グループホームの世話人・生活支援員の採用。賃金相場と必要人数の試算。
グループホーム(共同生活援助)の指定を受けるには、世話人と生活支援員を基準どおりに確保する必要があります。介護サービス包括型では、定員15人の場合、世話人2.5人分・生活支援員2.66人分(区分4が8人・区分5が4人・区分3が3人のケースの目安)が最低基準です。ただし非常勤・パートを中心に構成する場合、稼働時間の関係で頭数は基準値より多く必要です。開業前から採用活動を始め、賃金相場を把握して人件費を正確に試算することが、収支計画の精度を上げる第一歩になります。
この記事では、世話人・生活支援員の必要人数の計算方法、賃金水準の目安、採用活動の始め方、月次人件費の試算例を整理します。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 障害者グループホーム 開業向け収支シミュレーター
必要な人数は、常勤換算の基準値より実人員が多くなる。
世話人の配置基準は「利用者6人に対して1人以上(常勤換算)」です。定員15人の場合、15÷6=2.5人分が最低基準になります(出典:平成18年厚生労働省省令第213条の4)。生活支援員は利用者の障害支援区分に応じた計算式で算出します。
「常勤換算2.5人分」とは、たとえば週40時間勤務の常勤が1人(1.0人分)+週60時間分を担う非常勤の組み合わせを合算した値です。非常勤・パートが多い場合は、1人あたりの稼働時間が短いため、実際に雇う人数(頭数)は2.5人を大きく上回ります。
| 条件 | 最低常勤換算 | 実人員の目安(例) |
|---|---|---|
| 世話人(定員15人) | 2.5人分 | 4〜6人(月27時間×非常勤のみの場合) |
| 生活支援員(区分4が8人・区分5が4人・区分3が3人) | 約3.6人分 | 5〜8人(月25〜30時間の非常勤のみの場合) |
実人員が多くなる主な理由は、非常勤の稼働時間が短いためです。月の所定労働時間(常勤:約160時間)に対し、世話人として月27時間稼働する非常勤1人の常勤換算は27÷160=0.17人分にしかなりません。2.5人分を確保するには、0.17人分の非常勤が15人以上必要な計算になります(現実にはもっと長く働く人もいます)。
生活支援員の人数は、利用者の障害支援区分で決まる。
生活支援員の必要人数は、入居者の障害支援区分に応じて次の計算式で求めます(出典:平成18年厚生労働省省令第213条の4)。
必要常勤換算数=(区分3の人数)÷9 +(区分4の人数)÷6 +(区分5の人数)÷4 +(区分6の人数)÷2.5
区分が高いほど、より多くの生活支援員が必要になります。定員15人・区分構成が区分4(8人)・区分5(4人)・区分3(3人)のケースで計算すると次のようになります。
| 障害支援区分 | 人数 | ÷係数 | 生活支援員換算 |
|---|---|---|---|
| 区分3 | 3人 | ÷9 | 0.33人分 |
| 区分4 | 8人 | ÷6 | 1.33人分 |
| 区分5 | 4人 | ÷4 | 1.00人分 |
| 合計 | 15人 | — | 2.66人分 |
この例では生活支援員の最低配置は常勤換算2.66人分です。区分6の入居者が増えると必要人数はさらに増えます(区分6は÷2.5なので、1人増えるごとに0.4人分が追加)。収支計画を立てるときは、想定する区分構成に合わせて計算することが重要です。
賃金の参考値は、シミュレーターの初期値(世話人1,250円・生活支援員1,350円)を目安にしてよい。
世話人・生活支援員の賃金水準は地域によって大きく異なります。全国一律の賃金相場は存在しませんが、収支計画を組むうえでの参考値として、開業向け収支シミュレーターでは世話人の時給初期値を1,250円・生活支援員を1,350円として設定しています(いずれも税込・社会保険料事業主負担を別途考慮)。
都市部では地域別最低賃金が1,000円以上になっているため、非常勤でも最低賃金を下回ることはできません。処遇改善加算の算定状況によっては、これより高い賃金を提示しないと採用が困難になる地域もあります。
| 職種 | 時給の参考値(シミュレーター初期値) | 月27時間稼働の場合の月額(税込) |
|---|---|---|
| 世話人 | 1,250円 | 33,750円 |
| 生活支援員 | 1,350円 | 36,450円(月25時間の場合:33,750円) |
