「ITパスポート 廃止」「ITパスポート なくなる」
こういう調べ方をしている方が、実際にいらっしゃるようです。結論から言うと、ITパスポートという試験がなくなることはありません。ただ、そう検索したくなる理由が、少なくとも3つ思い当たります。この記事では、その3つを一つずつ、IPA(情報処理推進機構)の公式発表に基づいて確認していきます。
これからITパスポートの受験を考えている方はもちろん、すでに勉強を始めている方にとっても、「今の努力が無駄になるのでは」という不安は、できるだけ早く解消しておきたいところだと思います。まずは結論から見ていきます。
目次
- 結論:ITパスポートは廃止されません
- 原因①:「新試験制度への移行」を「廃止」と読み間違えている
- 原因②:応用情報技術者試験の再編ニュースと混同している
- 原因③:CBT試験の一時休止を「廃止」だと誤解している
- 一時休止の詳しい中身
- そもそも、なぜ何度も見直しの話が出るのか
- 今、受験を考えている方はどうすればいいか
- よくある疑問に答えます
- まとめ
結論:ITパスポートは廃止されません
2026年3月31日にIPAが公表した資料を確認すると、「ITパスポート試験」という名称の試験区分は、2027年度以降も存続します。廃止されるのではなく、出題範囲・出題分野の呼び方が見直される、というのが正確なところです。試験区分そのものがなくなる話ではないので、資格として持つ意味・履歴書に書ける価値も、これまでと変わりません。
試験の名前が変わるわけでもありません。応用情報技術者試験が「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」という新しい名前に変わるのとは対照的に、ITパスポートはITパスポートのままです。
「itパスポート 廃止」と並んで、「itパスポート なくなる」という調べ方をされる方もいます。似たような不安を持って検索している方が、一定数いらっしゃるということだと思います。この記事では、そうした検索の背景にありそうな3つの原因を、実際に一次資料を確認しながら整理しました。
原因①:「新試験制度への移行」を「廃止」と読み間違えている
2026年3月31日、IPAは「情報処理技術者試験における試験区分体系などの見直し(案)」を公表しました。この中で「2027年度から新試験制度に移行する」という表現が使われています。
「新試験制度に移行」という言葉だけを見ると、「今の試験が終わって、新しい何かに置き換わる」というふうに読めてしまうかもしれません。ただ、実際に対象となる試験区分の一覧を見ると、ITパスポート試験・情報セキュリティマネジメント試験・基本情報技術者試験は、名前も試験区分もそのままで、出題構成が見直される対象として挙げられているだけです。移行するのは「制度」であって、「試験そのもの」ではありません。
原因②:応用情報技術者試験の再編ニュースと混同している
同じ2026年3月31日の資料には、応用情報技術者試験と高度試験を大括り化して「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」という新しい試験区分に再編する、という内容も含まれています。
この「応用情報技術者試験がなくなって、新しい試験に変わる」という話が、SNSやブログなどで「ITパスポートも同じように扱われるのでは」と、混同して語られている可能性があります。私たちも、以前この2つを整理する記事を書きました(応用情報の後継試験については、別記事「応用情報技術者試験の後継『プロフェッショナルデジタルスキル試験』」で詳しくまとめています)。応用情報は名称ごと再編されますが、ITパスポートは出題範囲の見直しにとどまります。混同しやすい2つですが、扱いは別物です。
もう一つ、紛らわしい別の話もあります。IPAは2025年8月に、「応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験」について、これまでの紙(ペーパー方式)での実施から、令和8年度の試験よりCBT方式に移行する、と発表しています。これは応用情報以上のレベルの試験(ITストラテジスト試験など高度試験区分)を対象にした、実施方式の変更です。この告知の中でIPAは「ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験及び基本情報技術者試験については変更ありません。年間を通じてCBT方式で試験を実施します」と、わざわざ明記しています。つまり、応用情報や高度試験まわりで大きな制度変更が続いているのは事実ですが、ITパスポートの実施方式そのものは、この件でも変わらないということです。
原因③:CBT試験の一時休止を「廃止」だと誤解している
ここが、意外と知られていない部分だと思います。IPAは2026年3月13日(8月3日更新)に、「ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験及び基本情報技術者試験」について、CBT方式(会場のパソコンで受験する方式)による試験実施を、2026年12月28日以降、一時休止すると発表しています。
