自動火災報知設備の系統図は、送り配線・終端器・共通線7警戒区域の3つで読める。甲4の製図で問われる配線の数え方を、規則第24条の原文と設計の慣行に分けて説明します。

自動火災報知設備の系統図は、送り配線・終端器・共通線7警戒区域の3つで読める。甲4の製図で問われる配線の数え方を、規則第24条の原文と設計の慣行に分けて説明します。 資格

甲4の製図2問のうち、平面図の次によく出るのが系統図です。受信機から各階の機器収容箱へ線が伸び、途中の本数や、末端の終端器の位置を答えます。

系統図で迷う人の多くは、「どの線が何本あるか」を暗記しようとして、根拠が分からなくなっています。配線の本数は、消防法施行規則第24条に書かれた3つの決まり(送り配線・終端器・共通線)と、設計で一般に使われる数え方の2層でできています。この2層を分けて読むと、図面のどこを見ればよいかがはっきりします。

このページでは、法令の原文で決まっていることと、参考書に載っている設計の慣行を分けて、系統図の読み方を整理します。

法令で決まっているのは「送り配線」「末端の終端器」「共通線は7警戒区域まで」

消防法施行規則第24条第一号は、自動火災報知設備の配線の基準です。系統図に直接かかわる3つを原文から抜き出します。

決まり 原文の内容 条番号
送り配線と終端器 感知器の信号回路は、容易に導通試験をすることができるように、送り配線にするとともに回路の末端に発信機、押しボタン又は終端器を設ける(配線が外れたり断線したりしたときに受信機が自動的に警報を発するものは除く) 第一号イ
共通線 感知器回路の配線について共通線を設ける場合の共通線は、一本につき七警戒区域以下とする(R型・GR型受信機に接続される固有の信号の回路は除く) 第一号ヘ
回路の抵抗 P型受信機及びGP型受信機の感知器回路の電路の抵抗は、五十オーム以下となるように設ける 第一号ト

出典:消防法施行規則第24条第一号イ・ヘ・ト。

「送り配線」は、感知器から感知器へ順に線をつないでいき、途中で枝分かれさせない配線です。枝分かれすると、末端の終端器までの導通を確かめても枝の先の断線が分からないので、導通試験ができるようにという目的から、送り配線が求められています。

終端器は、回路の末端に1つ。受信機の中や回路の途中には置かない

系統図の問題で最初に見るのは、終端器(記号はΩ)の位置です。第24条第一号イのとおり、終端器は回路の「末端」に設けます。感知器回路の最後の感知器の位置か、回路の末端に発信機がある場合は、その発信機を納めた機器収容箱の位置に描かれるのが一般的です(条文は「回路の末端に発信機、押しボタン又は終端器を設ける」で、末端の機器の種類は問いません)。

受信機側では、受信機に係る技術上の規格を定める省令第8条第1項第一号で、P型1級受信機は「終端器に至る信号回路の導通を回線ごとに容易に確認することができる装置」(導通試験装置)を持つことになっています。つまり、受信機の導通試験は「受信機から終端器まで」の回路を見る試験で、終端器が末端にあることが前提です。

図面で確かめることは2つです。

  • 各警戒区域の回路の、受信機から最も遠い機器に終端器があるか
  • 同じ回路の途中(受信機に近い感知器)に終端器が描かれていないか

共通線1本に7警戒区域。8警戒区域なら共通線は2本

P型受信機の感知器回路は、警戒区域ごとに1本の表示線(信号線)を受信機まで引き、戻りの線は複数の警戒区域で1本の共通線を共用するのが一般的です。この共通線が、第24条第一号ヘで「一本につき七警戒区域以下」と決められています。

したがって、共通線の本数は「警戒区域の数 ÷ 7(切り上げ)」です。

警戒区域の数 共通線の最少本数
1〜7 1本
8〜14 2本
15〜21 3本
22〜28 4本

R型受信機で固有の信号を持つ感知器や中継器を接続する回路は、この制限を受けません(同号ただし書)。問題文の受信機がP型かR型かで、共通線の扱いが変わります。

幹線の本数は、受信機に近い階ほど多くなる

ここからは、法令の条文そのものではなく、設計で一般に使われている数え方です。参考書で「配線本数の数え方」として扱われている内容です。条文で決まっている部分(共通線7警戒区域・送り配線・終端器)と区別して読んでください。

