「学科は受かったのに、技能で落ちてしまった。」
結果通知を見て、そう感じている方に向けて書きます。
まず伝えたいのは、これは珍しいことでも、恥ずかしいことでもないということです。
技能試験は、配管の加工・接続から気密試験・漏えい試験まで、実際に手を動かして仕上げるところまでを見られる試験です。頭で分かっていても、手が思うように動かないことは、誰にでもあります。
この記事では、次にやるべきことを、順番に整理します。
まずは、気持ちの整理から
結果を見た直後は、悔しさや情けなさが先に立つと思います。
特に、現場で普段から工具を扱っている方ほど、「なぜこんな試験で」と感じやすいものです。
ただ、技能試験は現場の作業スピードとは違う物差しで見られています。試験官の前という緊張感、時間の制約、普段とは違う工具や材料。実際の仕事がどれだけできる人でも、条件が変わればペースが乱れることは普通に起こります。
落ち込む時間は、少しだけで大丈夫です。大事なのは、そこから何を持ち帰るかです。
まず知ってほしいこと。学科の合格は無駄になりません
一番不安なのは、「来年、また学科からやり直しなのか」ということだと思います。
結論から言うと、学科(筆記試験)に合格していれば、来年の1回に限り、学科試験が免除される制度があります。
(出典:高圧ガス保安協会「令和8年度 液化石油ガス設備士試験 受験案内」)
つまり、来年は技能試験だけに集中して準備すればいい、ということです。これは大きな救いだと思います。
ただし、ここには注意点が2つあります。
- 免除は「翌年度に限り、1回だけ」です。もし来年も見送って再来年に受けようとすると、免除の対象から外れてしまい、また学科から受け直すことになります。
- 免除には申請が必要です。何もしなければ自動的に免除されるわけではありません。今年の学科試験の合格通知書(または合格証明書)を、決められた期限までにKHK(高圧ガス保安協会)へ送付する手続きが必要です。
「来年こそは」と思っているなら、まずこの手続きを忘れないことが最優先です。
技能試験は、何を見られているのか
次に、技能試験がどんな内容だったかを、もう一度整理しておきましょう。
公式の受験案内によると、技能試験で見られるのは、次の5つです。
- 配管用材料及び工具の使用
- 硬質管の加工及び接続
- 器具等の取り付け
- 気密試験の実施
- 漏えい試験の実施
合格基準は、学科・技能とも満点の60パーセント程度とされています(出典:同受験案内)。
つまり、全部を完璧にこなす必要はありません。どこで大きく崩れたのかを、自分なりに振り返ることが、次への一番の近道になります。
落ちた原因を、自分の中で言葉にしておく
技能試験は、筆記のように「何点だったか」がはっきり分かる試験ではありません。だからこそ、記憶が新しいうちに、自分の手が止まった場所を書き出しておくことをおすすめします。
- 時間が足りなくなったのか、時間は余ったが仕上がりが甘かったのか
- ねじ切りなど、材料の加工そのものでつまずいたのか
- 気密試験・漏えい試験の手順を、焦って飛ばしてしまったのか
- 工具の使い方に、そもそも慣れていなかったのか
「なんとなく落ちた」で終わらせてしまうと、来年も同じところでつまずきます。
逆に、原因が1つでも言葉にできれば、この1年の練習の的が絞れます。
この1年、どう練習すればいいか
技能試験は、学科と違って独学の教材が少ない試験です。だからこそ、次の3つを意識してみてください。
① とにかく回数をこなす
頭で理解していることと、手が覚えていることは別物です。同じ作業を、時間を計りながら何度もくりかえすことが、一番の近道です。
② 実務の中で、あえて「試験と同じ手順」を意識する
すでに現場で配管工事の経験がある方なら、日々の作業の中で「これは試験のどの工程にあたるか」を意識してみてください。普段の仕事が、そのまま練習になります。
③ 講習を活用する
