小規模多機能型居宅介護の人員基準|管理者要件と採用計画のポイント

小規模多機能型居宅介護の人員基準は、管理者・計画作成担当者・介護職員・看護職員の4種類が必置です。最大の特徴は、管理者に3年以上の実務経験+専用の研修修了が求められる点で、ケアマネ資格だけでは管理者になれません。通い・宿泊・訪問の3つのサービスを同じ職員が担う体制が求められるため、シフト設計と採用計画の立案が開業前の重要な課題です。

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管理者の要件:3年の実務経験+専用研修の修了が必須

小規模多機能型居宅介護の管理者は、次の2つの要件を満たす必要があります(2024年度基準)。

  1. 介護保険事業所・障害福祉サービス事業所・医療機関等での3年以上の実務経験
  2. 「小規模多機能型居宅介護計画作成担当者研修」の修了(都道府県が実施)

介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格だけでは管理者になれません。ケアマネ資格があっても計画作成担当者研修の修了が必要です。研修は都道府県が定期的に開催していますが、申し込みから受講まで数か月の待機が発生することがあります。開業予定日から逆算して早めに研修に申し込んでください。

管理者は常勤・専従が原則です。ただし後述の計画作成担当者との兼務は認められており、実態として多くの事業所では管理者と計画作成担当者を1人が兼務しています。

計画作成担当者:ケアマネまたは研修修了者が必要

計画作成担当者は、利用者の「小規模多機能型居宅介護計画」を作成する担当者です。次のいずれかの要件を満たす人が担当できます。

  • 介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格保持者
  • 「小規模多機能型居宅介護計画作成担当者研修」の修了者

必要人数は、登録定員29人につき1人以上(登録者が30人以上になる場合は2人以上)です。

計画作成担当者と管理者の兼務は認められているため、小規模な事業所(登録定員29人以下)では1人が両方を兼ねるケースが多いです。ただし計画作成担当者は、利用者の状態変化に応じてケアプランを随時見直す必要があり、その業務量が大きい点に留意してください。

介護職員の必要人数:通い・宿泊・訪問それぞれに最低人数が決まっている

介護職員(介護スタッフ)は、提供するサービスの種類ごとに最低人数の基準があります。

通いサービス提供時

  • 通い利用者3人に対し1人以上(端数は切り上げ)
  • 最低2人以上(1人体制は不可)

通いの定員が18人の場合、少なくとも6人以上の介護職員が必要ですが、同時刻に全員が勤務する必要はなく、シフトで対応します。

宿泊サービス提供時(夜間・深夜)

  • 宿泊利用者がいる日は夜勤者1人以上が必須
  • 夜勤者は介護職員のほか、看護師・准看護師・介護福祉士・実務者研修修了者等が対応可能

宿泊者がいない日の夜間については、夜勤者が常駐しなくてもよいですが、緊急時に迅速に対応できる体制(呼び出し体制等)を整備する必要があります。

訪問サービス提供時

  • 訪問1件に対し1人以上
  • 通いや宿泊の担当職員が訪問に出る兼務が認められています

小規模多機能の最大の特徴は「同じ職員が通い・宿泊・訪問すべてに対応できる体制」が求められる点です。利用者にとっては顔なじみのスタッフが一貫してサービスを提供できますが、事業所側はオールマイティな職員の確保とフレキシブルなシフト設計が必要になります。

看護職員の位置づけ:1人以上の確保が必要

小規模多機能型居宅介護では、看護師または准看護師を1人以上配置する必要があります(常勤換算1人以上)。ただし、次の条件を満たす場合は事業所内に専属の看護職員を置かなくてもよいとされています。

  • 訪問看護ステーション(同一法人・他法人問わず)と連携契約を結ぶ
  • 当該訪問看護ステーションの看護師が利用者の健康管理等を担う体制を確保する

実態として、外部の訪問看護ステーションとの連携で対応している事業所も多いです。ただし、利用者に医療的ケアが必要な場合は常勤の看護師が不可欠になります。

夜勤体制の確保が人材確保の最大の課題

宿泊サービスを提供する事業所では、365日(泊まり客がいる日)の夜勤体制が必要です。これが小規模多機能の人材確保における最大の課題です。

一般的なシフトパターン:

  • 早番(7時〜16時)・日勤(9時〜18時)・遅番(12時〜21時)・夜勤(21時〜翌7時)の4交代制
  • 夜勤者は泊まり客の介護・緊急対応に加え、翌朝の訪問・通い準備も担うことが多い

夜勤できる職員を最低2〜3名確保しないと、特定の職員に夜勤が集中して離職につながります。採用計画の段階から夜勤可能な職員の確保を優先してください。

必要人員数の目安と人件費

登録定員29人・通い定員18人・宿泊定員9人の標準的な事業所での人員目安:

職種 必要人数 月給目安(税込・社保前)
管理者兼計画作成担当者 1人(常勤) 30万〜40万円
介護職員(通い・宿泊・訪問) 8〜12人(うち夜勤対応2〜3人以上) 22万〜30万円
看護職員(または外部連携) 1人以上(非常勤可) 15万〜30万円(非常勤の場合)

人件費合計(社会保険料含む)の目安:280万〜400万円/月(人数・給与水準・夜勤手当による)。小規模多機能は月額制の収入のため、人件費の割合が高くなりやすい構造です。加算取得と登録者数の安定が黒字化の鍵になります。

研修修了までのスケジュール管理が重要

管理者研修と計画作成担当者研修は、都道府県が年1〜3回程度開催しています。開業目標日が決まったら、次のステップで準備を進めてください。

  1. 都道府県の研修スケジュールを確認(都道府県の介護保険担当課のウェブサイトで公表)
  2. 受講申し込み(先着順・抽選の場合は締め切りに注意)
  3. 研修修了後、指定申請書類の準備(指定申請は開業予定日の2〜3か月前が目安)

研修の受講機会を逃すと開業が半年〜1年延期になるケースがあります。資格要件の確認は計画の最初に行ってください。

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小規模多機能型居宅介護以外の福祉・介護事業の収支情報は、福祉事業者向けツール一覧にまとめています。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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