消防設備士4類(乙4・甲4)の合格率は、消防試験研究センターの公表データで令和8年4〜7月の実績としておおむね36〜37%前後です。10人受けて3〜4人が合格するイメージで、消防設備士の各類の中では平均的な水準です。
ただし「甲4と乙4の合格率がほぼ同じ」という数字だけを見ると実態を誤解しやすいです。甲4には受験資格の条件があり、受験者層の経験値が乙4より高いため、実際の出題難易度は甲4の方が高いと考えるべきです。
このページでは合格率の実数と、合格率を左右する科目別の足切りのしくみを整理します。
令和8年4〜7月の合格率は甲4が37.1%・乙4が36.2%
消防試験研究センターが公表している令和8年4〜7月(2026年)のデータです。
| 区分 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
|---|---|---|---|
| 甲種4類(甲4) | 5,960人 | 2,210人 | 37.1% |
| 乙種4類(乙4) | 2,085人 | 755人 | 36.2% |
出典:消防試験研究センター「試験実施状況」(https://www.shoubo-shiken.or.jp/result/)
受験者数は甲4の方が約3倍多くなっています。甲4は工事もできる上位資格であり、資格取得を目指すビルメンや設備工事会社の社員が多く受験することが背景にあります。
合格率が近くても、甲4の方が難しい理由
令和8年4〜7月のデータでは甲4が37.1%、乙4が36.2%とほぼ同水準ですが、「難易度も同じ」とは言えません。この差が生まれる理由が2つあります。
受験者層の違い
乙4は受験資格の制限がなく誰でも受験できます。一方、甲4は受験に学歴・実務経験・他の資格などの条件が必要です(消防試験研究センターの公式サイトで確認してください)。ある程度の経験を持つ人が受験するため、受験者全体の基礎力は甲4の方が高くなります。その甲4受験者で37%しか合格しないのは、試験の難易度が相応に高いということです。
甲4だけにある製図問題
甲4の実技には乙4にはない「製図」2問が含まれます。感知器の設置個数の計算・系統図への配線追記・配線本数の算出など、構造と設置基準の知識を総合的に使う問題です。記述式のため、選択肢から選ぶ筆記問題より難しく、製図が苦手な受験者の得点を下げやすい科目です。
筆記問題数も甲4(45問)は乙4(30問)より多く、試験時間も甲4が3時間15分・乙4が1時間45分と長いです。準備の量も質も、甲4の方が多く必要です。
消防設備士の他の類と比べた合格率
参考として、消防設備士の他の類との合格率の比較です(数値は試験センターの公表データをもとにした目安)。
| 区分 | 合格率の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 乙種7類(乙7・漏電火災警報器) | 47〜50%台 | 出題範囲が限定的。電気の基礎がある人には取り組みやすい |
| 乙種6類(乙6・消火器) | 30〜40%台 | 電気知識不要。消火器の種類が多く覚える量が多い |
| 乙種4類(乙4) | 36〜40%台 | 自動火災報知設備。電気の基礎が必要。受験者層が幅広い |
| 甲種4類(甲4) | 30〜37%台 | 製図あり。受験者は経験者が多い。出題範囲が広い |
乙7は出題範囲が漏電火災警報器に限定されているため、4類より合格率が高くなっています。乙6と4類(乙4)の合格率は近い水準ですが、乙6は電気の基礎が不要で、4類は電気の計算問題がある点が違います。
4類の乙4は「電気が苦手な人には難しく感じやすい」という特徴があり、電気の基礎科目の得点が合否に影響しやすいです。
科目別の足切りが合否を分ける
消防設備士4類の合格基準は、2つの条件を同時に満たす必要があります。
- 各科目の正答率:40%以上(1科目でも下回ると不合格)
- 筆記全体の正答率:60%以上
「全体では60%取れたが、電気基礎だけ30%だった」という場合は不合格になります。実技(鑑別・製図)も60%以上が必要です。
