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国土交通省告示第1366号別表第2の12テーマの一つ「危険の予知及び回避」では、ドライバーが事故に至る前の危険を自ら見つけて回避する力を身につけることが求められている。ヒヤリハットの収集・共有と危険予知訓練(KYT)は、その具体的な手段として広く使われている。
「危険の予知及び回避」は12テーマの一つとして研修が義務
貨物自動車運送事業者が年1回以上(初任運転者は乗務前)に実施する指導監督の12テーマ(国土交通省告示第1366号別表第2)の中に「危険の予知及び回避」がある。このテーマで伝えるべき内容として、国土交通省の指針では次のような点が挙げられている。
- 常に危険を予測した運転をする習慣づけ
- 状況の変化に応じた速度・車間距離の調整
- 危険な状況に至る前に回避行動を取ること
- 自分の運転の癖・弱点を把握すること
研修の実施方法は規定されていないが、「映像・写真・事例を使った研修」「ヒヤリハット事例の共有」「KYTシート(危険予知訓練用のイラスト)を使った演習」などが一般的だ。
ヒヤリハットを報告・記録すると、事故の予防につながる
「ハインリッヒの法則」として知られるように、1件の重大事故の背後には29件の軽微な事故、そして300件のヒヤリハット(事故になりかけた体験)があるとされている。ヒヤリハットを収集して共有することで、重大事故になる前に危険な状況を把握し、対策を打てる。
ヒヤリハット報告書に記録する主な項目は次のとおりだ。
| 記録項目 | 内容 |
|---|---|
| 発生日時・場所 | いつ・どこで起きたか(路線・交差点名など) |
| 状況 | 何が起きたか(歩行者の飛び出し・前車の急ブレーキ等) |
| 取った行動 | どう回避したか(急ブレーキ・ハンドル操作等) |
| 原因の分析 | なぜそうなったか(確認不足・速度超過・疲労等) |
| 再発防止策 | 次回同じ状況でどう行動するか |
記録したヒヤリハット事例は、ミーティングや研修で全ドライバーに共有することで、「経験していない危険」を学ぶ教材になる。
KYT(危険予知訓練)は4ラウンド法が基本
KYT(危険予知トレーニング)は、作業場面や運転場面のイラストを見て、潜んでいる危険を発見・共有・対策を考える訓練だ。厚生労働省・中央労働災害防止協会が開発した「4ラウンド法」が広く使われている。
| ラウンド | 問いかけ | 作業内容 |
|---|---|---|
| 1R:現状把握 | 「どんな危険が潜んでいるか」 | イラストを見て危険をすべて挙げる |
| 2R:本質追究 | 「これが重要な危険ポイントだ」 | 挙げた危険の中から重要なものに絞り込む |
| 3R:対策樹立 | 「あなたならどうする?」 | 具体的な対策を考える |
| 4R:目標設定 | 「私たちはこうする」 | 行動目標を決めてチームで確認する |
KYTシートは中央労働災害防止協会(中災防)のウェブサイトや、国土交通省の事業用自動車総合安全プランの資料から入手できる。運送業向けのシートも公開されており、自社の研修に無料で活用できる。
ヒヤリハットとKYT、それぞれの使い分け
ヒヤリハット報告は「自社で実際にあった危険」を記録・共有するもの。KYTは「想定される危険を訓練で体験する」ものだ。
- ヒヤリハット:実体験から学ぶ→「自社の実態に合った教材」として強みがある
- KYT:既成のシートで学ぶ→「まだ経験していない危険」を事前に学べる
両方を組み合わせると、「自社事例+業界共通事例」で幅広いリスクに対応できる。
ヒヤリハットを出やすくする職場の雰囲気が大事
ヒヤリハット報告が機能しない現場では、「報告すると怒られる」「面倒くさい」という空気があることが多い。記録件数を管理目標にすることも逆効果になりやすい(「数合わせ」になる)。
有効な仕組みの例:匿名での報告を認める、報告を評価する仕組みを入れる(減点ではなく加点)、報告者に「その後どうしたか」をフィードバックする。ヒヤリハットを出した人が損をしない環境を作ることが先決だ。
関連:貨物自動車運送事業の指導監督、12項目の内容を一覧で整理する。
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出典:国土交通省告示第1366号別表第2(国土交通省)、中央労働災害防止協会「KYT基礎4ラウンド法」、国土交通省「事業用自動車総合安全プラン」。作成:2026年10月。


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