加圧送水装置は、屋内消火栓・スプリンクラー設備において水源の水を加圧して配管に送り出す装置です。「ポンプ方式」「加圧水槽方式」「高架水槽方式」の3種類があり、建物の規模や高さによって選定が異なります。消防設備士第1類の試験では、各方式の仕組み・選定基準・ポンプ全揚程の計算が出題されます。
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▶ 消防設備士 第1類 問題集
加圧送水装置の3方式と比較
消防法施行令・施行規則では、加圧送水装置として次の3方式が認められています(消防法施行規則第12条・第14条)。
| 方式 | 仕組み | 主な用途・特徴 |
|---|---|---|
| ポンプ方式 | 電動機でポンプを回転させ加圧 | 最も一般的。建物の高さを問わず使用可能 |
| 加圧水槽方式 | 密閉水槽内の圧縮空気で水を押し出す | 停電時でも作動可能。大規模ビルには向かない |
| 高架水槽方式 | 建物上部の高架水槽から重力で加圧 | 電力不要・構造が単純。建物高さに制限あり |
ポンプ方式の仕組みと構成
ポンプ方式は現在の消防設備で最も広く採用されている方式です。電動機(モーター)でポンプを駆動し、水源(地下水槽)の水を加圧して配管に送ります。
ポンプは通常、地下または建物低層部の機械室に設置されます。ポンプの吸込側にはフート弁(フットバルブ)が設置されており、ポンプ停止時に配管内の水が水源に逆流しないようにします。吐出側には逆止弁と仕切弁が設置されています。
ポンプの起動は、通常は手動起動と自動起動の両方に対応しています。スプリンクラー設備では起動用水圧開閉装置(圧力スイッチ)による自動起動が基本です。屋内消火栓設備では、消火栓箱の起動ボタンを押すことでポンプが起動します。
ポンプ方式では、ポンプを定期的に試運転することが必要です。長期間ポンプを動かさないと、羽根車・メカニカルシールが固着することがあります。
加圧水槽方式の仕組み
加圧水槽方式は、密閉された圧力タンク内に水と圧縮空気を同時に充填し、空気圧で水を押し出す方式です。電動機がなくても放水できるため、停電時でも機能するという特徴があります。
ただし、タンクに充填できる水量・圧力には限りがあるため、大量放水が必要な建物や高層ビルには不向きです。現在は新設事例が少なく、試験では概念の理解が問われます。
加圧水槽方式の選定条件として、消防法施行規則では水と空気の圧力・有効水量の維持に関する規定があります。
高架水槽方式の仕組み
高架水槽方式は、建物の屋上または最高位の消火栓・ヘッドよりも高い位置に水槽を設置し、重力(水頭圧)によって必要な水圧を確保する方式です。電力を必要としないため、停電時でも安定して機能します。
ただし、最高位の消火栓・ヘッドで必要な放水圧力を確保するためには、水槽をその位置より十分に高く置く必要があります。建物の高さが増すほど水槽の設置位置も高くする必要があり、高層建物では実質的に採用が難しくなります。
高架水槽方式では、水槽内の水量が常に規定量以上を保つよう、自動補給弁(フロートバルブ)で管理されます。
ポンプ全揚程の計算
ポンプ方式を採用する場合、ポンプが出力すべき全揚程(水をどれだけ高く・どれだけの圧力で届けるか)を計算する必要があります。
ポンプ全揚程の計算式は次のとおりです。
H=h1+h2+h3+P(屋内消火栓設備の場合)
H:ポンプ全揚程(m)、h1:消防ホースの摩擦損失水頭(m)、h2:配管の摩擦損失水頭(m)、h3:落差(ポンプから末端ノズルまでの高低差)(m)、P:ノズル先端で必要な放水圧力を水頭換算した値(m)です。スプリンクラー設備ではホースがないためh1=0になります。
計算の詳細な手順は、こちらの記事で例題つきで解説しています。
→ 甲1の計算問題は3種類。ヘッド個数・水源水量・ポンプ全揚程の解き方
試験で問われるポイント
加圧送水装置に関して試験に出やすいポイントをまとめます。3方式の名称・仕組み・違いは選択問題で出ます。ポンプ方式の構成(フート弁・逆止弁・仕切弁の役割と位置)は記述問題でも問われます。ポンプ全揚程の計算は甲種の計算問題の1つで、式と計算手順を覚える必要があります。
また、フート弁の役割(逆流防止)・逆止弁の設置位置(ポンプ吐出側)・起動用水圧開閉装置の役割(圧力低下感知・自動起動)は、鑑別問題でも出題されます。
まとめ
加圧送水装置の3方式は、ポンプ方式(電動機で加圧・最も一般的)・加圧水槽方式(空気圧で加圧・停電対応可)・高架水槽方式(重力で加圧・高層不可)です。試験ではポンプ方式の構成部品の名称・役割と、ポンプ全揚程の計算式が出題されます。ポンプ全揚程はh1(ホース摩擦損失)+h2(配管摩擦損失)+h3(落差)+P(必要放水圧力水頭換算)の合計で算出します。
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