金計画にご活用ください。

すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 計画相談支援 開業向け収支シミュレーター

この記事の試算は、指定障害福祉サービス等に要する費用の額の算定に関する基準(平成18年厚生労働省告示第523号・別表第17・令和8年6月1日適用分)の単位数を使っています(確認日:2026年11月1日)。実際の収支は事業所の規模・地域・雇用形態・モニタリング頻度によって大きく異なります。事業計画の作成時は専門家(税理士・中小企業診断士等)にも確認してください。作成:fufumumu_design

この記事の出典

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
福祉事業の開業と運営
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました