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エコノマイザ(節炭器)と空気予熱器は、煙道を通る排気ガスの熱を有効に回収してボイラーの熱効率を高める装置です。試験では各装置の役割・設置位置・低温腐食のメカニズムと対策が繰り返し出題されます。特に低温腐食は燃料の種類(硫黄分)と密接に関係するため、両者を合わせて理解することが重要です。
エコノマイザ(節炭器)の役割
エコノマイザは煙道内に設置された熱交換器で、排気ガスの熱を利用してボイラーへの給水を予熱します。名称の由来は「燃料(fuel)を節約(economize)する」装置です。
- 目的:給水を予熱することで、ボイラー本体で水を蒸気にするために必要な熱量を減らす
- 設置位置:煙道の途中(ボイラー本体の後ろ側)に設置。排気ガスが通過する経路に給水管を通す
- 熱効率改善効果の目安:給水温度が6℃上がるごとに熱効率が約1%向上する
- 鋳鉄製と鋼管製:小型ボイラー向けには鋳鉄製が多く、大型ボイラーには鋼管製が使われる
空気予熱器の役割
空気予熱器は排気ガスの熱を利用して燃焼用空気を予熱する装置です。エコノマイザのさらに下流(排気温度が低い位置)に設置されます。
- 目的:予熱された空気を燃焼室に送り込むことで燃焼温度が上がり、熱効率が向上する
- 副次的効果:燃焼ガスの露点以下に排気温度が下がるのを防ぐ役割もある(ただし自身が低温腐食のリスクを持つ)
- 種類:管式(チューブ式)・再生式(ルングストローム式)がある
- 設置位置:エコノマイザの後流(煙道のより下流側)
排熱回収装置の設置順序
煙道内の各装置は、排気ガスの流れに沿って次の順序で配置されます。
ボイラー本体 → 過熱器(蒸気式) → エコノマイザ → 空気予熱器 → 集塵装置 → 煙突
- 排気ガスの温度は下流になるほど低くなる
- エコノマイザは給水を予熱するため、給水温度以上の排気温度がある場所に設置する
- 空気予熱器は外気温近くの空気を予熱するため、より温度が低い下流に設置できる
低温腐食のメカニズム
重油などの硫黄分を含む燃料を燃焼させると、排気ガス中に三酸化硫黄(SO₃)が生成されます。SO₃は水蒸気(H₂O)と結合して硫酸(H₂SO₄)になります。
この硫酸は、排気ガス温度が「硫酸露点」(約130〜150℃)以下になる箇所で金属面に凝縮し、金属を急速に腐食させます。これが低温腐食です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 腐食の原因物質 | 硫酸(H₂SO₄)の凝縮。燃料中の硫黄分が燃焼→SO₂→SO₃→H₂SO₄の経路で生成される |
| 腐食が発生する条件 | 排気ガス温度が硫酸露点(130〜150℃程度)以下になる箇所 |
| 腐食が起きやすい場所 | エコノマイザ・空気予熱器(煙道末端部)。外壁付近・寒冷地での煙突内壁 |
| 硫黄分が多い燃料 | C重油(硫黄分が最も多い)。低硫黄油・ガス燃料では低温腐食のリスクが低い |
低温腐食の対策
低温腐食を防ぐためには、排気ガス温度が硫酸露点以下にならないよう管理することが基本です。
- 排気ガス温度の管理:エコノマイザ・空気予熱器の出口の排気温度を硫酸露点以上に保つ
- 低硫黄燃料の使用:硫黄分の少ない燃料に切り替えることで SO₃の発生量を減らす
- 空気比の管理:空気比が高すぎると SO₂→SO₃ の酸化反応が促進される。適切な空気比を維持する
- 給水温度の管理:エコノマイザに入る給水温度が低すぎると、伝熱管の表面温度が露点以下になりやすい。給水を十分に予熱してからエコノマイザに送る
- 耐腐食材料の使用:低温腐食が避けられない箇所には、耐硫酸性の材料(ガラスライニング・ホーロー・テフロン被覆)を使用する
すす吹き(スートブロー)の役割
エコノマイザや空気予熱器の伝熱面にすすが付着すると、熱伝達効率が低下して排気温度が上昇します。すすを除去する作業を「すす吹き(スートブロー)」といいます。
- 方法:蒸気または圧縮空気をノズルから吹き付けてすすを吹き飛ばす
- 頻度:燃料の種類・運転負荷に応じて定期的に実施する
- 効果:伝熱面の清浄化により排気熱損失が減り、熱効率が回復する
試験頻出ポイントと誤りやすい箇所
- エコノマイザは「給水を予熱する」装置。空気予熱器は「燃焼用空気を予熱する」装置
- 煙道の設置順序:エコノマイザ → 空気予熱器(エコノマイザが上流)
- 低温腐食の原因は「硫酸(H₂SO₄)の凝縮」。SO₃+H₂O→H₂SO₄の反応
- 低温腐食が起きやすい場所はエコノマイザ・空気予熱器など排気温度が最も低い箇所
- C重油は硫黄分が多く低温腐食が発生しやすい。ガス燃料は硫黄分が少ないため低温腐食のリスクが低い
この記事のまとめ
エコノマイザは排気ガスで給水を予熱し、空気予熱器は燃焼用空気を予熱して熱効率を高めます。設置順序はボイラー本体→エコノマイザ→空気予熱器→煙突です。低温腐食は燃料中の硫黄分がSO₃→硫酸に変わり、排気温度が露点(130〜150℃)以下の金属面に凝縮して起きます。C重油は硫黄分が多く低温腐食リスクが高いため、排気温度の管理・低硫黄油の採用・適切な空気比管理が重要です。試験では両装置の役割の違い・設置順序・低温腐食のメカニズムが出題されます。
出典:安全衛生技術試験協会 公表試験問題・ボイラー及び圧力容器安全規則(e-Gov法令検索)
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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