GH日中型の法人別収支差率が横並び(社会法人3.6% vs 営利法人3.9%)な理由

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厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)によると、グループホーム日中サービス支援型(GH日中型)の収支差率は社会法人3.6%・営利法人3.9%・NPO法人6.1%です。他のサービスでは社会法人と営利法人の間に5〜10ポイント以上の差が生じているのに対し、GH日中型は法人形態間の差が小さい点が特徴的です。

GH日中型の法人形態別収支差率

法人形態 事業所数 平均年収入 収支差額 収支差率
NPO法人 16件 5,790万円 352万円 6.1%
営利法人 124件 5,032万円 194万円 3.9%
社会法人(他含む) 84件 7,094万円 253万円 3.6%
その他 12件 4,754万円 1,608万円 33.8%(参考)

社会法人3.6%と営利法人3.9%はほぼ同水準です。「その他」(12件)は n が小さいため参考値として扱います。

他サービスとの法人形態別収支差率の比較

サービス 社会法人 営利法人 差
就労移行支援 11.7% 2.6% 9.1pt差
GH包括型 8.5% 2.3% 6.2pt差
短期入所 -1.6% — —
GH日中型 3.6% 3.9% 0.3pt差(ほぼ同水準)
生活介護 6.1% 5.7% 0.4pt差(ほぼ同水準)

就労移行支援やGH包括型では社会法人が営利法人を6〜9ポイント上回りますが、GH日中型と生活介護では法人形態間の差がほぼありません。

GH日中型で法人形態差が小さい理由

「日中サービス支援型」の参入要件が高い:GH日中型(日中サービス支援型グループホーム)は、日中も含めたサービスを提供するため、重度障害者(強度行動障害・医療的ケア対応)への対応が前提となります。人員配置基準(利用者2人に対し1人の支援員配置等)が包括型より手厚いため、新規参入の敷居が高く、立ち上げ期の赤字事業所が少ない傾向があります。

社会法人・営利法人ともに規模が大きい:GH日中型の平均年収は社会法人7,094万円・営利法人5,032万円で、いずれも比較的大規模な事業所です。規模が大きいほど固定費(人件費等)を収入で吸収できるため、法人形態による差が出にくくなります。

重度加算の取得率が均一化している:GH日中型は重度障害者支援加算・夜間支援等体制加算(Ⅰ)・重度夜間支援加算等の取得が事業運営の前提になることが多く、社会法人・営利法人ともに加算取得率が高い水準にある可能性があります。加算取得率が均等であれば、法人形態による収入単価の差が縮まります。

NPO法人6.1%がやや高い理由

NPO法人(n=16)の収支差率6.1%は社会法人・営利法人をやや上回ります。ただしn=16と標本数が少ないため、データの安定性には注意が必要です。NPO法人が運営するGH日中型は、特定の障害種別(強度行動障害・医療的ケア等)に専門特化した事業所が多い傾向があり、専門的な加算取得により収入単価が高くなっているケースがあります。

自事業所の位置づけの確認

GH日中型を運営している場合、法人形態別の全国平均(社会法人3.6%・営利法人3.9%)と比較します。GH日中型は法人形態間の差が小さいため、自事業所の収支差率が全国平均を下回る場合は、法人形態の差ではなく「稼働率・重度障害者支援加算の取得状況・夜間支援体制」といった運営上の要因を確認することが重要です。

  • 収支差率が3〜4%の場合:全国平均並みの状態。主要加算(夜間支援等体制加算・重度障害者支援加算)を全て取得できているかを確認する
  • 収支差率が3%未満(赤字含む)の場合:稼働率85%未満・加算未取得が主な原因である可能性が高い。稼働率と加算取得状況を優先的に見直す
  • 収支差率が6%以上の場合:全国平均を大きく上回っている。何が効いているかを確認して継続する

GH日中型は他のサービスと異なり、法人形態よりも「事業規模と加算取得の徹底度」が収支差率を決める構造です。自事業所の加算算定状況の棚卸しが、収支改善の第一歩になります。

GH日中型とGH包括型の法人別収支差率の差

同じグループホームでも、包括型(介護サービス包括型)と日中型(日中サービス支援型)では法人別収支差率のパターンが異なります。

法人形態 GH包括型 GH日中型 差
社会法人 8.5% 3.6% 包括型が4.9pt高い
営利法人 2.3% 3.9% 日中型が1.6pt高い
NPO法人 8.7% 6.1% 包括型が2.6pt高い

GH包括型では社会法人8.5%・NPO8.7%が営利法人2.3%を大きく上回るのに対し、GH日中型では社会法人3.6%と営利法人3.9%がほぼ同水準です。GH日中型の「法人別差が小さい」という特徴は、参入要件の高さと重度対応加算の均一化が主な原因であると考えられます。

また、GH日中型の社会法人は平均年収7,094万円と事業規模が大きい分、収支差率(3.6%)でも収支差額は年間253万円(約2.5倍の年収規模に対して適度な利益)を確保しています。法人全体の経営という観点では、GH日中型の社会法人は安定した黒字経営を実現しています。

「その他」法人(n=12、収支差率33.8%)は標本数が少なく、一部の高収益事業所が平均を押し上げている可能性があります。GH日中型の「その他」法人には医療機関が設置した特例的な運営形態が含まれる場合があり、平均値としての解釈には注意が必要です。GH日中型の経営判断には社会法人(n=84)・営利法人(n=124)のデータを参考にすることが適切です。

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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。法人形態別の数値は同調査の事業所別集計にもとづきます。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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