この「科目別の足切り」が、単純な暗記では対応しにくい部分です。得意科目で点数を稼いでも、1科目でも40%を切ると即アウトになるため、苦手科目を後回しにしたまま試験に臨むと危険です。
足切りを起こしやすい科目
基礎的知識(電気)
電気の知識がない受験者がつまずきやすい科目です。オームの法則・合成抵抗・電力の計算など、数式を使う問題が含まれます。乙4では5問出題されます。5問中2問正解(40%)が最低ラインです。「1問しか取れなかった」という場合は科目足切りです。
電気の計算は慣れれば得点源になりますが、まったく手をつけずに試験に臨むと足切りになりやすい科目です。早めに計算問題の練習を積んでおくことが合格率を上げるポイントの一つです。
実技(製図・甲4のみ)
甲4の受験者が落としやすい科目が製図です。筆記で高得点を取っても、製図2問のどちらか1問を大きく外すと実技全体(鑑別5問+製図2問)の60%を割り込む可能性があります。
製図問題は「感知器の設置個数を計算して図に書き入れる」「系統図を完成させる」という形式で、記述式です。感知器の種類・設置面積・配線の本数など複数の知識を組み合わせる必要があり、個別の暗記だけでは対応できません。
消防関係法令(共通・第4類)
法令は暗記が中心で得点しやすい科目ですが、「なんとなく覚えた」程度では正確な数字や条件を問われたときに誤りやすいです。施行令の設置基準・点検報告の義務・消防設備士の免状に関する規定など、出題のポイントが多岐にわたります。
合格率と学習時間の関係
合格率37%という数字だけを見ると「難しい試験」に見えますが、計画的に準備した受験者の実感としては「しっかり勉強すれば十分に合格できる試験」です。合格率の低さは、準備不足のまま受験する人が一定数いることも影響しています。
乙4の目安は一般的に100〜200時間程度、甲4は150〜300時間程度といわれています。ただし電気工事士などの免除資格を持っている場合は筆記の科目数が減るため、準備時間を短縮できます(詳しくは受験資格と科目免除(電気工事士の人向け)を参照してください)。
合格率が年によって10ポイント近く変わることもあります。問題の難易度は試験ごとに変動するため、1回で決めるつもりで準備しておくのがリスクが少ないです。
合格率を上げるための3つのポイント
電気の基礎を後回しにしない
「電気は苦手だから最後に」と後回しにすると、試験直前まで計算問題に慣れていない状態になります。乙4では5問、甲4では10問出るこの科目を放置すると足切りリスクが上がります。テキストを開いた早い段階から、短時間でもオームの法則・合成抵抗の計算を繰り返す習慣をつけることが有効です。
感知器の種類と設置基準を体系的に整理する
構造・機能・整備の科目は出題数が最も多く、ここで点数を稼げるかどうかが合否を左右します。感知器の種類(差動式・定温式・光電式・炎感知器など)と、それぞれが設置できる場所・できない場所を表形式で整理して覚えると、試験本番での判断が速くなります。
甲4受験者は製図を早めに始める
製図は他の科目の理解が前提になりますが、理解できたら早めに問題を解き始めることが重要です。感知器の設置個数の計算・系統図の配線ルール・共通線の本数制限などを、問題を解きながら覚えていく方法が定着しやすいです。試験直前の1〜2週間だけ取り組んでも、時間が足りないケースがあります。
消防設備士4類(乙4・甲4)の合格率はおおむね30〜37%台で、消防設備士の各類の中では標準的な水準です。甲4と乙4の合格率は数字の上では近いですが、甲4は受験者層の経験値が高くかつ製図問題があるため、実際の難易度は甲4の方が高いです。
合否を左右するのは「全体の得点率」だけでなく「科目別の足切りを踏まない」ことです。電気基礎と製図(甲4)を苦手のまま放置しないことが、合格率を上げる最も確実な方法です。


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