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缶水管理はボイラーの安全性・耐久性・効率を維持する上で最も重要な管理業務です。一級ボイラー技士試験では、水処理の種類・pH管理・スケール防止・腐食防止が頻出です。
缶水管理の目的
缶水管理の主な目的は3つです。
- スケール防止:硬度成分(Ca²⁺・Mg²⁺)が析出して水管内壁に付着すると、熱伝達が悪化して局部過熱・破損の原因になる
- 腐食防止:溶存酸素や酸性・アルカリ過多が金属を腐食させ、水管の点食(ピッティング)・全面腐食を引き起こす
- キャリーオーバー防止:缶水濃度が高すぎると蒸気に水分・固形分が混入し(キャリーオーバー)、蒸気系統の汚染や機器損傷の原因になる
給水処理の種類
1. 軟化処理(イオン交換法)
給水中の硬度成分(Ca²⁺・Mg²⁺)をイオン交換樹脂でNa⁺に置換して除去します。
- H形(酸形)イオン交換樹脂:Ca²⁺・Mg²⁺をH⁺に置換し、酸性水になる(脱塩・脱アルカリ)
- Na形(塩形)イオン交換樹脂:Ca²⁺・Mg²⁺をNa⁺に置換し、硬度をゼロにする(軟化のみ)
- JIS B 8223(ボイラーの給水及び缶水の水質)に水質管理基準が定められている
2. 脱気処理
給水中の溶存酸素(O₂)と二酸化炭素(CO₂)を除去します。溶存酸素は点食(局部腐食)の主原因です。
- 加熱脱気器(ヒータ式):給水を加熱(90〜105℃程度)して酸素を追い出す。最も一般的な脱気方式
- 真空脱気器:水を減圧して溶存ガスを除去する
- 薬品脱酸素(亜硫酸ナトリウム・ヒドラジン等):脱気器後の残留酸素を化学的に除去する補助手段
3. pH管理
缶水・給水のpHを適正範囲に維持することで腐食を防ぎます。
| 対象 | pH範囲(JIS B 8223目安) | 備考 |
|---|---|---|
| 給水pH(低圧ボイラー) | 7.0〜9.0 | 弱アルカリ性で鉄の腐食を抑制 |
| 缶水pH(低圧ボイラー) | 11.0〜11.8 | アルカリ性で鉄に不動態被膜を形成 |
| 缶水pH(高圧ボイラー) | 8.5〜9.5 | 高圧では強アルカリが銅腐食を招くため低め |
pH調整剤には水酸化ナトリウム(NaOH)・リン酸三ナトリウム(Na₃PO₄)等が使用されます。
スケール管理
スケールは水管内壁に析出した無機塩の堆積物で、主成分はCaCO₃・CaSO₄・Mg(OH)₂・SiO₂等です。
- スケール1 mmで伝熱抵抗が著しく増加し、熱効率が低下する(スケール1 mmあたり熱効率数%相当の影響があるとされる)
- スケールが厚くなると管壁温度が上昇し、過熱・膨らみ・破裂の原因になる
- スケール防止剤(リン酸塩・ポリマー系)を缶水に添加してスケール析出を抑制する
ブロー管理
缶水中に濃縮した塩類・スラッジを排出するためにブロー(排水)を行います。
- 間欠ブロー(底部ブロー):ボイラー底部(下胴・下部ヘッダー)の弁を開いてスラッジを排出。1日1回以上実施
- 連続ブロー(表面ブロー):缶水表面付近から連続的に排出し、缶水の全溶解固形分濃度(TDS)を管理範囲内に保つ
- ブロー量は「濃縮倍数」(缶水TDS ÷ 給水TDS)で管理する
試験ポイント
- 脱気器で溶存酸素を除去→点食防止
- 軟化装置でCa・Mgを除去→スケール防止
- 低圧ボイラー缶水pH 11.0〜11.8、高圧は8.5〜9.5(JIS B 8223)
- ブローでスラッジ・濃縮塩類を排出
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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