理由は、試験システムのリプレース(入れ替え)作業です。試験の内容や制度が変わるという話ではなく、あくまでシステムを新しくするための、期間限定の休止です。再開時期は2027年1月以降を予定しており、具体的な案内は2026年秋頃にIPAのウェブページで行われる見通しです。
「12月末から試験が受けられなくなる」という情報だけが独り歩きすると、「ITパスポートがなくなるのでは」という不安につながりやすいのも無理はありません。ただ、これは試験の廃止ではなく、システムメンテナンスによる一時的な休止です。
そもそも「システムリプレース」とは、試験の予約・受付・採点などを支える裏側のシステムを、新しいものに入れ替える作業のことです。ITパスポートはCBT方式(会場のパソコンで随時受験できる方式)のため、全国の会場と予約状況をつなぐ大規模なシステムが動いています。こうした基幹システムの入れ替えは、いったん申込みや実施そのものを止めないと安全に行えないケースが多く、今回のように数週間から数ヶ月単位の休止期間が設けられることは、この種のシステム更新では珍しくありません。実際、今回の休止も当初は2026年4月からの予定でしたが、システムリプレースの準備が整わず、いったん2027年1月へ延期されています。準備状況によって時期が動くこと自体は、廃止とは関係のない、システム更新にありがちな事情だと考えられます。
一時休止の詳しい中身
IPAの発表内容を、もう少し具体的に整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象の試験 | ITパスポート試験・情報セキュリティマネジメント試験・基本情報技術者試験(CBT方式の3区分) |
| 休止の理由 | 試験システムのリプレース(入れ替え) |
| 休止する時期 | 2026年12月28日以降(試験会場によっては、それより前に休止する場合もあります) |
| 再開の見通し | 2027年1月以降。詳細な案内は2026年秋頃に公表予定 |
| 申込みできる試験日 | 2026年12月27日までの試験開催日から選択可能(この記事の執筆時点の情報です) |
もともとは2026年4月27日以降に休止する予定でしたが、システムリプレースの延期にともなって、休止時期そのものが2027年1月以降へと後ろ倒しになった、という経緯もあります。予定が一度変わっている分、今後さらに変更される可能性もゼロではありません。最新の情報は、必ずIPAの公式ページでご確認ください。
なお、試験会場によっては、この全国一律の休止時期(2026年12月28日)より前の、2026年12月27日までの間に、実施を終えてしまう場合もあると案内されています。「まだ大丈夫だろう」と後回しにせず、受験を予定している会場・時期の最新情報を、早めに確認しておくことをおすすめします。
そもそも、なぜ何度も見直しの話が出るのか
ITパスポートに限らず、情報処理技術者試験は、これまでも数年おきに出題範囲の見直しが行われてきました。パソコンやインターネットの使われ方、企業が求めるIT知識の中身は、10年前・5年前と比べても大きく変わっています。生成AIのように、数年前まで一般的でなかった技術が、今では基礎教養として扱われるようになっているのが、その分かりやすい例です。
試験の内容が世の中の実態から離れてしまうと、資格を取っても実務に役立たない、という状況になりかねません。IPAが今回、出題分野の再整理やAI関連分野の追加、システムの更新にまで踏み込んでいるのは、こうした「試験の中身を実態に合わせ続ける」という、資格試験として自然な取り組みの一環だと捉えることができます。見直しが起きること自体は、試験が終わっていく兆候ではなく、むしろ試験が使われ続けている証拠だとも言えます。
今、受験を考えている方はどうすればいいか
結論として試験がなくなるわけではないので、過度に急ぐ必要はありません。そのうえで、状況別に考え方を整理します。
2026年内に受験できそうな方
2026年12月27日までの試験開催日であれば、これまでどおり申込みができます(この記事の執筆時点の情報)。今の出題範囲・過去問がそのまま使える期間なので、準備が整っているなら、休止前に受けてしまうのも一つの考え方です。
2027年に入ってから受験することになりそうな方
2027年1月以降の試験実施については、2026年秋頃にIPAから案内が出る見通しです。再開直後は出題範囲がどうなっているか(現行のままか、新シラバスに一部反映されているか)を含めて、続報を待つのが安全です。このブログでも、続報が出次第お伝えします。
2027年度以降、新シラバスでの受験になりそうな方
出題分野の再編・AI関連分野の新設など、シラバス案の中身については、別記事「ITパスポート2027新試験、シラバス案が公表されました」で詳しくまとめています。あわせてご覧ください。
整理すると、ITパスポートまわりで今起きている変化は、大きく3つに分けられます。①出題分野・シラバスの見直し(2027年度をめどに実施)②CBT試験の一時休止(2026年12月28日以降・システムリプレースのため)③応用情報・高度試験のCBT移行(令和8年度から・ITパスポート自体は対象外)。この3つが同じ時期に重なって進んでいるために、情報が混ざりやすくなっているのだと思います。それぞれは別の理由・別のスケジュールで動いている変化だと知っておくだけでも、ニュースを見たときの受け止め方が変わってきます。
