訪問看護の医療保険の収入計算。管理療養費と基本療養費の仕組みを整理する。

訪問看護の医療保険の収入は、「管理療養費」と「基本療養費」の2つを軸に計算します。管理療養費は月の最初の訪問日に1回、基本療養費は訪問のたびに算定します。機能強化型ステーションかどうかで管理療養費が最大約1.8倍変わります。この記事では令和8年6月改定後の金額を使って計算の仕組みを整理します。

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医療保険の訪問看護の収入構造

医療保険の訪問看護(訪問看護療養費)の収入は、大きく3つの部分から成ります。

  1. 管理療養費:月の最初の訪問日に1回算定する「月単位の基本料」
  2. 基本療養費:訪問のたびに算定する「1回あたりの訪問料」
  3. 各種加算:24時間対応体制加算・特別管理加算・緊急訪問看護加算など

介護保険の場合は「単位数 × 単価」で計算しますが、医療保険は最初から「円」で定められています(全国一律・地域区分の影響を受けません)。

管理療養費は月の最初の訪問日に算定する

管理療養費は、その月に初めて訪問した日に1回算定します(令和8年告示第74号)。月に何回訪問しても、管理療養費は月1回です。月に1回しか訪問しない場合でも算定できます。

金額は、機能強化型ステーションかどうかによって変わります。

区分 月初日(円) 2日目以降(円/日) 主な要件の概要
機能強化型1 13,760 3,010 常勤看護職員7人以上・実績要件あり
機能強化型2 10,460 3,010 常勤看護職員5人以上・実績要件あり
機能強化型3・4 9,030 3,010 常勤看護職員4人以上・実績要件あり
その他(機能強化型以外) 7,710 3,010 要件なし(開業直後でも算定可)

2日目以降は利用者が1つの単一建物に20人未満の場合(多くの在宅訪問がこれに該当)、1日あたり3,010円です。機能強化型かどうかにかかわらず、2日目以降の金額は同じです。

機能強化型の要件(常勤看護職員数以外のターミナルケア実績等)は告示・通知で確認が必要です。新規開業時は常勤看護師数の要件も満たせないことが多く、「その他(7,710円)」からのスタートになります。

基本療養費は週の訪問回数で金額が変わる

基本療養費(I)(看護師・准看護師による訪問)は、同一利用者に対する週の訪問回数によって金額が変わります(告示第74号)。

訪問者の職種 週3日目まで(円/日) 週4日目以降(円/日)
看護師(保健師・助産師を含む) 5,550 6,550
准看護師 5,050 6,050

週4日以降は単価が上がる(看護師で5,550円→6,550円)ため、医療依存度が高く高頻度の訪問が必要な利用者ほど、1回あたりの収入が増える仕組みになっています。

なお、医療保険では原則として週3回が上限ですが、厚生大臣が定める特別な疾患(がん末期・難病等)や急性増悪の場合は週4回以上も認められます。

利用者1人あたりの月収入の試算例

月4回訪問する利用者(医療保険・機能強化型なし・看護師・単一建物)の1か月の収入を試算します。

項目 計算 金額(円)
管理療養費(月初日) 1回 7,710
管理療養費(2日目以降) 3回 × 3,010円 9,030
基本療養費(4回・週3日以内) 4回 × 5,550円 22,200
合計 38,940

同じ条件で機能強化型1のステーションの場合、管理療養費の月初日が13,760円になるため、合計は 13,760 + 9,030 + 22,200 = 44,990円(差額:+6,050円)となります。

加算(24時間対応体制加算・特別管理加算など)はこの上に乗ります。

入金は翌月請求・翌々月入金が全国共通

医療保険の訪問看護療養費は、当月の実績を翌月に国民健康保険連合会(または社会保険診療報酬支払基金)へ請求し、翌々月に入金されます。このサイクルは全国共通です(複数の都道府県の国保連合会と社会保険診療報酬支払基金の公式サイトで確認)。

つまり、4月の訪問分は5月に請求し、6月に入金されます。開業直後は2か月分の運転資金が必要になる点を、開業準備の段階で把握しておくことが大切です。介護保険も同様の仕組みで入金が2か月後になります。

介護保険と医療保険、どちらが優先されるか

要介護・要支援の認定を受けている利用者は、原則として介護保険による訪問看護が優先されます。ただし、がん末期・難病・急性増悪などの場合は医療保険が優先されます。

医療保険の収入は1件あたりの単価が高くなる場合がありますが(管理療養費が毎月算定できる)、対象となる利用者の条件が異なります。どのような利用者をメインに受け入れるかで、介護保険と医療保険の比率が変わり、収入の構造が変わります。

→ 訪問看護ステーションの収入、介護保険と医療保険でどう計算するか。(介護保険と医療保険を合わせた全体の収入構造についてはこちら)

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参照した資料
厚生労働省告示第74号(訪問看護療養費・令和8年6月1日施行)。入金サイクルは複数の都道府県国民健康保険連合会・社会保険診療報酬支払基金の公式サイトで確認。数値は令和8年10月時点。管理療養費2日目以降は単一建物20人未満の金額。機能強化型3・4は同額。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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