P型1級受信機で、各階に1警戒区域・機器収容箱(発信機・表示灯・地区音響装置)が1つずつある3階建ての場合、幹線(受信機と各階の機器収容箱を結ぶ線)に含まれる線は、次のように考えます。

線の種類 本数の考え方 根拠の層
表示線(感知器回路の信号線) 警戒区域ごとに1本。受信機に近い階ほど、上の階の分が合流して増える 設計の慣行(送り配線は規則第24条第一号イ)
共通線 7警戒区域につき1本 規則第24条第一号ヘ
電話線・応答線 P型1級発信機を接続する場合に各1本(全階で共用) P型1級発信機の電話連絡の装置・確認の装置は感知器等規格省令第32条第六号・第七号。線の数え方は慣行
表示灯線 2本(全階で共用) 表示灯は規則第24条第八号の二ハ・ニ。線の数え方は慣行
地区音響装置(ベル)線 一斉鳴動なら2本(全階で共用)。区分鳴動では階ごとに線が増える 区分鳴動の要件は規則第24条第五号ハ。線の数え方は慣行

この考え方で3階建ての例を数えると、受信機に近づくほど表示線が1本ずつ増えます。3階と2階の間は表示線1本(3階の分)、2階と1階の間は2本(3階と2階の分)、1階と受信機の間は3本です。共通線・電話線・応答線・表示灯線・ベル線は、どの区間でも同じ本数です。

製図では、このうち「表示線が階ごとに増えること」と「共通線の本数」を問われることが多く、ここに条文(7警戒区域)が直接きいてきます。

区分鳴動は、5階以上かつ3,000m²超の建物で求められる

ベル線の本数が変わる「区分鳴動」の要件は、消防法施行規則第24条第五号ハで決まっています。地階を除く階数が5以上で延べ面積が3,000m²を超える防火対象物では、出火階が2階以上なら出火階とその直上階、1階なら出火階・直上階・地階、地階なら出火階・直上階・その他の地階に限って警報を発することができるものとし、一定の時間が経過したときや新たな火災信号を受信したときは全区域に自動的に警報を発するようにします。

系統図の問題で、建物の階数と延べ面積が示されていたら、区分鳴動が必要かどうかを先に判断します。必要なら、地区音響装置の線は階ごとに別になるため、幹線の本数が変わります。

受信機の種類と回線数で、系統図の形が変わる

系統図を読むときは、受信機がどの型かで前提が変わります。受信機の規格省令と規則第24条の数字をまとめます。

受信機 回線数など 根拠
P型1級受信機 回線数の上限は規格にない。導通試験装置・火災表示試験装置を持つ(回線数1のものは導通試験装置を省略できる) 受信機規格省令第8条第1項第一号
P型2級受信機 接続できる回線の数は5以下。回線数1のものは延べ面積350m²を超える防火対象物に設けない 受信機規格省令第8条第2項第一号、規則第24条第二号チ
P型3級受信機 接続できる回線の数は1。延べ面積150m²を超える防火対象物に設けない 受信機規格省令第8条第3項第一号、規則第24条第二号リ
受信機の台数 P型2級・3級など(回線数1のP型1級を含む)は、一の防火対象物につき3台以上設けない 規則第24条第二号ヘ
接続する発信機 P型1級受信機・R型受信機にはP型1級発信機、P型2級受信機にはP型2級発信機 規則第24条第八号の二ホ

P型2級受信機の系統図では、電話線・応答線がありません(P型2級発信機には電話連絡の装置と確認の装置が求められていないため)。P型1級と2級で幹線の本数が変わるのは、ここが理由です。

受信機から地区音響装置までの配線は耐熱配線

系統図の問題で線の種類を問われることがあります。規則第24条第五号ホで、受信機から地区音響装置までの配線は第12条第1項第五号の規定に準じて設けます。第12条第1項第五号は、600V二種ビニル絶縁電線またはこれと同等以上の耐熱性を有する電線を使い、金属管工事・可とう電線管工事・金属ダクト工事またはケーブル工事(不燃性のダクトに布設するものに限る)で設ける、いわゆる耐熱配線です。

