認知症GHの看取り介護加算は、死亡日前30日以内から算定できる加算で、単位数は死亡日が80単位/日、死亡前日・前々日が160単位/日、死亡前4〜30日が72単位/日です(令和6年厚生労働省告示第128号)。算定には看取り介護指針の策定・利用者と家族への説明と同意・24時間の連絡体制・多職種連携の記録が必要です。
看取り介護加算の単位数一覧
| 時期 | 単位数/日 | その他地域10.00円換算/日 |
|---|---|---|
| 死亡日前31日以上前 | 算定不可 | — |
| 死亡日前4〜30日(27日間) | 72単位 | 720円/日 |
| 死亡前日・前々日 | 160単位 | 1,600円/日 |
| 死亡日 | 80単位 | 800円/日 |
1人の看取りで最大算定した場合の合計:72単位×27日+160単位×2日+80単位×1日=1,944+320+80=2,344単位(その他地域換算で23,440円)。出典:令和6年厚生労働省告示第128号(令和6年改定)。
算定の主な要件
看取り介護加算を算定するには、以下の要件を事前に整備し、算定時には記録で証明できる状態にしておく必要があります。
- 看取り介護指針の策定:事業所として看取り介護をどのように行うかの方針を文書化する。
- 利用者・家族への説明と同意:看取り介護を行う旨と、その内容について口頭・文書で説明し、同意を得た記録を残す。
- 24時間の連絡体制:看取り期に入った利用者の担当職員または医療機関との連絡が24時間可能な体制を整える。
- 多職種連携:医師・看護師・介護職員・ケアマネジャー等が連携してケアを行い、その内容を記録に残す。
- 医師による死亡診断:死亡日の算定には、医師が死亡を確認した旨の記録が必要です。
算定の流れ
実際に看取り介護加算を算定する際の流れは以下のとおりです。
- 利用者の状態悪化を確認し、医師または看護師の判断のもとで「看取り期への移行」を判断する。
- 利用者・家族に看取り介護の方針を説明し、同意書にサインをもらう(認知症GHの利用者本人は意思疎通が困難な場合が多いため、家族への説明が中心になる)。
- ケアプランに看取り介護の内容を記載し、多職種でケアの方針を共有する。
- 死亡前30日以内から加算の算定開始(事業所の介護給付費明細書に加算を記載する)。
- 死亡後、加算の算定根拠となる記録(同意書・ケアの記録・多職種連携の記録・医師の確認記録)を整備・保管する。
医療連携体制加算との関係
看取り介護加算は、医療連携体制加算と同時に算定することができます。医療連携体制加算では看護師との連携体制を整えることが要件のひとつであり、その体制が看取り期の24時間連絡体制としても機能するためです。医療連携体制加算の詳細は医療連携体制加算の記事をご覧ください。
看取り介護加算の収支上の位置づけ
1人の看取りで得られる最大収入は約23,440円(27日間×72単位+2日×160単位+1日×80単位、その他地域換算)です。定員9人の事業所で年間に複数名の看取りを行う場合、年間で数万〜10万円超の加算収入になりえますが、人員配置・準備の負担も伴うため、収支上の比重は大きくありません。看取り介護加算は収益のためより、利用者・家族へのケアの質と、事業所の看取り対応能力を示すものとして位置づけることが適切です。
開業時の収支全体については収支差率の記事や収支シミュレーターをご覧ください。
看取り介護加算の算定フロー
看取り介護加算を算定するには、以下のフローに沿った対応と記録が必要です。
- 状態変化の把握:利用者の状態が看取り期(医師が回復の見込みが困難と判断した時期)に入ったことを確認する
- 医師の診断と連絡:協力医療機関の医師から看取り期である旨の確認を得る
- 家族への説明と同意:看取り介護方針を家族(または本人)に説明し、同意書に署名をもらう
- ケアプランの見直し:看取り介護の方針を計画に反映し、担当者会議で共有する
- 記録の整備:看取り期の経過・提供したケア・家族への説明内容を日々記録する
- 算定:死亡前30日以内の期間について加算を算定する(死亡月の翌月請求)
