福祉事業所の運営指導、共通して確認されること。

障害福祉サービス事業所を開設・運営すると、指定権者(都道府県または市区町村)による「運営指導」を受けることになります。かつては「実地指導」と呼ばれていたもので、令和3年度から「運営指導」に名称が統一されました(厚生労働省「障害福祉サービス等における運営指導の実施について」令和3年3月31日付通知)。

この記事では、サービス種別を問わず共通して確認される書類・記録と、準備しておくとよいポイントを整理します。

運営指導とは

運営指導は、事業所が指定基準を遵守した運営を行っているかを確認するために実施されます。通常、指定後数年以内に初回の運営指導が行われ、その後は定期的に実施されます。

運営指導には2種類あります。

  • 総合的な運営指導:書類・記録の確認と聞き取りを中心に実施
  • 集団的な運営指導:複数の事業所を対象に、共通の課題について説明・指導を行う

共通確認書類のチェック表

以下は、サービス種別にかかわらず運営指導でほぼ必ず確認される書類・記録です。事前の点検に使えます。

確認書類・記録 主なチェック点 根拠
個別支援計画 本人・保護者の同意署名がある/モニタリングが期限内に実施されている 各サービスの指定基準
提供記録(サービス実施記録) 提供日・内容・担当者が記録されている/国保連請求と一致している 各サービスの指定基準
職員の資格証明書類 サービス管理責任者等の資格要件を満たした職員が配置されている/更新研修の修了証がある 各サービスの指定基準
法定研修・訓練の実施記録 虐待防止・身体拘束・感染症・BCP・非常災害について、実施日時・参加者・内容が記録されている 各サービスの指定基準・令和6年度から全サービスでBCPが義務化
苦情対応記録 苦情受付・対応の記録が整備されている 各サービスの指定基準
事故報告・ヒヤリハット記録 報告・記録の仕組みが機能している 各サービスの指定基準
重要事項説明書・契約書 サービス開始前に説明・同意を得ている/記載内容が現在の運営内容と一致している 各サービスの指定基準
処遇改善加算の計画書・実績報告 年度ごとに届出・実績報告が完了している 処遇改善加算の算定要件

よく指摘される事項

運営指導の結果として指摘されやすい事項として、以下が挙げられます。

  • 個別支援計画の作成・モニタリングが期限を超えている(モニタリング期限切れは特に多い)
  • 法定研修の記録が整備されていない、または年1回の実施が確認できない
  • 提供記録と国保連請求の内容が一致していない
  • サービス管理責任者の更新研修が期限切れになっている
  • BCPが策定されていない(令和6年4月1日から全障害福祉サービスで義務)
  • 重要事項説明書の料金・担当者欄が実態と乖離している

法定研修の準備について

運営指導で繰り返し確認される「法定研修の実施記録」は、サービス種別によって義務となるテーマと頻度が異なります。各サービスの開設時に、どの研修が義務で何を記録として残す必要があるかを確認しておくことが重要です。

当サイトでは、各サービスの法定研修・訓練について、資料・確認テスト・実施記録様式をまとめたキットを公開しています。運営指導の前に研修記録を点検する際にも使えます。

出典:厚生労働省「障害福祉サービス等における運営指導の実施について」(令和3年3月31日付通知)、各サービスの指定基準(厚生労働省令)

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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