これに対して、感知器回路の配線(表示線・共通線)には、第24条第一号で電線の種類の指定はなく、絶縁抵抗(一の警戒区域ごとに直流250Vの絶縁抵抗計で1MΩ以上、同号チ)と回路の抵抗(50Ω以下、同号ト)が定められています。

非常電源の回路は、第24条第四号ロが引く第12条第1項第四号ホにより、耐火構造の主要構造部に埋設するなどの耐火配線です。系統図の中で「耐熱」と「耐火」を書き分ける問題は、この区別を問うています。

P型1級とP型2級で、3階建ての幹線は本数が変わる

上の数え方を、同じ3階建て(各階1警戒区域・一斉鳴動)でP型1級とP型2級に当てはめると、違いがはっきりします。各区間の本数は、表示線の増え方だけが階で変わります。

区間 P型1級受信機(P型1級発信機) P型2級受信機(P型2級発信機)
3階〜2階 表示線1・共通線1・電話線1・応答線1・表示灯線2・ベル線2=8本 表示線1・共通線1・表示灯線2・ベル線2=6本
2階〜1階 表示線2・共通線1・電話線1・応答線1・表示灯線2・ベル線2=9本 表示線2・共通線1・表示灯線2・ベル線2=7本
1階〜受信機 表示線3・共通線1・電話線1・応答線1・表示灯線2・ベル線2=10本 表示線3・共通線1・表示灯線2・ベル線2=8本

この本数は、設計で一般に使われる数え方による例です。電話線と応答線の2本がP型1級だけに付くのは、P型1級発信機に電話連絡の装置と確認の装置が求められている(感知器等規格省令第32条第六号・第七号)ためで、線の本数そのものは条文にはありません。

例題:5階建て・各階2警戒区域・P型1級なら、共通線は2本

5階建てで各階に2警戒区域(計10警戒区域)、各階に機器収容箱が1つ、P型1級受信機、一斉鳴動の建物を考えます。

  • 共通線:10警戒区域なので、10÷7=1.4… → 2本(規則第24条第一号ヘ)。
  • 表示線:各階2本ずつ増える。5階〜4階は2本、4階〜3階は4本、3階〜2階は6本、2階〜1階は8本、1階〜受信機は10本。
  • 終端器:10の回路それぞれの末端に1つずつ、合計10(規則第24条第一号イ)。
  • 電話線・応答線・表示灯線・ベル線:全区間で1・1・2・2の計6本。

したがって、1階〜受信機の幹線は、表示線10・共通線2・その他6で18本です。共通線が2本になる点だけが条文からの直接の帰結で、ほかは慣行の数え方です。系統図の問題では、この「共通線の本数」と「終端器の位置」が条文で裏づけられる部分なので、ここを最初に固めます。

断線・地絡・他の設備との共用について、受信機と配線に求められること

系統図の問題は、配線の本数だけでなく、「こういう配線や回路は認められるか」という形でも出ます。規則第24条と受信機の規格省令から、関係する決まりを挙げます。

内容 決まり 根拠
用いてはいけない回路方式 接地電極に常時直流電流を流す回路方式。感知器・発信機・中継器の回路と自動火災報知設備以外の設備の回路とが同一の配線を共用する回路方式(火災信号の伝達に影響を及ぼさないものを除く) 規則第24条第一号ハ
他の電線との同居 自動火災報知設備の配線に使用する電線とその他の電線とは、同一の管・ダクト・線ぴ・プルボックス等の中に設けない(60V以下の弱電流回路の電線は除く) 規則第24条第一号ニ
火災表示をしてはいけない場合 配線の一線に地絡が生じたとき、開閉器の開閉等で回路の電圧・電流に変化が生じたとき、振動または衝撃を受けたときに、受信機が火災の表示をしないこと 規則第24条第六号
R型受信機の試験機能 火災表示試験装置に加えて、終端器に至る外部配線の断線と、受信機から中継器(または感知器)に至る外部配線の短絡を検出できる装置を持つ 受信機規格省令第9条第1項
P型1級受信機の試験機能 火災表示試験装置と導通試験装置を持ち、試験の操作中に他の警戒区域から火災信号を受けたとき火災表示ができる 受信機規格省令第8条第1項第一号

