消防設備士 甲種第4類の製図で、いちばん点差がつくのが感知器の個数の計算です。
計算そのものは割り算と切り上げだけですが、割る数(感知器1個あたりの床面積)が「建物の構造」「取付け面の高さ」「感知器の種別」の3つで変わります。この3つのどれかを見落とすと、答えが2個にも4個にもなります。
このページでは、消防法施行規則第23条の原文(e-Gov法令検索)から表をそのまま書き出し、計算の手順と、廊下・階段・はり・吹出口のような落としやすい条件を整理します。数値はすべて原文で確かめたものです。
- 感知器1個あたりの床面積は、規則第23条第4項の表で決まる
- 熱感知器(スポット型)の表は、耐火構造かどうかで2段に分かれる
- 煙感知器の表は構造で分かれず、4mと20mで変わる
- 廊下は歩行距離30m、階段は垂直距離15mにつき1個以上
- 感知区域は、0.4m(分布型と煙は0.6m)以上のはりで区切る
- 計算は「構造を見る → 高さを見る → 種別で表を引く → 割って切り上げる」の順
- 計算例6問(答えは原文の表で確かめています)
- 取付け面の高さで、使える感知器の種別が決まる
- 差動式分布型は、空気管の長さと間隔で設ける
- 光電式分離型は、光軸の高さと壁からの距離で設ける
- 個数のほかに、製図で確かめる取付けの条件が4つある
- 感知器を設けなくてよい場所と、煙感知器を使えない場所は別の条文
- 警戒区域は600m²以下・一辺50m以下が原則
- 本番の製図は記述式。計算の手順は4択で固めておく
- 出典
感知器1個あたりの床面積は、規則第23条第4項の表で決まる
根拠は消防法施行規則第23条第4項第三号ロです。感知器は「感知区域ごとに、感知器の種別及び取付け面の高さに応じて次の表で定める床面積につき一個以上の個数を、火災を有効に感知するように設ける」と書かれています。
つまり、計算式は次の1本です。
必要な個数 = 感知区域の床面積 ÷ 表の床面積(割り切れないときは切り上げ)
「一個以上」なので、3.2個という答えは4個になります。切り捨てではありません。
熱感知器(スポット型)の表は、耐火構造かどうかで2段に分かれる
差動式・補償式・定温式のスポット型は、同じ取付け面の高さでも「特定主要構造部を耐火構造とした防火対象物」と「その他の構造」で床面積が違います。表はこのとおりです(単位はm²)。
| 取付け面の高さ | 構造 | 差動式1種 | 差動式2種 | 補償式1種 | 補償式2種 | 定温式特種 | 定温式1種 | 定温式2種 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4m未満 | 耐火構造 | 90 | 70 | 90 | 70 | 70 | 60 | 20 |
| その他の構造 | 50 | 40 | 50 | 40 | 40 | 30 | 15 | |
| 4m以上8m未満 | 耐火構造 | 45 | 35 | 45 | 35 | 35 | 30 | 設けられない |
| その他の構造 | 30 | 25 | 30 | 25 | 25 | 15 | 設けられない |
出典:消防法施行規則第23条第4項第三号ロの表。「耐火構造」は原文の「特定主要構造部を耐火構造とした防火対象物又はその部分」の略です。
表の読み方で覚えておくことは3つです。
- 同じ感知器でも、耐火構造とその他の構造で床面積が変わります。差動式1種・4m未満なら90m²と50m²で、ほぼ2倍の差です。
- 取付け面の高さが4m以上になると、床面積は半分に近い値まで下がります。
- 定温式2種は4m以上の場所に設けられません(第二号の表で、4m以上8m未満の欄に定温式特種と1種しかないためです)。
煙感知器の表は構造で分かれず、4mと20mで変わる
煙感知器(光電式分離型を除く)の床面積は、第23条第4項第七号ホの表です。熱感知器と違って、耐火構造かどうかでは分かれません。
| 取付け面の高さ | 1種・2種 | 3種 |
|---|---|---|
| 4m未満 | 150m² | 50m² |
| 4m以上20m未満 | 75m² | 設けられない |
出典:消防法施行規則第23条第4項第七号ホの表。3種は第二号の表で4m未満の欄にしか入っていないため、4m以上には設けられません。
ただし、この表は「廊下、通路、階段及び傾斜路を除く感知区域」に使います。廊下と階段は、次の項で説明するとおり、床面積ではなく距離で数えます。