よくある疑問に答えます
Q. 今、ITパスポートの勉強をしているのですが、無駄になりませんか?
A. 試験自体がなくなるわけではないので、無駄にはなりません。出題範囲が見直される分野(AI関連など)はありますが、経営戦略やネットワークの基礎といった土台のテーマの多くは、これまでどおり出題される見通しです。
Q. 休止期間中に受験申込みをしてしまっても大丈夫ですか?
A. 休止前の試験開催日(この記事の執筆時点では2026年12月27日まで)を選んで申し込む分には、通常どおり受験できます。休止期間そのものに試験日を設定することはできない見通しです。申込み画面で選べる日付が、実質的な目安になります。
Q. 「ITパスポート2027年問題」のような言い方を見かけますが、何のことですか?
A. 決まった正式な用語ではありませんが、2027年度に予定されている出題範囲の見直しやCBT試験の一時休止など、2027年前後に起きる複数の変化をまとめて指すために、便宜的に使われている表現だと考えられます。個々の変化の中身を分けて理解しておくと、混乱しにくくなります。
Q. 応用情報技術者試験も、同じように休止するのですか?
A. いいえ、別の話です。応用情報技術者試験や高度試験区分は、もともと紙(ペーパー方式)で年2回実施されていたものが、令和8年度からCBT方式に移行する、という別の変更が進んでいます。IPAはこの告知の中で「ITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験及び基本情報技術者試験については変更ありません」と明記しており、ITパスポートの実施方式に影響はありません。
Q. この情報はいつの時点のものですか?
A. 2026年9月時点でIPAが公式に発表している内容にもとづいています。休止時期は過去に一度延期された実績があるとおり、今後変更される可能性があります。必ずIPAの公式サイトで最新情報をご確認ください。
まとめ
「ITパスポートが廃止される」という噂について、確認できたことを整理します。
- ITパスポートという試験区分は、2027年度以降も存続します。廃止されるという事実はありません
- 「新試験制度への移行」という表現が、廃止と誤解されやすいだけです
- 応用情報技術者試験の再編(プロデジへの移行)とは、扱いが異なります
- 2026年12月28日以降、CBT試験がシステムリプレースのため一時休止される予定です。これは廃止ではなく、期間限定の休止です
- 再開は2027年1月以降の見通しで、詳しい案内は2026年秋頃に公表される見込みです
「廃止」という強い言葉で検索する背景には、たいてい「これから何かが変わる」という漠然とした不安があります。制度が変わる時期は、公式発表の言葉づかいや、SNSで見かける断片的な情報だけでは、何がどこまで変わるのか掴みにくいものです。この記事で、変わるものと変わらないものの境目が、少しでもはっきりすれば幸いです。今後、休止時期の詳細や再開後の情報が新しく公表され次第、この記事も更新していきます。
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※この記事は、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表した「情報処理技術者試験における試験区分体系などの見直し(案)について」(2026年3月31日公表)、および「CBT方式で実施するITパスポート試験、情報セキュリティマネジメント試験及び基本情報技術者試験における2026年5月以降の試験実施について」(2026年3月13日公開・8月3日更新)を、2026年9月に直接確認して書いています。休止時期・再開時期は今後変更される可能性があります。最新の正式情報は、必ずIPAの公式サイトでご確認ください。
※この記事とアプリは、IPAとは関係のない、非公式のものです。お気づきの点は、アプリ内の「間違いを報告」からお知らせいただけると助かります。


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