消火器の設置には、建物全体を対象にした「基本設置」と、特定の場所に追加で置く「付加設置」の2種類があります。危険物・指定可燃物を扱う場所や変電室などでは、基本設置とは別に付加設置が義務付けられます。試験では計算問題として出ることが多く、基本設置との合計を求める問題が頻出です。
この記事では、付加設置の根拠条文・対象となる場所・計算方法・大型消火器による代替の条件を整理します。基本設置の算定方法は消火器の設置基準(歩行距離・設置高さ・能力単位の算定)で整理していますので、あわせてご参照ください。
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▶ 消防設備士 乙種第6類 問題集
基本設置と付加設置の違い
消火器の設置義務は、消防法施行規則の第6条・第7条・第8条に分かれています。それぞれの役割は異なります。
| 区分 | 根拠条文 | 設置の考え方 |
|---|---|---|
| 基本設置 | 施行規則第6条 | 防火対象物全体の用途・床面積から能力単位を算定し、歩行距離(20m以下)と設置高さ(1.5m以下)を守って配置する |
| 付加設置 | 施行規則第7条 | 危険物・指定可燃物・変電室・多量の火気を使う場所ごとに、個別に能力単位を算定して追加する |
| 大型消火器による代替 | 施行規則第8条 | 一定の条件を満たす場合、大型消火器で付加設置分の一部を代替できる |
出典:消防法施行規則第6条・第7条・第8条(2026年10月確認)
基本設置と付加設置が同じ建物に発生する場合、それぞれを別々に計算して合計します。付加設置は「基本設置に含まれる」わけではなく、独立して必要になります。
付加設置が必要な場所
消防法施行規則第7条は、付加設置が必要な場所を次のように規定しています。
| 場所の種類 | 具体例 |
|---|---|
| 少量危険物を貯蔵・取り扱う場所 | 危険物を貯蔵する倉庫・取扱場所(消防法別表第一に規定する危険物の指定数量の5分の1以上・指定数量未満) |
| 指定可燃物を貯蔵・取り扱う場所 | 木材・合成樹脂・綿花・糸・布・わら・再生資源燃料などを大量に扱う場所 |
| 電気設備がある場所 | 変電室・発電室・変圧器・配電盤のある室 |
| 多量の火気を使用する場所 | ボイラー室・乾燥室・鍛造場・ボイラー室に準ずる場所 |
出典:消防法施行規則第7条(2026年10月確認)
「少量危険物」とは、消防法別表第一に定める危険物の指定数量の5分の1以上・指定数量未満のものを指します。指定数量以上になると危険物施設として別の規制が適用されるため、「少量危険物」は指定数量未満の範囲を扱います。
電気設備がある場所に設置する消火器は、電気火災(C火災)に適応するものを選ぶ必要があります。粉末(ABC)・CO₂・ハロゲン化物・強化液(霧状)が対象です。
付加設置の計算方法
付加設置に必要な能力単位は、場所の種類ごとに算定方法が異なります。
| 場所の種類 | 算定方法 | 端数処理 |
|---|---|---|
| 少量危険物・指定可燃物を貯蔵・取り扱う場所 | 貯蔵・取扱数量 ÷ 指定数量(または施行規則別表第四の数量) × 必要能力単位 | 端数切り上げ |
| 電気設備がある場所(変電室・発電室等) | 床面積 ÷ 100m² | 端数切り上げ |
| 多量の火気を使用する場所(ボイラー室等) | 床面積 ÷ 25m² | 端数切り上げ |
出典:消防法施行規則第7条・別表第四(2026年10月確認)
変電室の算定基準面積は100m²、ボイラー室など多量の火気を使用する場所は25m²です。基本設置の算定基準面積(用途によって50・100・200m²)とは別の数値ですので、混同しないように注意してください。
端数の処理は基本設置と同じく切り上げです。0.1でも1単位に切り上げます。
計算例(3パターン)
例1:指定可燃物(綿花)がある場合
消防法施行規則別表第四によると、綿花の指定可燃物の数量は200kgです。この施設で綿花80kgを取り扱っている場合の付加設置の能力単位を計算します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 取扱数量 | 80kg |
| 別表第四の数量(綿花) | 200kg |
| 計算 | 80 ÷ 200 = 0.4 |
| 端数切り上げ | 1単位 |
