認知症グループホームの開設者・管理者・計画作成担当者の役割分担と兼務の可否。

認知症グループホームには「開設者(法人)」「管理者」「計画作成担当者」という三つの役割があり、それぞれ要件・責任・業務内容が異なります。兼務が認められる組み合わせ・認められない組み合わせを正確に把握しておかないと、指定申請の審査で引っかかる場合があります。本記事では三者の役割・要件・兼務可否を整理します。

三者の役割の基本的な違い

役割 誰が担うか 主な責任
開設者(法人) 事業所を経営する法人(株式会社・NPO等) 事業全体の法的責任・収支管理・指定の維持
管理者 事業所に常勤する専従の管理職員 職員管理・利用者対応・行政への窓口
計画作成担当者 ケアマネまたは認知症介護実践者研修修了者 居宅サービス計画の作成・更新・モニタリング

管理者の要件

指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)第89条は、管理者の要件として以下を定めています。

  • 特別な資格要件はない(介護福祉士・ケアマネ等が望ましいが必須ではない)
  • 事業所に常勤であること(非常勤・パートはNG)
  • 管理業務に専従すること(他の職務との兼務は原則不可)

「常勤専従」が原則ですが、同一敷地内の別の事業所(例:訪問介護・居宅介護支援)の管理者と兼務することは市区町村の判断で認められる場合があります。指定を受ける市区町村に事前確認することが重要です。

管理者と計画作成担当者の兼務

管理者と計画作成担当者の兼務は認められています(平成18年省令第34号第92条)。ただし、計画作成担当者としての業務(アセスメント・計画作成・モニタリング)をこなしながら管理業務も担うため、1ユニット(最大9人)の場合でも業務量が多くなります。

管理者が計画作成担当者を兼ねる場合は、両方の業務を記録に残すことが重要です。

管理者の介護業務との兼務

管理者は「管理業務に支障がない」と認められる場合に限り、介護業務(直接介護)との兼務が認められる場合があります。市区町村によって解釈が異なるため、指定申請時に確認します。

夜間のみ介護職員として勤務し、日中は管理業務を行うという形態は、認められないケースもあります。

計画作成担当者の要件と配置数

計画作成担当者の要件は以下のとおりです(平成18年省令第34号第92条)。

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)または認知症介護実践者研修修了者であること
  • ユニットごとに1人以上配置すること
  • 常勤専従は必須ではない(非常勤でも可)

ただし、外部のケアマネジャーに計画作成を委託する場合は、施設内に計画作成担当者としての実務を担う職員(認知症介護実践者研修修了者)が必要な場合があります。詳しくは管理者・計画作成担当者の要件を参照してください。

開設者(法人)の代表者と管理者の関係

開設者(法人)の代表者(社長・理事長など)が管理者を兼ねることは可能です。ただし、管理者は事業所への常勤が求められるため、代表者として別の事業所に出勤している日が多い場合は常勤要件を満たさない可能性があります。

代表者が兼ねる場合は、勤務実績(タイムカード・出勤簿)で常勤を証明できるようにしておく必要があります。

夜間・休日の管理体制

管理者は24時間365日常駐することまでは求められていませんが、緊急時に対応できる体制を整えておく必要があります。事故・利用者の急変・行方不明などが発生した場合、管理者への連絡が取れる体制(連絡先・夜間緊急体制)を整備します。

夜間の介護体制については夜間支援体制加算を参照してください。

まとめ

認知症グループホームの開設者・管理者・計画作成担当者は、それぞれ異なる要件・責任を持ちます。管理者は常勤専従が原則で、計画作成担当者との兼務は認められています。兼務の可否は市区町村によって解釈が異なる場合があるため、指定申請前に担当窓口への事前相談が不可欠です。

開業準備の全体像は開業ガイドを、収支の試算は収支シミュレーターを参照してください。

管理者の変更・退職時の手続き

管理者が変更になった場合、市区町村への変更届が必要です。変更届は変更日の翌月10日までに提出することが一般的です(市区町村によって期限が異なる)。

変更届の提出が遅れると、指導の対象になる場合があります。管理者が退職・交代する場合は、早めに後任を選定し、変更届の準備を進めることが重要です。

計画作成担当者の変更時の注意点

計画作成担当者が交代する場合も、市区町村への変更届が必要です。また、新たな担当者に引き継ぐ際には以下の事項を確実に引き継ぎます。

  • 入居者全員の居宅サービス計画(最新版)
  • モニタリング記録の一覧
  • 直近のアセスメント結果
  • 次回の計画更新予定日
  • 家族との連絡記録

計画の引き継ぎが不十分なまま移行すると、入居者へのサービスの継続性が損なわれます。

開設者(法人)の責任:指定の維持

開設者(法人)は、指定を受けた事業所の運営が適正に行われるよう管理する最終的な責任を負います。管理者・計画作成担当者の要件が満たされなくなった場合、速やかに補充しなければ指定の効力が失われる場合があります。

指定取消しとなるような重大な違反(虐待・不正請求など)が発生した場合、法人の代表者も行政処分の対象になる可能性があります。

管理者研修の義務

認知症グループホームの管理者は、都道府県が指定する「認知症対応型共同生活介護管理者研修」を修了することが義務付けられています(平成18年省令第34号第91条)。管理者として就任する前に研修を修了しておくことが求められます。

この研修は都道府県が実施する公的研修で、内容はグループホームの運営・マネジメント・利用者支援などです。受講申し込みは都道府県の担当窓口に問い合わせます。

三者の役割分担を書面で明確にすることの重要性

開設者・管理者・計画作成担当者の役割は、職務分掌規程として文書化しておくことが望ましいです。特に管理者が計画作成担当者を兼ねている場合、両方の業務を日々こなしていることが記録から確認できることが重要です。

書面による役割の明確化は、実地指導での説明のしやすさにもつながります。詳しくは実地指導の準備と対応を参照してください。

管理者・計画作成担当者の評価と処遇設定

管理者・計画作成担当者は事業所の中心的な役割を担うため、適切な評価・処遇の設定が重要です。処遇改善加算の対象は介護職員全体ですが、管理職手当・職責手当を別途設定することで役職への就任意欲を高めることができます。

処遇改善加算の仕組みについては処遇改善加算を参照してください。

管理者の不在時の対応体制

管理者が不在(外出・休暇・病気)の場合に備えて、代理を担う職員を事前に定めておく必要があります。代理者は管理者が不在の際の緊急対応・利用者への対応・外部への連絡窓口を担います。

代理者の設定は職務分掌規程に明記し、関係者(職員・家族・市区町村)に周知しておきます。代理者の対応が遅れると事故対応・クレーム対応に影響が出るため、代理体制の整備を開業前に完了させることが重要です。

二法人が共同でGHを運営するケース

認知症グループホームを2つの法人が共同で運営する形態は認められません。指定は1法人1事業所単位で行われます。ただし、建物オーナーと運営法人が別々(サブリース方式)であることは問題ありません。

複数の事業所を展開する場合は、各事業所に管理者・計画作成担当者を配置する必要があります。同一法人の場合でも、事業所をまたいだ兼務は原則認められないため注意が必要です。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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