記録の不備は実地指導で指摘されやすいため、様式を整備しておくことが重要です(令和6年厚生労働省告示第128号)。
看取り介護指針の策定義務
看取り介護加算を算定する事業所は、看取り介護指針を策定し、利用者・家族に対してその内容を説明することが義務付けられています。指針に含めるべき主な内容は、①看取り介護の基本的な考え方、②対象となる利用者の状態、③職員・協力医療機関・家族の役割分担、④緊急時の連絡体制、⑤職員教育の方針です。実地指導では指針の内容と実際の運営が一致しているかが確認されます。
協力医療機関との連携協定(2024年改定)
令和6年度改定により、認知症GHは協力医療機関との間で書面による連携協定を締結することが義務付けられました(経過措置あり)。協定書には、①緊急時の診療対応、②看取り期の支援、③入院が必要な場合の対応が含まれることが求められます。協力医療機関との関係構築は、看取り加算の算定要件を満たすためだけでなく、利用者の医療ニーズへの対応力を高めるためにも重要です。
看取り加算の年間収入への影響試算
月1件の看取りがある場合の加算収入の試算(その他地域・単価10.00円):
- 死亡前4〜30日:72単位×10.00円×27日=19,440円
- 死亡前々日・前日:160単位×10.00円×2日=3,200円
- 死亡日:80単位×10.00円×1日=800円
- 1件あたり合計:約23,440円
- 月1件・年12件の場合:約281,000円/年
金額自体は大きくありませんが、看取り体制を整えることで利用者・家族からの信頼を得やすくなり、稼働率の維持にもつながります。
出典
- 令和6年厚生労働省告示第128号(指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準・看取り介護加算)
- 厚生労働省「指定地域密着型サービスに要する費用の額の算定に関する基準の解釈通知」
認知症GHで看取りを行う意義と課題
認知症GHは「住まい」としての性格が強いサービスです。利用者が長期間生活を続けるなかで、最期を自分の「家」として慣れ親しんだ環境で迎えたいというニーズは高く、看取り介護対応の有無が入居先選びの判断基準になるケースもあります。一方で、認知症GHは看護師の配置が必須ではないため、医療的な対応には外部の訪問看護・協力医療機関との連携が不可欠です。
協力医療機関・訪問看護との連携体制
看取り期には、医師の関与(往診・訪問診療)と看護師による症状管理が必要になります。認知症GHが看取り介護加算を算定するには24時間の連絡体制が要件ですが、自施設に看護師がいない場合は、医療連携体制加算を通じて訪問看護事業所との委託契約を結んでおくことが現実的な対応になります。医療連携体制加算の詳細は医療連携体制加算の記事をご覧ください。
家族への説明と同意取得のポイント
認知症GHの利用者は意思疎通が困難な状態であることが多く、看取り介護の同意取得は事実上、家族への説明と同意が中心になります。説明のポイントは以下のとおりです。
- 看取り介護とはどのようなケアを行うものかを具体的に説明する(医療措置の程度・苦痛の緩和・入院との違い等)
- 「入院しないこと」「点滴・胃ろうを行わないこと」などの医療方針は家族が選択するものであり、事業所が強制するものではないことを伝える
- 同意は途中で撤回できること、状態が変われば方針を変更できることを説明する
- 同意書を作成し、家族と事業所の双方が保管する
記録の整備と実地指導への対応
看取り介護加算は算定後の実地指導・監査で根拠書類の確認が行われます。主な確認書類は以下のとおりです。
| 書類 | 保管期間 |
|---|---|
| 看取り介護同意書 | 5年間(退居後) |
| ケアプラン(看取り期のもの) | 5年間 |
| 多職種連携の記録(カンファレンス記録) | 5年間 |
| 医師の往診・訪問診療の記録 | 5年間 |
| 死亡診断書または死亡確認の記録 | 5年間 |

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