廊下は歩行距離30m、階段は垂直距離15mにつき1個以上
第23条第4項第七号ヘで、煙感知器は「廊下及び通路にあつては歩行距離三十メートル(三種の感知器にあつては二十メートル)につき一個以上の個数を、階段及び傾斜路にあつては垂直距離十五メートル(三種の感知器にあつては十メートル)につき一個以上」と定められています。
| 場所 | 1種・2種 | 3種 |
|---|---|---|
| 廊下・通路 | 歩行距離30mにつき1個以上 | 歩行距離20mにつき1個以上 |
| 階段・傾斜路 | 垂直距離15mにつき1個以上 | 垂直距離10mにつき1個以上 |
| 特定一階段等防火対象物の階段 | 1種または2種を垂直距離7.5mにつき1個以上 | 使えない |
出典:消防法施行規則第23条第4項第七号ヘ。特定一階段等防火対象物(特定用途の部分が地階または3階以上にあり、避難階へ直通する階段が2以上ない建物)では、階段に設ける煙感知器は1種または2種を7.5mごとに設けます。
廊下と階段に煙感知器を設けること自体は、第23条第5項第一号(階段・傾斜路)と第二号(廊下・通路。用途の限定あり)で決まっています。製図の平面図で廊下を見たら、床面積ではなく歩行距離を測るのが手順です。
感知区域は、0.4m(分布型と煙は0.6m)以上のはりで区切る
床面積を割る前に、部屋が1つの感知区域かどうかを確かめます。第23条第4項第三号ロのかっこ書で、感知区域は「壁又は取付け面から〇・四メートル(差動式分布型感知器又は煙感知器を設ける場合にあっては〇・六メートル)以上突出したはり等によって区画された部分」とされています。
つまり、スポット型の熱感知器を設ける部屋に0.4m以上のはりがあれば、はりで分けた部分ごとに別の感知区域として数えます。煙感知器と差動式分布型は0.6m以上です。
はりがあるかどうかで個数が変わる例を1つ挙げます。耐火構造・取付け面の高さ3m・床面積160m²の部屋に差動式スポット型2種(70m²)を設ける場合です。
- はりがない場合:160÷70=2.28… → 3個
- 0.5mのはりで80m²ずつに分かれている場合:80÷70=1.14… → 2個が2区域で、合計4個
同じ部屋でも、はりが1本あるだけで3個から4個に増えます。製図では、図面に書かれたはりの突出の寸法を必ず見ます。
計算は「構造を見る → 高さを見る → 種別で表を引く → 割って切り上げる」の順
手順を固定しておくと、見落としが減ります。
- 構造を確かめる。問題文や図面に「耐火構造」「特定主要構造部を耐火構造とした」とあれば上の段、なければその他の構造として下の段を使います(熱感知器の場合)。
- 取付け面の高さを確かめる。天井の高さが4m未満か、4m以上8m未満か。8m以上はスポット型の熱感知器が使えないので、分布型や煙感知器に切り替わります(第二号の表)。
- 感知器の種別で表の床面積を引く。
- 感知区域を確かめる。はりで分かれていれば区域ごとに計算します。
- 床面積を割って切り上げる。
廊下・階段は手順3と5の代わりに、歩行距離・垂直距離を表の距離で割って切り上げます。
計算例6問(答えは原文の表で確かめています)
問題集に入っている計算とは別の数字で、6問用意しました。自分で割ってから答えを見てください。
例1 耐火構造・取付け面の高さ3m・床面積250m²・差動式スポット型2種
表の床面積は70m²。250÷70=3.57… → 4個。
例2 その他の構造・取付け面の高さ3m・床面積250m²・差動式スポット型2種
表の床面積は40m²。250÷40=6.25 → 7個。例1と同じ部屋でも、構造が違うと4個が7個になります。
例3 耐火構造・取付け面の高さ6m・床面積300m²・定温式スポット型特種
4m以上8m未満・耐火構造・特種の床面積は35m²。300÷35=8.57… → 9個。
例4 会議室・取付け面の高さ3m・床面積320m²・光電式スポット型2種
煙感知器の表で4m未満の1種・2種は150m²。320÷150=2.13… → 3個。構造は関係しません。
例5 ホール・取付け面の高さ4.5m・床面積400m²・光電式スポット型2種
4m以上20m未満は75m²。400÷75=5.33… → 6個。
例6 廊下(歩行距離50m)と階段(垂直距離20m)に光電式スポット型2種
