学童保育の月次の収支は、「月謝収入+補助金(月換算)」から「人件費+家賃+その他」を引いた差額で決まります。ただし補助金は年4回の四半期払いのため、月次の現金の動きは収支の計算とずれることがあります。この記事では、認可型の学童保育を例に、月次の収支の組み立て方と、実際の資金繰りとの違いを整理します。
月次の収入は「月謝+補助金(月換算)」で構成される
認可型学童保育(放課後児童健全育成事業)の月次収入は、大きく2つに分かれます。
①月謝(保護者負担)
月謝は市区町村が上限を定めており、月額5,000〜15,000円程度が一般的です。定員30人の場合、全員が月8,000円の月謝を払うとすれば月謝収入は24万円になります。稼働率(実際の利用者数÷定員)によって毎月変動します。
②補助金(月換算)
こども家庭庁「放課後児童健全育成事業補助金交付要綱(令和7年度改定)」によれば、定員36〜45人・標準配置(常勤1名+補助員)の補助基準額は年額5,117,000円です。月換算では約426,000円になります。加算(長時間・開所日数・賃借料等)が上乗せされる場合はそれも加算します。
ただし実際の入金は年4回(四半期払い)のため、月次の損益計算では「補助金÷12か月」として月割りで計上し、資金繰りの欄で実際の入金タイミングを別に管理することが重要です。
月次の支出の内訳
支出は固定費と変動費に分かれますが、学童保育は固定費の比率が高い事業です。
人件費(固定費が中心)
支出のうち最も大きい項目です。常勤職員の月給・社会保険料の事業主負担・賞与の月割りを合算した実質コストを計算します。
| 職員の種別 | 月給の目安 | 月間の実質コスト(社保・賞与含む概算) |
|---|---|---|
| 常勤支援員(1名) | 月20〜25万円 | 約25〜32万円 |
| 補助員(パート・1名) | 時給1,100〜1,300円×4〜6時間×平日20日 | 約8〜16万円 |
2名体制(常勤1名+補助員1名)での月間人件費の概算は、35〜48万円程度です。地域の最低賃金・物価水準によって大きく変わります。
家賃・賃借料
家賃は立地によって大きく異なります。市街地の賃貸物件では月15〜30万円程度が多く、郊外や公的施設への入居では月5〜15万円程度になることもあります。賃借料補助(補助基準額:年額3,374,000円)を受けている場合は、月28万円を超えた分が自己負担になります。
光熱費・消耗品・保険料
光熱費(電気・ガス・水道)は月3〜8万円程度が目安です。保険料(施設賠償・傷害保険)・教材費・消耗品費を合わせて月3〜8万円程度が一般的です。
その他の固定費
電話・インターネット・業務システム(連絡帳アプリ等)・ICTツールなどで月1〜3万円程度が目安です。
月次収支の例(定員30人・標準配置・稼働率80%の場合)
実際の数字を使って月次収支のイメージを作ります。
| 項目 | 金額(月) | 備考 |
|---|---|---|
| 【収入】月謝 | 192,000円 | 8,000円×24人(定員30人×稼働率80%) |
| 【収入】補助金(月換算) | 約380,000円 | 在籍24人の場合の補助基準額÷12か月 |
| 収入合計 | 約572,000円 | |
| 【支出】人件費 | 約400,000円 | 常勤1名+補助員1名・社保・賞与含む概算 |
| 【支出】家賃 | 120,000円 | 賃借料補助を受けている場合、上限28万円まで補助対象 |
| 【支出】光熱費 | 40,000円 | |
| 【支出】その他 | 40,000円 | 消耗品・保険・システム等 |
| 支出合計 | 約600,000円 | |
| 月次損益 | 約−28,000円 | この稼働率では赤字 |
稼働率80%(24人)では約2.8万円の月次赤字になる試算例です。定員30人が満員(稼働率100%・30人)に近づくと月謝収入が増え、損益分岐点を超えるケースが多いです。
資金繰りは損益計算とは別に管理する必要がある
補助金は損益計算では月割りで計上しますが、実際の振込みは年4回(3月・6月・9月・12月ごろ)です。補助金の入金月には手元資金が大きく増えますが、その直前の月は手元資金が少なくなります。特に開設直後は補助金の第1回振込みまでの数か月間、支出だけが続く空白期間が発生します。
この期間をカバーするために、最低でも3〜4か月分の固定費(月60〜70万円の事業者なら200〜280万円)を開設前に手元に確保しておく必要があります。
損益分岐点の稼働率を計算する
月次の損益が黒字になる最低稼働率(損益分岐点の稼働率)は、次のように概算できます。
- 固定費合計(月):人件費+家賃+光熱費+その他
- 1人あたりの月次貢献利益:月謝÷人数単位の補助金増加分
具体的な試算は、事業者の人件費水準・物件コスト・補助金の採択状況によって異なるため、数字を入れて確かめることが重要です。
数字を動かして確認する
放課後児童クラブ(学童保育)収支シミュレーターでは、定員・月謝・稼働率・人件費・家賃・補助金の有無を入力することで、月次の損益・累積資金残高・損益分岐点の稼働率をグラフで確認できます。補助金の四半期払いのタイミングも資金繰りに反映しているため、手元資金がどのタイミングで不足するかも把握できます。
記事内の試算はあくまで参考値です。実際の補助金額は市区町村への申請後に決定され、採択の有無や支給条件は自治体によって異なります。開設を検討する際は、開設予定地の市区町村担当窓口への確認と、専門家への相談をおすすめします。
出典:こども家庭庁「放後児童健全育成事業補助金交付要綱(令和7年度改定)」


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