KHK(高圧ガス保安協会)や各都道府県のLPガス協会では、液化石油ガス設備士向けの講習が開催されています。独学で不安な工程がある場合は、こうした講習で実際の手順を見せてもらうのも有効です。
「ねじ切り機」の選び方も、見直すタイミングです
技能試験では、配管の加工に「ねじ切り機」を使いますが、実は電動と手動で試験時間が違うことをご存知でしょうか。
- 電動ねじ切り機を使う場合:60分
- 手動ねじ切り機を使う場合:75分
(出典:高圧ガス保安協会「令和8年度 液化石油ガス設備士試験 受験案内」)
手動の方が15分長く時間を使える設計になっています。もし今回、電動を使って時間に追われてしまったのなら、来年は手動に切り替えて、時間の余裕を優先するという選択肢もあります。逆に、手動での作業に慣れているなら、そのまま続けるのが安心です。
どちらが良い・悪いという話ではなく、自分の手つきと相談して選ぶものだと考えてください。申し込みの際に、この選択を変更できる期限も設けられているので、忘れずに確認しておきましょう。
よくある質問
Q. 技能試験に落ちたことは、次の受験に不利になりますか。
公式の受験案内には、過去の受験結果が次の受験に影響するという記載はありません。毎年、その年の試験内容と出来だけで合否が判定される試験です。
Q. 学科免除の手続きを忘れてしまったら、どうなりますか。
期限までに証書の送付が完了しなければ、学科試験の免除は受けられません。その場合は、学科試験からの受け直しになります。忘れないよう、申し込み開始と同時に手続きしてしまうのが確実です。
Q. 独学だけで技能試験に合格できますか。
できないわけではありませんが、技能試験は「実際に手を動かす感覚」を確認できる相手がいた方が、上達は早くなります。身近に経験者がいない場合は、講習の活用も検討してみてください。
Q. 学科試験の免除を申請せず、あえて学科から受け直すこともできますか。
できます。免除は権利であって義務ではありません。ただし、技能試験の練習に集中したい方にとっては、免除を使わない理由は基本的にありません。よほど法令の内容に不安があるという場合を除けば、免除を申請して技能に時間を使う方が現実的です。
Q. 去年と違う都道府県で受験することはできますか。
試験地は申し込み時に選ぶことができ、変更の手続きも用意されています。引っ越しや転勤があった方は、申し込み前に受験案内で試験地の一覧を確認しておきましょう。
来年に向けたスケジュール感
試験は年に1回だけです。申し込みは例年8〜9月ごろ、学科試験は11月上旬、技能試験は11月下旬というのがおおよその流れです(年度によって日程は変わるため、正確な日程は必ずKHK公式サイトで確認してください)。
学科免除の手続きが必要な方は、申し込みの受付期間中に、証書の送付まで終わらせる必要があります。まずはこの手続きの期限を、カレンダーに書き込んでおくことをおすすめします。
スキマ時間の使い方は、学科のときと同じです
技能試験に集中する1年になっても、体で覚える練習だけがすべてではありません。
配管理論や法令の知識は、技能試験の作業の意味を理解するうえでも役に立ちます。学科は免除されても、知識そのものを忘れてしまってはもったいないです。
通勤中や休憩中のスキマ時間には、過去問アプリで知識を振り返っておくと、余裕を持って技能試験の練習に時間を使えます。
まとめ
- 学科に合格していれば、翌年度に限り学科試験が免除される制度があります(要申請・期限あり)。
- 技能試験の合格基準は満点の60パーセント程度。完璧でなくても受かります。
- 「なんとなく落ちた」で終わらせず、自分がつまずいた工程を言葉にしておくことが、来年への近道です。
- 練習は回数がものを言います。現場の実務や講習も味方にしてください。
一度落ちたことは、来年受からない理由にはなりません。
今年より、確実に近づいています。
焦らず、次の1年を積み重ねていきましょう。


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