消防設備士 甲3の製図問題。系統図と薬剤量計算の解き方。

消防設備士 甲種第3類(以下、甲3)の製図問題は、乙種第3類(乙3)にない甲種固有の問題です。実技全体(鑑別5問+製図2問)の合計7問で60%以上が合格基準なので、製図2問の出来が実技の合否に直結します。製図で0点をとると、鑑別5問で満点でも実技の合格基準(4.2問以上)を下回る可能性があります。

この記事では、甲3の製図問題の3種類・薬剤量計算の手順・系統図の書き方・よくある誤りを整理します。

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製図問題の3種類。薬剤量計算・系統図・不備の指摘

甲3の製図問題2問は、次の3種類から出題されます。

種類 内容 主な出題パターン
薬剤量計算 防護区画の条件から消火薬剤量を計算する CO2全域放出方式・粉末全域放出方式の計算
系統図・平面図への書き込み 未完成の系統図や平面図に機器を書き込む 選択弁・噴射ヘッド・起動装置の配置
不備の指摘 誤りを含む系統図を見て問題点を書く 機器の欠落・接続の誤り・基準値との不一致

2問のうち1問が薬剤量計算、もう1問が系統図の書き込みまたは不備の指摘、というパターンが多いとされています。ただし試験ごとに異なるため、3種類すべてに対応できる準備が必要です。

薬剤量計算の手順。全域放出方式(CO2)の場合

CO2消火設備の全域放出方式での薬剤量計算は、次の手順で行います。

手順1:防護区画の体積を求める

問題文から防護区画の縦・横・高さを読み取り、体積(m³)を計算します。

例:縦10m×横8m×高さ3m=240m³

手順2:単位体積あたりの薬剤量を確認する

問題文から消火対象(一般・深部火災・特殊可燃物)と設計濃度を確認します。設計濃度に対応する単位体積あたりの薬剤量(kg/m³)が与えられます。

手順3:基本薬剤量を計算する

基本薬剤量(kg)=防護区画体積(m³)×単位体積あたり薬剤量(kg/m³)

手順4:開口部補正量を加算する(開口部がある場合)

開口部補正量(kg)=開口部面積(m²)×開口部1m²あたりの補正量(kg/m²)

この補正量は問題文で与えられます。

手順5:合計の消火薬剤量を出す

消火薬剤量=基本薬剤量+開口部補正量

計算の途中式を必ず書くこと。最終答えが間違っていても、途中式が正しければ部分点が入ります。

系統図への書き込み。機器の配置と流れを理解する

系統図への書き込み問題では、未完成の系統図に機器名や記号を書き込みます。CO2消火設備(閉止弁方式・選択弁方式)の一般的な系統の流れは次のとおりです。

順序 機器名 役割
① 貯蔵容器(CO2容器) 液化CO2を高圧で貯蔵する
② 容器弁(またはサイフォン管) 貯蔵容器の出口を開閉する
③ 起動用ガス容器 窒素ガスで容器弁を開放する
④ 操作管(起動用配管) 起動信号を伝える配管
⑤ 選択弁 複数の防護区画がある場合に区画を選択する
⑥ 集合管 複数の貯蔵容器を1本の配管にまとめる
⑦ 安全装置(安全弁・破裂板) 過圧時に安全に放出する
⑧ 噴射ヘッド 消火薬剤を防護区画に放出する

系統図の問題では、どの機器がどこに入るかを判断します。「選択弁は防護区画ごとに設ける」「集合管は貯蔵容器の出口側に設ける」という設置位置のルールを理解していることが重要です。

不備の指摘問題。よく出る誤りのパターン

不備の指摘問題では、誤りを含む系統図を見て「何が間違っているか」を答えます。試験で出やすい誤りのパターンを覚えておくと対応しやすくなります。

誤りのパターン 正しい内容
選択弁の位置が逆(集合管の後に設けている) 選択弁は防護区画の手前(集合管の下流・区画ごと)に設ける
起動装置の配線が手動起動装置につながっていない 手動起動装置・自動起動装置のどちらからも起動できるよう配線する
安全装置がない 配管系統には安全弁または破裂板が必要
音響警報装置が放射前に鳴らない配線 自動起動の場合、感知器作動→音響警報→遅延(20秒以上)→放射の順に動作
噴射ヘッドの向きが防護対象外を向いている 防護区画全体に消火薬剤が届く方向に設ける

不備の指摘では、見つけた誤りを「〇〇が××に設置されているが、正しくは△△でなければならない」という形で具体的に答えることが求められます。誤りを指摘するだけでなく、正しい状態も書くと得点しやすくなります。

製図問題を解くための準備

製図問題は、次の準備をしてから演習に取り組むと効率がよくなります。

  • 薬剤量計算の公式(全域放出・局所放出)を紙に書いて覚える
  • CO2消火設備の系統図を1枚書いて機器の位置関係を把握する
  • 不備の指摘問題でよく出るパターンを一覧にして覚える
  • 問題集の製図問題を繰り返し解く(条件を変えながら計算する)

製図問題は、筆記の勉強が終わってから取り組むより、筆記の中間あたりから少しずつ始めるのが効果的です。試験直前になって「製図問題の対策が間に合わなかった」というケースが多い科目のため、早期着手をおすすめします。

粉末消火設備の薬剤量計算(全域放出方式)

粉末消火設備の全域放出方式も、CO2と同様の手順で計算します。粉末薬剤の種別(第1〜4種)ごとに単位体積あたりの薬剤量が異なります。

粉末薬剤の種別 単位体積あたり薬剤量
第1種(炭酸水素ナトリウム) 0.60kg/m³以上
第2種(炭酸水素カリウム) 0.36kg/m³以上
第3種(リン酸二水素アンモニウム) 0.36kg/m³以上
第4種(炭酸水素カリウムと尿素の反応物) 0.24kg/m³以上

薬剤量計算式:消火薬剤量(kg)=防護区画体積(m³)×単位体積あたり薬剤量(kg/m³)+開口部補正量

問題文で薬剤の種別と単位体積あたりの量が与えられます。与えられた数値を公式に代入して計算します。

製図問題での部分点の取り方

製図問題は記述式の採点で、部分点があります。最終答えが合っていなくても、次の内容が正しければ部分点が入る可能性があります。

  • 計算の途中式が正しい(体積計算・基本薬剤量計算が正確)
  • 開口部補正の計算が正しい(面積と係数の計算)
  • 系統図の一部が正しい(機器名が正しく書けている部分)
  • 不備の指摘が1つでも正しい(複数の不備のうち1つを正確に指摘)

「完答できないかもしれない」と思っても、分かる部分だけ書いておくことが得点に繋がります。白紙で提出しないことが重要です。

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出典:消防法施行規則・不活性ガス消火薬剤の規格を定める省令・粉末消火薬剤の規格を定める省令。
作成日:2026年11月5日

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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