甲1の計算問題でポンプ全揚程は頻出テーマです。全揚程はH = h1 + h2 + h3 + Pの公式で求めます。h1は落差(実揚程)、h2は配管の摩擦損失水頭、h3は消防用ホースの摩擦損失水頭(屋内消火栓のみ)、Pはノズル先端の放水圧力換算値(スプリンクラーではヘッドの放水圧力)です。
作成:fufumumu_design(ふふ)/作成日:2026年10月28日/数字の出典は各表の下に記載しています。
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全揚程の公式と各項目の意味
消防法施行規則第12条第1項第7号・第14条第1項第12号に、加圧送水装置の全揚程の求め方が定められています。
| 記号 | 名称 | 内容 |
|---|---|---|
| H | 全揚程(m) | ポンプが必要とする総合的な揚程。すべての損失と必要圧力の合計 |
| h1 | 落差(実揚程)(m) | ポンプの吸込み水面から最高位ヘッドまたはノズル先端までの垂直距離 |
| h2 | 配管の摩擦損失水頭(m) | 配管内を水が流れるときに生じる摩擦による圧力損失 |
| h3 | ホースの摩擦損失水頭(m) | 屋内消火栓の場合のみ。1号消火栓は6m、2号は3m |
| P | 放水圧力換算値(m) | ノズル先端での必要放水圧力をmH2Oに換算した値 |
出典:消防法施行規則第12条・第14条(2026年10月28日に確認)
圧力の単位換算(MPaとmH2O)
試験問題では圧力がMPaで与えられることが多く、mH2O(メートル水頭)への換算が必要です。
換算式:1 MPa = 100 mH2O
放水圧力の規定値と換算値です。
| 設備 | 放水圧力(MPa) | 換算値(mH2O) |
|---|---|---|
| 屋内消火栓(1号) | 0.17 MPa以上 | 17 m以上 |
| 屋内消火栓(2号) | 0.25 MPa以上 | 25 m以上 |
| スプリンクラーヘッド(閉鎖型) | 0.1 MPa以上1.0 MPa以下 | 10 m(最低放水圧力換算) |
出典:消防法施行規則第12条・第14条(2026年10月28日に確認)
屋内消火栓(1号)の全揚程の計算例
次の条件で全揚程を計算します。
- ポンプ吸込み水面から最高位ノズル先端までの垂直距離(h1):20m
- 配管の摩擦損失水頭(h2):8m
- ホースの摩擦損失水頭(h3):1号消火栓なので6m
- ノズル先端の必要放水圧力(P):0.17 MPa = 17m
全揚程 H = h1 + h2 + h3 + P = 20 + 8 + 6 + 17 = 51 m
この計算で求めた全揚程51mが、加圧送水装置(ポンプ)が持つ必要がある最小の揚程になります。
スプリンクラー設備の全揚程の計算例
スプリンクラー設備にはホース損失h3がありません。
- 落差(h1):15m
- 配管の摩擦損失水頭(h2):10m
- h3:なし(スプリンクラーはホースを使わない)
- ヘッドの放水圧力(P):0.1 MPa = 10m
全揚程 H = 15 + 10 + 0 + 10 = 35 m
配管の摩擦損失水頭の求め方
試験では配管の摩擦損失水頭h2を計算するための数値が与えられることがあります。基本的な考え方はダルシー・ワイズバッハの式から導かれますが、試験問題では摩擦損失係数と配管長・流速が与えられて計算する形式か、すでにh2の値が与えられている形式が多いです。
配管摩擦損失の一般的な傾向として覚えておくべき点です。
- 配管が長いほど、摩擦損失は大きくなる
- 流速が速いほど(口径が細いほど)、摩擦損失は大きくなる
- 曲がりや弁を通過するたびに等価直管長分の損失が加算される
全揚程の計算で間違えやすいポイント
| 間違いやすい点 | 正しい扱い |
|---|---|
| h3(ホース損失)をスプリンクラーにも入れる | スプリンクラーにh3はない。屋内消火栓のみ |
| MPaをそのままmH2Oとして使う | 1 MPa = 100 mH2O の換算を忘れない |
| 落差を「ポンプから最遠ヘッドまでの距離」と混同する | 落差は垂直距離のみ(水平距離は含まない) |
| 全揚程と吐出量を混同する | 全揚程はmH2O(圧力)、吐出量はL/min(流量) |
まとめ
全揚程の計算はH = h1 + h2 + h3 + Pです。1号消火栓のh3は6m、2号は3m、スプリンクラーにはh3がありません。放水圧力はMPaから×100でmH2Oに換算します(0.17 MPa → 17m)。計算問題全体の流れは甲1の計算問題3種類の解き方にもまとめています。
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