小規模多機能型居宅介護の計画作成担当者。資格要件・研修・配置基準。

小規模多機能型居宅介護の計画作成担当者。資格要件・研修・配置基準。 介護

小規模多機能型居宅介護では、利用者ごとに「登録者に対するサービスの提供の計画」(以下「サービス計画」)を作成します。この計画を作成する「計画作成担当者」には、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格が必要とされています。小規模多機能の開業に際して、最も確保が難しい職種の一つです。

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計画作成担当者の資格要件

小規模多機能型居宅介護の計画作成担当者には、次の要件が必要です。

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を持つこと:介護支援専門員証が有効期限内であること(5年ごとの更新が必要)
  • 認知症対応型サービス事業計画作成担当者研修を修了していること:小規模多機能・認知症GH等の地域密着型サービスの計画作成担当者として必要な専門研修

介護支援専門員の資格を持っていても、計画作成担当者研修を修了していない場合は計画作成担当者として配置できません。開業前に研修の受講スケジュールを確認することが重要です。

計画作成担当者の配置基準

計画作成担当者の配置基準は次の通りです。

  • 登録者の数が29人までの場合:1名以上の配置が必要
  • 計画作成担当者の1人は常勤かつ専従であること(ただし、業務に支障がない場合は管理者・他の職種との兼務が認められる場合がある)

「常勤かつ専従」という基準は、計画作成担当者が日常的にサービス計画の作成・見直しを行える体制を確保するためのものです。非常勤・パートタイムの計画作成担当者は基準を満たさないため注意が必要です。

計画作成担当者研修とは

認知症対応型サービス事業計画作成担当者研修は、都道府県が開催する専門研修です。内容・日程は都道府県によって異なりますが、概ね次の通りです。

計画作成担当者研修の概要
項目 内容
開催主体 都道府県または都道府県が委託した機関
日程 2〜3日程度(都道府県によって異なる)
内容 認知症の理解・地域密着型サービスの制度・サービス計画の作成方法・個別支援計画の演習等
受講要件 介護支援専門員証が有効であること(自治体によって異なる場合がある)

研修の開催回数は年に1〜2回程度の都道府県が多く、受講を希望しても定員があるため申込が集中する場合があります。開業前から研修のスケジュールを確認し、早めに申し込むことが重要です。

計画作成担当者の役割

計画作成担当者は、居宅ケアマネジャーとは異なる役割を担います。違いは次の通りです。

計画作成担当者 vs 居宅ケアマネジャーの違い
計画作成担当者(小規模多機能) 居宅ケアマネジャー(居宅介護支援事業所)
作成する計画の種類 登録者に対するサービスの提供の計画(小規模多機能内の計画) 居宅サービス計画(ケアプラン)
関わるサービス 小規模多機能の通い・泊まり・訪問 利用者が利用する全サービス(訪問介護・通所介護・福祉用具等)
ケアプランの担当 小規模多機能の計画に特化(ケアプラン全体を作成するわけではない) 居宅全体のサービスのコーディネート

小規模多機能の登録者は居宅ケアマネジャーとの契約を解除するため、小規模多機能の計画作成担当者が実質的なケアコーディネーターとしての役割を担います。

計画作成担当者の採用の難しさと対策

介護支援専門員(ケアマネジャー)は全国的に需要が高い職種です。居宅介護支援事業所・特養・有料老人ホーム等の多くの事業所で求められており、採用競争が激しい状況が続いています。

計画作成担当者を確保するための対策として次のものがあります。

  • 管理者がケアマネ資格を持って兼務する:管理者が計画作成担当者研修も修了しており、管理者と計画作成担当者を兼務する形が多くの小規模多機能で取られています
  • 既存スタッフにケアマネ受験を促す:現在介護職員として働くスタッフが介護支援専門員試験に合格した後、計画作成担当者研修を受講させる計画を立てる
  • 開業前に採用を確定させる:指定申請には計画作成担当者の資格証・研修修了証が必要です。採用ができていない状態では指定申請ができないため、開業スケジュールに余裕を持つことが重要です

計画作成担当者が不在になった場合のリスク

計画作成担当者が退職・長期休業等で不在になった場合、基準を満たさない状態になります。この場合は速やかに市区町村への報告・変更届出が必要です。

基準違反の状態が続くと実地指導で指導・改善勧告の対象となります。計画作成担当者の確保は継続的な課題であり、1人のみに依存しない体制(複数のケアマネ資格保有者の配置・育成)を目指すことが重要です。

介護支援専門員証の有効期間と更新

介護支援専門員証の有効期間は5年です。更新するには更新研修(実務研修受講試験合格者は除く)を受ける必要があります。有効期間が切れた状態では計画作成担当者として配置できません。

計画作成担当者が複数いる場合は、それぞれの証の有効期限をカレンダーで管理し、期限切れが起きないよう事前に更新手続きを進めることが重要です。

サービス計画の作成手順と見直しの頻度

計画作成担当者の実務では、利用者ごとのサービス計画を作成し、定期的に見直すサイクルを回します。

サービス計画の作成・見直しの手順は次の通りです。

  1. 利用者の状況把握(アセスメント):日常生活の状況・心身の状態・家族の状況・環境等を把握する
  2. 計画の作成:アセスメントに基づき、通い・泊まり・訪問の利用計画を作成。家族の希望・利用者本人の意向を反映させる
  3. 計画の説明と同意:作成した計画を利用者・家族に説明し、同意を得て署名を受ける
  4. 計画の実施とモニタリング:計画に沿ってサービスを提供し、おおむね月1回以上はモニタリングを行い、計画との乖離がないか確認する
  5. 計画の見直し:利用者の状態変化・家族の状況変化・サービス変更等があった場合に計画を見直す