0.4を端数切り上げして1単位となります。施行規則別表第四の数量の計算であり、危険物の指定数量とは別の値ですので注意してください。
例2:変電室がある場合
床面積150m²の変電室に必要な付加設置の能力単位を計算します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 床面積 | 150m² |
| 算定基準面積 | 100m² |
| 計算 | 150 ÷ 100 = 1.5 |
| 端数切り上げ | 2単位 |
1.5を端数切り上げして2単位となります。変電室には電気火災(C火災)に適応する消火器を設置する必要があります。
例3:ボイラー室がある場合
床面積60m²のボイラー室に必要な付加設置の能力単位を計算します。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 床面積 | 60m² |
| 算定基準面積 | 25m² |
| 計算 | 60 ÷ 25 = 2.4 |
| 端数切り上げ | 3単位 |
2.4を端数切り上げして3単位となります。多量の火気を使用する場所は算定基準面積が25m²と小さく、付加設置の本数が多くなりやすい点が特徴です。
基本設置との合計
基本設置と付加設置が両方ある場合は合計します。たとえば、基本設置で3単位・変電室の付加設置で2単位が必要な場合、合計5単位以上の消火器を設置します。ただし、付加設置分は対象の場所(変電室)の近くに置くことが前提です。
大型消火器による付加設置(施行規則第8条)
消防法施行規則第8条は、大型消火器(A火災の能力単位が10以上またはB火災の能力単位が20以上)で付加設置分を代替できる条件を定めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 代替できる範囲 | 付加設置分(施行規則第7条による部分)の一部 |
| 代替できない範囲 | 基本設置分(施行規則第6条による部分)は代替不可 |
| 大型消火器の定義 | A火災の能力単位が10以上またはB火災が20以上(規格省令第1条の2) |
出典:消防法施行規則第8条・規格省令第1条の2(2026年10月確認)
大型消火器を使って付加設置分を代替する場合でも、歩行距離・設置高さなど施行規則第9条の配置基準は守る必要があります。大型消火器は歩行距離が30m以下(通常の消火器は20m以下)です。
大型消火器の詳細は大型消火器とは何か(能力単位・歩行距離・設置基準)で整理しています。
試験での出題パターン
付加設置に関する試験問題は、法令(類別)の計算問題として出題されます。
| 出題テーマ | 根拠 | 押さえるポイント |
|---|---|---|
| 変電室に必要な付加設置の能力単位 | 施行規則第7条 | 床面積 ÷ 100m²(端数切り上げ) |
| ボイラー室に必要な付加設置の能力単位 | 施行規則第7条 | 床面積 ÷ 25m²(端数切り上げ) |
| 基本設置と付加設置の合計 | 施行規則第6条・第7条 | それぞれを別々に計算して合計する |
| 大型消火器で代替できる範囲 | 施行規則第8条 | 付加設置分のみ代替可・基本設置分は不可 |
| 指定可燃物がある場合の計算 | 施行規則第7条・別表第四 | 数量 ÷ 別表第四の数量(端数切り上げ) |
出典:消防法施行規則第7条・第8条(2026年10月確認)
試験では「変電室の算定基準面積が100m²か50m²か」「付加設置分を基本設置分の消火器で代替できるか」といった誤りの選択肢が出やすいです。100m²(変電室)と25m²(多量の火気)の数値と、代替できるのは付加設置分のみという2点を正確に押さえてください。
能力単位の計算全体の手順は能力単位の計算問題(算定基準面積・耐火建築物の扱い)でまとめています。
まとめ
消火器の付加設置は、施行規則第7条に基づいて、危険物・指定可燃物の取扱場所・変電室・多量の火気を使用する場所ごとに個別に必要な能力単位を算定します。算定基準面積は変電室が100m²・多量の火気を使用する場所が25m²で、端数は切り上げです。基本設置(施行規則第6条)と付加設置(第7条)は別々に計算して合計します。大型消火器で代替できるのは付加設置分のみで、基本設置分の代替はできません(施行規則第8条)。試験では「100m²と25m²の使い分け」と「代替できる範囲」がポイントです。
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