「一線に地絡が生じても火災表示をしない」という決まりは、系統図で地絡の位置を示して受信機の動作を問う形で出ることがあります。地絡は断線とは別で、断線は導通試験で確かめるもの、地絡は火災表示をしてはいけないもの、と分けて覚えます。

R型受信機の系統図は、中継器が入り、共通線の制限がない

R型受信機を使う系統図では、感知器や発信機からの信号を中継器がまとめ、固有の信号として受信機に送ります。中継器は、中継器に係る技術上の規格を定める省令第2条で「火災信号、火災表示信号、火災情報信号、ガス漏れ信号又は設備作動信号を受信し、これらを信号の種別に応じて、他の中継器、受信機又は消火設備等に発信するもの」と定義されています。

R型の系統図でP型と違う点は3つです。

  • 固有の信号を持つ感知器・中継器の回路には、共通線「1本につき7警戒区域以下」の制限が適用されない(規則第24条第一号ヘただし書)。
  • 受信機から中継器までの配線と、R型受信機に接続される固有の信号の回路は、第12条第1項第五号に準じた耐熱配線で設ける(規則第24条第一号ホ)。
  • 検知器・受信機・他の中継器から電力の供給を受けない方式の中継器には予備電源を設け(中継器規格省令第3条第3項第三号)、その容量はP型受信機の予備電源と同じ「監視状態を60分間継続した後、2の警戒区域の回線を10分間」が基準になる(同省令第5条第七号ホ(1))。中継器の受信開始から発信開始までの所要時間は5秒以内(同省令第4条)。

製図でR型の系統図が出たときは、P型の数え方(表示線が階ごとに増える)をそのまま当てはめず、中継器から受信機までの伝送路として読みます。

系統図の読み方を、順番にまとめる

  1. 受信機の型を確かめる。P型1級か2級か、R型か。2級なら回線5以下、電話線・応答線なし。
  2. 警戒区域の数を数える。共通線は7警戒区域につき1本。
  3. 各回路の末端に終端器があるかを見る。受信機の中や回路の途中にあれば誤り。
  4. 建物の階数と延べ面積から区分鳴動の要否を判断する。5階以上かつ3,000m²超なら区分鳴動。
  5. 幹線の本数を数える。表示線は受信機に近い階ほど増え、共通線・電話線・応答線・表示灯線・ベル線(一斉鳴動)は全区間で同じ。
  6. 線の種類を書き分ける。受信機〜地区音響装置は耐熱配線、非常電源の回路は耐火配線。

系統図の計算は、4択で手順を固めてから図面に向かう

系統図は、条文で決まる部分(共通線・終端器)を先に固めると、慣行の数え方が覚えやすくなります。むむ(ふふむむデザイン)の消防設備士4類の問題集には、製図の区分に、共通線の本数(警戒区域の数から求める)、送り配線と終端器、警戒区域の設定、受信機から地区音響装置までの配線を4択にした問題が入っています。数値は規則第24条の原文で確かめたもので、答えのあとに根拠の条番号が出ます。確認済みの問題は無料で、回数の制限はありません。

▶ 消防設備士4類(乙4・甲4)の問題集

平面図の個数計算は 感知器の設置個数の計算の記事、記号の読み方は 自動火災報知設備の図記号一覧の記事、覚える数字は 4類で覚える数字の記事 にまとめています。

出典

  • 消防法施行規則(昭和36年自治省令第6号)第12条第1項第四号・第五号、第24条第一号・第二号・第四号・第五号・第八号の二。e-Gov法令検索の本文を2026年10月に確認。
  • 受信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第19号)第8条・第9条。同上。
  • 中継器に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第18号)第2条・第3条・第4条・第5条。同上。
  • 火災報知設備の感知器及び発信機に係る技術上の規格を定める省令(昭和56年自治省令第17号)第32条。同上。

「幹線の本数の考え方」の節は、法令の条文ではなく、設計で一般に使われている数え方を当サイトが説明したものです。実際の設計は、所轄の消防本部の指導と製造者の資料に従ってください。このページは、消防庁・消防試験研究センターとは関係のない民間(個人)のものです。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

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