短期入所には複数の法定研修テーマがあり、それぞれに義務回数が定められています。年間計画を立てないまま運営すると、研修の実施漏れが生じ、減算や運営指導での指摘につながります。この記事では、全テーマの義務回数一覧と月割りスケジュール例をまとめました。
短期入所の法定研修テーマと最低実施回数の一覧
解釈通知(障発第1206001号・最終改正令和7年3月31日)は、各研修テーマの義務回数を示しています。(出典:解釈通知(障発第1206001号・最終改正令和7年3月31日))
| 研修テーマ | 根拠(基準条文) | 最低実施回数 | 新入職員の扱い |
|---|---|---|---|
| 虐待防止 | 第24条の2(第145条準用) | 年1回以上 | 採用後速やかに別途実施が望ましい |
| 感染症対策(研修) | 第27条(第145条準用) | 年2回以上 | 採用後速やかに別途実施が望ましい |
| 感染症対策(訓練) | 第27条(第145条準用) | 年1回以上(研修2回のうち1回に含めて可) | |
| BCP(業務継続計画)研修 | 第33条の2(第145条準用) | 年1回以上 | 採用後速やかに別途実施が望ましい |
| BCP(業務継続計画)訓練 | 第33条の2(第145条準用) | 年1回以上 | |
| 身体拘束廃止・適正化 | 第35条(第145条準用) | 年1回以上 | 採用後速やかに別途実施が望ましい |
| ハラスメント防止 | 第68条(第145条準用) | 年1回以上 | 採用後速やかに別途実施が望ましい |
表は解釈通知(障発第1206001号)の原文をもとに当方が整理したものです。
個人情報保護・意思決定支援・尊厳保持は基準に明示的な義務回数の定めはありませんが、安全管理・運営の義務の一環として年1回以上の実施が適切です。夜間・緊急時対応は研修として別途行うほか、BCP訓練や避難訓練と組み合わせて実施されることが多いです。
年間で最低12回以上の研修・訓練が必要になり、一体開催で効率化できるテーマがある
義務回数を合計すると、最低でも年12〜15回程度の研修・訓練が必要になります。ただし、テーマによっては同日に「一体開催」(複数テーマを1回の研修でまとめて実施)が認められています。
| 一体開催の組み合わせ例 | 根拠・備考 |
|---|---|
| 虐待防止委員会 + 身体拘束適正化委員会 | 解釈通知で一体開催が明示的に認められている(委員会について) |
| 虐待防止研修 + 身体拘束廃止研修 | 内容が重なる部分が多く、同日実施が実務上一般的 |
| 感染症対策研修 + 感染症対策訓練 | 年2回のうち1回を訓練を含む形で実施できる |
| BCP研修 + BCP訓練 | 知識確認(研修)と演習(訓練)を同日に組み合わせた形が可能 |
表は解釈通知の記載と実務上の運用例をもとに当方が整理したものです。一体開催の可否は所在地の指定権者に確認してください。
ただし、「感染症委員会」は解釈通知でほかの委員会との一体開催が認められていないため、独立して開催します(おおむね3か月に1回以上)。研修は委員会と合わせて実施できる場合があります。
月割り年間研修スケジュールは繁忙期を避け、夏季前に感染症・熱中症を配置する
年度初めに年間研修計画を立てておくことで、抜け漏れを防ぎ、担当者の準備時間を確保できます。以下は1年間の月割りスケジュール例です。各施設の行事・人員配置に合わせて調整してください。
| 月 | 研修・訓練テーマ(例) |
|---|---|
| 4月 | 年間計画の周知・新入職員向け全テーマ研修(オリエンテーション) |
| 5月 | 感染症対策研修(1回目)・熱中症対策研修 |
| 6月 | 虐待防止研修・身体拘束廃止研修(一体開催) |
| 7月 | BCP研修(自然災害)・避難訓練 |
| 8月 | 感染症対策訓練(訓練を含む2回目の感染症研修) |
| 9月 | ハラスメント防止研修 |
| 10月 | BCP研修(感染症)・BCP訓練 |
| 11月 | 個人情報保護研修・意思決定支援研修 |
| 12月 | 尊厳保持・権利擁護研修 |
| 1月 | AED・救急対応研修(実技含む) |
| 2月 | 個別支援計画研修・ヒヤリハット事例検討 |
| 3月 | 年度実績の振り返り・翌年度計画の作成 |
表は当方が作成したスケジュール例です。各施設の行事・人員配置に合わせて変更してください。
1月〜3月は年度末の処理や利用者の体調変化が増える時期のため、大きな研修は避け、規模の小さいテーマやヒヤリハット振り返りを配置すると運営しやすくなります。感染症は冬場(12月〜3月)にもリスクが高まるため、8月の1回目とは別に12月前後に追加で感染症の情報共有を行う事業所もあります。
新入職員には採用後できるだけ早く全テーマの研修を別途実施する
解釈通知は「新規採用時には別に研修を実施することが望ましい」としています。年1回の全体研修に加え、入職直後にすべての法定テーマをカバーする新入職員向け研修を実施することが適切です。
新入職員向け研修の進め方:
- 入職後1か月以内に全テーマの資料配布と口頭説明を実施する
- 入職後3か月以内に全テーマの確認テストまたは理解度確認を行う
- 既存職員の定期研修と同じ資料を使うことで準備の手間を省ける
- 新入職員研修は年間計画とは別に記録を残す(参加者・実施日時・内容)
新入職員が定期研修(年1回)の間に入職した場合、次の定期研修まで待つと最長11か月間研修を受けないことになります。法的にグレーゾーンでも、リスク管理の観点から早期の実施が重要です。
年間計画は年度初めに作成し、実施のたびに記録を更新する
年間研修計画には、少なくとも以下の項目を盛り込みます。
- 研修テーマ(全法定テーマを網羅する)
- 予定実施月(または日付)
- 担当者(資料作成・進行担当)
- 対象者(全職員・夜勤職員のみなど)
- 実施状況の記録欄(実施日・参加者数・欠席者の確認記録)
計画の様式はExcelやWordで作成し、年間を通して更新します。実施後に「実施日・参加者数・欠席者への周知方法」を追記していくと、年度末に一覧で確認できます。
研修記録には5項目(実施日時・参加者・内容・資料・欠席者周知)を記録し、5年間保管します(基準第41条・第145条準用)。運営指導では計画の提示を求められることがあります。計画と実績のセットで整理しておくと対応がスムーズです。
研修記録の書き方と様式については短期入所の研修記録の書き方、全テーマの義務の根拠については短期入所の法定研修一覧もあわせて確認してください。
研修資料・確認テスト・記録様式は研修キットでまとめて準備できる
法定テーマのうち基本的なものは市販テキストやパンフレットで対応できますが、短期入所に特化した法令・通知の根拠を示した研修資料を一から準備するには手間がかかります。当方の法定研修・訓練キット(短期入所版)では、虐待防止・身体拘束廃止・BCP・感染症対策など全テーマの研修資料・確認テスト・記録様式を収録しています。職員がスマートフォンで受験できる確認テスト機能もあり、欠席者のフォローアップにも活用できます。
各テーマの詳細は以下の記事もあわせて確認してください。
この記事は、障害者総合支援法に基づく基準(平成18年厚生労働省令第171号)、解釈通知(障発第1206001号・最終改正令和7年3月31日)の原文を確認して書いています(確認日:2026年11月1日)。所在地の指定権者(都道府県・市)の案内もあわせて確認してください。作成:fufumumu_design


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