廊下は歩行距離30mにつき1個以上なので、50÷30=1.67… → 2個。階段は垂直距離15mにつき1個以上なので、20÷15=1.33… → 2個。同じ廊下と階段に3種を使うなら、50÷20=2.5 → 3個、20÷10=2 → 2個です。
取付け面の高さで、使える感知器の種別が決まる
個数の表を引く前に、その高さにその感知器を設けてよいかを確かめます。第23条第4項第二号の表で、取付け面の高さごとに設けられる感知器が決まっています。
| 取付け面の高さ | 設けられる感知器 |
|---|---|
| 4m未満 | 差動式スポット型、差動式分布型、補償式スポット型、定温式、イオン化式スポット型、光電式スポット型 |
| 4m以上8m未満 | 差動式スポット型、差動式分布型、補償式スポット型、定温式特種・1種、イオン化式スポット型1種・2種、光電式スポット型1種・2種 |
| 8m以上15m未満 | 差動式分布型、イオン化式スポット型1種・2種、光電式スポット型1種・2種 |
| 15m以上20m未満 | イオン化式スポット型1種、光電式スポット型1種 |
| 20m以上 | 炎感知器(第5項第五号) |
出典:消防法施行規則第23条第4項第二号の表、第5項第五号。
製図では、天井の高さが8mを超える倉庫やホールに差動式スポット型を配置してしまう誤りが起きやすいところです。8m以上では、熱感知器なら差動式分布型、煙感知器なら1種・2種に限られます。
差動式分布型は、空気管の長さと間隔で設ける
広い空間や高い天井で使う差動式分布型は、スポット型のように床面積で数えません。空気管式は第23条第4項第四号、熱電対式は第四号の二に、別の数値が定められています。
| 方式 | 条件 | 数値 |
|---|---|---|
| 空気管式 | 感知区域ごとの露出部分の長さ | 20m以上 |
| 取付け位置 | 取付け面の下方0.3m以内、取付け面の各辺から1.5m以内 | |
| 相対する空気管の相互間隔 | 耐火構造9m以下、その他の構造6m以下 | |
| 一の検出部に接続する空気管の長さ | 100m以下 | |
| 検出部の傾き | 5度以上傾斜させない | |
| 熱電対式 | 感知区域の床面積が72m²(耐火構造は88m²)以下 | 熱電対部4個以上 |
| 72m²(耐火構造は88m²)を超える場合 | 4個に、18m²(耐火構造は22m²)までを増すごとに1個を加える | |
| 一の検出部に接続する熱電対部の数 | 20以下 |
出典:消防法施行規則第23条第4項第四号・第四号の二。
熱電対式の計算例を1つ挙げます。その他の構造で、感知区域の床面積が126m²の場合です。72m²までで4個、残りの54m²は18m²ごとに1個なので3個を加えて、合計7個になります。耐火構造で同じ126m²なら、88m²までで4個、残りの38m²は22m²ごとに1個なので2個を加えて、合計6個です。
光電式分離型は、光軸の高さと壁からの距離で設ける
体育館やアトリウムのような広い空間に使う光電式分離型は、送光部と受光部の位置で決まります。第23条第4項第七号の三の条件はこのとおりです。
- 受光面が日光を受けないように設ける(イ)
- 光軸が並行する壁から0.6m以上離れた位置になるように設ける(ロ)
- 送光部と受光部は、その背部の壁から1m以内の位置に設ける(ハ)
- 天井等の高さが20m以上の場所以外に設ける。15m以上の場所に設けるものは1種とする(ニ)
- 光軸の高さが天井等の高さの80%以上となるように設ける(ホ)
- 光軸の長さが公称監視距離の範囲内となるように設ける(ヘ)
- 壁で区画された区域ごとに、区域の各部分から一の光軸までの水平距離が7m以下となるように設ける(ト)
出典:消防法施行規則第23条第4項第七号の三。
製図で光電式分離型の本数を出すときは、最後の「各部分から光軸まで水平距離7m以下」が決め手です。幅の広い空間では、7mごとに光軸を1本ずつ増やす形になります。
個数のほかに、製図で確かめる取付けの条件が4つある
個数が合っていても、取付けの位置が条件から外れると減点の対象になります。第23条第4項に書かれている条件のうち、図面でよく問われるものを挙げます。
| 条件 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 感知器の下端の位置 | 熱感知器(スポット型)は取付け面の下方0.3m以内、煙感知器は下方0.6m以内 | 第三号イ・第七号ハ |