モニタリングの頻度については、最低限の義務は規定されていませんが、月1回以上の実施が望ましいとされています。利用者の状態が不安定な場合はより高頻度で行うことが重要です。

計画作成担当者と他職種の連携

計画作成担当者は、計画の作成・見直しにあたって他の職種との連携が重要です。

計画作成担当者と連携する関係者
連携先 連携の内容
通い・泊まり担当の介護職員 日常の状態変化・サービス提供時の様子を共有する
訪問担当の職員 在宅での生活状況・医療処置の状況等を把握する
管理者 サービス提供の方針・人員の調整等を協議する
医療機関(主治医) 医療的ケアが必要な場合に診療情報・指示内容を確認する
家族 定期的な面談・連絡で希望や不安を把握する

小規模多機能の計画作成のポイント

小規模多機能の計画作成では、通い・泊まり・訪問を一体的に組み合わせることが特徴です。利用者の生活リズム・状態変化に合わせて、3つのサービスの組み合わせを柔軟に調整する計画を作ることが求められます。

特に認知症のある利用者の場合、生活の中で見通しが持てるルーティンを確保する観点から、通いの曜日・時間帯・関わる職員の顔ぶれ等を計画に反映させることが有効です。

計画の記録保管義務

作成したサービス計画は、サービスを提供した日から2年間(自治体によっては5年以上の場合があります)保管する義務があります。計画の署名済みの書類・見直し記録・モニタリング記録を一式でファイリングし、利用者ごとに管理します。

実地指導では、計画の内容・作成日・署名の有無が確認されます。計画が「紙だけある」状態ではなく、実際のサービス提供に反映されている状態が重要です。

開業前に計画作成担当者が確保できているかを確認する

指定申請の際には、計画作成担当者の介護支援専門員証・計画作成担当者研修の修了証を申請書類として提出します。これらが整っていない場合は指定申請ができません。

採用が難航している場合は、開業のスケジュールを見直すことも必要です。計画作成担当者が確保できていない状態での開業は基準違反となるため、指定申請前に採用・研修の両方が完了していることを確認します。

計画作成担当者の採用に関する法的な注意点

計画作成担当者は他の介護事業所(居宅介護支援事業所・特養等)との兼務が、原則として認められていません。「既に他の事業所で計画作成担当者(またはケアマネジャー)として働きながら、週2日だけ小規模多機能の計画作成担当者を兼務する」という形は認められない場合が大半です。

ただし、同一法人内の複数事業所での兼務について、条件付きで認められる場合があります。詳細は開業予定地の市区町村に確認することが必要です。

計画作成担当者の経営上の位置づけ

計画作成担当者は、小規模多機能の運営において利用者との関係を最も深く維持できる職種です。計画作成担当者が利用者・家族の信頼を得ることが、サービスの継続利用(退所防止)・口コミによる新規利用者の獲得につながります。

計画作成担当者の業務負担が高すぎる場合(登録者が増えて1人では対応しきれない場合)、モニタリング・連絡対応の質が低下するリスクがあります。業務の標準化(連絡記録のフォーマット・モニタリングの手順書等)を整えることで、計画作成担当者の負担を軽減し、質を維持できます。

計画作成担当者と管理者の兼務についての注意点

多くの小規模多機能では、管理者と計画作成担当者を同一の人物が兼務しています。この兼務が認められる条件として、「業務に支障がない場合」という要件が課されています。

開業直後(登録者10〜15人程度)の段階では、管理者兼計画作成担当者という体制で業務は回りやすいです。しかし登録者が25人以上になると、計画の作成・モニタリング・連絡対応の業務量が増え、管理業務との兼務が困難になる場合があります。

登録者が一定数を超えたら、計画作成担当者の補助者(サブ担当)を育成するか、ケアマネ資格を持つ別の職員を採用・育成するかの判断が必要になります。この「転換点」をあらかじめ想定した採用計画を立てておくことで、対応が遅れることを防げます。

小規模多機能の計画作成担当者が果たす地域連携の役割

計画作成担当者は、利用者の登録にあたって地域の医療機関・居宅ケアマネジャー・地域包括支援センターとの連携窓口を担うことがあります。

小規模多機能の利用を開始する際には、利用者のかかりつけ医・他のサービス事業所・地域包括等と情報共有を行うことが重要です。計画作成担当者が地域での顔を持つことで、「あの事業所の計画作成担当者は連携しやすい」という評価が口コミで広がり、新規登録者の紹介につながります。

計画作成担当者の処遇と採用市場の現状

介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格を持つ職員は、介護業界全体で需要が高い職種です。月給の相場は地域によって異なりますが、介護職員より1〜3万円程度高い水準に設定している事業所が多いです。

採用競争が激しい状況で計画作成担当者を確保するために、次の処遇・環境整備が有効です。

  • 専門職としての役割を明確にする(「計画作成の専門家」として位置づける)
  • 介護支援専門員証の更新研修費用を事業所が負担する
  • キャリアラダー(職種別の賃金体系・昇給ルール)を整備する
  • 残業を抑えた業務設計(書類業務の効率化・ICT活用)

計画作成担当者が長く働ける環境を作ることで、採用コストの削減・ケアの継続性の確保につながります。

参考・出典

  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)

この記事は2026年11月時点の情報に基づいています。計画作成担当者研修の詳細は都道府県担当窓口でご確認ください。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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