賃金の全国平均については、厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査」第17表(介護サービス包括型)の人件費データや、各都道府県の介護・障害福祉職の賃金実態調査が参考になります。採用条件を決める前に、開業予定地域の最低賃金と近隣事業所の求人情報を確認してください。
採用は、指定申請の前から始める必要がある。
グループホームの指定申請では、「申請時点で基準を満たした員数を確保していること」が求められます。つまり、採用が完了していない状態では申請できません。世話人・生活支援員の採用が遅れると、開業スケジュール全体が後ろ倒しになります。
指定申請から開業まで最短でも3か月程度かかります(事前相談→申請受理→指定通知→開業)。逆算すると、開業予定日の5〜6か月前から採用活動を始めることが現実的です。
採用活動でよく使われる手段は次のとおりです。
- ハローワーク(公共職業安定所):無料で求人を出せる。福祉・介護職の求職者が多い
- Indeed・求人ボックスなどの求人サービス:オンライン応募で応募数を集めやすい
- 地域の就労支援センター・社会福祉協議会:障害者支援の経験者が登録していることがある
- 法人内の既存スタッフの紹介:信頼性が高く、定着率も比較的良い
世話人・生活支援員には、特定の資格(介護福祉士・社会福祉士など)は必須ではありません。「経験不問・資格不問」で募集できますが、支援の質を保つために入職後の研修や体制づくりが重要になります。
月次の人件費試算。定員15人・職員7人体制の例。
定員15人の事業所で、世話人3人(非常勤・月27時間)・生活支援員4人(非常勤・月25時間)を配置した場合の月次人件費の試算を示します(シミュレーター初期値の時給を使用)。
| 職種 | 人数 | 稼働時間/月 | 時給 | 月額(税込) | 小計 |
|---|---|---|---|---|---|
| 世話人 | 3人 | 27時間 | 1,250円 | 33,750円/人 | 101,250円 |
| 生活支援員 | 4人 | 25時間 | 1,350円 | 33,750円/人 | 135,000円 |
| 合計(給与計) | 7人 | — | — | — | 236,250円 |
| 社会保険料(事業主負担・約15%) | — | — | — | — | 約35,438円 |
| 月次人件費合計(世話人・生活支援員分) | — | — | — | — | 約271,688円 |
このほかに、管理者・サービス管理責任者・夜間支援従事者(夜間支援等体制加算を算定する場合)の人件費が加わります。全職種を合わせた人件費が収入に占める割合(人件費率)は、全国平均で70%前後とされています(出典:厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査」第17表・介護サービス包括型)。
実際の人件費は時給・稼働時間・処遇改善加算の有無・社会保険の適用有無によって変わります。収支シミュレーターのPro版(買い切り¥9,800)では、世話人・生活支援員の時給・稼働時間・人数を自由に変えて試算できます。
収支シミュレーターで人件費と採算ラインを試算する。
採用計画を立てる際に最も重要なのは、「何人採用すると月次コストがいくらになり、採算が取れる稼働率はどのくらいか」を事前に把握することです。感覚で人数を決めると、定員の8〜9割が埋まっても赤字という状況になりかねません。
開業向け収支シミュレーターのPro版では以下の試算ができます。
- 世話人・生活支援員の時給・月稼働時間・人数を入力して月次人件費を算出
- 処遇改善加算(福祉・介護職員処遇改善加算・ベースアップ加算)を加えた収入を反映
- 稼働率ごとの損益分岐・36か月の資金残高推移を確認
- 事業計画書の自動生成(創業融資の申請に活用可能)
採用人数・時給の組み合わせを変えながら試算することで、「稼働率80%で黒字になる採用規模」を開業前に確認できます。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 障害者グループホーム 開業向け収支シミュレーター
【出典一覧】
・平成18年厚生労働省省令第213条の4(指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準):世話人・生活支援員の配置基準
・厚生労働省「令和5年障害福祉サービス等経営実態調査」第17表(介護サービス包括型):人件費率・全国平均データ
・障害者グループホーム 開業向け収支シミュレーター(https://fufumumu-design.com/gh-keikaku/):時給初期値(世話人1,250円・生活支援員1,350円)


コメント