| 壁・はりからの距離 | 煙感知器は壁またははりから0.6m以上離す | 第七号ニ |
| 空気吹出し口からの距離 | 換気口等の空気吹出し口から1.5m以上離す(差動式分布型・光電式分離型・炎感知器を除く) | 第八号 |
| 傾き | スポット型の感知器(炎感知器を除く)は45度以上傾斜させない | 第九号 |
出典:いずれも消防法施行規則第23条第4項。
煙感知器にはこのほか、天井が低い居室や狭い居室では入口付近に設ける(第七号イ)、天井付近に吸気口がある居室では吸気口付近に設ける(第七号ロ)という定めもあります。
感知器を設けなくてよい場所と、煙感知器を使えない場所は別の条文
個数を数える前に、そもそも感知器を設けない場所に当たらないかを見ます。
第23条第4項第一号で、感知器(炎感知器を除く)を設けないのは、取付け面の高さが20m以上の場所(イ)、上屋など外部の気流が流通して有効に感知できない場所(ロ)、天井裏で天井と上階の床との間の距離が0.5m未満の場所(ハ)です。20m以上の場所には、第5項第五号により炎感知器を設けます。
煙感知器については、同号ニで、じんあい・微粉・水蒸気が多量に滞留する場所、腐食性ガスが発生するおそれのある場所、厨房その他正常時において煙が滞留する場所、著しく高温となる場所、排気ガスが多量に滞留する場所、煙が多量に流入するおそれのある場所、結露が発生する場所には設けないとされています。こうした場所には熱感知器を使い、腐食性ガスの場所では耐酸型または耐アルカリ型(別表第一の二の三の備考)、結露の場所では防水型を選びます。
警戒区域は600m²以下・一辺50m以下が原則
感知器の個数とは別に、受信機の回線の数を決める「警戒区域」の決まりも製図で問われます。根拠は消防法施行令第21条第2項です。
- 一の警戒区域は、防火対象物の2以上の階にわたらないこと(第一号)。ただし、面積が500m²以下なら2の階にわたってよい(規則第23条第1項)。
- 一の警戒区域の面積は600m²以下、一辺の長さは50m以下(光電式分離型感知器を設ける場合は100m以下)。主要な出入口から内部を見通せる場合は1,000m²以下にできる(第二号)。
出典:消防法施行令第21条第2項、消防法施行規則第23条第1項。
平面図の問題では、感知器の個数を出したあとに、その階をいくつの警戒区域に分けるかを答えることがあります。600m²と一辺50mの2つの上限を両方確かめます。
本番の製図は記述式。計算の手順は4択で固めておく
甲4の製図は記述式の2問で、平面図に感知器を配置して個数を書いたり、系統図の配線を読んだりします。配点は公表されていませんが、実技は60%以上が合格の条件なので、鑑別5問と合わせて落とせる幅は小さいです。
このページを作ったむむ(ふふむむデザイン)の消防設備士4類の問題集では、製図の区分に、個数の計算(耐火構造かどうか、取付け面の高さ、種別の表)、廊下と階段の数え方、はり、共通線の本数、警戒区域の設定を4択にした20問を入れています。数値はすべて消防法施行令第21条・施行規則第23条・第24条の原文で確かめたもので、答えのあとに根拠の条番号が出ます。確認済みの問題は無料で、回数の制限はありません。
問題集の中身と、乙4・甲4の試験の仕組みは 4類の問題集の案内ページ に、試験科目と合格率は 消防設備士4類の試験科目と合格率の記事 にまとめています。
出典
- 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第23条第1項・第4項・第5項、別表第一の二の三の備考。e-Gov法令検索の本文を2026年10月に確認。
- 消防法施行令(昭和36年政令第37号)第21条第1項・第2項。同上。
- 一般財団法人 消防試験研究センター「試験科目及び問題数」(甲種の実技は鑑別等5・製図2)。2026年10月確認。
このページは、消防庁・消防試験研究センターとは関係のない民間(個人)のものです。表と計算例は法令の原文をもとに当サイトが整理したもので、本番の試験問題そのものではありません。実際の設計・工事は、最新の法令と所轄の消防本部の指導に従ってください。


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